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私はいじわる 小悪魔が住みついた

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2-⑸

 夏休みになって、昨日、グループの女の子で集まって、図書館で宿題をしたんだけど、なんだか鈴花ちゃんがすごくって、問題見ただけで、スラスラ書き込んで行って、みんなにも、考え込んでいると教えたりして、算数の宿題なんて、半分くらい終えてしまったのだ。

 お昼ご飯に、お母さんがおにぎりと肉じゃがを用意しておいてくれた。先月から、お母さんは近所のリネン工場にパートで働きに出だしていたのだ。だから、お兄ちゃんと二人で食べた後

「もうすぐ、(みどり)が来るんだ。一緒に宿題するんだ」と、お兄ちゃんが言ってきた。割と、いきなりだった。

 翠ちゃんは、昂君のお姉ちゃんで、家が近所だから、二人は昔から一緒に遊んでいて、中学に入っても、仲が良いのだ。だけど、その弟と妹のはずなんだけど、私達は・・。

「あぁ 昂ちゃんも一緒なのかー まぁ あがって」と、お兄ちゃんの声が聞こえた時、私・・「えー 何でー」と、咄嗟に、何でかトイレに隠れた。

 ダイニングに通したみたいで、お兄ちゃんは、私を呼んでいるみたいだった。仕方ないので、出てくと

「あぁ オシッコしていたのか 昂ちゃんも来ているから、真珠達も、一緒に宿題やったら?」

 そんな大きい声で言わなくても良いじゃない・・それに、私は、あいつに会いたくないんだから・・

「真珠ちゃん それがいいよ 一緒にやれば、見てあげられるかもしれないし」と、翠ちゃんが声を掛けて来た。私は、翠ちゃんは、いつも優しくしてくれるので慕っていたのだ。

「うん じゃぁ 宿題持って来るね」と、言ったが、あいつとは目を合わさないようにしていた。

 いざ、始めようとした時

「やっぱり、狭いなー 翠ちゃん 僕の部屋に行こう 真珠達は、ここでやれよ」と、言いだして、翠ちゃんを促した。

「みどりちやん 行くのー」と、すがるように訴えたが

「うん 狭いしねー あんた達、同級生なんだから、仲良くやんなさいよ」と、行ってしまった。

 その後、私達は、黙り込んだまま、自分の分をやっていたが、しばらくして、私は、我慢できず

「なんで きたのよ」と、ポツンと言ったら

「お姉 を守る役目あるからな」

「守るって 何よ なんか、危険だって言うの!」

「うん 一応な 慎ちゃんは 変なことしないと思うけど 男だから、万一があるから」

「あのねー お兄ちゃんは、そんなことしないわよ あんたと違うわよ」

「そんなことって どんなことだよ へぇー どんなことかなー トマトパンツ」

「うぅー ・・・」

「へんなこと 考えてるの お前のほうじゃないの」
 
 私の中の小悪魔が『泣け 泣け いいつけてやれ』って声がして

「違うわよ この・・バカ昂」と、もう我慢できなかった。お兄ちゃんの部屋に

「みどり ちゃーん 昂君がねー 昂君がー」と、言って部屋を開けたが・・お兄ちゃんと翠ちゃんは寄り添って仲良く、宿題していたみたい。

「どうしたの 真珠ちゃん 昂がなんかしたの―?」

「うっ うぅーん なんにもしてないんだけどね だけど・・」すこし、泣いていた。

「昂 ちょっと、来なさい どうして、真珠ちゃんを泣かすようなことするの 仲良くしなさいって、言って居るでしょ」と、昂君を責めていた。昂君は、黙ったまま、横を向いていた。

「ごめんね 本当は、昂は優しいんだよ お風呂入ってる時も、一緒に洗いっこしてくれてね 私の髪の毛も手伝って洗ってくれるんだよ」

「えぇ― みどりちゃんとお風呂 入っているの― 一緒に― まだー」と、思わず言ってしまった。

「そうだよ 私等 小さい頃から ずーとだよ でも、最近は、別々だけどね」

「ふーん 昂君がねー まだ、ガキみたいなんだー」

 その時、昂君が私の手を引っ張っていって、ダイニングのほうに戻ってきたのだ。

「あのさー お前 内緒だぞ みんなに言うなよ」

「なんのことかなー お風呂のことかなー ふぅーん お姉ちゃんとねー それなのに、お前ってね 言い方考えなきゃね」

「わかった 真珠様 で いいか」

「馬鹿にしてるんやろー 普通に、真珠って呼んでよー」

「ウン わかった」

「あとね パンツのことも忘れて! どうせ、みどりちゃんの見慣れているんでしょ」

「だけどな なんか、お前のって可愛くってな―」

「あのさー・・ だから、お前って言い方・・」私は、顔が紅くなっていたと思う。そんな言い方、急に恥ずかしくなっていたのだ。

「だからってさー 女の子の、からかうなんて 最低だよー ウチだって、そんなの言われると、恥ずかしいんだから」

「そうか すまん」と、昂君はズボンをいきなり下げて

「俺のパンツも 見ろよ おあいこだろー トマトの絵ないけどな」

「わぁー なんなのー いいよ そんなこと・・」私、もう、頭ン中メチャメチャだった。それに、ドキドキも止まらなかった。別に、お兄ちゃんのと変わんないんだけど・・。

「俺んとこさー 親が二人共働いているだろー いつも、帰り遅くてな だから、淋しくてなー 小さい頃から、お姉ちゃんが優しくしてくれて、一緒に風呂入ってくれて来たんだー」と、しみじみと昂君は話してくれた。

「そうなんだー 淋しかったんだねー 昂君」と、同情しかけたとき

「ウソに決まってんじゃん バーカ 単純」

 私は、「このー」って思ってたら『泣き倒して 責めて見ろ』って小悪魔が・・。私は、顔を両手で塞いで泣いていった。

「ウー 昂君 ひどーい」と、泣いた振りかもしれなかった。ずーと続けて、昂君が声を掛けて来るのを待っていたのだ。

 しばらくしたら、昂君が私の両手をバイザイの形にしてきて、私の上に被さってきた。なによー、この形・・

「ごめん もう 泣いた振り止めろよ」

 わかってたんだ、コイツ 私は、そのままの恰好で、泣きやんだんだけど・・

「真珠のこと 好きだよ だから・・」と、顔を真上に近づけて・・そして、直ぐに離れていった。

 私は、頭 真っ白になって エェー 何 今の・・ 何て言った? ・・・??? 私、しばらく、そのままの恰好で動けなかった。

 昂君は、もう、普通に問題集に取り掛かっていた。私は、何よー と、思ったが、そのまま、私も問題集に取り掛かったが、考えてしまって、全然頭に入ってこないぃ・・。何なんだコイツは・・。又、からかわれたのか・・それとも・・ずるい・・。又、やりこめられてしまった。

 ふたりが帰るよってなった時、私は、昂君に

「昂さっきのって・・」って、聞いたんだけど、知らんぷりされた。「クソー」・・

「真珠ちゃん 明日も、来るね よろしくー わかった? 昂」と翠ちゃんが言って居たけど

「俺 明日は 蘭ちゃんに呼ばれているから・・」と、昂君は返事していたけど、私は、

「嫌」と、咄嗟に、声を出したつもりだったけど、声が小さかったかもしれない。だけど、昂君は私の顔をみつめていて、そのまま何にも言わないで帰って行った。
  


 

 
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