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借金を返さない奴

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第一章

                借金を返さない奴
 大西福嗣の友人亀田一仁は実に評判が悪い男だ。
 いい加減でずぼらで恩知らずで自分勝手と言われている、蟷螂の様な顔でマッシュルームの様な髪型で異様に色白で背は一六二程だ。
 底意地が悪く喧嘩は弱いが所謂イキリで口も態度も悪い。自分さえよければいいという考えが徹底している。学年屈指の成績の悪さで県内でも最低ランクの高校に通っていて今は適当に働いている。
 大西は今その亀田にファミレスの中で必死に頼まれていた。大西は背は一八〇あり太っている、丸眼鏡をかけていてやや丸い顔の形をしている。その彼が今口を開いた。
「三十万か」
「ああ、それだけあったらな」
 亀田はぺこぺこしつつ大西に話した。
「俺は助かるんだ」
「だからか」
「貸してくれ、お前しかいないんだ」
「それで貸したら返すな」
「絶対に返す」
 口約束は白々しい誠意のないものだった、だが。
 ずっと言ってきて断わっても家にまでついてきそうだったからだった。大西は頷いた。
「じゃあ貸すな」
「悪いな、絶対に返すからな」
 やはり誠意のない言葉だった、そして実際にだった。
 大西は亀田にアルバイトで貯めた貯金から金を貸したがその直後に別の友人に言われた。
「おい、亀田に金を貸してもな」
「返さないか」
「あいつが返す奴か」
 こう大西に言うのだった。
「知ってるだろ」
「あんな恩知らずの奴いないな」
「自分さえよければいい奴だからな」
「だから嫌う奴多いな」
「そう言うお前もだろ」
「嫌いだよ」
 大西は正直に答えた。
「あんな奴はな」
「あいつを好きな奴なんていないさ」
 それこそというのだ。
「当然俺もな、それでな」
「三十万もか」
「絶対に返って来ないぞ」
「しかししつこかったからな」
「貸したか」
「ああ、返さなかったらあいつの親に言うさ」
「そうしろ、親御さんに立て替えてもらえ」
「そうするな、しかしあいつの親父さん警官だろ」
 ここで大西はこのことを言った。 
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