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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第35話

 
前書き
チビッ子達に力を見せてやりましょう 

 
子供の部に出場した悟林は思ったよりも良い経験を積めたと思う。

何せ悟林は今までこれほどまでの手加減などしたことがあまりない。

正確には母親のチチに触れる際に吹っ飛ばしてしまわないようにはしていたが、チチもチチで地球人としては強い方だったので普通の地球人とは話が違ってくる。

チチと同じくらいの手加減では大怪我、下手をしたら死人を出してしまうかもしれないので、これは良い経験になったかもしれない。

そして瞬く間に準決勝となり、末の弟との試合になった。

「それじゃあ、よろしくね悟天。良い試合をしようか」

「よ、よろしくね姉ちゃん」

一礼をしてから互いに構えを取る。

「(姉ちゃんって兄ちゃんより強いのかな?)」

悟天にとって兄の悟飯は父親の悟空ほどではないが、とても強く、頼りになる存在である。

ならば目の前にいる姉はどこまで強いのか。

「(…考えてもしょうがないや、姉ちゃんをビックリさせてやる!)行くよ!」

「おいで!」

「うん!」

姉の言葉に促された悟天は足に力を入れて全力で地を蹴って悟林に突撃し、拳を振り上げた。

そして迫る拳を悟林は片手で掴み止める。

「(へえ…)」

受け止めた直後に衝撃が悟林の体をすり抜けるように背後に発生する。

悟天の実力は同い年だった頃の自分を超えている。

「やるねえ、悟天。初めて会ったとは言え弟が成長してるなんて嬉しいよっと!」

「ぎっ!?」

指先に気を集中させたデコピンが悟天の額に直撃し、音と共に悟天は大きく吹き飛ばされた。

「(まずい、やり過ぎたかな…?)」

勢い良く地面に叩き付けられた弟を見てまずいと感じたが、悟天は痛がりながらも起き上がり、再度構えを取った。

「(流石、サイヤ人の血を引いてるだけあってタフだね。もう少し強くしても良さそうだ)」

「だあああっ!!」

「おっと」

一瞬、悟林の姿が揺らいで悟天の蹴りが空振りする。

「え!?」

「後ろだよ。それ!」

後頭部に蹴りを入れて悟天を吹き飛ばす。

危うく武舞台から落ちそうになったが、何とか落ちずに済んだ。

「あ、当たったはずなのに…」

「残像拳だよ。残像拳くらい見切れるようにならないとね。大事なのは気の強さと流れを掴むこと、悟天はまだ無意識に目で追う癖があるね…でも大したもんだよ、その歳でそれくらい強くなるなんてね」

「へへ、お父さんに色々教えてもらったんだ」

後頭部を擦りながら、悟天は姉に褒められたからか嬉しそうに笑う。

「よし、姉ちゃんも少しずつパワーを上げてくから、あっさりやられないでよ悟天?」

「う、うん!」

今でも実力差を感じていると言うのに更にパワーを上げるとあっさりと言ってくる姉に悟天は唖然となるが、サイヤ人の血が闘争心を沸き上がらせる。

「それじゃあ…行くよ」

次の瞬間、悟林は悟天との間合いを詰めて悟天の腹に拳を深く突き刺した。

「が…っ!」

腹への激痛と衝撃に一瞬頭が真っ白になり、次の瞬間には足払いをかけられて体勢を崩した悟天は足を掴まれて上空に投げ飛ばされる。

そして追撃の気弾が容赦なく放たれた。

「悟天!避けろーーー!!」

観戦していたトランクスの声に反応した悟天は自分に迫る気弾を認識すると慌てて離脱する。

そして悟林の方を向いた時には姉の姿はない。

「良く避けたね。」

「えっ!?」

既に悟林は先回りをしており、悟天の背後を取っていた。

「でも残念、これで終わりだよ」

締め上げて落とそうとする悟林だが、悟天は咄嗟に超化して抜け出した。

「え!?」

予想外の超化に悟林は驚く。

「あはは…超サイヤ人になっちゃった…」

観客席で悟飯が慌てているが、構わず悟天を褒めた。

「凄いじゃない悟天。その歳で超サイヤ人になれるなんて大したもんだよ。」

「へへ」

「なら私も変身するかな」

「え?」

悟林も超化して超サイヤ人に変身すると一瞬で腹に蹴りを叩き込んで気絶させた。

「そっちが先に超サイヤ人に変身したんだから私も変身して良いよねえ!?」

悟飯が悟林を抱えて観客席に移動された。

「ちょっと何!?離してよこの変質者!!」

「誰が変質者ですか!?何で姉さんまで超サイヤ人になるんですかもう!」

「悟天は変身したんだから問題ないじゃない?と言うか超サイヤ人禁止だったの?」

「いや、姉さんはセルとの闘いでテレビに映っていたから超サイヤ人になったら……大会では超サイヤ人は禁止なんですよ」

「えー、何でそんな面倒臭いことを…」

超化は悟林を含めたサイヤ人の力の一部だ。

それなのに禁止などと言うのはストレスが溜まる。

「とにかく超サイヤ人は禁止なんだ。悟林ちゃん達はセルとの闘いで超サイヤ人の姿を知られてるだろ?もしバレたらテレビとかうるさくなるぞ」

クリリンも説得に加わってくれたことで悟林も渋々ながら同意してくれた。

「はあ…こんなことになるんだったらもっと別の日にすれば良かったな…これは何が何でもお父さんとベジータさんと闘えるようにしないと」

「本当に悟林ちゃんは闘いが好きなんだな…」

「私が帰ってきたのはお父さんとベジータさんと試合するためなんだからねクリリンさん!とにかく私は戻るよ。次のトランクス君との試合に備えなきゃ」

「超サイヤ人にならないで下さいね!」

「はいはい」

「絶対にならないで下さいね!?」

「はいはいはいはい」

「分かってんのかなあ…」

舞空術で戻っていく悟林をクリリンは心配そうに見つめる。

7年前の時よりも欲求に忠実になっているような気がするのは気のせいだろうか。

まあ、あの世では現世ほどの縛りはないらしいので、そこで7年も過ごしていれば変わるのかもしれない。

「な、何か姉さん…変わりましたね…」

「別におかしなことじゃない。あれくらいの年齢のサイヤ人は闘いたい盛りだからな、サイヤ人として見ればおかしいのは寧ろ貴様だ」

そしてトランクスの試合が終わり、悟林とトランクスの決勝戦となる。

「それじゃあ、よろしくねトランクス君」

「は、はい!悟林さん!」

悟天との試合を観たことで圧倒的に格上であることを思い知らされたトランクスは緊張していた。

「そんなに緊張しないで、緊張すると何時ものパワーが出せないよ。勝てなくてもいい、全力で来なよ。情けない闘いをしたらベジータさんも怒るよ?」

「パパ…」

観客席を見るとトランクスを見つめるベジータの姿。

その姿にトランクスはやる気を出す。

「(パパが見てくれてるんだ。勝てなくても情けない闘いだけは絶対しないぞ!)」

頬を叩いて気合いを入れて構えを取るトランクス。

その姿にベジータと未来のトランクスの姿が重なる。

「良い目をしてるよ。流石ベジータさんの子供だね。出来ることなら私が君の才能を伸ばして上げたかったけど…まあ、今更しょうがないし…おいで!ほんのちょっとだけど稽古を付けてあげる!」

「俺の本気を見せてやる!」

トランクスは悟飯との約束を忘れたのか超サイヤ人に変身して悟林に迫る。

悟飯が焦るような声が聞こえて悟林は苦笑した。

「20倍界王拳!」

一応弟との約束を守るために界王拳を使い、トランクスの拳を受け止めた。

戦闘力の上昇では下回る界王拳だが、基本戦闘力の差で覆して見せる。

「さあて、始めるよ!」

早速反撃とばかりにトランクスの頬を殴り飛ばすが、超化しているために耐え、トランクスも悟林の頬を殴り付けた。

「っ…やるね…流石ベジータさんの息子だ。」

トランクスのラッシュを防ぎながらその実力に驚く。

これから修行を積み続けていけばどれだけ戦闘力が伸びていくのか楽しみだが、トランクスはブルマの子供でもあるのでいずれは修行が出来なくなることも分かっている。

「トランクス君、良いものを見せてあげるよ」

「え?」

両手を額の前に翳し、全身の気を手のひらに集中させる。

「魔閃光!!」

「うわっ!」

悟林が放った気功波を跳び上がることでかわすトランクス。

観客席に当たる前に気功波を曲げて上空に上げ、トランクスの真上を取ると、組んだ拳で叩き落とす。

武舞台に叩き付けられる前に舞空術で急停止し、上昇して悟林に向かっていく。

2人は拳と蹴りをぶつけ合い、その衝撃が撒き散らされるが、観客席にいる悟空達は平然としながら観戦している。

悟飯はハラハラしているが。

「ピッコロさん直伝の魔貫光殺砲…どうかわす?」

額に指を当てて、そのまま周囲を駆け回る。

すると無数の残像が現れる。

「悟天に使った残像拳って奴か…!」

試しに気弾を放つものの、残像に当たるだけで本人には当たらない。

がむしゃらに撃っても気を無駄に消費するだけ、どうすればと悩んだ瞬間。

「魔貫光殺砲!!」

トランクスに向けて絶大な威力を誇る気功波が放たれた。

「!!」

咄嗟に横に飛び退いたことで魔貫光殺砲をかわした。

それを確認した悟林は指を上に向けて軌道を変えて気功波を上空に上げた。

「良い反応だね。流石ベジータさん、柔な教え方はしてない」

「悟林さん、今の当たってたら死んでたよ…」

「大丈夫。直前で曲げるから」

引き攣った笑みを浮かべるトランクスに悟林はさらりと言い放つ。

一歩ずつトランクスに向かう悟林にトランクスは構えを取りながら必死に考えを巡らせる。

「(駄目だ、力の差がありすぎて勝負にならないや…このままあっさり負けたら…パパ怒るだろうな…)」

何とかならないかと考えを巡らせた時、一つの策が浮かんだ。

「(…そうだ!実力じゃ敵わなくても…)」

「(あの顔…何か企んでるね…)」

どのような策を考えたのか興味が湧いたため、悟林はトランクスに向かって正面から向かっていく。

トランクスは舞空術で上昇し、上空に逃げると手のひらに気弾を作り出した。

「何をする気か知らないけど小細工なんか通用しないよ!」

「ていっ!」

トランクスは何を考えたのか気弾を空いている手で叩くと閃光が迸った。

「っ!?」

視界が焼かれた悟林は急停止してしまう。

「(こ、これ…太陽拳と同じ…!)」

「たあああっ!!」

「うわああああっ!?」

動けなくなっている隙にトランクスが悟林の背に全力の蹴りを喰らわせて吹き飛ばす。

突然のことに対処出来なかった悟林は場外に落下した。

「やったあっ!!」

「え?…ああっ!!」

視界が回復した悟林は自分が場外であることを認識して目を見開く。

子供の部の優勝はトランクスに決定し、トランクスの奇策に敗れることになった悟林は溜め息を吐きながら武舞台に戻って勝者であるトランクスを讃える。

「いやー、まさか太陽拳もどきをしてくるとは思わなかったよ。流石だねトランクス君、流石ベジータさんの息子だよ」

「悟林さんも凄く強かったよ。正直あれが駄目だったらどうしようって思ってたんだ」

「素直で良いね。でも最後まで諦めなかったのは偉いよ…優勝おめでとう」

「うん!」

悟林からの賛辞にトランクスは嬉しそうに頷いた。

「はっはっは、おい!残念だったな。どうやら俺の息子の方が悟林よりも一枚上手だったらしい」

因みに悟林にトランクスが勝ったことで観客席のベジータは悟空の背中を叩きながら上機嫌であった。

後にサタンとトランクスの試合が行われ、当然トランクスが勝ったものの、サタンは子供だからわざと勝たせてあげたといったようなパフォーマンスをしたのである。

子供の部を終えた悟林は試合を終えたトランクスを迎えた後に、悟天とトランクスを連れてブラブラとしていた。

「んー、お父さん達の試合が始まるまで何しようか…お腹が空いたし食堂に行こうかな?……ん?」

「………」

トランクスが物陰に隠れながら何かを見ていた。

「何してるのトランクス君?」

「いっ!?」

背後から話しかけるとトランクスは肩を震わせて振り返る。

「な、何だ…悟林さんか…」

「何を見てたの?」

「あれ」

トランクスが指差した先にはおかしな覆面の戦士。

「ぷっ!おかしな格好だね」

「そうだね!」

孫姉弟が覆面戦士・マイティマスクの格好に吹き出す。

「ねえ、悟林さん。あいつ使えないかな?」

「?」

「あいつに一発喰らわせて伸びてる間に服を頂いてさ、俺達3人で出ようよ」

「…大人と試合したいの?」

「うん!」

悟林の問いにトランクスは頷くと悟林は苦笑しながらトランクスの母親譲りの髪質をした頭を撫でる。

「トランクス君の気持ちは分かるけど駄目だよ。あの人は実力で予選を抜けたんだ。だからそんなことしちゃ駄目。トランクス君だって同じことされたら嫌でしょ?」

「それは…」

「ベジータさん達も大会が終わったら好きなだけ付き合ってくれるよ。今は大人しく観戦しよ?」

「はーい」

不満そうに頷くトランクスにどうしたものかと頭を悩ませた時、悟林はあることを閃いた。

「そうだ、ご飯食べ終わったら私が技を教えてあげるよ。それじゃ駄目?」

「え?良いの?」

「勿論、悟天もどう?」

「僕も良いの?」

「勿論、私も悟天とトランクス君との思い出が欲しいな。よし、修行の前に腹拵えだよ!」

「「はーい!」」

食堂に行くとそこには既に悟空達がいた。

「やあ」

「よう、悟林。おめえも飯食いに来たんか?」

「うん、もうお腹空いちゃったよ。すいませーん!ラーメン、カレー、スパゲッティ…中華まん全種類…面倒臭いな…このメニューにある料理を全種類を10人前で!」

「俺もー!」

「僕もー!」

それを聞いたクリリンは苦笑し、ビーデルは目が飛び出そうになるくらいに驚き、料理人達やウェイトレスの悲鳴が飛び交う食堂。

そしてしばらくしてやってきた料理に3人は掻き込む。

「うーん!美味しい!やっぱりご飯は材料からしてこっちの方が良いなー」

「だよなー、あの世の飯はあんまり美味くねえもんな」

あの世での食事経験者である悟空が悟林の言葉に同意する。

「あの世のご飯って美味しくないの?」

「やっぱり質かな?基本的に死人はご飯なんか食べないから食べ物はこっちより美味しくないかな?料理の腕である程度は誤魔化せるけど、同じ料理でもこっちの方が美味しいね」

悟天の問いに悟林はあの世の食べ物のことを思い出しながら言う。

「まあ、悟天があの世に来ることになるのは大分先だし、それまでこっちの料理を味わってるんだよ」

現世にいられるのは1日で、それが終われば二度と現世には戻れないので今のうちに堪能しておこう。

「女子供含めてどうなってんだサイヤ人の腹は…」

クリリンの呟きが食堂の喧騒によって消えた。

凄まじい勢いで食事を終えたサイヤ人達。

悟林達は2人の相手をしながら観戦することに。

対戦表を見て、いきなり悟空とベジータの試合に目を輝かせる。

「いきなりお父さんとベジータさんか…事実上の決勝戦だね。」

「パパとおじさんか…どっちが勝つんだろ?」

「お父さんが勝つよ絶対」

「なーに言ってんだ!俺のパパに決まってるだろ!」

「だってお父さんは宇宙で一番強いんだよ!」

「まーまー、落ち着いて。多分お父さんとベジータさんとの間に実力差はほとんどないね…どっちも天才だからどっちが勝つか分かんないよ。それにどっちが勝っても負けても、2人はそれをバネにして強くなるよ。負けた方は私と勝負してもらえるしワクワクが止まらないよ私は」

喧嘩する2人を宥めながら悟空とベジータの試合を楽しみにし、こう言ってはあれだが、負けた方とは自分とすぐに試合をしてもらうつもりである。

尻尾が健在なら嬉しそうに振っていたことだろう。

「悟林さんってパパと闘ったことあるんだよね?」

「ん?うん、2回ね」

「どっちが勝ったの?」

「んー、1回目はお父さん達と一緒だったからな…実力じゃほとんど負けてたし。2回目は完敗だった。」

「本当!?やっぱりパパは凄いや!」

はしゃぐトランクスに微笑みながら悟林は何を教えようかと頭を悩ませる。

「うーん、やっぱり簡単な技からだよね…よし、2人に魔閃光を教えてあげよう。」

使い勝手が良い技と言ったらこれであろう。

かめはめ波は使えるだろうし。

「「魔閃光?」」

「ピッコロさんから教わった技でかめはめ波より威力は低いけどすぐに撃てる利点があるんだ。主に追撃に使うね…悟飯も使えるんだけど、悟飯は修行をサボってるから使うことなかったろうしね」

ピッコロは後任の神であるデンデの育成に忙しいのだろうし、悟飯は勉強漬けだから見る機会がなかったのだろう。

人気のない場所に移動して早速技の見本を見せる。

「良い?それじゃあ、まずは両の手のひらを額の上に翳して」

「「うん」」

悟林が見せたように両手を動かしていく2人。

「そして手のひらに全身の気を集める」

手のひらに気が集まっていき、充分な量になると溜めるのを止める。

「そして相手に向かって手を突き出す」

そして放たれた気功波はかめはめ波に比べれば地味ではあるものの、かめはめ波よりも早く出せた。

「これが魔閃光。私と悟飯がピッコロさんから教わった最初の気功波。さっきも言ったけど、かめはめ波より威力は劣るけど溜めがあまり必要ないからすぐに撃てる利点があるから上手く使い分けてね」

「「はーい」」

「本当ならもっと威力のある技を教えたいけど…この技は殺傷力が高いから別の技にしようか…うーん、2人に教えても大丈夫そうな技は…」

魔貫光殺砲などの殺傷力の高い技を教えたらブルマやチチから苦情が来る可能性がある。

まあ、かめはめ波を覚えてる時点でアレだが。

「気円斬…も駄目だな。あれも殺傷力高いし…」

次は何を教えようかと頭を悩ませた時、会場から歓声が上がった。

気になって見てみるとクリリンが対戦相手を一蹴したようだ。

次の対戦はピッコロがするようなのだが、ピッコロは棄権してしまう。

「え?ピッコロさん、棄権しちゃったの?」

「らしくないね、ピッコロさん。確かに気は感じられないけど少しも闘わないなんて…」

「具合が悪いんじゃないの?まあ、ピッコロさんの顔色だと分かんないけどさ」

「こらこらトランクス君。そんなこと言っちゃいけないよ?顔色が悪いのは事実だけど」

ピッコロの後に武舞台を降りる謎の少年を見遣ると次のビーデルの試合を観戦する。

「ビーデルのお姉ちゃんだ!」

「ふーん、悟飯の彼女…結構やるじゃない…ミスター・サタンの娘か…全然似てないね」

「確かに」

トランクスがサタンの顔を思い出して吹き出す。

最初はビーデルが圧倒していたものの対戦相手のスポポビッチが妙だ。

あまりにもタフだし、気功波や舞空術を使ったりしている。

「妙だねあいつ…あんなに攻撃を受けているのにタフ過ぎる。気功波や舞空術にしてもそう、強さと技術が噛み合ってない」

「それ、どういうことなの悟林さん?」

「あいつ…どうも自分の限界を超えた力を持っているようだね…どうやったのかは分からないけど…」

そしてビーデルはスポポビッチに一方的に嬲られ、流石にこれはと思った悟林が乱入しようとした時であった。

ヤムーと言う男がそれを止め、スポポビッチはビーデルを場外に放り投げ、そして悟飯が医務室に運んでいった。

「何なんだろうね、この違和感は…」

途中で悟空の気が会場から離れたので、恐らくカリン塔に瞬間移動に向かったのだろう。

仙豆を取りに行ったのならビーデルは大丈夫だ。

悟林はスポポビッチとヤムーに鋭い視線を送りながら大会を観戦するのであった。 
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