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星河の覇皇

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第七十九部第五章 勝利の予感その十九

 だが、だ。それでもというのだ。
「けれどね」
「それ以上に有効な手段は、ですね」
「我々が強くなることですね」
「成長することですね」
「ライバルが出たらどうするか」
 その場合についてもだ、伊東は述べた。
「スポーツ漫画ではよくあるわね」
「はい、自分は負けない様に努力しますね」
「スポーツ展開の常ですね」
「よく友情、努力、勝利といいますが」
「まずは努力ですね」
「そこからはじまりますね」
「そうよ、まずはね」
 何といってもというのだ。
「自分達がどうかよ」
「敵が強くなるならどうするか」
「第一は自分達が負けないこと」
「全てはそこからですね」
「そこから努力することですね」
「そうよ、努力してね」
 そのうえでというのだ。
「成長してね」
「そうしてですね」
「敵に追い付かせない」
「そうすることですね」
「ええ、まずエウロパは我々の六百分の一よ」 
 その国力差にも言及した。
「その彼等が年に十パーセント近く成長してもね」
「まだまだですね」
「我々には及ばないですね」
「人口も資源も」
「まだまだですね」
「そうよ、彼等が二十パーセント成長しても」
 それでもというのだ。
「我々が十パーセント成長すればね」
「その時点で凌駕していますね」
「遥かに」
「それだけで」
「足元にも及ばせていないですね」
「そういうことよ、我々はこれまでもだったけれど」
 それでもというのだ。
「今はね」
「これまで以上にですね」
「成長を止められなくなりましたね」
「常に発展していかねばならない」
「減速は許されないですね」
「連合は言うならば回遊魚は」
 伊東はこうも言った。
「眠っても動いていないといけないわ」
「昼も夜も泳ぎ続ける」
「そうして発展し続けないといけないですね」
「それが今の我々ですね」
「そうよ、不思議の国のアリスか鏡の国のアリスか」
 どちらもルイス=キャロルが書いた童話だ、尚ルイス=キャロルの本業は数学者でオックスフォードで教えていた。
「どちらかであったわね」
「あの常に走っていけないとならない場所ですね」
 東がすぐに応えた。
「そうでしたね」
「ええ、あの場所のお話よ」
「当時のイギリスの資本主義社会を風刺したと言われていますが」
「結局資本主義はね」
「あの場面と同じですね」
「そうよ、常にね」
 まさにというのだ。
「走っていないといけなくてね」
「回遊魚の様にですね」
「泳いでいけないといけなくて」
 それでというのだ。
「成長し続けないといけないのよ」
「休む間もなく」
「そうした国よ。そして大きくなり続けて」
 そうしてというのだ。 
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