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南蛮黒船

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第四章

「折角来てくれたのに」
「凄い胸だったのに」
「その胸が間近で見られなくなんて」
「本当に残念よ」
「全くよね」
 女子達も男子達と変わらなかった、だが。
 理事長は校長に理事長室で話した。
「よかったな」
「はい、教義の成績が上がりました」
 校長は学業のことから話した。
「これまではです」
「シスターばかり見てだな」
「シスターの授業の平均点が低く」
 それでというのだ。
「問題でしたが」
「それがだな」
「はい、シスターを見なくなり」
 彼女がいなくなったから当然のことである。
「そしてです」
「そのうえでだな」
「その学生達が学業に励み」
 純粋にそうなってというのだ。
「それで、です」
「成績が上がったな」
「そうなりました」
「受験の科目ではないが」
 キリスト教の教義はとだ、理事長は述べた。
「しかしな」
「我が校はキリスト教の学校です」
「だからだ」
 どうしてもというのだ。
「そちらはな」
「学んでもらわないといけないです」
「だからな」
 それ故にというのだ。
「ちゃんとな」
「励んでもらいましょう」
「シスターを見ないでな、それでだが」
 理事長はあらためて言った。
「シスターのことだが」
「幼稚園に移られて」
「どうなっているか見に行くか」
「あちらではどうか」
「そうな」
「そうですね、シスターご自身もどうか」
 校長も応えた。
「そちらも問題ですからね」
「それならな」
 理事長は校長の言葉を受けて述べた。
「湯遅延に行ってみよう」
「わかりました」
 高等部の校長も頷いてだった。
 二人で幼稚園に赴いた、すると。
 ミカエラは子供達に優しく穏やかでかつ丁寧に接していた、その姿はまさにシスターに相応しいものだった。そして子供達も。
 彼女によく懐いていた、そして幼稚園の園長に話を聞いてもだった。
「とても真面目で良心的で」
「いい先生か」
「まさにです」
 初老の黒のショートヘアで二重の垂れ目の彼女は応えた。 
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