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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第19話

 
前書き
ブルマはヤムチャが浮気性と言っていたけれど、無印とかでは明らかにブルマも人のことを言えなかったりするんだよなぁ… 

 
悟林は悟空と超化した状態で組み手をしていた。

悟空としては悟林が超化出来るようになっていたのがありがたく、互いに好戦的な笑みを浮かべながら拳と蹴りを繰り出していく。

離れた場所で悟飯とピッコロも組み手をしており、人造人間との闘いの修行はそれなりに順調であった。

「お父さん、超サイヤ人になったまま界王拳って使えないかな?」

一旦距離を取ると、今まで考えていた超サイヤ人と界王拳の併用について悟空に尋ねた。

「超サイヤ人の状態で界王拳か…あまりお勧めはしねえな」

悟空は構えを解いて思考すると、超化した状態での界王拳はお勧め出来ないようだ。

「どうして?」

「超サイヤ人になるとどうも気分が落ち着かねえ。そんな状態で界王拳のような少しのミスも許されねえ気のコントロールが出来ると思うか?それに超サイヤ人も界王拳ほどじゃねえが疲れる。もし使えてもすぐに体が保たねえし、長期戦も出来ねえ」

「むむ、そうか…」

簡単に強くなる方法はないのだと悟林は眉間に皺を寄せた。

「けどな、少しでも強くなろうって姿勢は良いと思うぞ。ただ鍛えるだけが修行じゃねえ。自分の使える技を工夫しようって言うのは良いことだしな」

悟空は微笑むと超化を解いた。

そろそろ昼食の時間だ。

以前超化した姿を見られてチチに怒られたことがあるので、チチの前では超サイヤ人の姿は見せないことになっていた。

「超サイヤ人は不良じゃないのにね」

何度説明しても超サイヤ人を不良で片付けるチチに悟林は溜め息を吐いた。

「そういうとこも母さんじゃねえのか?」

「…そうだね」

きついところもあるが、自分達のことを想ってくれる人だ。

お説教は嫌だが、2人にチチを嫌うと言うのは絶対にない。

「よーし、帰ろう。」

先に家に帰って手伝いをしなくてはと思っていたのだが。

「悟林ちゃん、西の都に行って買い物に行ってきてくれねえだか?」

「買い物?」

「調味料が少なくなってきてなあ、取り敢えずこの紙に書かれた物を買ってきて欲しいだ。」

「うん、良いよ」

必要な調味料の書かれた紙を受け取ると早速超化して超サイヤ人となると西の都に向かった。

「悟林ちゃん!不良は止めるだーーーっ!!」

後方のチチの怒声を聞き流しながら。

あっという間に西の都に到着し、チチに頼まれた調味料を大量に買ってパオズ山に帰ろうとした時にブルマの姿を見かけた。

どこか怒っているような気がするが。

「ヤッホー、ブルマさん」

「あら…悟林ちゃん」

「何か怒ってるけど…またヤムチャさんが女の子に鼻の下でも伸ばした?」

「あいつあたしに一言もなく旅に出ちゃったのよ!プーアルだけ連れてね!」

「あー、修行の旅ね」

恐らくヤムチャも人造人間との闘いのためにヤムチャなりに自分を追い込むために旅に出たのだろう。

「全く!恋人のあたしを置いていって!」

「仕方ないよ修行の旅なんだし、ブルマさんがいたらヤムチャさんも集中出来ないよ」

修行の旅の最中に危険なこともあるだろうし、身を守る術がないブルマを連れてはヤムチャも集中出来ないだろう。

大体根っからの都会人のブルマがヤムチャの修行の旅についていけるのかも疑問だ。

「はあー、悟林ちゃんって本当に孫君そっくり」

「え?そう?」

「そうよ、はあー…あたしってこのまま結婚しないで一生を終えるのかしら…」

溜め息を吐くブルマ。

悟林は困りながら頭を掻く…これは父親である悟空の癖である。

「えーっと、ブルマさん結婚したいの?」

「そりゃあね…あたしもそろそろいい歳だしさ…」

自分で言って不快になったのか表情を歪めるブルマ。

「ヤムチャさんのこと好き?」

「好きよ」

「じゃあヤムチャさんと結婚したい?」

「どうかしら…あいつ浮気性だし…」

「ブルマさんも大概な気がするけど…」

「何か言った?」

「ううん、なーんにも。ヤムチャさんは今でも浮気してんの?」

悟空からブルマのいい男好きを昔話で聞いていた悟林。

昔のブルマはヤムチャと言った顔の良い男にすり寄ることもあり、そして時々の会話でブルマのそう言う所が滲み出ることがあるのだ。

「分からないわ、必要以上に干渉なんて互いにしないし。浮気が発覚したらあたしが疲れるし」

「まあ、浮気するような人と一緒にいたら疲れるしね…(ヤムチャさんもブルマさんにそういうとこがあるから少しの距離を取りながら付き合ってるんだろうな…多分…)でもヤムチャさんが本当に好きなら結婚しても良いんじゃない?」

脳裏にトランクスの顔が過ぎるが、トランクスに胸中で謝罪しながら言葉を続ける。

こればかりはこの時代のブルマの気持ちもあるのだし。

「浮気性でも?」

「ヤムチャさんもどうしようもない人ってわけじゃないじゃん?結婚すれば変わると思うよ。私のお父さんだって結婚する前とした後じゃ違うところもあると思うけど」

「まあ、孫君がそれなりにパパしてるのは分かるけどね。でも働いてないでしょ?」

「残念でした。お父さんはつい最近農家さんになりました。」

「ええ!?孫君働いたの!?」

「お母さんの説得のためにね。修行も兼ねてるんだよ、昔の亀仙人のお爺ちゃんの修行で4tの重りの服を着て」

「よ、4t…あたしには想像出来ない世界だわ…と、とにかく就職おめでとうって孫君に伝えといて…後で必要な機械とか贈るわ」

「…機械より私とお父さんが素手でやった方が早いよ?」

「それでもよ、チチさんに使わせれば良いでしょ?」

「…お母さんも農作業は素手でやった方が早いと思うんだけど」

そう考えると悟空と双子もそうだが、チチも大概超人なのだろう。

「悟林ちゃん達の強さは両親譲りなのね…話は戻すけど結婚してもヤムチャを振り向かせ続けられる自信がないのよ」

「ねえ…ブルマさんはヤムチャさんのこと好きじゃないの?」

段々と面倒になってきたのか悟林の声に疲れの色が見える。

「好きよ、好きじゃなかったらナメック星にまで行かないわよ。大好きだけど、仮にヤムチャと結婚してもそこまで尽くす自信ない…別にヤムチャと別れたいなんて思わないし、一緒にいると楽だし。あっ、ヤムチャより好きな人が出来れば別だけどね。」

「ふーん、恋愛と結婚って面倒だね」

元々興味の薄かった恋愛だが、ここまで面倒臭くなると余計に遠慮したくなる。

「あんたも他人事じゃないわよ。あんただっていずれ恋愛と結婚するんだから」

「私は結婚とか恋愛には興味ないしね。そういうのは悟飯に全部任せるよ。どうせ学者になるんだから出会いなんていくらでもあるんじゃないの?」

「チチさん泣いちゃうわよ」

「私のことはどうでもいいじゃない…んー…じゃあヤムチャさんと上手く行かないならベジータさんならどう?」

「はあ!?悟林ちゃん、あたしに何か恨みでもあるわけ~?」

ブルマの表情が怖かったが、そこは同性の悟林なので怯まない。

「恨み?ないよ?」

「じゃあ、あたしを破滅の道に進ませたいわけ!?」

「何でそうなるの?」

「じゃあ何よ?どう言う根拠でベジータなのよ!?普通ならベジータよりクリリン君とかを勧めるでしょうが!!」

「ブルマさん、クリリンさんが好きなの?」

「違うわよ!一般的にベジータよりクリリン君の方がいいじゃないのよ!」

面倒臭くなった悟林は手っ取り早く片付けようとしてトランクスの父親であるベジータの名前を出したのだ。

「だって、ブルマさんの身近な男の人ってヤムチャさんを除けばベジータさんじゃん。クリリンさんはブルマさんのことそう言う風には(絶対に)見ないだろうし、お父さんはお母さんのだから論外。天津飯さんとかは知らないけどさ」

「あのね!ただ同居してるからってベジータは飛躍し過ぎよ!大体ね、あの男は前に地球を狙ってヤムチャ達を殺した男よ!悟林ちゃんだって殺されかけたんでしょ!?」

「あはは、あの時か…懐かしいね。あの時のベジータさんには全然歯が立たなかったもん。でもさ、ナメック星で一緒に闘ってベジータさんのことは少しは分かったよ。悪い人だけどお父さんとは違う意味で真っ直ぐなんだってこと。ブルマさんってヤムチャさんとかお父さんを良く見てるから自分に出来ないことが出来る人が好きって感じなんだよね。ベジータさんのこと、良く見てみたら?」

「あーもう!全然お話にならないわ!最近は酷いことに巻き込まれるし、人造人間のことと言い…フリーザやベジータと言い…悟林ちゃんが生まれてからとんでもないことばかりが頻繁に起こるわ…孫君がいる時も大概だったけど…」

疲れたように帰っていくブルマ。

ブルマの苛立ちと共に何気なく発した言葉はパオズ山に帰っても悟林の頭に何となく残った。

後日、ブルマから最新の農業機械が贈られ、早速チチに勧められて悟空が乗ってみた。

どうやら悟空が動かすこともあって操作はかなり簡単な物のようだ。

「どう?お父さん?」

「どうだべ?悟空さ?」

悟林とチチがトラクターに乗っていた悟空に尋ねると、悟空はトラクターを止めて振り向いた。

「自分でやった方が早えな」

「だよね」

「だな」

せっかく貰って全く使わないのもあれなのでチチに使ってもらうことになったのであった。 
 

 
後書き
この時期の…ベジータと結婚する前のブルマは悟空達の闘いを他人事のように見ていると思うんですよね…。

悟空達=人に迷惑かける知り合い

結婚する前のブルマ=巻き込まれる常識人

まあ、恋人のヤムチャがもう既に戦力外になりかけていたからチチみたいに諦めの部分が強いとはいえ向き合うことが出来なかったからなんでしょうけど 
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