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ドリトル先生とめでたい幽霊

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第一幕その十

「この人もね」
「確か大阪生まれですね」
「そうなんだ、大阪の雰囲気のない人だけれど」
 作品にはというのです。
「けれどね」
「あの人もですね」
「大阪生まれだよ」
「そうなんですね」
「案外大阪出身の作家さんも多いよ」
「お笑いだけじゃないですね」
「そうだよ、大阪は奥が深いんだ」
 先生は大根と若布を食べながら答えました。
「だから文学もね」
「豊かなんですね」
「そうなんだ、だからね」
「先生もですね」
「織田作之助さんを学んでいるんだ」
 今そうしているというのです。
「そしてね」
「論文を書かれていますね」
「そうだよ、全集も読んでいるよ」
「織田作之助さんの」
「そうしているよ」
「全集もあるんですね」
「そうなんだ」 
 トミーにこうお話しました。
「だから研究しやすい方の作家さんだよ」
「研究しやすいですか」
「まだね、これがね」
 難しいお顔になって言うのでした。
「そうでない人もいて」
「それで、ですか」
「その人を研究しようと思うと」
「資料が集まりにくくて」
「苦労するんだ」
「そうなんですね」
「人によってはね、日本文学で調べやすい人は」 
 その人はといいますと。
「近代だと夏目漱石なんかね」
「あの人は日本を代表する文豪ですし」
「調べやすいよ、そして芥川龍之介や太宰治なんかね」
 こうした人達もというのです。
「かなりね」
「調べやすいんですね」
「そして織田作之助もね」
「調べやすい方ですね」
「うん、じゃあ全集や論文も読んで」 
 織田作之助のそれもというのです。
「そしてね」
「そのうえで、ですね」
「大阪にも行くよ」
「そうされますか」
「暫くそうするよ」
 笑顔で言ってでした。
 先生は織田作之助についての論文を書きはじめました、そしてこれは先生の新たな出会いのきっかけになるのでした。 
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