| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ドリトル先生とめでたい幽霊

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六幕その四

「僕達も」
「織田作さんに縁のあるお店はこれまで行ったけれど」
 ホワイティも言います。
「喫茶店でもあるかな」
「自由軒や夫婦善哉はあるけれど」
 ダブダブは具体的なお店の名前を出しました。
「喫茶店だとどうかな」
「あったら行こう」
 老馬も言いました。
「是非ね」
「京都には残っているみたいだね」
 先生はこの街ならと答えました。
「どうもね」
「京都?」
「そういえば織田作さん京都の学校にも行ってたね」
「今の京都大学にね」
「三高と言われた頃に」
「そうだったね」
「結核になってから学校に行く気が薄れてね」
 そうしてというのです。
「よく喫茶店に行く様になったけれど」
「その時の喫茶店はあるんだ」
「まだ残ってるんだ」
「そうなのね」
「そうなんだ、そちらはね。けれど大阪だとどうかな」
 この街ではというのです。
「まだそこまで調べていないよ」
「残っていたらいいね」
「そうだよね」
「残っていたら行って」
「そこで飲もう」
「そうしよう」
「そうしようね、僕は紅茶派でも」
 それでもというのです。
「そうしたお店があったらね」
「行きたいね」
「そのお店に」
「そして織田作さんを学ぶ」
「そうするね」
「是非ね」
 こうも言うのでした、そして。
 先生はお店から外を見てこんなことも言いました。
「アーケード街だね、ここは」
「そうそう、屋根があってね」
「雨でも普通に歩けるわ」
「そこもいいよね、ここは」
「やっぱり当時はね」
 その織田作さんの頃はというのです。
「屋根もなかったよ」
「そうなんだね」
「昭和十年代は」
「まだそうしたものはなくて」
「雨が降ったらそのままだったんだ」
「そうだったよ、そこも違うね」
 当時とはというのです。
「大阪は、あと地下もね」
「虹の街だね」
「あそこもいいところだね」
「色々なお店があって」
「大阪は地下街もいいね」
「それもなかったしね」
 そうだったというのです。
「今とは随分違うよ、ビルだってね」
「ここまでなかったね」
「難波パークスなんかかなりだけれど」
「そのビルもなかったんだね」
「織田作さんの頃は」
「戦争があって空襲もあって」
 先生はそこからお話しました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧