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星河の覇皇

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第七十九部第五章 勝利の予感その二十三

「それならね」
「エウロパもですね」
「強くなろうとも」
 成長、それをしようともというのだ。
「それでもね」
「最早ですね」
「大きくなることは出来ても」
「我々がより大きくなり」
「見てもいるし」
 即ちエウロパをだ。
「分裂するまでまとまりが悪くないから」
「だからこそですね」
「彼等はもうね」
 夢、それはというのだ。
「見られないわ」
「そうなりますね」
「ええ、彼等はずっとね」
「人類の盟主になれず」
「そうしてね」
「我々の後塵を期していきますね」
「そうなるわ、ただそれはね」
 エウロパに夢は見させない、その為にはというのだ。
「我々が常によ」
「成長してこそですね」
「そうよ、そうしてこそよ」
「そのことからも我々は眠ってはいけないのですね」
「眠ってもいいわ、けれどね」
「回遊魚の様にですね」
「ええ、眠ってもね」
 先程自分が言った様にとだ、伊東は小柳に話した。
「常によ」
「動いていることですね」
「そうしないといけないわ」
「そうした意味で眠ってはならない」
「今の人類の社会のままよ」
 伊東はこうも言った。
「夜も動いているわね」
「はい、確かに」
 小柳も伊東のその言葉に頷いた。
「今の人間社会は」
「コンビニに行けばそうね」
「ごく普通に営業していますし」
「そうよ、そうしたものを見てもわかるわね」
「今の人間社会、特に連合はですね」
「休むことはないのよ」
「そして休んではならない」
 伊東のその言葉をあらためてだった、小柳も述べた。
「左様ですね」
「そういうことよ、若し動かずに眠れば」
「植民地時代の再来ですね」
「そうなるわ、結局資本主義社会はアリスなのよ」
 この風刺童話の一場面だというのだ。
「常に動いていないといけないのよ」
「それも全速力で」
「そうしていないとね」
「ならない社会ですね」
「そういうことよ、ではね」
「我々もですね」
「その様にしていくわ」
 日本もまた、というのだ。
「このままね」
「それでは」
「この政策を実行に移すわ。人間は休まないといけない時もあるわ」
 さもないと身体が壊れてしまう、人間の身体に休息特に睡眠が必要なことは言うまでもないことである。
 しかしだ、社会はというのだ。
「けれど人間社会は違うわ」
「社会は生物の如きですが」
「それでも生物ではないわ」
「だから休息の必要はありませんね」
「そうよ、動かす人間が休めばいいのよ」
 交代してというのだ。
「それでいいのよ、ではね」
「はい、日本は休まず止まらず」
「やっていくわ」
 政治も経済もというのだ、こう言ってだった。 
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