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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第60話

 
前書き
もう一度未来世界へ。 

 
神殿では悟空とベジータの修行が終了し、神殿を吹き飛ばしながらボロボロになった2人が出てきた。

カプセルコーポレーションではトランクスと悟天がウイスから反省点を教えられていた。

荒野では未だに激しい修行を悟飯とピッコロが行い、少しずつ悟飯も力を盛り返していく。

そして悟林もまた魔封波を完成させ、封印用の壺と小瓶と札を受け取る。

因みにザマス封印の器の壺が古い梅干し入れなのは悟林のチョイスである。

カプセルコーポレーションに集まると、悟林以外の全員が集まっていた。

「お父さん、ベジータさん、上手く行ったんだね。こっちも無事に覚えたよ」

「さあな、だが…そんな術を覚えたところで何の意味もないぞ。この俺がブラックもザマスも跡形もなく消し飛ばしてやるからだ」

「修行はオラもベジータも上手く行ったぞ。」

「それは良かった。トランクス君と悟天…少し腕を上げたかな?」

「うん!ウイスさんに修行をつけてもらったんだ!」

「ウイスさんに?ありがとうウイスさん、弟達の面倒を見てくれて」

「いえいえ、お2人の将来がとても楽しみですよ。」

トランクスと悟天に稽古をつけてくれたウイスに礼を言う悟林。

ウイスもウイスでビックリ箱みたいなゴテンクスとの修行はとても刺激的だったらしい。

「それにしても、ザマスねえ…何であんな狂った奴になったんだろ?」

「元々界王の頃から人間蔑視の奴だったらしいからな、そんな奴を弟子にするゴワスには呆れ果てるよ」

ビルスが欠伸混じりに言うと悟林は少し疑問に思っていたことを尋ねる。

「ビルス様、界王神様って界王様が強くなったりしてなるもんなの?」

「いや、界王と界王神は界芯星という星にある巨大な界樹から生る木の実から“芯人”として生まれる。界王が普通の実から生まれ、界王神は滅多に生らない特別な金色の実から生まれた芯人から選ばれる…普通ならな、ザマスのような界王が界王神候補として選ばれるなんてほとんどない」

ビルスの説明にここにいる全員がザマスがあのような歪んだ人格を持つに至った一端を垣間見た気がした。

元々才能に溢れ、歪んだ思想を持っていた所に普通なら有り得ない界王神候補への抜擢。

これでは他の神々よりも優れていると驕っても不思議ではない。

「第10宇宙の界王神様って本当に目玉が濁ってたんだね。まあ界王神様が界王様を止められるわけないか」

「…僕が言うのもなんだけど、お前の中の界王神と界王の力関係ってどうなってるんだ…?」

ビルスは知らないが元々界王拳は界王が編み出した技であり、悟空が使う元気玉も界王が編み出した技なのだ。

自分達が使う切り札を編み出した界王とほとんど良いところがなかった界王神では印象が違うのは当然と言える。

「でもビルス様、界王神様に出来ることって大体界王様にも出来んだろ?」

「まあ、そりゃあね」

「オラ達の師匠の界王様は界王拳や元気玉も教えてくれた凄え人だからなぁ」

「北の界王ねえ、寒いギャグが好きなのはアレだけどね」

界王拳はビルスも感心する技だったので、確かに悟林や悟空の気持ちは分からなくはないかもしれない。

「まあ、界王神様の場合は引き継ぎが終わっていない状態で師匠である大界王神様がいなくなられたのが原因ですからねぇ」

第7宇宙の界王神が妙に頼りないのは界王神となるための引き継ぎが終わっていない状態でブウとビビディが現れて師匠の大界王神や先輩に当たる界王神がいなくなってしまったからである。

なので、界王神の頼りなさを責めるのは少々酷だろう。

「おい、さっさとタイムマシンに乗り込むぞ」

「おう」

「孫君、ベジータ、悟林ちゃん。実はタイムマシンの並行世界の繋がりが弱くなっているの、これが最後の往復よ」

乗り込もうとした時、ブルマからの衝撃の事実に驚く。

「え?じゃあ、ビーデルさん達は…」

「しばらくはこの世界で過ごすしかないわね、でも大丈夫よ。私は天才だもの、必ず何とかしてみせるわ。だから、トランクスと悟飯君を助けてあげて」

「おう!任せとけ!」

ブルマの言葉に頷くと悟空がタイムマシンを操作して並行世界の未来へと向かった。

「…頼んだぞ、悟空さ、悟林……あんれ?悟天?どこに行っただ?」

「トランクス!?どこ行ったのよーっ!?」

「あの2人ならタイムマシンの別のコックピットに乗っていましたよ」

「「えーーーっ!!?」」

カプセルコーポレーションにチチとブルマの絶叫が響き渡った。

そして時空を渡っている途中で悟林達も気付いて慌てることになるが、このまま並行世界の未来に直行した。

そして時間を戻して、並行世界の未来ではブラックとザマスから逃げ切った未来トランクスと未来悟飯の前に見覚えのある人物が現れたのだ。

「トランクスさん、悟飯さん、ご無事で何よりです。」

「か、界王神様!?」

「もしかして、過去の世界から?」

「ええ、私達界王神は時の指輪でどの未来にも行くことが出来ますので」

「「…私…達?」」

界王神の言葉に違和感を感じた未来トランクスと未来悟飯だが、その答えはすぐに分かった。

「申し遅れました」

声に振り返ると黄色い肌の年老いた界王神がいた。

「あなたは?」

「第10宇宙の界王神…ゴワスと申す。この度は誠に申し訳ない!」

未来悟飯が尋ねると第10宇宙の界王神・ゴワスと名乗り、2人にザマスのことで頭を下げた。

「え!?」

「ちょ、ちょっと止めて下さい!界王神様がそんな…!」

突然頭を下げたゴワスに困惑する未来悟飯と未来トランクス。

「事情は全て伺いました。私がザマスを弟子に取ってしまったばかりにこのような事態を招いてしまった。」

「な、何を言うんですか!あなたもザマスの…ブラックの被害者じゃないですか!」

「と…とにかく頭を上げて下さい」

自分を責めるゴワスに未来悟飯がゴワスもまたブラックの被害者であると言い、未来トランクスも頭を上げるように言う。

「そ…そうですよ、ゴワス様…!ザマスは元々歪んだ考えを持っていたんです。ゴワス様だけの責任では…」

「いや、それを見抜けなかったのは私の落ち度、責任の所在は明らかです」

「ゴ…ゴワス様」

「あの、界王神様…ここはもしかして界王神界ですか?」

「はい、未来の悟飯さん。ここならブラックに見つからないでしょう。悟空さん達が戻るまでここで身を潜めましょう。まずは手当てをしなくては」

「なら、先に悟飯さんをお願いします。俺より酷い怪我をしているんです」

「分かりました、今から薬草を調達してきますので」

界王神は早速、傷に効果のある薬草の調達に向かった。

「…ゴワス様…でしたよね…?何故ザマスはあんなことを?」

「分かりません、何故このようなことを…確かに正義感が強すぎるところはあったが…」

ゴワスには何が原因でブラックとなったザマスがこのようなことをしたのか分からないのだろう。

「そうですか、トランクス。今はゆっくり休もう」

「はい、悟飯さん」

今は少しでも体力を回復させる時だ。

悟空達がこっちの世界に来るまでは必ず生き延びなくてはならない。

界王神が戻ってきて手当てをしてくれたおかげで未来悟飯も未来トランクスも傷の痛みが退いて眠ることが出来た。

流石は界王神界の薬草と言ったところか。

「2人共、良く寝ているようだな」

「はい、薬草が効いたようです。キビトがいればすぐに体力を回復してあげられるのですが…」

キビトは界王神ではないため、未来には来られなかったが、連れていくことが出来れば頼りになっただろう。

「復活パワーは界王神に従事する者にのみ与えられる能力。元々は我々界王神をサポートするために備わる力だ」

「………その力が今悪用され、守るべき宇宙を脅かす存在を生み出している…」

「………何とも皮肉な話だ…今、界王神の在り方が問われているのかも知れんな…」

界王神として界王神をサポートするための力が悪用されている現状はとても辛いものがあるだろう。

しかし、事態の悪化は止まることを知らない。

界王神達は地球の僅かな人間の命が急激に減っていることに気付いた。

「こ…これは!」

「…!ザマスが生き残った地球人を…!」

事態の変化に気付いた未来悟飯と未来トランクスも起き上がる。

「…ザマス…!何と愚かなことを…!もう我慢ならない…!私は先に地球に行きます」

ゴワスは先に地球に行こうとするが、界王神が慌てる。

「駄目です!今行っては危険です!もうすぐ悟空さん達が来ます!せめてそれまでは…」

「…うらぶれてもザマスの師匠は私です。説得の余地はあるはず」

ゴワスは瞬間移動で地球に行ってしまう。

まだブラックを説得出来ると信じて。

「ゴワス様!」

「俺達も追いかけましょう!悟飯さんは…」

「俺も行くぞ!大分楽になったからな!」

界王神達も急いで地球に瞬間移動する。

そして未来トランクスはゴワスの元に移動し、未来悟飯がザマスの足止めをすることに。

「ふん、トランクスも来たか…残る人間はお前と孫悟飯だけだ。だが、お前のあの変身には興味があるな…見せてみろ」

「貴様…!」

「待って欲しい、ザマス…どうしてこんな恐ろしいことをしたんだ…」

今にも気を解放して斬り掛かりそうになっている未来トランクスを制してブラックに話しかけた。

「鬱陶しいぞ、ゴワス。最早あなたは私の師ではない。邪魔をするな……平和な世界の実現に人間などいらない。あなたはそう教えてくれたではないか。私はあなたの教えに従ったまでだ」

「出鱈目を言うではない!人間を見守ることの大切さを説いてきたはずだ!」

「いいや、人間は同じ過ちを繰り返す。あなたからはその事実を見せられただけだ」

実際にブラックになる前のザマスが見てきた人間達は必ず争いを繰り返し星を破壊する…ゴワスに見せられた人間はほとんどそれだった。

ゴワスはその種の人間を見せることでザマスに見守る強さを身につけて欲しいと思ってのことだったのだろうが、ザマスには強さを身につけさせるどころか逆効果だったのだろう。

「ザマスよ…私の教えでお前を正しい神の道へ導けなかったとするならば…それは私の罪だ。ならば何故他の神達まで襲ったのだ」

「私の理想は理解されない…他の神達も必ず邪魔をするからだ」

自分の人間0計画は決して自分以外理解されないと分かっており、妨害されないために他宇宙の界王神を抹殺したのだ。

「当然だ!それはお前の考えが間違っているからに他ならない!ザマス…もう一度一緒にやり直そう」

「何を言い出すかと思えば…下らん、計画は既に始まっている。もう後戻りは出来ない。それにするつもりもない…残念だなゴワス…三度も殺すことになろうとはな!」

「ゴワス様!」

気を纏わせた手刀を未来トランクスが超サイヤ人怒りに変身するのと同時に剣で受け止めた。

「トランクスさん…!」

「ゴワス様、もう無理です。こいつにはもう言葉なんて通じません」

「当たり前だ。私は人間0計画を完遂すると決めたのだからな、見せてみろ超サイヤ人怒りの力を」

「今見せてやる!!」

未来トランクスとブラックが剣と手刀をぶつけ合う。

そして未来悟飯も説得が無理だったことを察してザマスと闘うことになった。

「はあっ!!」

潜在能力を解放した未来悟飯は構える。

「悟飯さん!神のオーラを纏わないのですか!?」

「今の俺じゃあフルパワーに体が耐えられない。でもザマス程度ならこれで充分です」

いくら薬草で傷や痛みがマシになったとは言え全快とは言えない状態だ。

そんな体でゴッドや究極神の力に耐えられるわけがない。

「私程度だと…?その驕りを後悔しろ人間!」

神通力を使おうとしても未来悟飯はその範囲から離脱すると、背後から蹴り飛ばす。

「お前の闘い方は前の闘いで分かった。金縛りにさえ気を付ければどうとでもなる。」

「…私は不死身だ。私がダメージを受けることは…」

次の瞬間、未来悟飯の裏拳が入り、次の瞬間にはザマスの腹に拳が叩き込まれた。

怯んだ隙に連続攻撃を浴びせると明らかにダメージを受けているが、すぐに元に戻った。

「なるほど、痛みは感じるか。ならお前の心が折れるまで攻撃するまでだ。俺で良かったなザマス…」

「…?」

「姉さんならもっと酷い目に遭わされていただろうからな」

次の瞬間、ザマスの顔面に未来悟飯の拳が突き刺さった。

そして上空では未来トランクスとブラックの剣と手刀がせめぎ合っていた。

「真っ二つにしてやる!!」

「ほざけ!!」

超サイヤ人ブルーの亜種形態同士の激突は、今のところ互角であった。

未来トランクスは距離を取ると気を纏わせた剣を投擲してきた。

「何!?」

まさか武器を捨てるような真似をするとは思わなかったのかブラックは驚きながらも剣を弾いたが、次の瞬間ブラックの鳩尾に未来トランクスの拳が突き刺さった。

「そっちは囮だ!!」

怯んだ隙に拳と蹴りを連続で叩き付け、最後の追撃を放った。

「ギャリック砲ーーーーっ!!」

父親のベジータの技を使う未来トランクス。

溜めがいるものの、魔閃光よりも威力が高いこの技をブラックに直撃させた。

「うおおおおおっ!!」

まともに受けたブラックが吹き飛ぶ。

「ゴワス様、今のうちにここから離れて下さい!あなたは死んではいけません!」

まだ離れていなかったゴワスに未来トランクスがここから離れるように言う。

「しかし…!私はザマスの師…弟子の最期を…」

「させると思うか?」

戻ってきたブラックがゴワスに向けて気弾を放ち、未来トランクスが咄嗟に盾になった。

「界王神共を生かしておくと瞬間移動で逃げられてしまうからな…まずはあなたからだゴワス」

「ザマス…」

「トランクスさん、ゴワス様は私に任せて下さい!」

界王神が現れ、ゴワスを強制的にここから離脱させた。

「ふん、ゴワスがいなくなったことでやっと心置きなく闘えるか?」

「…行くぞブラック、これから見せるのが本当の力だ…!」

フルパワーとなってブラックに突撃し、ブラックも真っ向から受けてたつと互いの拳を受け止めて力比べとなる。

「っ…!大したパワーだ…」

少しずつ押されているブラック。

未来トランクスは強引に押し切り、横っ面に蹴りを入れた。

「ぐおっ!?」

そしてがら空きとなったブラックの腹に連続で殴りかかり、最後には大振りの拳で顔面に叩き込んで吹き飛ばした。

「なるほど、力では負けているか…」

パワーは未来トランクスが上のようだが、ブラックとて簡単にやられるような敵ではなく、すぐに未来トランクスから距離を取ると闘い方を変える。

悟空の闘い方でキツいならばザマスの闘い方でやれば良い。

ザマスの動きは悟空の肉体に馴染んでいないため、悟空の動きと技の時より弱くなるものの、力技にはザマスの動きが良い。

流れるように未来トランクスの拳を受け流し、背後を取ると強烈な肘打ちを叩き込んで建物に激突させた。

その直後に未来トランクスが気弾を放ち、ブラックは手刀で全て捌く。

ブラックはザマスの方を見て未来悟飯に一方的にやられているのを見て溜め息を吐いた。

瞬間移動でザマスと未来悟飯の間に入り、未来悟飯を蹴り飛ばす。

「何と無様な姿だ…治せザマス」

「分かっている…」

体の傷を治しながらザマスはブラックに復活パワーで回復させようとする。

「させるか!」

未来トランクスが2人に気弾を放つが、ブラックがバリアーを張ると攻撃を防ぐ。

そしてブラックは復活パワーによって体力と傷を回復すると更にパワーを上げる。

「お前のおかげで更に戦闘力が上がった…これはその礼だ!!」

巨大な気弾を作り出し、そのまま気弾はどこまでも大きくなっていく。

超サイヤ人ロゼのオーラもそれに呼応するように激しさを増していき、その気弾に込められているエネルギーには未来トランクスと未来悟飯が戦慄する。

「こ…これは…!」

「お前達には感謝しているぞ、お前達のおかげで私の想定していた以上の力を手に入れることが出来た…この力で人間0計画は完遂する!滅べサイヤ人!裁きの逆鱗!!」

次の瞬間、街が跡形もなく消し飛ばされた。

そして場所はカプセルコーポレーション付近、そこにタイムマシンが出現し、全員が降りるとトランクスと悟天の頭にベジータの拳骨が叩き落とされた。

「「痛って~」」

「フュージョンしてないのに息ピッタリだねぇ」

「それよりやべえぞ、トランクスと悟飯の気が小さくなってる…!」

「トランクス君と悟天はここで待って…るわけないよね…今すぐフュージョンして私から離れないでね」

「「はーい!」」

「戻ってきて早々不安になってきたぜ…」

まさかのトランクスと悟天が加わることになり、ベジータは頭痛を覚えるが、悟林はそんなベジータに声をかける。

「2人はベジータさんが思っているよりも成長してるよ。と言うか悟飯を甘やかすなと言いながらトランクス君はベタベタに甘やかしてるから親馬鹿だよねベジータさん?」

「黙るか死ぬかどちらかを選べ…」

「おやおや、顔が赤いよベジータさん?おやおや~?」

しかし、ベジータの現在の性格に慣れ親しんだ悟林からすればその反応はからかいのネタにしかならないわけで。

「黙れ!命が惜しければ黙れ!!」

程好く緊張が緩んだところでトランクスと悟天のフュージョンも終わり、悟林達が悟空の瞬間移動で闘いの場に向かうのであった。 
 

 
後書き
ドラゴンボール超ってGTやブウ編の悟空とベジータのコンビを優先しすぎてるせいか、劣勢になると本当にどうしようもなくなるイメージ。 
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