| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

壁を

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三章

「一つ気になることが」
「あの方のお屋敷はだな」
「この屋敷とは随分距離があり」
「あの方は今日はお屋敷で皇族の方と会われるという」
「その後で来られるとなると」
「ここに来るのは随分遅くなるな」
 伯爵も述べた。
「そうなるな」
「左様ですね」
「そうだな、しかし遅くなってもな」
 それでもとだ、伯爵は執事に話した。
「おもてなしはだ」
「丁寧にですね」
「しよう、馳走に酒でな」
「おもてなしをしますね」
「美食でなくともいい方だが」
 これもラスプーチンの本質だ、どの様な階級の者とも親しく接する彼は粗末な食事でも喜んで食べそこにいる者達と肩を組んで笑って酒も飲むのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「やはりだもてなせる限りはだ」
「いいものであるべきで」
「当家で出せるだけの馳走を出すぞ」
「わかりました」
 執事も頷いた、酒は言うまでもなかった。
 こうしてまずはだった。
 他の客人達が来たので彼等をもてなし共に楽しむことにした、しかし。
 何とラスプーチンは最初に来た、伯爵は笑顔で気さくに来た彼に驚いて言った。
「あの、今日は」
「では今から宜しくお願いする」
「いえ、ですから今日は」
 明るく挨拶をする彼に驚いた顔のまま聞き返した。
「貴方は」
「ある皇室の方とお話をさせてもらっていた」
「ご自身のお屋敷で」
「勿体ないことだ」 
 粗野であることは事実だが謙虚な態度で述べた。
「私の様な者の屋敷に皇室の方が来られるとは」
「そう言われますか」
「誠意を以てお話させて頂いたつもりだ」
 ラスプーチンなりにだ。
「私は礼儀作法といったものには疎いが」
「それでもですね」
「そうして頂いたつもりだ」
「そうですか、しかし」
 伯爵は彼にあらためて話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧