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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第34話

 
前書き
悟林、将来の義妹に会う。

久しぶりに会う弟が変質者になっていたことに嘆く。 

 
修行開始から翌日、髪を切ってショートカットになったビーデルが舞空術で大分浮くようになるのを見て悟天の相手をしていた悟空が声をかける。

「おー、大分浮くようになったじゃねえか」

「はい、でもおじさん達みたいに速く飛べないわ…」

「そうガッカリすんな。オラだって舞空術が出来るようになっても最初は大して速く飛べなかったんだぜ?」

「おじさんも?個人差があるってことですか?」

「こじん…さ…?」

「お父さん、人によって違うってことですよ」

疑問符を浮かべる悟空に分かりやすく悟飯が説明する。

「おお、そうだ。それにおめえは気のコントロールが出来るようになったばっかだしな。充分だ」

それでも納得してないビーデルを見て、どこか悟林と似ていると思った悟空は思わず笑った。

「おめえは悟林みてえだな。よーし、悟天。かめはめ波教えてやっから向こうへ行くぞ」

「はーい!」

「悟林…って誰なの?」

悟天を連れていく悟空の後ろ姿を見ながら隣の悟飯に尋ねる。

「あ…僕の姉さんなんです。双子の」

「悟飯君、お姉さんもいるの?良いな、私一人っ子だから姉弟がいるのが羨ましいわ。お姉さんも強いの?」

「うん、物凄く強かった。」

今でも覚えている。

姉が父親達と一緒に最前線で闘った姿を。

「へえ、同じ武道家の女の子として手合わせしてみたいわ。昨日もいなかったし、今日も姿が見えないわね。他の都の高校に通ってるの?」

「あ…姉さんは7年前に…死んじゃったんだ。」

それを聞いたビーデルは自分の失言に表情を歪めた。

「ご、ごめんなさい…」

「いや、ビーデルさんは知らなかったんだし仕方ないよ」

「…ねえ、悟飯君。悟飯君のお姉さんってどんな人なの?」

悟飯の姉である悟林がどんな人物なのかビーデルは気になったのか尋ねた。

「え?姉さん…ですか?そうですね、怒らせると凄く怖かったけど、優しくて明るい人でした。組み手でもいつも勝てなくて、からかわれてばかりだったけど…お父さんや師匠と同じくらい憧れてました」

「そっかあ…亡くなった時…辛かったわよね…やっぱり」

「最初は…でも姉さんのことだからあの世で元気にやっているでしょうし、いずれ会えますから」

「え?あ、そうね…きっと会えるわ」

悟飯の言葉に驚くビーデルだが、あの世のことを指していることに気付いて空を見上げた。

解釈は異なっているが、あの世の存在を知っているかの違いである。

因みにビーデルは10日ほどでかなり自由自在に飛べるようになり、悟飯もようやく悟空からの本格的な修行を受けることが出来るようになった。

因みに悟飯はある程度力を盛り返したものの、超サイヤ人2への変身はかなり不安定であり、変身にはそれなりの怒りが必要となるようだ。

正直、即変身出来ないようでは実戦では使えないというのが悟空からの評価である。

一方、界王星では修行の合間で悟林と界王が睨み合っていた。

「行くよ、界王様!」

「うむ!来い!」

どちらも凄まじい覇気を放ち、今にも激しい闘いを繰り広げそうな雰囲気だった。

「お金をそこにおかねー!!」

悟林の口から出たのはダジャレであった。

しかし、界王は頬を引き攣らせながらも余裕の表情を浮かべた。

「ふ、ふふん!儂もお前が来てから修行をして徹底的に鍛え直したんじゃ!そう簡単には笑わんぞ!」

「カレーはかれー!!バッタがふんばった!!ちゃんと野菜をたべやさい!!つくしはうつくしー!!」

「ぬうう!?」

怒涛の連続口撃。

口元が引き攣り、いくらか後退する界王。

「とどめだ!猫がねこんで猿がさる!!布団がお山にふっとんだ!おやまー!!」

「……ぷ、ぷぷぷ!だ、駄目じゃ…もう我慢出来ん…!」

腹を抱えて転げ回る界王に悟林は勝ち誇った表情で胸を張る。

「ふふん、今日も私の勝ちだねー。私にダジャレで勝とうなんて甘いよ界王様?」

「く、くそー…まさかダジャレ界王と恐れられた儂が手も足も出んとは…これで100戦100敗…まさか儂が全敗とはなー…うむ、認めてやろう。ダジャレ神としてな!」

「あ、別にダジャレ神になるつもりはないから」

あくまで退屈しのぎにやっているだけなので、ダジャレ神とやらになるつもりはない。

そして1ヶ月後の天下一武道会が始まった。

「よーし、それじゃあ行ってきます界王様!」

「うむ、気をつけてな」

占いババと共に現世へ戻る悟林。

「それにしてもサイヤ人と言うのは本当にとんでもない奴らじゃな。超サイヤ人2にも相当驚かされたが、本当に強さに際限がない。」

悟林があの世での修行の成果を発揮してくれることを願いながら界王は昼寝をすることにした。

占いババと共に現世に1日だけ戻ってきた悟林は久しぶりの現世の空気を堪能すると、受付の近くにいる両親と仲間達に声をかけた。

「おーい!みんな、久しぶりー!!」

「悟林!」

振り返ったのは父親の悟空で次の瞬間、母親のチチから抱き締められ、ベジータ等を除いた大人達からもみくちゃにされた。

そして…。

「姉さーん!」

興奮した様子のバンダナとサングラスを着けた変質者が勢い良く迫ってきたので問答無用で拳による高速乱打で殴り飛ばしておいた。

一方の悟飯は訳が分からなかった。

久しぶりに再会した姉に駆け寄ろうとしたら一瞬のうちに何十発も殴られた。

「だから言ったじゃねえか止めとけって」

「ふん、当然の結果だな」

父親とベジータの呆れたような声が聞こえる。

「ねえ、お父さん、お母さん。この変態は誰?」

倒れている変質者(悟飯)を指差しながら両親に尋ねる悟林。

「何言ってるだ、悟飯ちゃんだぞ。おめえの弟の」

「……ごめん、よく聞こえなかった」

「悟林ちゃん、気持ちは痛いくらいに分かる。でも現実から逃げちゃ駄目だぞ」

クリリンがあまりにも痛いグレートサイヤマンの姿の悟飯を認められない悟林の肩を優しく叩いた。

「…何でこうなっちゃったのかなあ」

「(悟飯さんのお姉さんもダサいと思うんだ)」

空を見上げながら嘆く悟林を見て姉の方の美的感覚はまともであったことをトランクスは知る。

「ん?」

悟林とトランクスの目線が合い、悟林はトランクスに歩み寄る。

「な、何?」

「ねえ、君…トランクス君だよね?」

身長差があるために悟林が見下ろす形になる。

「は、はい…」

「あー!やっぱり!大きくなったねトランクス君。ちょっと前まで赤ちゃんだったはずなのに」

「悟林ちゃんが死んでから7年経つのよ。大きくなって当然でしょ」

「そっか…もう7年か…そこにいる君は…お父さんにそっくり…私の弟なんだね…名前は?」

チチの後ろに隠れていた悟天を発見した悟林は目線を合わせながら声をかけた。

「ほら、おめえの姉ちゃんだぞ。」

悟空によって悟林の前に押し出された悟天。

「ほら、姉ちゃんにちゃんと挨拶するだ」

「ご、悟天です…」

チチに促された悟天は緊張しながら悟林に自己紹介した。

「うん、よろしくね。1日しかいられないけどさ」

父親そっくりの髪質の頭を優しく撫でると安心したのか、悟天もくすぐったそうにしている。

「姉さん!!」

「取り敢えず悟飯は今すぐ着替えてきて、その格好、ダサいし恥ずかしいから」

「なっ!?グレートサイヤマンのどこがダサいって言うんですか!?」

その問いに悟林はかつて地球に襲撃してきた頃のベジータが戦闘不能になったナッパを見下ろしていた時のように悟飯をゴミのように見遣りながら吐き捨てる。

「全部だよこの愚弟。何がグリーンヤサイマン?私が死んでる7年間に何があったの?良い、悟天。あの愚弟みたいにダサい格好で人前に出たら大恥をかくから絶対にしないように」

「兄ちゃんダサいの?」

「うん、宇宙一ダサい」

悟飯の言葉を一蹴して悟天と共に受付に向かう悟林であった。

受付を終えると悟林は落ち込む。

何と現在の天下一武道会は大人と子供で分かれており、享年9歳の悟林は子供の部行きとなってしまった。

これには悟空やベジータ、ピッコロが残念がっていた。

「うーん、お父さんとベジータさんの試合になったら乱入しよっかなー?」

良からぬことを考えている悟林にクリリンが止める。

「駄目だ。大会が滅茶苦茶になるし、悟空とベジータの失格も有り得るし。2人が同時失格なんてしたらチチさんとブルマさんが怒るぞ」

「冗談だよ冗談…半分くらいは……ちぇー、お父さんとベジータさんと試合したくて帰ってきたのにこれじゃあ帰ってきた意味ないじゃない」

「あのー、姉さん。僕も修行してきたんですけど」

「仕方ない、試合になったら悟天とトランクス君に稽古をつけてあげよう。今日くらい末の弟とトランクス君との交流に力を入れて…」

「姉さん!」

「ん?何さ?」

悟天とトランクスとの試合を待ち遠しそうにしている悟林に悟飯は声を張り上げる。

「僕も大会のために修行してきたんですよ。どうですか?」

「昔より弱い。それだけだね」

「んなあ!?」

天下一武道会に出場するためにそれなりに鍛えてきたが、あっさりと一蹴されたことに悟飯は驚愕する。

「ねえ、お父さん。ベジータさん、勉強マニアの悟飯ちゃんは7年間修行サボってたんでしょ?どうせ」

「ん?ああ」

「平和なのを良いことに大したトレーニングはしていなかったようだ。今では俺達の方が上だ」

悟空とベジータの返答に悟林は悟飯を見つめる。

「本当に予想を裏切らないね悟飯ちゃんは?」

「うくくく…だって勉強があるし…」

「良いなー、悟天。悟飯さんだけじゃなくて悟林さんみたいな可愛いお姉ちゃんがいるんだし。と言うか悟林さん、おじさんやおばさんにも似てないな」

「姉ちゃんはお父さんのお母さんに似てるって聞いたことあるよ」

姉弟のじゃれあいを見つめながら悟天とトランクスは試合を楽しみにしている。

「ところで、何で18号がいるの?賞金稼ぎ?」

視界に入った18号を見つめながら首を傾げるとクリリンが自慢気に口を開いた。

「ふふん、実は18号は俺の嫁さんなんだ。」

「え?結婚したの?おめでとうクリリンさん」

「おう、サンキュー」

敵であり人造人間である18号と結婚したことに驚きはしたが、幼い頃から世話になったクリリンなので、悟林は素直に祝福する。

「あ、もしかして近くにいた女の子って…」

「そ、俺と18号の子供さ。名前はマーロン。可愛かっただろ?」

「うん!すっごく可愛かった。クリリンさんみたいに人懐っこそうな顔立ちだったね」

「そうだろ可愛いだろ?良い歳になってから生まれたのもあるけど可愛くて仕方ないんだよ」

デレデレと幸せそうなクリリン。

そんなクリリンに18号は溜め息を吐くものの、悪くなさそうな表情である。

途中で悟飯が友人を探しに行き、取り敢えず大人と子供に分かれるようなので悟林はトランクスと悟天を引き連れて行こうとする。

途中で悟飯がビーデルと共に戻ってきた。

「おや、悟飯。その女の子がお友達なの?へー、意外に悟飯も学校生活満喫してるじゃない。」

「クラスメイトのビーデルさんだよ姉さん」

「姉さん!?あなたお姉さんは死んだって…」

「うん、私は7年前に死んじゃったんだ。だから頭の上に輪があるの」

「な…何者なの…あなた達って…」

「んー、普通より強い武道家だよ。それじゃあ悟飯、最低でも5位になれることを祈ってるよ」

からかうように言うと悟飯は悔しそうにしながら叫んだ。

「ね、姉さんがいなかったら僕が3位くらいになれる可能性があるんですからね!」

「それって私がいないから命拾いしたって言ってるようなもんじゃない。このお馬鹿」

「いった!?」

頭を殴られ、鈍い音と共に悟飯が地面に沈んだ。

その威力にビーデルは目が飛び出そうになるくらいに驚いている。

「それじゃあ、ビーデルさん。おかしな格好してるけど私の弟をよろしくね」

「は、はい…」

悟天とトランクスを引き連れて子供の部に向かう悟林であった。

「…大丈夫?悟飯君?」

地面に沈んだ悟飯を引っ張り上げるビーデル。

「だ、大丈夫です…」

殴られた頭を擦りながら悟飯は起き上がった。

軽く殴ったつもりなのだろうが、信じられないくらいに重い一撃であった。

セルとの闘いの時よりも遥かに強くなっていることを身を以て感じた悟飯である。
 
 

 
後書き
久しぶりに会った弟が変質者になってたら嘆く以外の選択肢はない。

因みに悟林は原作のブウ編悟空より強いです。

死んだのが伸び盛りの頃だし。 
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