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おっちょこちょいのかよちゃん

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189 ダリアは裏切りの花

 
前書き
《前回》
 嘗て革命家として生きていた男・ナポレオンとの戦いに苦戦するかよ子達。大政の槍の能力で鋼でナポレオンの接近を妨害させるが、攻撃が効かず、劣勢が続く。ナポレオンの威圧の能力(ちから)で気絶させられたかよ子は大野によって何とか起こされ、杖を剣に変化させてナポレオンの持つ六つの機械のうち四つを破壊させる事に成功する。だがナポレオンは薔薇の花を利用して石松達に幻影を見させて混乱させたり、更には別の花を利用して石松達子分、椎名に関根、のり子達がかよ子を急に襲わせた!!かよ子達藤木救出班の一部に裏切り!? 

 
 石松達次郎長の子分、二人の警官、そしてまる子のかつての友達がかよ子の杖を奪い、殺そうとして来る。
「や、やめて!どうしたの、皆!?」
 かよ子には訳が分からない。なぜ急に襲い掛かるのか。のり子の人形がかよ子に念力を掛ける。しかし、それに対してかよ子は能力で防ぐ。椎名の水撃や関根の刀の攻撃、そして子分達の攻撃も何とか防ぎながらかよ子は逃げる。それだけではない。まだナポレオンの兵は残っている。
「これでは無勢すぎるぞ!」
「一体何が起こってるブー?」
「あやつの花だ!あれを壊せばよい!それに一時的に奴の機械は無力化されておる!」
「よし、行くよ!かよちゃん、待ってて!」
 まる子は炎の石の能力(ちから)を行使して火炎放射した。
「二度は喰らわねえよ!」
 ナポレオンは花を持ったまま攻撃を避けた。
「ちい!」
 大野の草の石や雷の石、ブー太郎の水の石もまた加勢に入る。しかし、ナポレオンの兵が防御して妨害する。
(これじゃあ、もう無理!)
 かよ子は絶体絶命と感じた。何しろ相手は同じ仲間が裏切り、さらにはナポレオンの兵もいる。いくら防御特化の武装の能力(ちから)があっても全ては防ぎきれない。
「もう劣勢だ。小娘のその杖を私に寄こせば命だけは助けてやる!」
「山田かよ子、口車に乗るな!」
 次郎長はかよ子を止めた。
「やむを得ん!」
 次郎長は羽根から降りる。
「石松、大政、小政、綱五郎、大五郎、お前ら目を覚ませ!!」
 次郎長は呼びかける。しかし、石松達は今度は次郎長に目を向けると、殺しに掛かる。
「親分だ、殺せ!」
「な!!」
 次郎長はもう手詰まりと感じた。ところがその時・・・。
「革命家であろう方が夫とは恥ずかしいわ!」
 別の女が現れていた。その女はナポレオンの仮面を被っている。
「お前は、ルイーザ!」
「そうよ、元バカ夫!念力でその花を壊すわ!」
 ルイーザと呼ばれた女は念力のようなものを発動した。しかし、何も起きない。
「どういう事?」
「機械の無力化の細工が切れたのだ!」
 次郎長はもう一度刀を振るう。そして機械が無力化される。
「ルイーザとやら!もう一度だ!」
「ええ!!」
 ルイーザが念力を発動した。花が粉々になった。
「なっ・・・!!」
 ナポレオンの持つ花が壊れた。
「・・・はっ、某達は一体!?」
 石松達は我に帰る。洗脳が解けたのである。
「お主ら!目が冷めたか!ナポレオンに洗脳されていたのだ!」
「何ですと!こやつ!!」
 石松達は自分達を洗脳された事に激怒した。大政が銅や鉄、金剛石の槍を自分の槍から無数に出現させた。そしてナポレオンの歩兵や騎兵を撃破した。そしてのり子の人形がナポレオンの機械を念力で破壊した。
「くう・・・!!」
 ナポレオンはこうなったら逃げるしかないと思い、逃走体制に入った。
「お、追いかけないと!」
 かよ子は羽根に戻り、ナポレオンを追いかけた。
「ナポレオン、絶対に逃さない!」
 かよ子は羽根でナポレオンを追いかける。かよ子は四つの力の石を借りて、杖で火炎放射したり、放電したり、茨の棘を噴射したり、激流を流した。しかし、それでもナポレオンに避けられる。だが、まる子の火炎放射がナポレオンの服にかかった。ナポレオンが慌てる。
「くそ!援護を!」
 ナポレオンは姿を消した。
「逃げた・・・」
 かよ子は留めを刺せなかった事を悔しがった。
「山田かよ子!」
「貴女達、運よく助かったわね」
 仮面を被った女性が仮面を外す。ルイーザの素顔は美しかった。
「貴女が杖の持ち主ね。私はルイーザ。あのバカ皇帝の妻よ」
「ナポレオンの奥さんなの!?」
「ええ、皇帝としての誇りばかり気にして領土を奪って殺戮を繰り返す外道だから今は愛想を尽かしたけどね。そうだ、さっきあのバカ夫が使っていた花はダリアよ」
「だりあ・・・?」
「ええ、ダリアには『裏切り』という意味があるのその花を使って貴女達の仲間は洗脳を受けて貴女を裏切る行動を起こしたの」
「我々がそんな事を!?親分、山田かよ子!申し訳ない!」
 石松達子分が土下座した。
「そ、そんな、土下座なんてしなくていいよ!ナポレオンの花が悪いんだから!」
 かよ子は謝罪する石松達にあたふたした。
「でも、ナポレオンが持ってる花は壊してもまた新しいのを持って来る筈よ」
「まだ花があるの!?」
「あのバカ夫の味方としてジョゼフィーヌという元妻がいるの。その人がバラやダリアを栽培しているのよ」
「そうなんだ、ナポレオンやその奥さんを倒したいけど、今私達は藤木君を取り返しに行かなきゃ行けないんだ」
「ああ、一人の男の子を取り返す為に貴女達は動いているってフローレンスとイマヌエルから聞いているわ。私があのバカ夫を追いかけるから貴女達は目的を達成させなさい。頑張ってね」
「うん、ありがとう!」
 かよ子達はルイーザと別れ、先に進んだ。

 ナポレオンは己の屋敷に戻る。
「お帰りなさい、貴方」
 一人の可憐な女性が出迎えた。
「只今、ジョゼフィーヌ」
「疲れているみたいね」
「ああ、後妻のマリア・ルイーザの邪魔で杖を盗り損ねたんだ」
「まあ、あの人が・・・!」
「愛しきジョゼフィーヌよ、薔薇とダリアの花はまだあるか?」
「ええ、今沢山栽培中ですわ」
 ナポレオンは花園を確認する。そこには大量の薔薇とダリアが咲いていた。

 藤木救出班は先に進む。
「ダリアは裏切りの花・・・」
 かよ子は思う。この世界に来てから幾度も見る夢の中でのレーニンの声からもしかしてと思う。
(もしかして杉山君、私達を裏切って・・・)
 かよ子は好きな男子の事についてそれ以上は考えたくなかった。そしてもう一つ。自分達が捜している藤木茂についてもレーニンは仮に会えたとしても追い返されるだけとも言及していた。
(もしかしたら藤木君も帰りたくないって私達を追い返す・・・?)
 かよ子はふとそんな懸念をするのだった。
「ももこちゃん」
 のり子がまる子に聞く。
「のりちゃん・・・?」
「ごめん、私、バカな事して・・・」
「いいよお~、あの花のせいなんだからさあ~」
「でも私、今まで友達が別の友達と遊ぶと裏切られたような気持ちがしてて・・・、でも、私は皆で一緒にいるのは本当の裏切りじゃないって解ったの。ももこちゃんもあの時、幼稚園の友達を紹介してくれた時も三人で一緒に遊びたいって考えてたんでしょ?あの時、ごめんね・・・!!」
 のり子はいつの間にか泣いていた。
「い、いいよ、もう、そうだ、今度また遊ぼうよ」
「いいの?」
「うん、今学校でたまちゃんって友達がいるんだ。いつか三人で遊ぼうよ!」
「うん、ありがとう」
 まる子とのり子はそんな会話をしていた。
「まる子・・・、よかったのお・・・!!」
 友蔵は感動の涙を流した。そしてかよ子はある事を相談する。
「もしかして藤木君は戻りたくないって言うのかな・・・?」
「何言ってんだ、それでも連れ帰すさ」
「そうだなブー!今やってる事が卑怯だって教えなきゃダメだブー!」
「うん、そうだよね」
 かよ子は大野とブー太郎の言葉に少し励まされる感じがしたのだった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「胸騒ぎの鎮静」
 西側の領土を平和を正義とする世界のものに戻す為に動いているすみ子達組織「義元」だったが、すみ子の胸騒ぎは悪化していく一方だった。ジャンヌの提案で休息をし、エレーヌの能力ですみ子の胸騒ぎを取り除こうとするのだが、その場に・・・!? 
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