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友人の結婚相手

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第一章

                友人の結婚相手
 この時間柴渚は友人の八塚優子と共に街を歩いていた。渚はきりっとした顔立ちで特に目がそうなっている。色白で顎の形がよく黒髪を短く男性的にセットしていて一六二程の背でスタイルもボーイッシュでズボンが似合っている。優子は背は一五八程で肉付きがよいが太っているという程ではない。丸い感じの陽気な顔立ちで睫毛が長く笑っている目である。膝までのひらひらとした緑のスカートと白のセーターにコートという恰好だ。
 優子は渚の話を聞いてこう言った。
「へえ、渚のお父さん再婚するの」
「それで近いうちに紹介したいって言ってるの」
 渚は優子に微笑んで答えた。
「そうね」
「そうなのね、おめでとうね」
「ええ、それで優子もよね」
「そうなの、結婚するのよ」
 優子は渚ににこりとして答えた。
「それで今からね」
「私にその人を紹介してくれるのよね」
「そうなのよ」 
 にこりとしたまま再び答えた。
「今からね」
「それで今から案内してくれてるけれど」 
 渚は優子に目を向けて言った、黒のコートと赤いズボンが艶やかだ。
「ここ私の実家の近くなのよね」
「そうなのね」
「そう、ご近所さんかしら」
 優子の再婚相手はというのだ。
「実家の」
「そうかもね、それでここがね」
 優子はある一軒家の前で渚に話した。
「その人のお家なの」
「えっ、ここって」
 渚はその家を見て驚きの声をあげた、その家は。
 渚が誰よりも知っている家だった、その家はというと。
「私の実家よ」
「えっ、そうなの」
「お父さん再婚するっていうし」
 妻つまり渚の母に先立たれて三年経っていたがだ。
「まさか優子の結婚相手って」
「去年知り合ったけれど」
「お父さんそれも言ってたし」
「まさか」
 優子もこう思った、そして。
 家に入るとだ、父の正臣穏やかな顔立ちで色白で髪の毛は幾分白いものが混じっているが娘に遺伝を受け継がせている彼もだった。
 驚きを隠せない顔でだ、自分の娘と結婚相手に言った。
「まさか渚のお友達だったなんて」
「夢にも思わなかったわよ」
「全くだ」 
 娘にこう返した。
「こんなことがあるのか」
「そうね」
「あの、何て言うかね」
 優子も戸惑いの極みにある顔で言ってきた。
「流石にこれは」
「あんたも思わなかったわよね」
「結婚相手が渚のお父さんって」
「そうよね」
「どうしようかしら」
「ああ、それはいいわ」
 渚は優子が結婚を戸惑っているのを察して彼女に微笑んで答えた。
「あんたとお父さんが結婚したいならね」
「結婚したらいいの」
「二人共好きなんでしょ」
 優子にこのことを確認した。
「そうでしょ」
「立派な人って思ったから。会社の取引先の人でね」
「そこで知り合ったのよね」
「それでね」
「お父さんもそう思う」 
 サラリーマン、勤務先では部長の彼に答えた。 
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