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東方絆日録 ~ Bonds of Permanent.

作者:福岡市民
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待ち受ける者たち(大空翔、小泉純一)
  翔:天翔る郵便屋

ある日のこと。日本晴れの空を駆け回る一人の少年がいた。
大空翔《おおぞら‐かける》ーーーそれが彼の名前だ。この幻想郷で郵便配達員をしている。


翔「うう…。冬は寒《さみ》いから嫌なんだよな」


青い髪に青い服。空の青と相まって見事に同化している翔を地上から見つけだすのはなかなか困難だろう。
そのとき、翔は何かこちらに向かって飛んでくるのに気がついた。


?「誰かと思えば翔じゃないか。仕事中か?」


その正体は霧雨魔理沙《きりさめ‐まりさ》という魔法使いの少女だった。彼女は翔の友人で、魔法の研究や何でも屋、異変解決を生業としている。

翔は肩から下げた「〒」の赤いマークが入った白いポシェットからいくつかの葉書や封筒を取り出して魔理沙に渡し、これで終わりだと言った。


魔理沙「そうか、そしたら私の家に来いよ。面白い話しを聞かせてやるぜ?」


翔はこのあと特に用事もなかったので魔理沙の家へ行くことにした。



ーー
ーーー


魔理沙の家は「魔法の森」と呼ばれる森の中にあった。
魔法の森は鬱蒼と生える草木が陰鬱で不気味な雰囲気を醸しているだけでなく、あちこちに群生するキノコの胞子が人体に影響を及ぼすこともあって普通の人間はまず立ち入ることはない。

上記の理由から居住者も少なく、魔理沙の他には森の入口で道具屋を営む半人半妖の青年、森近霖之助《もりちか‐りんのすけ》が、そして森の中に人形遣い兼魔法使いのアリス・マーガトロイドが住んでいるのみである。


魔理沙「今朝な、久しぶりに外界人と会ったんだ!」


魔理沙は、まるで昆虫採集をしている最中に大きなカブトムシを目の当たりにした少年のように目を輝かせていた。

それによると今朝、外界から迷いこんだ西村早苗《にしむら‐さなえ》という少女が魔理沙の家を訪ねてきたらしい。
事情を訊いた魔理沙は彼女を妖怪の山にある守矢神社《もりやじんじゃ》に連れて行き、同じく外界の出身で守矢神社の巫女をしている東風谷早苗《こちや‐さなえ》らに事情を話して(西)の面倒を見てもらうよう依頼してきたのだという。


翔「そんなことがあったのか。号外が楽しみだな」

魔理沙「それがな、あのブン屋はまだ気づいていないらしいんだ。あいつにしては珍しい話しだぜ」


幻想郷唯一の新聞社である天狗新聞社はその名の通り、経営陣を含めた全社員が「天狗」と呼ばれる種族で構成されている。
この新聞社では一人でも多くの読者を獲得するため、新聞記者各自が自由に新聞を発行できる制度を採用していた。

各記者が競って様々な新聞を発行しているが、特に鴉天狗の射命丸文《しゃめいまる‐あや》が発行する「文々。新聞(ぶんぶんまる‐しんぶん)」は素早い情報化(異変が起こった10分後にはもう号外が発行されるほど)や記事の正確性(誤報もたまにあるが)といった理由から多くの住人に親しまれている。
翔の言う『号外』とはこの文々。新聞の号外を、魔理沙の言う『あのブン(あいつ)』とは文を指している。


翔「文ちゃんも色々と忙しいんだろうよ、この俺と同じようにね…。ところで俺は明後日が休みでな。その早苗さんとやらに会いに行こうと思っているが、どうだ?魔理沙も来るか?」

魔理沙「是非ともお供させて頂きたく存じます、だぜ!」

翔「分かった。そしたら明後日は10時に迎えに行くから家で待機しておけよ?」


二人はそれからとりとめもない話しをして過ごした。



ーー
ーーー


何気なく翔が壁に掛かった時計を見ると時刻は17時を回っていた。


翔「おお、もうこんな時間か…。それじゃあ俺は明日の準備もあるし帰るわ。明後日はよろしくな」

魔理沙「よければ送るぜ?」

翔「いいよいいよ、魔理沙のようなか弱いレディがもし夜道で襲われでもしたら大変だろ?それに俺は韋駄天《いだてん》だから夜だろうがなんだろうが平気さ」


よく言うぜ、と魔理沙が苦笑した。このような翔の自意識過剰ともみてとれる言動を魔理沙は気に入っていた。


魔理沙「そうか、気をつけて帰れよ」

翔「ああ、百も承知のうえだ。……それじゃ、アディオス!」


翔はジャンプした後、まるで空に道が浮かんでいるかのように空を駆けていった。


翔(西村早苗…どんな人物だろうか?明後日が今から楽しみだぜ!)



     
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