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吸血鬼の真祖と魔王候補の転生者

作者:黒い子供
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第9話 節目と新たな関係

 
前書き
前回のあらすじ

姉妹の修行風景


※※注意※※
今回後半部分においてかなり過激な表現を行っております。
苦手な方はスルーをお願いいたします。
 

 
皆さんごきげんよう、シルヴィアよ。

私たち義姉妹は今、ヨーロッパの某所を歩いているわ。

時は西暦1410年6月20日。

エヴァと出会って10年、関係を持って6年、堕落した生活から抜け出して5年。

ん?時間が飛んでいる?キングクリムゾン?ナニソレオイシイノ?

そんな訳で今日はエヴァの20歳の誕生日。

この日に合わせて私は目的があってここにやってきた。

「やっと着いたな」

隣を歩く愛しき義妹、エヴァの言葉に視線を前に向ける。

目の前に建つのは1つの城。

ヨーロッパで言う、町を城壁内に含んだ城郭都市としての城ではない。

むしろ砦に近い規模の、純軍事的な意味での城だ。

城の名はレーベンスシュルト城。

・・・エヴァの、かつての実家。

私は隣のエヴァに視線を向ける。

ここ数年で更に成長し、今や立派な大人の女になった。

容姿は原作で言う幻術状態のエヴァと一緒。合わせて口調も原作の様な大人びたものに変わっている。

身長は私よりほんの少し小さい165cmほど。スタイルも私と同じくらいグラマラス。

胸なんか私より大きいFcupよ。・・・まぁ私が成長期に愛でまくったのも有るけれど。

肌も白くて艶艶。チート容姿の私と同じくらいの極上美人さんに成長したわ。

年齢が20歳になったのだから当たり前と言えば当たり前なのだが。

それでも昔のように頻繁には「義姉様」と呼ばれなくなり、義妹の成長を嬉しく思う反面、少々悲しいとも思う義姉。

まぁ、そんな外見はともかく、この地はエヴァにとって悲しい過去を持っている。

10年経っているとはいえ、過去は決して消えさりはしない。

それでもここに来たいと思ったのは全て私の我儘。

私が提案した時、エヴァは特に反応を示さず受け入れた。

だからといって、いやむしろだからこそ、私は注意深く様子を見なければならない。

そんな風に観察していると、不意にエヴァが視線を向ける。

私の視線に気付いたのか苦笑を浮かべる。

「そんな顔をするな、シルヴィア。ある程度はもう吹っ切れているさ」

「それでも心配するのが義姉と言うものよ」

「ふふっ、そうか・・・それよりもなぜ急にここに?」

じゃれ合っていると不意にエヴァが理由を尋ねてくる。

私が提案した時も訪ねてきたが、その時と同じ返答を返す私。

「ん~、まぁその時になったら話すわ」

「まぁ、私は別に構わないが・・・それじゃぁ入るか」

私の誤魔化しも特に気にせず、エヴァはとっとと城の中に入っていく。










10年間、人の住むことがなかった城はやや寂れていた。

あの惨劇の後、この城は放棄されたようで人が住んだ形跡はなかった。

私は、その現場である広間に立っている。

大きな窓からは大分傾いた日が差し込み、部屋を紅く染め始めている。

さすがにあの後片付けたのか、広間は綺麗になっており、血の跡などの形跡は残っていない。

ちなみにエヴァはこの場に居ない。

あの後城門をくぐり、城の中を見て回った。

駐屯していた兵のための兵舎や、使用人のための宿舎。物資を納める倉庫や、馬のための厩舎。

朽ち始めたそれら建物の合間を歩きながら城壁に上った時、それは見つかった。

城に接するように広がる森の中に、綺麗に切り取られたように円形の空白地を見つけた。

それを見た瞬間、エヴァは走り出し、私もそれに続いた。

きっとそこには・・・





森の端から続いた獣道は、その空白地に続いていた。

そして到着したそこには、予想通り2つの墓が、静かに佇んでいた。

私はそっと墓の前に跪き、手を合わせる。

(はじめまして、エヴァンジェリンの義姉をやらせて頂いています、シルヴィアです。彼女は私が必ず守ります。どうか心安らかに、お眠りください)

短く祈りを捧げると、私は立ち上がり、エヴァを残して城に戻った。





物思いにふけっていると、広間の扉が開く。

入ってきたエヴァは、落ち着いて見えた。

「もう、いいの?」

「ああ・・・もう大丈夫だ」

その表情、声音のどこにも無理の色は感じられない。

悲しくないはずはない、ただその悲しみに溺れるほど弱くもない、か。

この10年で本当に強くなったのだ、そんな事を考える私。

「それで?そろそろここに来た理由を教えてくれてもいいんじゃないか?」

そんなエヴァの言葉に、今度は緊張し始める私。

もちろん勝算はある。むしろかなり有ると言える。それでも緊張はするものなのよ。

こんな緊張、初めてエヴァと会って、一緒に旅することを誘った時以来かもしれない。

かといって何時までもだんまりを決め込む訳にもいかない。

意を決した私はエヴァの前に立つと、右のポケットから手のひらに収まる箱を取り出し、差しだす

「これをあなたに受け取って欲しいの」

静かにそう告げる私に、エヴァは首をかしげながら受け取り、箱を開く。

困惑が彩っていた表情は、箱を開いた瞬間驚愕に変わる。

箱に入っていたのは、銀に輝く、宝石もついていないシンプルな指輪。

唯一の装飾は、内側に掘られた『S to E』(シルヴィアからエヴァンジェリンへ)の文字のみ。

それが示す意味はただ1つ。しかしそれは、普通の人が示す以上の意味を持つ。

これはただの婚約指輪や、結婚指輪を示すものではない。

私達は共に、人ならざる者。不老不死として、永遠の時を生きる者。

そんな私達が交わすこの指輪もまた同じ。

永遠の契りを結ぶ指輪(エターナル・リング)

別に今までと劇的に関係が変わる訳ではない。

それでも改めての、そして永遠の契り。永遠の愛。ずっと共に在ることの誓い。

彼女もそれを理解している。瞳を揺らしながら、口を開く。

「いい・・・のか?」

この10年で成長した彼女。

背格好や雰囲気、口調も随分大人びた。

それでも、わずかに低い視線から、上目遣いで問いかける様は、幼い頃から変わらない。

そんな彼女に微笑みを浮かべる。

それに、そもそもそんな問いの答えなど、10年前の、初めて出会ったあの時から決まっている。

「あなただからよ。あなただからこそ、私は共に生き、歩んでいきたいの」

私の言葉に目を見開くエヴァ。

「愛し合う義理の姉妹として。そして恋人として、これからも2人で一緒に」

私の言葉を噛みしめたエヴァは、やがておずおずと笑みを浮かべる。

右手に持った箱を私の方に向け、左手を差し出す。

私は箱から指輪を取り出すと、そっとエヴァの左手の薬指に嵌める。

そして嵌め終えた指輪にそっと口づけ。

手を離すと、エヴァはわずかに体を震わせながら、左手をギュッと抱きしめる。

数秒間、心に刻むように自分の手を抱きしめると、右手に持ったままの箱をポケットにしまい、指輪の嵌めた左手を私に差しだす。

私は何も言わず、左のポケットから同じような箱を取り出し、エヴァに渡す。

エヴァはそれを受け取り、真正面から私を見つめ、右手にそれを渡す。

「これを・・・受け取って欲しい」

「えぇ・・・喜んで」

開かれた箱には1つの指輪。

装飾は『E to S』(エヴァンジェリンからシルヴィアへ)の文字だけ。

エヴァはその指輪を取り出すと、私の左手の薬指にそっと嵌める。

そうして指輪に口づけ。

永遠の契りを結んだ私達は、見つめ合う。

そうして、動いたのはどちらだったのか。

2人は抱きしめ合い、唇を重ねる。

頬を伝う二筋の涙を感じながら、愛を、想いを、喜びを交わし合う。

夕日の差し込む広間、2つの影は1つに重なり合い、離れることは無かった。










あれから少し経った。

夕日の加減からそれほど時間は経っていない、それでも私達にとっては、永遠とも刹那とも言える大切な時間。

それを終えた私達は、エヴァの願いによって再びここに立っている。

2つの墓、エヴァの義理の両親が眠る場所。

(エヴァンジェリンの義姉兼恋人をやらせて頂いています、シルヴィア・マクダウェルです。彼女は私が必ず守り、そして彼女に守られ、共に生きていきます。2人で必ず幸せになってみせます。どうか心安らかに、お眠りください)

先ほどと同じような、それでいて未来も含めた祈りを捧げる。

祈り伏せていた視線を上げると、同時にエヴァが一歩前に出た。

「父様、母様、紹介しよう。私の自慢の義姉兼恋人のシルヴィアだ。これから2人で共に、幸せに歩んで行く。だから安心して、眠っていてくれ」

そう言うとくるりとこちらを向くエヴァ。

あっ、と思った時にはすでに遅かった。

首に手を回し、唇を重ねるエヴァ。

両親の前で口づけ、という状況に内心苦笑しながら、それでも見せつけるのもいいかと抱きしめ返しキスを続ける。

その時、サァァッと木々がざわめき、夕方にしては暖かな風が2人を包んだ。

まるで私達を祝福しているかのように。

ちらりと視線を向けると、エヴァも微笑んでいた。

そうして2人は、少しの間幸せに浸っていた。





ぱちり・・・とまどろみから眼が覚める。

まず視線を向けたのは窓の外。

まだ暗く、どうやら寝過ごしたと言う事はなさそうで一安心。

と言っても、遠くの方がうっすらと明るくなり始めている。

あまり時間に余裕が有るとも思えない。

あの後私達は、エヴァの誕生日と言う事で豪勢な料理を作り、夕食を共にした。

そして魔法で用意したお風呂に入り、かつてエヴァが過ごしていた寝室へ。

・・・今日は私達にとって、結婚初夜に等しい記念日だ。

当然のごとく、ベッドの上ですることは1つ。

どちらからともなく抱きしめ合い、キス。

いつものように、否いつも以上に激しく、女同士の快楽を貪った。

・・・しかし今日はそれだけに留まらなかった。

魔法には、一時的に肉体の一部を変化させるものが存在する。

それを知った時、私は思いついてしまった。

女性の身体で最も敏感とされる、あの部分を大きくしたらどうなるかと。

まぁ、ざっくばらんに言ってしまえば、○核を巨大化させて、ふ○なりにしてしまおうってことよ。

女の子が大好きな女として、妄想の産物とは言え想像した事が無い訳が無い。

そんな訳で修業の合間に練習し、今日に間に合わせたと言うわけ。

まぁ、その時点で、エヴァに行為うんぬん以前に、恋人としての関係を断られることはないと思っている辺り私も大概ね。

そうして行ってみた感想はというと・・・すごいの一言だった。

事前に何度も達して朦朧としていたエヴァに突き刺した瞬間、頭の中が焼き切れ、ネジが数本飛んだ気がしたわ。

別に、犯す(無理矢理・ダメ・絶対)のが初めてというわけではないわ。

前世で言えば、その手の玩具の入手に困る事はなかったもの。付き合っていた子たちとそういったプレイもしていたわ。

でもこれは違う。

生身の、自分の身体で犯すことに、これほど快感を得られるとは思っていなかった。

まぁ、性感帯の塊を巨大化させているのだから、当然と言えば当然なのだけど。

けどここで誤算が1つ。

通常男性は達すると、放出と共に萎えたり冷静になるらしいわね。

でも女性の場合、体調や資質その他諸条件はあるけれど、いくら達したとしても、体力がある限り続けることも可能なのよ。

そこで私を考えてみる。

性別:女。色欲:いっぱい。体力:チートで無尽蔵。放出:愛液→両性具有の私=絶倫

・・・・・・・・・・気づいた時には、やり過ぎていた。

目の前には、汗と涎と、愛液に塗れ、体を痙攣させるエヴァ。

その足元には、処女を散らした証である鮮血が、シーツを染める。

普通の人間なら、ここで相手を労り、やめるなりするだろう。

しかし残念ながら、今ここに居るのは魔王候補の色欲狂いの元女帝なのだ。

今のエヴァの様子は、私の嗜虐欲を刺激する。

もっと愛したい。壊れるほどに抱きしめて、愛して、貪りたい。

そう本能が叫ぶ中、それでもなけなしの理性をかき集めて落ち着こうと思っている最中、彼女は口を開いた。

「いい・・・ぞ・・義姉様の・・・好きに・・・して」

私はゆっくりと視線を彼女に向ける

「まえ・・・にも、言ったろ?・・・義姉様・・の・・好きに・・・して・・・いいと・・・」

「・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・」

「義姉様・・・・の・・・好きに・・・使って・・もら・・うのが・・・私の・・・しあわせ・・・だから」

欲情に蕩けきった深紅の瞳は興奮で瞳孔が開ききっている。

嬌声を上げ続けた口は開かれ、かすかに涎を垂らしている。

そんな様子のエヴァの言葉で、私の頭の中で何かがぶつんと切れる音を聞いた。

エヴァに魔法を掛け、彼女も両性具有にする。

そのまま跨り、私の秘裂にあてがうと、耳元に唇を寄せる。

「私の初めてを、あなたに捧げるわ」

甘く囁けば、どこかでプシャッと大きな水音がするが気にしない。

私は微笑みながら、一気に腰を下ろした。





・・・・・・・・・・うん、今日も絶好調の暴走振りね。

互いに処女を散らした後、獣のように交わり合い、一息ついたところでまどろんでいた。

一息と言っても、お風呂から上がったのが体内時計で10時ごろ。外の様子からまだ朝の4時頃で、まどろんでいたのは1時間も経っていない。ということは・・・5時間ほどかしらね。

ちなみに2人とも両性具有は解除済み。

まぁ、暴走具合については、2人の身体はべたべたということ、部屋に充満する汗と愛液が入り混じった濃密な雌の匂いで分かるのだけど。

そしてかすかに混じる血の匂い。

私としては2度目の喪失。まぁ、興奮に狂っていたおかげで痛みのいの字も無く快感しかなかった訳で。

エヴァは大丈夫だったろうか。暴走していたとはいえ事前に解したりはしたつもりだけど・・・。

それにしても・・・やりすぎた。

別にどうしようも出来ないし、まして後悔するはずなどないのだけど、それでも反射的に思ってしまう。

かといって、私の性癖から考え、また同じ状況になるのは目に見えている訳で・・・それじゃぁその性癖を直す意志があるかと言えば無い訳で・・・だから思い浮かぶ言葉は・・・どうしよう。

「どうしようもないさ。シルヴィアだからな」

そんな思考の無限ループに陥り掛けていると、目の前で抱きしめていたエヴァが口を開く。

その声は若干掠れている・・・・・・まぁ、あれだけの嬌声を聞かせてくれたのだからそれも当然と言えるのだけど。

「何度も言っているだろ?シルヴィアのやりたいようにしてくれればいいんだ。それが私の幸せなんだからな」

「・・・」

「私はすっかりシルヴィアに染められたんだろう。愛され責められ犯され嬲られ壊されて感じるマゾヒストに」

「・・・」

「そしてシルヴィアは、愛し責め犯し嬲り壊すことで感じるサディスト。それだけのことだろう?」

「・・・」

「お互い愛し合っていて、互いに染まって相性がいい。それだけの事じゃないか。何を悩む必要がある?」

そこまで淡々と、当たり前の事実を述べているだけのようだったエヴァの表情ががらりと変わる。

大人の好い女に成長したことで得た色気、妖艶な笑みと、子供の頃からの無邪気な笑みが合わさった、一言で言えば凄絶な笑み。

その笑みを見ただけで、背筋にぞくりと快感が走る。

「今更捨てられないでしょう?私も離れる気はないよ。私達は愛し合っている。私は義姉様に滅茶苦茶にされたいと思っている。義姉様は私を滅茶苦茶にしたいと思っている。だから義姉様の好きにしていいの。ね?義姉様♪」

「ふふふ、そうね。今更キティと離れるなんて考えられないわ。有りえないわよ」

「なっ、まぁ、うん///」

私のストレートな言葉に照れたのか、それとも久しぶりに呼ばれたミドルネームに照れたのか。

ちなみに2人きりの時だけと厳命されたので、当面はベッドの中だけとなった。

さらに言うと、今まで忘れていたのもあるが、契りを結んだ証として預かる事になった。

エヴァの言葉と表情に微笑みながら抱きしめる。

ふと昔、前世でもこんなふうに、愛し合っていた子たちに苦笑されながら説教を受けた事もあった気がする。

何だか情けないかも?と思いつつ、こんな関係もいいかと楽観思考。

そんな事が脳裏をよぎりながら、再び快楽を貪る事に集中した。





あれから互いに数度、極めると、本格的に日が昇り始めた。

さすがにこれ以上はまずいと切り上げ、お風呂に入りさっぱりする。

そうして着替えると城の外へ。

そこで昨日準備していた魔法陣を起動する。

陣は城全体を覆うように描かれ、陣の外で跪く私の前には1つの水晶玉。

10年の魔法具修行の成果が今試されるわ。

そう意気込みながら一気に魔力を高めると、辺り一面が光に包まれる。

そうして光が収まる頃には・・・目の前から城が消えていた。

そうして水晶玉の中を確認すると・・・ちゃんと城が入っていた。

「これがダイオラマ魔法球か?」

「えぇ、そうよ。もっともこれは、1時間を3時間にしかできない未完成品だけどね」

「魔法具と言えば・・・これもそうだったんだな」

そうしてエヴァが差しだしたのは、左手にはめた指輪だ。

「えぇ。チート能力満載のミスリル製よ。2人の永遠の愛を示すには最適でしょ?」

「ま、まぁな。あの偶然精製方法を知ってしまったやつか」

うむうむ。どもりながら赤くなるエヴァは可愛いなぁ。

2人の薬指に収まる指輪、見た目は只の銀の指輪だが、実際はミスリル製の指輪なのよ。

ちなみにミスリルとはこの世界で最高の硬度・魔力伝達・集束・拡散効率を誇る、金属の中の王とも言うべき存在。当然とても希少な物で、なおかつ旧世界には存在しないはずのもの。

ちなみに神様から貰った妖刀正宗もミスリル製。

それをどうして私が持っているかと言えば、魔法具作成の修行中に偶然精製方法知ってしまったから。

まぁ、良く見て探したら魔導書に載っていたのでびっくりした。主に魔導書のチート具合に。

この時代はただの屑石扱いのダイヤモンドの原石と、襲ってきた賊の死体から徴収した金の指輪(真鍮じゃなくて本物の金だった)が、魔法具作成の中でも基本技術である合成の練習中に混入し、出来てしまったのだ。

もっとも、私が持つ膨大な魔力があって初めて成立しているようだけど。

意図せず最高の素材を手に入れた私は、これを永遠の契りを結ぶ指輪(エターナル・リング)にしようと考えた。

加えて、神様特製付与魔法の再現こそまだ出来ないが、コピーは出来るようになっていたので、それも付与することに。

「それで、結果この指輪には、自動物理防御魔法(オートプロテス)自動魔法防御魔法(オートシェル)自動体力回復魔法(オートリジェネ)自動魔力回復魔法(オートリフレッシュ)自動加速魔法(オートヘイスト)自動清潔魔法(オートクリーン)自動修復魔法(オートリペア)自動環境快適魔法(オートファイン)自動収納魔法(オートホールド)と服装一式の付与魔法がコピーされた上に、魔力伝達効率強化・魔力集束効率強化・魔力拡散効率強化・耐久力強化・誤認強化と能力目白押しの夢の逸品ができたと言うわけ。」

「まぁ、今更やりすぎ云々言うつもりはないけどな。それより誤認強化とはなんだ?」

「装着者の意志で魔力を流せば、指輪を第三者から見えないようにすることも可能なの。それと装着者や指輪本体の魔力も隠蔽する事ができるわよ」

「魔力はともかく、なぜわざわざ指輪を隠すんだ?」

「虎穴に入らずんば虎児を得ず。でもこれって虎穴にフル武装で入っちゃダメとは言ってないのよね」

「・・・あぁ、なるほど」

さすがエヴァは阿吽の呼吸で分かったようだ。

「武器を取り上げて安心?と思った途端に叩きのめされるってオチをやってみたいのよね~」

「くくくっ、えげつないな。まぁ、私達に楯突く相手に容赦は無用だからな」

まぁ、これら能力が無くとも大抵の相手なら身体能力だけで倒す事が出来るとは思うけど。念には念を入れてね。

どうせ倒すなら、息も絶え絶えになって倒すより、散々からかって弄んだあと一息に足でプチっと潰す感じが好きだもの。

あ、忘れるところだった。

「エヴァ、これも渡しておくわ」

そうしてマントから取り出したのは二振りのサーベル状の長剣。

「これは!」

抜いてみたエヴァの眼が見開かれる。

60cm程の細身で反りのある刀身自体は黒く輝く。先端10cmほどでは背の部分から刃に向かって更に尖っていき、刺突も出来るようになっている。

持ち手を守る覆い、護拳も広めにとった。

刀身から鍔、柄や護拳、鞘に至るまで全てミスリル製よ。

「銘は?」

「『魔双剣・クライスト』」

元ネタはBL○CK C○Tのセフ○リア・アー○スよ。彼女の剣そのまんま。でも刀身の根元は柄から真っ直ぐ。そこだけ違う。主に強度の問題でね。

特殊部隊をまとめる若きカリスマ。綺麗で有能なお姉さんは好きですか?もちろん大好きよ。

原作と違うのは、文字通りこちらは双剣ということかしら。

ちなみに付与されているのは、自動体力回復魔法(オートリジェネ)・切れ味強化・耐久力強化よ。

次に私は、マントから自分の剣を出す。

『魔剣・レクイエム』

特徴的な翼を模した小さな鍔と、根元から先端にかけて真っ直ぐに細くなっていく、三角形の特徴的な刃。刀身はクライストと同じく細身で60cm程。

そう、某反逆の悪逆皇帝が最終話で仮面の男に貫かれたあの剣よ。

装飾はあれほど派手じゃなく、鍔も小さいけど間違いなくあの剣を再現できたわ。

理由はもちろん、あの作品が好きだから。

付与したのは、自動体力回復魔法(オートリジェネ)・切れ味強化・耐久力強化・能力制限魔法(ステータスリミッター)

「ん?シルヴィアには正宗があるんじゃないか?」

「あんまり短刀から変化させたりしても眼につくから。余り使わなくて済むようによ。それに私・・・魔王が数回進化したりするの好きなのよね~」

「?・・・あぁ、ようやく倒したのに・・・ってことか?」

「正解♪」

能力制限魔法(ステータスリミッター)の効果、それは私の全力に対して力の何割かが制限される。

このレクイエムの場合、どんなに頑張っても全力の2割しか出せないようにしている。

何故そんな事をするかって?常に余力を保つためと・・・・・・相手をおちょくるためよ♪

神様から貰った妖刀正宗にも付与したわ。

正宗で8割、妖刀正宗で全力で戦えるわ。

短刀は戦うためのものではないから除外よ。

「さて、お城が消えたと街の人にばれる前にとっとと移動しましょうか」

ダイオラマ魔法球をリュックに仕舞うと、それごとマントに収納。

いつもの格好に、新たにレクイエムを差せば準備は完了。

「さて、次はどこに向かう?」

「ん~、正直どこでもいいかな~」

「何だ、適当だな」

「ふふっ、だって」

そこで言葉を区切ると、右手でエヴァの左手を掴む。

指先が愛おしげに指輪を撫でる。

「エヴァと一緒なら、どこに行っても楽しいもの。でしょ?」

「そ、そうだな///」

言いながら赤くなるエヴァを可愛いなぁと抱き締めつつ、2人はのんびり歩きはじめる。

ずっとずっと2人で、歩き続ける。 
 

 
後書き
お読みいただきありがとうございます。

新年初っ端から何をやっているんだというお叱りは最もですが、どうか心の内に押しまいくださいませm(_ _)m

思いついた時には手が動き、気づいたときには完成していた・・・あれ?

まぁ、そんな感じで、これからもシルヴィア様には好き放題やっていただきます。

さてさて、晴れて結ばれた2人はこれからどんな道を歩むのか・・・

それではまた次回。 
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