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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第22話

 
前書き
悟林の服装は亀仙流道着に戦闘服の手袋と靴の所謂色違いのベジットスタイルです。 

 
3年。

時間は誰しも平等に訪れ、流れてゆく。

普段と変わらぬ時間に起きた悟林は、いつもと変わらない日常の朝を迎え、チチお手製の食事を済ませて亀仙流の道着に着替え、ナメック星で着た戦闘服の手袋と靴を身につけた。

地球人の道着とサイヤ人(正確にはフリーザ軍)の戦闘服の合体スタイル。

自分の目標である2人のサイヤ人を意識しつつも、自分は地球人とサイヤ人の混血であることを誇るような姿だった。

「良いだか悟飯ちゃん?悟林ちゃんから絶対に離れるでねえぞ?悟林ちゃんも悟飯ちゃんを守るだぞ?おめえは姉ちゃんなんだからな」

「勿論、悟飯はいつでも私が守ってあげるよ。」

「お、お母さん!お姉ちゃん!ぼ、僕だって闘えるよ!い、いつまでもお姉ちゃんに甘えてるわけじゃないんだから…!」

「ふふ、そう言うのは私に一本取れるようになってから言いなさい。でもまだまだ悟飯ちゃんには負けてあげないけどねー」

からかうように言う悟林と悔しそうな悟飯。

双子の微笑ましい姿に悟空達は笑みを浮かべる。

「悟空さとピッコロさも気を付けるだぞ……本当に弁当持ってかねえだか?」

「ああ、すまねえチチ。行ってくる!」

悟空の言葉と共に4人は目的地へと向かっていった。

「おーい、悟飯。そんなに飛ばさなくても間に合うんだからスピード落としなさい。体力がなくなっちゃうよ」

「あ、うん」

悟林の注意に悟飯はスピードを落とした。

「孫悟空、どうだ…正直言って今度の敵…勝てると思うか…」

双子が話し合っている隣でピッコロが悟空に尋ねる。

「見てもいねえのに分かりっこねえさ。やってみてから答える」

「呑気で良いな貴様は…俺だって自信がないわけじゃない…だが、どうも嫌な予感が頭から離れん…」

「ピッコロ、頼むからおめえはやばくなっても無理すんなよ。おめえが死んだらドラゴンボールもなくなっちまうんだから」

新しいナメック星への正確な場所が分からない以上、ナメック星のドラゴンボールにも頼れない。

ピッコロの死がアウトなのだ。

「お父さん、クリリンさんだよ!おーい!クリリンさーん!」

「クリリンさーん!」

双子が声をかけるとクリリンが振り返った。

「お…おう、大きくなったな2人共…」

「何だよクリリン、久しぶりだってのに随分元気ねえじゃねえか」

「これから化け物と一戦やらかそうって時に浮かれてられっかよ…お…俺は超サイヤ人じゃないんだぜ…」

「…お、見えてきたよ」

「南の都の南西9㎞地点…あれだ!あの島だ!」

南の都、南西9㎞地点。

その場所に到着してみれば、結構大きな島で、まずい事にわりと大きな町まである。

「結構でけえ島だな」

「ああ、まずいぞ…わりと大きな町まであるじゃないか…」

「人造人間を他の場所に誘い出さないと島の人達が闘いの犠牲になってしまうかもしれませんよ…」

「そうだね、ここで暴れられたら私達も全力で闘えないからね…えーっと、他のみんなは…」

悟飯の呟きに悟林がそう返すと、周囲を見渡す。

「あの山の辺りにでかい気を感じるから、あそこにヤムチャさん達がいるかも」

「行こう!」

クリリンが山の方を見遣りながら言うと、このまま宙に浮いていても仕方がないので、とりあえず悟空の指示に従って仲間と合流するために気のある場所へと移動する。

「おーう!」

ヤムチャが大手を広げて呼び、そこには天津飯の姿とブルマの姿もあった。

「ブ、ブルマ…!?」

「待ってたぞ!お前達、ちょっと遅刻だ」

「やっほー!あらー、大きくなったわね、悟林ちゃんと悟飯君」

にこにこ笑うブルマに、悟空が呆れた。

「馬っ鹿だなー!おめえまで何だってここに来んだよ」

「見学に決まってんじゃない、大丈夫よ、人造人間を一目見たら帰るから」

……フリーザを見に来た辺りから、何だか物凄く度胸が上がったというか、強くなったというか。

「お…俺はそんなことよりブ…ブルマさんの抱えてる物体の方が驚いたけど…」

「結婚したんですね!ヤムチャさんと」

しかし振り向いて見ればヤムチャはムスッとしていて、実に不機嫌そうな顔だ。

不機嫌を隠そうともしない声で答える。

「…俺の子じゃねえの…とっくに別れたんだ俺達よ…誰の子か聞いたら驚くぞおめえら」

「お…おおー!トランクス君!トランクス君だ!お父さんのベジータさんに似て強そうな顔だね!貸して貸して!抱っこさせて!」

未来の弟子となるトランクスの姿を認識した悟林は凄い勢いでブルマに迫る。

その勢いに引きながらもブルマはトランクスを悟林に渡した。

「な、何でそんなこと知ってんのよー!あたし驚かそうと思って誰にも連絡してないのに…」

「別にブルマさんがベジータさんとくっつくのは予想出来てたし、この凛々しい目付きを見てよ。ヤムチャさんに全然似てないじゃない。」

「な、何であたしとベジータがそうなるのが分かるのよ…?」

「私と会って話す度にベジータがベジータがベジータがって言ってればブルマさんがベジータさんのこと好きなの丸分かりだし、予想つくよ。あの時のブルマさんはほとんどベジータさんのことしか話に出してなかったからね…隠したいならもっとベジータさんの話題を控えたら良かったのにさ…」

「あ、あらやだ。あたしとしたことが…でも何で名前まで知ってんの?」

「さあー?何でだろうねー?可愛いなあ、トランクス君。大きくなったら私が修行をつけてやるからね!魔閃光も魔貫光殺砲も教えるし超サイヤ人にだって変身出来るようにしてあげる。君が私の弟子1号だ!自分でライバルを育てるのもいいしね」

悟林は想像する。

超サイヤ人となったトランクスと思いっきり修行する日々を。

「あ、あんまりやりすぎないでよね…」

「大丈夫だよ、酷いことになっても海に落とすか岩に埋まるだけだから」

「駄目よ!絶対に駄目!海に落としたり岩に埋めるのは悟飯君にしなさい!」

「何でー!?」

「そ、そんな…ブルマさん酷い…」

「嫌だよ!悟飯と修行するのつまらなくて飽きたもん!私はもっと強い相手と修行したいの!トランクス君なら絶対絶対悟飯よりずっとずっと強くなれる!!私がトランクス君を鍛えて最強のライバルにするんだー!!」

「だーめーよー!!トランクスを返しなさいーーー!最強のライバルなら弟の悟飯君を鍛えなさいよーーー!!」

「いーやーだー!!悟飯を鍛えても全然楽しくないからいーやーだー!!ブルマさんのケチーーーっ!!お金持ちなのにケチーーーっ!!」

「ケチとは何よーーーっ!!」

トランクス争奪戦を繰り広げる2人。

幼いトランクスは2人に挟まれて楽しそうに笑っていた。

「………」

「元気出せよ悟飯。ま、まさかブルマさんがベジータと…」

落ち込んでいる悟飯をクリリンは同情しながら肩を叩いた。

「…誰か俺を慰めてくれないのか?」

「まあ、元気出せってヤムチャ」

「悟空…!」

落ち込むヤムチャの肩に悟空がポンと置いた。

「うるさいぞ貴様ら!それよりもベジータはどうしたんだ。姿が見えんが…」

耳の良いピッコロには悟林達の喧嘩は騒がし過ぎたので怒鳴ると、話題となっているベジータはどこにいるのか尋ねる。

「あたし知らないわよ、今一緒に住んでるわけじゃないしさ。でもそのうち来ると思うわよ、この日に備えて凄い訓練やってたみたいだし…」

「来るさ…絶対あいつは来る…」

「うん、ベジータさんは絶対に来るよ。未来での話だからって負けっぱなしなんてあの人は絶対認めないから…そう言えば餃子さんは?」

ベジータと言う人間を良く理解している2人の言葉。

そして悟林は餃子の姿が見えないことに気付いて周囲を見渡す。

「餃子は俺が置いてきた。修行はしたがはっきり言ってこの闘いにはついていけない…」

「そっか、ちょっと残念」

餃子とは会話はしたことがないが、共にサイヤ人と闘ったのだから少し残念だ。

「あの…今、何時ですか?」

「え…と…9時半…後30分で現れるはずよ」

悟飯が時間を尋ねると人造人間との闘いまで残り30分。

「今のうちだ、帰った方がいい。赤ん坊まで連れて来たんじゃ特にだ!」

「だから人造人間てのを一目見たら帰るって!」

「言うことを聞かないママだねー。トランクス君はブルマさんみたいになっちゃいけないよ?」

「?」

「失礼ね!このあたしほど人間の理想を体現しているのはいないわよ!」

「…あ、うん…」

ブルマの発言にツッコめなくなってしまった悟林はトランクスと戯れることにした。

「………」

「複雑か?悟林ちゃん取られて」

「そ、そんなわけないじゃないですか!僕はもうそんな歳じゃありませんし!」

トランクスと戯れる悟林を見つめる悟飯に、クリリンがからかい気味に尋ねる。

「ショックだな~俺…」

トランクスを見つめながらぼやくヤムチャ。

何かに気付いたピッコロが静かに呟いた。

「何者かがこっちに来る。邪悪な者ではない…」

「え?ベジータさんかな…」

「あいつは邪悪だろ…」

「クリリンさん、トランクス君の前でそんなこと言わないで。ベジータさんはトランクス君のお父さんなんだから」

「そ、そうだな…」

小型飛行機が近づいてきて、その中にいる人物を見て悟空が笑む。

「あーヤジロベー!」

「間に合って良かった」

ヤジロベーは着地し、飛行機から降りる。

「よう、ヤジロベー。おめえも戦いに!?」

「……これ、カリン様から仙豆だ」

「おっ!助かりー!さっすがカリン様だな!」

仙豆の入った袋を渡すと、ヤジロベーはすぐさま飛行機に乗る。

「じゃあな、頑張れよ」

「え!?おい、ヤジロベーも闘うんだろ!?」

「俺はおめえ達のような馬鹿と違って死にたくねえんだよ。いちいち付き合ってられっか」

そのまま去っていくヤジロベー。

凄く本能に忠実と言うか、普通の人を象徴していて悟林はその姿を新鮮だと思う。

「妙だと思わんか…10時はとっくに過ぎているのに。敵の気配が全く感じられん…」

「え?」

「そ…そう言えば…」

天津飯の呟きに一同が振り返り、悟飯も同意する。

ヤムチャが希望的観測を口にした。

「やっぱりあいつの出鱈目じゃなかったのか?人造人間なんて…」

「…でも10時頃って言ったのよ。今、10時17分だから分かんないわよ」

「それにしても強い気などまるで感じられないんだ。そんなに凄え奴らならこの地球のどこにいたって分か…痛え!?」

悟林によって脛に蹴りを入れられたヤムチャ。

抗議しようとしたが、超化してヤムチャを冷たく見据える悟林にヤムチャは冷や汗を流した。

「トランクス君を悪く言わないでよおじさん」

「おじさ…!?お、俺はその子には何も言ってな…!」

「問答無用。人造人間の前に殴り潰してやる」

「ま、待て落ち着け!落ち着いて話し合おう!超サイヤ人の悟林ちゃんに殴られたら死んじまう!」

「トランクスのこと本当に気に入ったんだなー」

「いや、ヤムチャさんが言ってたのは未来から来た奴だろ?何でそれで悟林ちゃんはあんなに怒るんだ?」

悟空とクリリンの会話の直後にヤジロベーの乗っていた飛行機が爆発した。

「ヤジロベーさんの飛行機が!?」

悟林が爆発したヤジロベーの飛行機を見つめながら叫び、ピッコロが近くの人影を発見した。

「見ろ!何かいるぞ!あれが攻撃したんだ!」

飛行機の爆発地点からほんの少し上空に明らかに飛んでいるとしか思えない人物が2人いる。

遠い上に爆発の煙が邪魔をしていたため姿が見えず、2人はそのまま下の町に降りた。

「見えたか!?」

クリリンに問われ、悟林は首を横に振り、悟空も同じように首を振った。

「い、いや、どんな奴か分からなかった……!ど…どういう事だ……。ま…まるで気を感じなかったぞ…」

町を見下ろしてみても、高い山の上からじゃどこに降りたのか分からない。

すぐに見失ってしまい、悟空の言うとおり、2人からは気などなかった。

もしあれば、ヤジロベーの飛行機が爆発する前に分かったはずなのに。

「じ、人造人間だからだ……き…気なんてないんだ…」

「な…何だと…!」

「人造人間はどこに降りたんだろう?」

「気を感じないのであれば直接目で探すしかあるまい…!」

悟林の言葉にピッコロが答える。

当たり前の事だが、気を感じ取れないのであれば、直接肉眼で確認するしかない。

「よし。みんな散って探そう!ただし深追いはするな。発見したらすぐみんなに知らせるんだ!悟飯はヤジロベーを見てやってくれ。まだ生きてるはずだ!」

「はいっ!」

「行くぞ!」

ピッコロの言葉を合図にそれぞれが散る。

悟林も例に漏れず、町中を探し出した。

人造人間との闘いが幕を開けた。

急いでいたため、周りの人がどう思うかを完全に失念していたが、幸いにも悟林が降りた付近は人がいなかった。

走って大きな通りに面した道に出るが、普通に歩く人々ばかりで、怪し気な空気を発している者はいない。

いくつか人の集まっている場所を見てみる。

「……そもそも人造人間の顔を知らないんだから、探そうったって…探しようがないよね。トランクスさんに人造人間の特徴を聞いとけば良かった。」

手当たり次第に、“あなたは人造人間ですか?”なんて馬鹿みたいに聞けないが、かといって見つけられないと取り返しがつかない事になりかねない。
 
仕方なく、当てもなく探していると、大きく気が乱れて減っていくのに気付き、この気の質からしてヤムチャだ。

ヤムチャがいる場所にすぐさま移動した悟林。

既にヤムチャは不気味な2人組みのうちの1人の攻撃を受けて既に意識がなく、腹を突き抜けた手が引き抜かれた。

「ヤ、ヤムチャ!」

「こいつらがトランクスさんの言っていた…」

後に悟空達も同時に到着し、悟空がヤムチャの状態を見て叫んだ。

不要とばかりに放されたヤムチャは無惨に転がり、悟空がクリリンに指示を飛ばす。

「クリリン!ヤムチャはまだ生きてる!仙豆をさっきのとこに置いてきちまったから、連れてって食べさせてくれ!」

「わ…分かった…!」

クリリンはヤムチャを連れて先程の場所へ戻っていった。

「あなた達が人造人間…何かイメージと違うなあ…もっと強そうで怖そうなのを想像してたけど」

悟林がイメージと正反対の見た目の老人と白い人形のような人造人間に拍子抜けする。

しかし、こういう見た目に騙されて未来の世界の自分達はやられてしまったのかもしれない。

「不思議だ…何故我々が人造人間だと分かったのだ?それにここに現れることも分かっていたようだな…何故だ?答えてもらおうか」

「さあな…力ずくで聞き出してみたらどうだ?」

「そうしよう」

老人の言葉に悟林達が構えた時、悟空が叫ぶ。

「待て!ここじゃ犠牲が大きい!誰もいない場所に移ろう!おめえらもいいな!?」

「誰もいない場所へか…良いだろう。だが、わざわざ移動することはない…」

次の瞬間、老人の目からビームが発射され、町が破壊されていく。

「止めろーーーっ!!」

悟空が老人を殴って攻撃を中断させ、老人の帽子型のメットが転がり落ちた。

その際に老人の頭部が露出する。

「(…人間の脳?)」

「き、貴様~…!」

悟林がガラスのような物で守られている脳を見つめ、悟空が老人に怒り、老人はメットを拾って被り直した。

「誰もいない場所を作ってやろうと思ったのだが…どうやらここは気に入らないらしいな」

「ついてこい!2人共、ぶっ壊してやるっ!!」

「お前達に我々は倒せない」

今まで黙っていた方の人造人間が言うと、老人の方が同意した。

「良いだろう、ついていってやろう。好きな死に場所を選べ孫悟空…」

老人の言葉に驚く悟空達。

「な…何で、悟空の名を…!?」

「お前達も分かるぞ…ピッコロ…天津飯…そして孫悟空の娘の孫悟林だろ?」

驚く天津飯の言葉に他の者達のことも知っていると言い放つ。

更に驚くが、パトカーかこちらにやって来た。

「お父さん、みんな。パトカーが来た…訳は後で聞こうよ」

「ああ、行くぞ!!」

悟空が飛び立ち、人造人間達がそれを追いかけ、悟林達も追い掛けた。

そして多くの岩山が存在する荒野に着いた途端に老人が声を上げた。

「いい加減にしろ孫悟空。どこまで行く気だ。ここがいい、この場所にしろ。貴様らには選ぶ権利などないのだぞ」

老人と男が降りると仕方なく悟空達も降りた。

「(ちい…高原ではあるが、周りは岩山に囲まれている…いざと言う時は岩に隠れて闘おうと言う計算か…こいつら考えてやがるぜ…)」

「さあ、闘う前に教えろ…何故オラ達のことを知ってるんだ…」

悟空が老人に尋ねるが、天津飯は悟空に違和感を感じた。

「良いだろう、教えてやる…恐らく聞かなければ良かったと後悔するはずだ」

「(ど…どういうことだ。孫が息を切らしている…あ…あいつがただ飛んだだけで何故だ…)」

今まで悟空が舞空術で飛行するところを見てきたが、これくらいで息切れをするような体力ではなかったはずだ。

「孫悟空…貴様をずっと偵察していたのだ。超小型の虫型スパイロボットを使ってな…天下一武道会の時もピッコロやベジータとの闘いの時も…つまり貴様が我がレッドリボン軍を滅ぼして以後、研究を続けたわけだ…如何にすれば孫悟空を倒すことが出来るか…どういう人造人間なら勝てるのか…」

「オラへの恨みか…」

「そうだ!貴様のせいでレッドリボン軍世界制圧の夢は消え去ってしまい、ドクター・ゲロだけが残った…!」

「何かお父さんが悪者扱いされてるけど、レッドリボン軍のやって来たことを考えれば当然の報いって奴じゃないの?散々悪さしてきたんだからさ。滅ぼされても文句は言えないんじゃないかな?」

歴史の教科書にも載っているくらい、レッドリボンの悪事は相当に酷い物であった。

何故父である悟空と激突したのかは知らないが、悪事に対する当然の報いと言う奴だろう。

「黙れ!貴様のような小娘に創設時から掲げられたレッドリボン軍の崇高な夢を理解出来るものか!」

「まるで貴様自身がドクター・ゲロのような言い方だな…」

老人の言葉に違和感を感じたピッコロが言うと老人は冷静さを取り戻したようだ。

「馬鹿を言うな…!私はドクター・ゲロの造り上げた人造人間20号だ…ドクター・ゲロは死んでこの世にはもういない…」

「なるほど…だが、ナメック星での闘いもスパイしたのか?」

悟空にとって一番気になるのはそこだ。

自分達の闘いをどこまで偵察されていたかで人造人間の強さも変わってくる。

「そんな必要はない。ベジータ達との闘いまでで貴様のパワーや技は完全に把握した。その後、更に腕を上げたとしても年齢から考え、それまでのような大幅アップは無理だと言う計算だ…」

それを聞いた悟空が不敵な笑みを浮かべる。

「一番肝心なことを調べ忘れちまったらしいな…おめえらの負けだ…!」

「何?」

「致命的だったな…超サイヤ人のことを知らなかったとはな…」

「スーパーサイヤ人?」

「はああ…!」

ピッコロの言葉に疑問を抱く20号だが、悟空が気合いを入れて超化して超サイヤ人となる。

「ほお…」

「(あれ?お父さんの気、何でこんなに弱々しいの?)」

いくら感じ慣れたり、体に気を入れていないからと言ってもこの弱々しさは異常であった。

「(な…何という気だ!凄い…!これが超サイヤ人の悟空か…!)」

「………」

悟空の超化を一度しか見ていない天津飯はトランクスとの手合わせの時以上の気に驚き、ピッコロもまた悟林同様に悟空の気の弱々しさを感じていた。

「2人共、手を出さないでくれ。こいつらの一番の目的は俺らしいからな…」

「なるほど…確かにかなりのパワーアップを果たしたようだな。不思議な技だ。計算した数値を遥かに超えている…だが、我々が慌てるほどの物ではない。私は当然として19号でも充分に倒せるレベル内だ…」

「あ、そう。じゃあ早速その強さを見せてもらおうかな。そりゃ!!」

悟空が19号に向かっていき、19号も構えを取って右手を突き出して来たが悟空の姿が掻き消えて19号の背後を取ると、肘打ちを喰らわせて岩に叩き付ける。

19号は起き上がると悟空に向かっていくが、片手で頭突きを受け止められた後に上空に蹴り上げられる。

悟空も舞空術で追い掛けて猛攻を加える。

「す…凄い…!…何という強さだ…あ…あれが超サイヤ人…俺達とは…まるで次元が違う…ち…違いすぎる…」

「そうかなあ…」

「悟林、お前も気付いたか」

「何て言うか、お父さん。気が不安定過ぎるよ。不安定過ぎて実力の半分も出せてない感じ」

悟空と修行して実力を把握している悟林とピッコロは今の悟空に違和感しか感じない。

人造人間側に焦りが出てきたところに悟飯達が到着してきた。

「お…お父さん…!」

「心配は要らん。悟空はとんでもない強さだ。凄いぞ超サイヤ人とは…!奴らでかい口を叩いていたが、手も足も出ん」

天津飯の言う通り、悟空の攻撃は19号に叩き込まれており、反撃すらろくに出来ていない。

「ほ…本当だ…エネルギーを吸い取られてしまうというのは…お…俺の勘違いか…!?」

「エネルギー?どういうことなのヤムチャさん?」

ヤムチャの呟きに反応した悟林が尋ねるとヤムチャが説明してくれた。

「奴らに顔を掴まれた時、何か…何もしていないのに気をどんどん吸い取られていったんだ…」

「お父さんの不調の原因はそれ…いや、闘いが始まる前から様子がおかしかった…」

「お、お姉ちゃん…何かお父さん…変じゃないかな?」

「悟飯もやっぱりそう思う?」

「やはりお前達もそう感じるか、孫悟空は何故か勝負を焦っている…既に全力に近い飛ばし方だ…それなのにあの様は何だ…」

「な…何を言ってるんだお前達は…圧倒的に悟空が押しているんだぞ…!」

双子とピッコロの言葉に天津飯は驚くが、超サイヤ人となった悟空の実力はあんな程度ではない。

「うーん、今のお父さんの力は私達との修行で見せてくれたフルパワーの半分以下だね。流石に地球に帰ってきた時よりは強いけれど」

「半分以下だと…!?あれでか…!?」

悟林の言葉に天津飯だけでなくヤムチャ達まで驚愕する。

次の瞬間、19号は悟空の蹴りによって蹴り落とされ、地面に叩きつけられた。

しかし、叩きつけられた19号は何事もなかったように起き上がった。

「見…見ろよ…あれだけやられながらケロッとしてやがるぜ…」

「人造人間だ。痛みも疲れもないんだろうぜ…」

悟林が上空にいる悟空を見ると、悟空は既に息切れを起こしている。

いくら全力で飛ばしてもあれくらいならばまだまだ余裕なはずの父の悟空がだ。

「だーーーっ!!」

このままでは埒が明かないと考えたのか、かめはめ波を放つ悟空。

「しめた!」

「ひゃは!」

かめはめ波を放ったことに20号と19号が笑みを浮かべ、19号が右手を翳すとかめはめ波を吸収した。

「かめはめ波が!?」

「きゅ…吸収した…!」

悟林と天津飯達がかめはめ波を吸収されたことに目を見開く。

「や…やっぱりそうだ!奴ら手から…!」

「孫っ!気功波の類いは撃つなーっ!こいつら気を吸い取るらしいぞ!手からだ!掴まれてもまずい!良いかーっ!!」

「き…気を吸い取る…?じょ…冗談じゃねえぜ…」

ピッコロが叫ぶとかめはめ波を撃ったことで更に疲労した悟空が引き攣った笑みを浮かべる。

「やっぱりお父さん様子がおかしいよ…」

「た、確かに…かなり辛そうだ。もうそんなに気を奪われちまったのか!?」

「いや…直接は一度も吸い取られていないはずだ…」

悟林の言葉にヤムチャが同意するが、ピッコロは吸収されたのはかめはめ波くらいで他は一度も吸収されていないはずだと言う。

「「はっ!!」」

そこで双子は違和感の正体に気付き始めたが、敵は待ってはくれずに悟空に向かっていった。

そして始まった第2ラウンドだが、今度は悟空が19号に押され始める。

19号のパワーとスピードはかめはめ波を吸収したことで向上し、反撃しても逆に手痛い攻撃で返されて空中から叩き落とされてしまう。

「この…!」

「撃つな悟空っ!」

何とか急制動をかけて地面への激突を避け、再びかめはめ波を放とうとしてピッコロに止められる。

「くっ!ちっ…畜生…!」

「もしかしてお父さん…今、心臓病が発症したんじゃないの!?お父さん…症状が出なかったから今まで薬飲んでなかったし…」

胸を掴んで耐えるような悟空の姿に悟林は心臓病が発症してしまったのではないかと予想する。

「心臓病だと!?あの時、未来から来た奴の言っていたウイルス性の心臓病か!?」

「多分!今まで症状が出なかったのは、本当はフリーザ達は私とお父さんが倒すはずだったんだ。フリーザ達と闘わないで済んだおかげで心臓病の発症が遅れちゃったんだよ!」

もしトランクスが介入しなければ恐らく悟空の心臓病の発症は歴史通りとなっていただろう。

「お父さん!私と交代して!お父さんは家に戻って薬を!」

19号との闘いに入ろうとする悟林に20号が立ちはだかる。

「ここから先へは行かせんぞ。病気とは好都合だ、奴を苦しませながら息の根を止めてやろう」

「退いてよお爺さん。私はお年寄りを殴ったり蹴ったりする趣味はないんだよね」

「ならば父親が苦しみ抜いて死ぬ姿を黙って見ているがいい…」

「ふうん…あんまり調子に乗るなポンコツ!!」

「っ!!」

怒りのまま超化して超サイヤ人となると、20号を蹴り飛ばして岩山に叩き付け、19号も同様に蹴り飛ばして岩に埋めた。

「お父さん!しっかりして!ここは私が何とかするからみんなはお父さんを家に!!」

悟空をピッコロに投げ渡し、悟林は体に気を入れて充実させる。

「お姉ちゃん!でも…未来じゃ…未来じゃお姉ちゃんは!せめて僕も一緒に…」

「我が儘言うな悟飯!私を困らせるんじゃないの!」

「まさか貴様まで孫悟空と同じ変化をするとはな。だが、私と19号から逃れられると思っているのか?諦めろ、どれだけ足掻こうが貴様らに残されているのは絶望だけだ」

「どうかな?そうとは限らないぞ」

離れた場所から聞こえた声に振り返るとベジータが腕を組んだ姿でこちらを見下ろしていた。

姿を現したベジータにこの場にいる誰もが驚いた。

悟林の隣に降り立つと、人造人間達を睨みながら言い放つ。

「こいつら親子は俺の獲物だ。てめえらガラクタ人形の出る幕じゃねえ」

「遅れて来たのに相変わらずな態度だね…お父さん、心臓病になっちゃった」

「俺は全て見ていた。カカロットの馬鹿は自分の体の異変に気付きながらも超サイヤ人になってしまった。そんなことをすれば心臓病が一気に進行してしまうだけだというのにだ…さっさとそこの馬鹿を自宅へ連れていき、あの時受け取った薬を飲ませてこい!」

悟空をヤムチャが連れていき、残りはここに残るようだ。

19号が追いかけようとするが、それは20号によって止められる。

「19号!追わなくてもよい!楽しみは最後に取っておくと言うのも一興だ。まずはこのうるさい蝿共を片付けておこう…ベジータも加わったことだし少しは面白くなるはずだ」

「何を偉そうに言ってるんだか…本調子じゃないお父さんに勝ったくらいで…」

かめはめ波を吸収するまで相当焦っていたと言うのにまるでなかったように振る舞う姿には呆れるしかない。

「ふん、で?俺と闘うのは爺か?それとも白い奴か?」

「あ、一応白い方はお父さんのかめはめ波を吸収してパワーアップしたようだから手応えは爺さんよりはあるでしょ、そっちはベジータさんにあげるよ。私は…このポンコツ爺さんをスクラップにしてやる」

「20号…どうか私にベジータを始末させて下さい」

「欲張りめ…孫悟空からエネルギーを水取って己の絶対パワーを上げた癖に…まあ良かろう…その代わり、ベジータの次に強力な孫悟林のエネルギーは私が頂くぞ」

超サイヤ人の副作用の興奮により、苛立ちやすくなっている悟林のこめかみに青筋が浮かんだ。

「これまでの僅かな動きを見ていて分かった…貴様らは噂ほどとんでもないタマじゃなさそうだ。エネルギーを吸い取るらしい手のひら…注意するのはそこだけだ…」

「ずっと様子を窺っていたらしいが、肝心な部分を聞き逃している。ベジータ、貴様の格闘技は既に知り尽くしているのだ。」

「その割にはカカロットや悟林の超サイヤ人には対応出来ていなかったぜ。つまり貴様らのデータはフリーザとの闘い以前から現在を推測したものだ…計算だけで分かるもんじゃない。俺達サイヤ人はな…」

闘えば闘うほどに、目標があればそれを超えるために際限なく強くなるサイヤ人に計算で理解出来るはずがない。

「ふん」

しかし、19号はそれを負け惜しみと判断したのか鼻で笑うだけだ。

「知りたいもんだ…人造人間でも恐怖に怯えるのかどうか…」

ベジータも気合を入れて超化し、超サイヤ人となる。

「あいつもか…!」

「流石、ベジータさん。あの時の手合わせ以上のパワーだ。」

クリリン達は驚いているが、一度ベジータと手合わせする際に知っている悟林はあの時以上のパワーに感心する。

「ご、悟林ちゃん知ってたのか!?ベジータが超サイヤ人になれるってことを!?」

「うん、お父さんも知ってるよ?」

クリリンが悟林に尋ねるが、隠すことでもないので即答する。

ついでに悟空も知っていることを暴露した。

「で…でも超サイヤ人は、お…穏やかな心を持ってないとなれないんじゃ…」

「穏やかだったさ…穏やかで純粋だった…ただし、腑抜けているこいつら親子と違って純粋な悪だがな…ただひたすら強くなることを願った…そして凄まじい特訓を繰り返したさ…ある時俺は自分の限界に気付いた…自分への怒りで突然目覚めたんだ…超サイヤ人がな!俺は喜びに打ち震えたぜ…やっとこいつら親子を超え、サイヤ人の王子に戻る時が来たんだ…」

「悪いけど私は負けるつもりはないよ?お父さんだってそう、ベジータさんが私とお父さんを超えるって言うなら私もお父さんもベジータさんを超えてやる」

ベジータがどれだけ強くなろうと悟林も負けるつもりはないし、悟空もそうだろう。

負けても修行して必ず追い抜いてみせる。

「ほう、同じ超サイヤ人とは言え、下級戦士一族が超エリートに勝てると思うか?」

「やってみないと分からないよ?でもその前にこの2人を解体しよっか!」

互いに好戦的な笑みを浮かべながら視線を2人の人造人間に戻した。

「戯言はそれぐらいにしておくんだな。何に変化したところで所詮は私達人造人間には敵うものではない。さっきの孫悟空のようにな…」

「ほほほ…ひゃーほほほ!!」

高笑いしながらベジータとの距離を殴りつけるものの、僅かに後退させた程度で終わる。

「カカロットのエネルギーを吸収してこれか…やはりこんな程度だろうな…」

「あーあ…知ーらない」

ベジータの気の昂りに気付いた悟林は20号との距離を詰めて腹に拳をめり込ませた。

「うぐっ!?」

そして怯んだところ連続で殴り付ける。

そんな悟林の横でベジータは笑みを深めた。

「言わなかったがな…超サイヤ人になると大猿程ではないが、凶暴性が増すんだ…軽い興奮状態になるんでな…俺はあいつら親子のように甘くはないぞ、痛みを感じなくてラッキーだったな」

次の瞬間、ベジータの蹴りが19号の腹にめり込み、横っ面に肘打ちを叩き込んで怯んだところを蹴り飛ばした。

「な…何…!?」

「どこを見ている!!」

余所見をしている20号の横っ面に悟林の鉄拳が炸裂した。

「どうした、てめえらガラクタ人形の計算が狂ったか?」

19号は起き上がるとベジータに突進するが、ベジータはそれを上体を反らしてかわし、両腕を支えにして上空に蹴り上げる。

上空に吹き飛ばした19号を追い掛けると、19号はエネルギーを奪い取ろうとするが、かわされて逆に顔面を殴られる。

「ぐ…!」

「良く出来てるじゃないか。そいつは血か?オイルか?」

鼻から垂れる液体に無駄に良く出来ていることにベジータは笑った。

19号が目からビームを放つがベジータがかわして組んだ拳を脳天に叩き込んで地面に叩き付けた、あまりの威力にクレーターが出来る。

「ば、馬鹿な…!ベジータと孫悟林がここまで…!」

「私達を見くびり過ぎたのがお前達の敗因だよ」

気合砲で20号を吹き飛ばす。

流石にこれは吸収出来ないようだ。

ベジータが19号の前に降り立つと、19号は起き上がってベジータの両腕を掴んだ。

「ふほほほほ!捕まえた!貴様のエネルギーを吸い尽くすまで放さないぞ!蹴っても無駄だぞ。絶対に放さない!」

「絶対に…だな?」

不敵な笑みを浮かべるベジータ。

向こうで悟林が20号を蹴り飛ばし、そして真上を取るのと同時に地面に蹴り落とした。

「う…ぐぐぐ…」

「私も全然本気出してないんだけど…人造人間ってこの程度なのかな?それとも私達が強くなりすぎちゃったのか…」

「お、己…孫悟林がここまで…」

何かが折れるような音が聞こえて振り返るとベジータが19号の両手をもぎ取っていた。

「なるほど、手のひらのここから吸い取るわけか…結構吸い取られちまったが、これでもうそいつも出来なくなっちまったな…」

手のひらに埋め込まれたレンズを見つめながらベジータが呟き、両手を捨てた。

「ひ…」

「恐怖を感じるのか、人形野郎でも…」

怯える19号に笑みを強めるベジータに19号は逃走する。

ベジータは舞空術で上昇し、片手を逃走する19号に向けた。

「くっ…己…!」

「おっと、邪魔はさせないよ」

ベジータに飛び掛かろうとする20号の前に悟林が立ちはだかり、そしてベジータが気を解放して手のひらに高密度の気弾を作り出す。

「喰らえ!こいつが超ベジータのビッグバンアタックだ!!」

放たれた気弾は凄まじいスピードで19号に迫り、そのまま直撃した。

直撃を受けた19号は頭部だけ残して転がる。

人工頭脳も破損しているため、完全に機能停止している。

「…確かに計算違いだったようだ…だが、相変わらず貴様らの勝利する可能性は全くないぞ…!」

「へっ!」

ベジータは着地すると超化を解いて通常の状態に戻る。

「さて、私もそろそろ決着をつけるかな…」

「ぬう…!」

「さっき俺達の勝利する可能性は全くないとほざいていたが…悟林にさえ勝てんようではとてもそうは思えんがどういう意味だ?」

「ふふ…貴様らがいくら想像以上に強くても…その程度では人造人間には絶対に勝てんと言うことだ…」

「ふん…やっぱり単なる負け惜しみだったか…悟林、さっさと始末してしまえ。何なら俺がやっても良いんだぞ?」

「ベジータさん、自分だけ良い思いしようなんて駄目だからね」

片腕を振り回しながら20号を破壊しようと歩み寄る悟林だが、目からビームが放たれ、それをかわした隙を突かれて逃げられてしまう。

「しまった!!」

悟林が逃走した20号を追い掛けるが見失ってしまい、周囲を見渡しても岩ばかりだ。

近くにベジータの気を感じる。

仙豆を食べたのか気が全快している。

「よーし、こうなったら周囲を吹き飛ばしてやる」

邪魔な岩を吹き飛ばそうと、両手から魔閃光を放ちながら回転し、周囲の岩を吹き飛ばしていく。

途中で違和感を感じて攻撃を中断すると20号が両手を前に出していた。

「げっ!しまった!」

「ふははっ…エネルギーは貰ったぞ!」

「こんの…!」

「ご、悟林ちゃん…」

クリリンの声に振り返ると鼻血を流したクリリンが仰向けになって倒れていた。

「クリリンさん!?どうしたの!?」

「ベジータならともかく…ご、悟林ちゃんがあんな強引な方法を使うとは思わなくってさぁ…」

「あ、吹き飛ばした岩がぶつかっちゃったんだね…ごめんクリリンさん、まさかクリリンさんが近くにいるとは思わなくて…」

「ま、まあ…俺も避けるの遅れたからな…」

「と言うかクリリンさん、鼻がないのに鼻血出るんだね…あ!?逃げられちゃった…」

鼻がないのに鼻血が出ると言う矛盾しているクリリンの姿に疑問を抱きながら20号に逃げられたことに気付く。

「ご、ごめんな…足引っ張っちゃって…」

3年間、必死に修行したと言うのに役に立つどころ足を引っ張ってしまっていることはかなりクリリンにとってきついことだった。

「そんなことないよ、クリリンさんがいてくれて心強いと思ってんだからさ…まだ遠くへ離れてないはずだよ。探そう」

落ち込むクリリンを元気付けながら悟林は20号を探すのであった。 
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