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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第47話

 
前書き
漫画版超の界王神だけど…もしかして本当にビルスとの命のリンクの件をご存知ないのだろうか? 

 
悟飯とトランクスがセルを倒してから数年が経ち、2人は修行をしながらも穏やかな生活を送っていた。

悟飯は長年離れていた母のチチがいるパオズ山に妻子を連れていき、チチは義娘のビーデルと孫のパンとの触れ合いで元気を取り戻し、悟飯は過去から持ち帰ってきた野菜の種などを使って、農作業に打ち込んでいた。

元々体を動かすことも好きだった悟飯は農作業にハマっていき、少しずつ畑の規模を広げていった。

そしてトランクスも母親であるブルマと暮らしながら、幼なじみのような存在のマイと趣味の機械弄りをしながら街の見回りをしていた。

人造人間のようなことは今のところ起こってはいないが、生真面目な性格のトランクスは念のために見回りを続けていた。

2人はそれぞれの生活を送りながらもしっかりと修行は継続していた。

特に悟飯は修行をしなかった結果が仲間をほとんど失うという悲惨なことになってしまったので、二度と同じ過ちは犯さないために農作業の合間の修行は欠かさなかった。

「トランクス!今日も厳しめで行くぞ!!」

「はい!お願いします!!」

悟飯が超サイヤ人2に変身するとトランクスも超サイヤ人2へと変身する。

セルを倒してからも修行を怠らなかった2人の実力はセルゲーム時の過去の双子の戦闘力を大きく超えていた。

人造人間がいなくなってから悟飯もトランクスも本気で修行に打ち込めるようになった。

昔は人造人間に気付かれないように出来るだけ人里から離れた場所を修行場所にしていたのだが、どんなに離れていても気付かれないとは限らない。

特に人造人間は気がないので周囲に気を配りながらなので、どうしても本気の修行が出来ずに2人は少しずつしか戦闘力を上げられなかったが、今は違う。

人造人間がいなくなった今は比較的に安心して修行に打ち込めるようになって2人は今までの伸び悩みを解消するかのように戦闘力を伸ばしていった。

そんな超サイヤ人2同士の修行を離れて見ていた2人の人物がいた。

「あの2人が孫悟飯さんとトランクスさんで間違いないようですね。噂通り、2人共素晴らしい魂をお持ちだ」

「信じられませんな…下界の人間がこれ程までのとてつもないパワーを…」

「ええ、2人共想像以上の素晴らしいパワーですよ。これなら復活を阻止出来るかもしれません」

小柄な少年と大柄の男が2人の修行が終わるまで動かずに待っていた。

そして激しくぶつかり合っていた2人は最後に互いの拳をぶつけ合うと、周囲が衝撃によって吹き飛ぶ。

「よし、トランクス。今日はここまでにしよう」

「はい、ありがとうございました」

超化を解いた悟飯が修行の終わりを告げると何処からか拍手が聞こえた。

拍手が聞こえた方向からはまるで気を感じられなかった。

「(まさか、人造人間が残っているのか!?)」

悟飯とトランクスがすぐに超サイヤ人2に再び変身して振り返ると、そこには地球人とは思えない人物が2人。

気を感じられないため、人造人間の生き残りだと思った2人は更に気を解放する。

圧倒的な戦闘力を誇る超サイヤ人2の2人の敵意をまともに浴びている少年と男が一筋の汗を流す。

「お待ち下さい、我々はあなた方と争うつもりはありません」

「拳を収めろ、このお方は界王神様だ」

「界王…神…?」

幼い頃に聞いた“界王”と言う単語に反応した悟飯が拳を下ろした。

「悟飯さん?」

「トランクス、この人は恐らく神様…界王様の関係者だ」

幼い頃、父親の悟空が存命中だった時に界王の話を聞いたことがある。

“界王神”と名乗ることから界王の関係者なのだろうと悟飯は判断したのだ。

「界王神様は界王よりも上の大界王よりも更に上の神。本来ならお前達下界の人間が界王神様の姿を見ることなど有り得ぬことなのだぞ」

悟飯の推測通り、界王神は界王、その上に立つ大界王の更に上の高位の神なのだと言う。

「そうでしたか、すみません。気を感じられなかったので…」

気を感じられなかったので、人造人間と早合点して闘おうとしたことを悟飯が謝罪すると界王神は気にしていないと言うかのように首を振った。

「大丈夫です。あなた方の事情は私とキビトも理解しています。人造人間のせいであなた方は大変な苦労を強いられていたのでしょう?私達の気は少々特殊でして、人間には感知することが出来ないのです。」

「界王神様は高位の神である故にその気は人間では感知出来ぬ程にクリアなのだ。」

「……あの、界王神様…何故この地球に?」

地球の神様以外の神様と初めて会うトランクスは何故それほどの存在がこの地球に現れたのかを尋ねた。

「ええ、あなた方に協力を頼みたかったのです。この地球…いえ、宇宙全体を巻き込む危機を食い止めるために…魔導士バビディがかつてこの地球に封印された魔人を復活させようとしているのです。」

「魔人…?」

悟飯の疑問にキビトが答える。

「その昔、この地上にバビディの父親であるビビディが魔人を作った。だがその魔人の驚異的な力を操る事が出来ず、ビビディは魔人を封印した…それを息子バビディが今再び封印を解こうとしているのだ」

「封印を解くとどうなるんですか…?」

キビトの話にトランクスは息を飲む。

「…封印が解けると魔人は目を覚まし再び暴れだすだろう…そうなるとこの地球は滅びる他ない」

「「そ、そんな…」」

ようやく人造人間の恐怖から解放されたと言うのに、また新たな脅威が現れようとしていることに悟飯とトランクスの表情も険しくなる。

「魔人ブウの復活を止めるにはバビディを復活前に倒す必要があります。しかし、バビディは厄介な魔術を使うのです」

「魔術ですか?」

「バビディは相手の邪心につけこみ、操ることが出来るのだ。他にも強力な魔術をいくつか使える。魔術に関しては何とか対抗出来るが、奴が洗脳した人間に厄介な存在がいる可能性がある。だから邪心を持たず、そして強力なパワーを持った者でなければ闘えないのだ。」

「なるほど、俺達に接触してきたのはそういうことなんですね?」

「ええ、宇宙の平和のためにあなた方の力を貸してください」

界王神がそう言うが、既に2人の意志は決まっていた。

「勿論です、ようやく取り戻した平和をそんな奴らに奪われてたまるか…!」

悟飯がそう言うと界王神が安堵する。

するとキビトが険しい表情を浮かべた。

「どうやら動き始めたようです」

「とうとう動きだしましたか、行きましょう!」

4人はバビディの元へと飛び立った。

向かった場所は人気のない荒野で、人造人間に荒らされた痕跡が目立つ場所だった。

「こんな場所にバビディのアジトがあったのか、良く人造人間に見つからなかったな…」

「恐らく、宇宙船を地中に隠していたのだ。」

「そうか、人造人間は気を感じられないからバビディの宇宙船に気付かなかったのか…」

「バビディは恐らく魔術で宇宙の各地を巡ってエネルギーを回収していたのでしょう。だから我々も気付くのが遅れてしまった…」

「っ…!宇宙船から誰かが出てきましたよ」

宇宙船の入り口が開いて出てきた人物は見張りをしていた人物と入れ替わるように宇宙船の前に立つ。

その人物の姿に界王神とキビトが目を見開く。

「何故、ダーブラが…」

「「ダーブラ?」」

「奴は暗黒魔界の王・ダーブラだ。この世界ではお前達が最も強いのかもしれんが、暗黒魔界での最強は間違いなく奴だろう。」

「…どうやらダーブラはバビディの魔術の影響下にあるようですね」

ダーブラの額の模様を見ていた界王神が呟くと悟飯とトランクスがダーブラを見る。

「バビディとは暗黒魔界って言う世界の最強の戦士さえ操れてしまうんですね」

「はい、邪心さえあれば相手の強さに関わらず洗脳出来てしまうのがバビディの厄介なところです。ですが何としてでも魔人の復活を止めなければ…皆さん…厳しい戦いになるかも知れませんが私達の力になってくれませんか?」

「勿論です。あんな奴らを地球に野放しに出来ません…なあ、トランクス」

「はい」

悟飯とトランクスの返答に界王神が微笑むと再び厳しい顔に戻った。

「恐らく魔人ブウの復活は宇宙船を壊されないように外でするはずです。その時を狙いましょう」

バビディさえ倒すことさえ出来ればバビディの洗脳も解けるはず、魔人を解き放つ時が一番隙が出来るはずだ。

しかし、気を消しているにも関わらずダーブラの視線がこちらに向けられ、冷たい笑みを浮かべた。

次の瞬間にダーブラは一瞬で距離を詰めてキビトに手のひらを向けていた。

「させるか!」

悟飯はダーブラの手を蹴り上げ、ダーブラの気功波は上空に発射された。

「余計な真似を!」

忌々しそうに悟飯を睨むとダーブラは深く息を吸い込んだ。

「悟飯さん、奴の唾に気をつけて下さい!石化してしまいます!」

しかし界王神の助言が間に合わず、ダーブラの吐いた唾は悟飯に迫る。

「悟飯さん!」

咄嗟にトランクスが剣を投げて剣で唾を受け止めると石化してしまう。

「すまないトランクス!はああっ!!」

自分のせいで剣を失わせてしまったトランクスに謝罪しながら悟飯は超サイヤ人に変身してそのままダーブラを蹴り飛ばして地面に叩き付けた。

ダーブラは怒りに表情を歪ませながら宇宙船に戻っていった。

「宇宙船に逃げられましたね」

「すまん、助かった」

命の危機を救われたキビトは悟飯に礼を言う。

「どうします?追いかけますか?」

「しかし、あの宇宙船はバビディの物…どのような罠が仕掛けられているか…」

悟飯の問いに対して界王神の表情は優れない。

魔人ブウの復活は何としてでも阻止したいが、バビディの悪名を考えると侵入者用の罠があるのではないかと思ってしまう。

「…界王神様、バビディの魔術は何とか出来そうですか?」

不意の悟飯からの問いに驚きながらも界王神は頷く。

界王神は界王よりも高位の神であり、その神通力の力も界王とは比較にならない程に強力なのだ。

キビトと協力すればより確実にバビディの魔術に対抗出来る自信が界王神にはあった。

「ならば、バビディの罠と魔術に関しては界王神様達に任せても良いですか?俺達はダーブラと他の奴らを倒します」

「ダーブラを倒すだと?奴は暗黒魔界の王だ。下界の人間では…」

「…確かにダーブラは強いです。数年前なら確実に苦戦したでしょう。でも今の俺とトランクスなら話は別です」

「…ダーブラに勝てると?」

「はい、あれが本気でなかったとしても、唾にさえ気を付ければフルパワーの超サイヤ人2なら1対1でも確実に倒せます。俺と悟飯さんの2人がかりなら簡単に倒せるはず」

ダーブラの強さは過去の世界で闘ったセルと同レベルと判断したトランクス。

セルと同レベルの強さなら今の自分と悟飯が超サイヤ人2に変身することで対処出来る。

「分かりました…行きましょう!」

その言葉を信じて界王神達は宇宙船に侵入し、飛び込んだ先には広いフロアが広がる。

「遅かったな…待ちくたびれたぞ…」

そこに立つ1人の男。

先程、ダーブラと入れ替わる前に宇宙船の入口に立っていた男だ。

「バビディ様は一番下のフロアにおられる…だが、残念だが会う事はないだろう…」

ニヤリと笑う男は続けて告げる。

「この宇宙船は特殊でな…ダメージを受けるとそのダメージが吸収されて魔人ブウ様に直接行くんだ…」

「…なら、ダメージを受けなければエネルギーは送られないと言うことだな?」

「そういうことだ。だが、そんなことは不可能だがな」

トランクスの問いに答える男は不敵な笑みを浮かべる。

「ここは俺に…あいつなら俺1人でも倒せます」

「…トランクスさん…今の男の話を聞いてなかったのですか?」

「聞いていました。ダメージを受けなければ良いんでしょう?悟飯さんはダーブラとの闘いのために体力を温存して下さい」

この時代に戻って人造人間を倒してからも決して修行を休む事がなかったトランクス。

過去での自分の非力さを感じ、少しでも過去の双子に近づきたいと修行を続けていたのだ。

トランクスの努力は確実に実を結んでいた。

実際、未来に戻ってきてから悟飯との修行で飛躍的に成長を遂げていたのだから。

「悟飯さん、止めないのですか?」

「大丈夫です。トランクスならあれくらい変身しなくても倒せます」

そして始まる闘い、相手はトランクスを見くびっていたようで大振りの蹴りを繰り出すが、それを掴み止めると腹に強烈な拳による一撃を叩き込んで吹き飛ばし、壁に叩き付けた。

床に落ちて体勢を立て直してトランクスを睨もうとしたが、そこにはトランクスはいない。

「ここだ」

背後から聞こえた声に振り返ろうとするが、横っ面にトランクスの肘打ちが入り、怯んだところに連続攻撃を叩き込む。

トランクスの猛攻に驚く界王神とキビト。

まさかここまでとは思わなかったのだろう。

すると突如場所が変化して体に強い重力がかかる。

男はトランクスから距離を取ると笑った。

「あははは!!残念だったな!ここの重力は地球の10倍はあるぞ!地球人のお前には辛いだろ?ここで育った俺には心地よい重力だ!!」

高らかに笑う男だが、トランクスは顔色一つ変えずに男を見つめる。

「…だからどうした?地球の10倍の重力くらい俺には何も感じない。それよりももっと過酷な環境で修行したからな」

精神と時の部屋。

10倍の重力なのは同じだが、気温は50度からマイナス40度まで変化し、空気は地上の4分の1の真っ白な世界。

急激な気温変化は常に体を気で防御しなければ命に関わり、何もない真っ白な世界は気が狂いそうになるほどに過酷な環境であった。

おまけにトランクスは精神と時の部屋での修行を終えてから過去の自宅の重力室を使ったこともあり、今更10倍重力でどうにかなるわけがない。

「う、嘘だっ!ハッタリなのは分かっているぞ!」

「ならお前自身で確かめると良い」

10倍の重力の影響がないかのように距離を詰め、トランクスは男の眼前に手のひらを翳して気功波を放って消し飛ばした。

「やったなトランクス!」

「ええ、大したことのない相手で良かったです」

「信じられませんな…下界の人間がここまでとは…」

「本当に…我々が下界の人間の力に狼狽えるなんて…ですが、頼もしいですよ。」

「…ええ、そうですな」

界王神の言葉にキビトも同意する。

ここまでの力を見せられたらいくら頑固者のキビトでも2人の力を認めざるを得ない。

そして地下へと続く扉が開かれた。

「どうやら奴を倒したことで下に行けるようになったようですね。行きましょう」

「待て」

降りようとするトランクスをキビトが呼び止めるとキビトは魔法で新たな剣を創り出した。

「これは…」

「お前は剣を使うのだろう?ならば壊れた剣の代わりにこれを使え」

トランクスの使っていた剣とは形状が違うが不思議としっくり来る。

「ありがとうございます」

「鞘はサービスだ」

トランクスが使っていた鞘に魔法を使って新しい剣が納まるようにしてくれた。

新しい剣を手に入れて攻撃力をアップさせたトランクス達は下のフロアに降りる。

次の下のフロアに現れたのは醜悪な怪物である。

「…魔獣ヤコン…」

その醜い容姿の怪物に息を飲むとそれに気付いた悟飯が尋ねる。

「魔獣…ヤコン…?」

「ええ…暗闇を好む怪物です…奴は強いだけじゃなく素早い…それに…」

界王神の言葉の途中で突然真っ暗になるフロア。

暗闇のために何も見えない。

「ヒッヒッヒ…どうだ!俺が見えないだろ…」

暗闇で響くヤコンの声。

闇に潜むヤコンはニヤリと笑うと腕の鎌をトランクスに振り下ろすが、トランクスはその攻撃を何ともないかのようにかわした。

「姿なんか見えなくてもお前の放つ気や空気を感じればお前がどこにいるのかすぐ分かる」

暗闇に響くトランクスの声。

そしてトランクスの声と共に淡い光が生まれる。

「それに暗闇を照らす方法はある…」

そう告げるトランクスは超サイヤ人に変身し、そして超化することによってヤコンとの実力差を大きく広げる。

「光…」

トランクスの纏うオーラを見て驚いていたが、次の瞬間にニヤリと笑った。

窮地に立っているはずのヤコンの表情にトランクスは目を見開く。

ヤコンは大きな口を開けて思いっきり吸い込んだ。

「え…?」

ヤコンの強力な吸い込みによりトランクスの体に纏ったオーラの光がヤコンに引き込まれ口の中に入る。

それを美味しそうに頬張るとゴクリと飲み込んだ。

「グフフ…美味い…久々の食事だ…」

ヤコンが超サイヤ人のオーラを飲み込んだ事により再び闇に変わる。

「…奴は光を捕食します…」

「…捕食…?」

「ええ、人が毎日食事をするように奴にとって光は食事のようなものです…」

「そうですか…なら、早速使わせてもらいますよ」

界王神の説明に新しい剣を抜くと構えるトランクス。

そして一瞬で超サイヤ人に変身するとヤコンとの距離を詰めて細切れにしてしまった。

「俺達はその気になれば一瞬で変身出来るんです。ただそれでは負担があるから少し時間をかけるんですが…あいつの吸収速度ならその前に倒せます。」

悟飯の説明を聞いて驚く界王神だが、悟飯とトランクスなら魔人ブウの復活を食い止められると希望を抱く。

そして次のフロアに降りると、そこにはダーブラがいた。

「プイプイとヤコンを倒したことは褒めてやろう。だが奇跡はそう何度も起こらんぞ。あの程度のパワーでは私には絶対に勝てん」

「バビディの手下で一番強いはずのお前が出ると言うことは相当焦っているらしいなバビディは」

一番強いダーブラが出てくると言うことはバビディにはもう後がないのだ。

悟飯が前に出るとダーブラは不敵に笑った。

「ふん…無駄口を叩くのはそれぐらいにしてさっさと掛かってこい。貴様ら纏めてな」

「その必要はない、お前は俺が倒す」

超サイヤ人に変身して構えるとダーブラの表情が歪む。

「…何だと…舐めるのもいい加減にしろよ…」

「お願いします…悟飯さん…」

ダーブラが全力で闘えるように広い場所に移動させられ、悟飯とダーブラの闘いが始まる。

多彩な魔術を使うダーブラ。

魔術を使う相手との闘いは初めてだが、悟飯は長い闘いで磨かれた戦闘センスで互角に渡り合う。

拳と蹴りをぶつけ合い、凄まじい衝撃が撒き散らされるが、悟飯の回し蹴りがダーブラに直撃して吹き飛ばす。

吹き飛ばされたダーブラは空中で体勢を整えて口から炎を吹き、それをかわしながら距離を詰めようとした時、ダーブラの姿がブレた。

違和感を感じた悟飯は気弾を放ち、ダーブラを貫くがそれは分身であった。

ダーブラは悟飯の真上におり、魔術で剣を出すと悟飯に振り下ろすがそれを読んでいた悟飯は人差し指に気を集中させて受け止める。

「馬鹿な!?」

自身の剣が指一本で受け止められたことを受け入れられず、ダーブラは何度も剣を振るが、悟飯は全ての斬撃を受け止め、片手でのかめはめ波を放って剣を粉砕した。

「剣と一緒に始末してやろうと思ったんだがな」

咄嗟に剣を捨てて距離を取ったダーブラに冷徹に言い放つとダーブラの表情が険しくなる。

「己…この私がこんな小僧に…!」

「それで本気か?それなら少し拍子抜けだな…言っておくが俺はまだ半分の力も出してないぞ」

「な、何だと!?」

驚愕するダーブラを見て、どうやら本当にこれで全力なようだ。

「どうやら本当にそれで精一杯なようだな。なら、俺のフルパワーで一気に行かせてもらうぞ!」

超サイヤ人2となって一気にダーブラとの距離を詰めて顎を蹴り上げ、吹き飛んだダーブラを追い掛ける。

空中で体勢を立て直したダーブラだが、悟飯は既に追い越しており、背後から勢いを付けた回し蹴りからの拳を顔面に受けて吹き飛ぶダーブラの足を掴む。

「うおりゃああああっ!!」

そして岩に叩き付けて距離を取るとかめはめ波の構えを取った。

「かめはめ波ーーーっ!!」

「ぐあああああ…!!」

まともにかめはめ波を喰らったダーブラは跡形もなく消滅した。

「おお…っ!」

「やった!やりましたね悟飯さん!」

「やっぱり悟飯さんは凄いな…!」

キビトが驚き、界王神とトランクスが喜ぶ。

そんな彼らに悟飯は親指を立てて笑みを浮かべた。

「さあ、下のフロアに行こう」

「はい!」

「ダーブラがいなくなった今、バビディの戦力は大したことはないはず」

「行きましょう!平和はすぐそこまで来ています!」

4人は下のフロアに降りると今度は複数の戦士が現れた。

しかし、全員実力は最初の戦士であるプイプイ以下であり、悟飯とトランクスの前では足止めにもならない。

数は多かったが界王神の神通力によって動きを阻害してくれたため、難なく全滅させることが出来た。

そして一番下のフロアに行くと不気味な玉とその前に小さな小男がいた。

「界王神様、あいつがバビディですか?」

「ええ、後は奴さえ倒せば全て終わりです」

「良く来たね界王神…正直ダーブラがやられるとは思わなかったよ…」

悟飯の問いに界王神が頷くと、バビディは追い詰められているにも関わらず笑みを浮かべている。

「(何だこの余裕は…?何か秘策があるのか…?)」

バビディの妙な余裕に嫌な予感を覚えるトランクス。

「パッパラパーーー!!」

次の瞬間、全員が宇宙船の外に移動させられた。

「これからやることは宇宙船でやるには狭いからね。広い場所の方が都合が良いんだよ…ところでそこの2人、君達は随分と面白い経験をしてるようだね。」

「経験…?」

トランクスがバビディの言葉に訝しむが、バビディの醜悪な笑みに嫌な予感を覚える。

「君達の記憶を見させてもらったんだ。随分と強い仲間や敵と出会ったようだね、利用させてもらうよ。パッパラパーーー!!」

バビディは魔術を使うと目の前に1人の少女が現れた。

「ね、姉さん!?」

現れたのは過去の世界でセルと闘って死んだ姉の悟林であった。

そしてその隣に現れたのは何とベジータである。

「と、父さんまで!?一体…どうなってるんだ!?」

しかも、過去の悟飯や悟空、ピッコロ、天津飯、餃子、ヤムチャ、クリリン、そして人造人間やセル、フリーザと言った悟飯やトランクスに取って誰もが覚えのある人物ばかりである。

「孫悟飯!トランクス!恐らくあれはお前達の記憶を元にした偽物だ!」

「偽物…?」

「偽物にしては気も父さん達と同じ…」

「恐らく奴は魔術であなた方の記憶の戦士をコピーしたのでしょう。恐らく能力も完全に」

「ひひひ…せいか~いっ!更に~パッパラパーーー!!」

偽物の悟空達に魔術をかけると全員のパワーが大幅に強化させてされる。

「偽物達のパワーが…!」

「こいつらは人形だから操る必要がないから楽だね~弱い奴は弱いけどみんな結構秘められた力があるようだから解放してあげたよ。」

「貴様…!」

仲間と父や姉の姿をした偽物とは言えこんな悪趣味なことをするバビディには流石の温厚な悟飯でも表情を険しくする。

「キビト!2人を援護しますよ!」

「はっ!」

「行くぞトランクス!」

「はい!!」

2人が超サイヤ人2へと変身し、キビトと界王神が2人の援護をする。

偽物とは言えかつての仲間や家族との闘いが始まった。 
 

 
後書き
ゲームのバビディって本当に良い魔術を持ってますよね畜生 
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