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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第百三十四話

 《第129話の続き:ゴジ班》


 ドレスローザ奪還作戦を開始したゴジはリク王、レベッカの保護に向かったステューシー班、ロビン班という頼もしい仲間達を見送りながらヴィオラに声を掛ける。


「ヴィオラ王女、早速リク王家に伝わる王宮への秘密の隠し通路まで案内を頼むよ。」


 ゴジがドレスローザ王国に来たことを知るドフラミンゴは地下の“SMILE”工場へ通ずるオモチャの家の警備を強化している。

 ならば街を流れる水路から王宮の地下倉庫に通ずるリク王家のみに伝わる秘密の隠し通路から王宮へ侵入して、王宮の地下から“SMILE”工場へ潜入しようと考えた。


「えぇ。任せて!」


 ヴィオラの千里眼で街で警戒するドンキホーテファミリーの誰とも会うことなく、無事に王宮の地下への侵入を果たしたが、ゴジ達は王宮の地下倉庫から身動きが取れないでいた。


「ダメ、身動きが取れないわ。部屋の外にドンキホーテファミリーが沢山いる上に近くの部屋には幹部もいる。しかもよりによってピーカ軍の4人なんて!?」

「なんで?ここはリク家しか知らない秘密の道なんでしょう?」


 城の入口を警戒するのではなく、地下を厳重に警戒している理由が分からずにバカラが苦言を呈すると千里眼で地下の様子を探っていたヴィオラが友人を見つけて驚きの声をあげる。


「あっ……地下のお仕置部屋にマンシェリーが幽閉されているわ!」

「「「お仕置部屋?」」」


 ゴジ達は王宮に似つかわしくない部屋の名前に首を捻っていると、ヴィオラは恥ずかしそうに顔を赤らめながら説明する。


「私が幼い頃にイタズラをする度に父に閉じ込められた物置部屋のことです。」

「なるほど……今の落ち着いた様子からは想像出来ないが、ヴィオラ王女は相当にじゃじゃ馬だったんだね。」

「お恥ずかしながら……/////」


 図らずも恥ずかしい子供の頃の黒歴史を明らかにしてしまったヴィオラはさらに顔を赤らめている中、ゴジは作戦を練り直す。


「マンシェリーと言えばトンタッタ族の姫様だったっけ?」

「ええ。マンシェリーはチユチユの実の能力者。どんな負傷を受けた者も一瞬で回復させてしまうの!!」

「なるほど……ドフラミンゴにとって切り札って訳か?ここならば“SMILE”工場、王宮のどちらにも何かあれば直ぐに駆けつけられるからな。だが、裏を返せばマンシェリー姫を助けるチャンスだな。」


 マンシェリーを守ると同時に王宮や“SMILE”工場で不測の事態があれば、彼女の能力で回復させる算段であると分かった上で、マンシェリーを助ける気満々の楽しそうなゴジの姿を見て、ヒナ達は慌てる。


「ゴジ君、“SMILE”工場を制圧前に騒ぎを起こすのは不味いんじゃないの?」

「大丈夫。こういう日に備えてヒナ達にすら隠していた能力を使う。マンシェリー姫は俺に任せて、ヒナとバカラはヴィオラ王女を連れて地下の“SMILE”工場へ急げ。そちらは君達に任せる。」

「「「えっ……!?」」」

「よく見ててね……」


 ヒナ達の前でゴジはある能力を発動すると、彼の姿が忽然と掻き消える。


「ゴジ君が消えた!?」

「まさか……!?」

「そう。実は俺は透明人間になれるんだ。」


 透明化能力を解除して笑顔のゴジが姿を表すと、目の前で文字通りに姿を消したり、姿を現したりするゴジに驚くヒナ達は唖然となる。


「いつも透明人間のように女風呂に潜入してくる理由が分かったわ……まさか……本当に透明になれるなんて……ヒナ納得!」

「そうか!?ジェルマ66(ダブルシックス)のステルスブラックの力……」


 ゴジはヒナ達の驚く声を聞きながら、苦笑する。


「この力は元々はサンジ兄さんが持って生まれるべき能力だった。俺は大好きなサンジ兄さんの力を奪ってしまった気がしてジェルマにいた頃は好きになれなかった。」


 ゴジは元々パーフェクトゴールドとなるべく、金髪でジェルマ66(ダブルシックス)の能力の全てを使えように生まれるはずだっだが、ソラが劇薬を飲んだ影響により、黒髪となってもパーフェクトゴールドの能力を持ったまま生まれた。

 一人の人間の身に特異な能力を持つにはあまりに負担であり、爆発、電気、毒、怪力の能力等は兄や姉よりも威力の劣るモノしか使えないが、ステルスブラックとなるサンジの黒髪を持って生まれた影響か……透明化能力については一切の制限なく使えるも、サンジの力を奪ったという罪悪感から子供の頃はほとんど使わなかった。


「ゴジ君?」

「でも、俺は海軍に入ってヒーローに憧れ、俺の力でヒーローになると誓ったからな。この力も今は俺の力だ!!隙を作って警備を弱めるから“SMILE”工場へ急いでくれ。」


 透明化能力については元帥センゴクとつる、“秘書”のカリファくらいしか知らないが、ゴジが海軍に入ってからは戦闘では使うことはないが、潜入捜査等では大活躍してきた能力である。


「「はっ!」」


 ヒナとバカラはゴジの指示に敬礼を持って応えた。


 ◇


 透明人間となったゴジは部屋に出ると、地上へ上がる階段付近で石を転がしてワザと物音を立てる。


「ん?向こうで物音だ!行くぞ!!」

「「「おう!!」」」


 ドンキホーテファミリーが物音に反応して移動したことで、地下へ向かう道の警戒が弱まり、その隙にヒナ達が無事に地下へ向かったのを確認すると、そのままピーカ達幹部が詰める部屋に移動して、息を殺して四人の幹部達の様子を伺っていた。


「“黒麒麟”は必ずマンシェリーを捕まえに来るって、若は言ってたけど、ほんとに来るのかねぇ?」

「若を疑うのか?ベビー5?」


 タバコを吹かしながら“若”と呼ぶドフラミンゴの命令に不満を漏らす腰まで掛かる長い黒髪にミニスカメイド服という格好のベビー5に対して黒いコートと黒い帽子にゴーグルを掛けたグラディウスが睨み付ける。


 ──おっ!この子がベビー5ちゃん。ヴィオラ王女の映像で見たが、本当にミニスカメイド服とは……なんてエロい格好なんだ!!


 ゴジの視線は当然ながらベビー5の組まれた足に釘付けである。


「おい、グラディウスおちつけよぉ!ここでパンクしたら大変な事になる!」


 グラディウスは怒りで頭が肥大化していくので、黄色い繋ぎを着た5メートルを超える巨体を誇るバッファローが慌てて窘めている。

 超人(パラミシア)系悪魔の実、パムパムの実の能力者であるグラディウスは全身パンク人間であり、ここでパンクさせてしまうと部屋は吹っ飛んでしまうのだ。


「ピッキャピッキャピキャラララ!!ドフィが言うのだ。ここへ来るのは間違い。」


 4メートルを超える身長に分厚い筋肉の鎧を纏う大柄の肉体と強面の顔立ちのピーカに似合わないソプラノ声にベビー5の美しい足を眺めていたゴジは思わず吹き出してしまう。


「ブハッ!あ……まずい。」


 この部屋には4人しかおらず、家族の絆で結ばれている彼らにピーカの声を笑う者はいない。


「「「「誰だ!!」」」」


 ピーカは自らの甲高い声を気にして、馬鹿にされる事を許さないと知っているからであり、侵入者の気配を察した四人は立ち上がり、周囲を警戒する。


「“紫銃”!」

「うっ!?……すぴー……ぴー……」


 超人(パラミシア)系悪魔の実、イシイシの実の能力者であるピーカが石で出来た王宮の地面に潜ろうとした瞬間、背中を撃ち抜かれてそのまま前のめりに倒れて眠ってしまう。


「ピーカ様!?んなー!?何が起きだすやん……うっ!?……ぐぅ……ぐぅ……」

「“紫銃”!これで二人目……」


 慌ててピーカを介抱しようと近寄ったバッファローは腹を撃ち抜かれて前のめりに倒れて眠ってしまったのを見て、グラディウスはパムパムの実の能力を解放して全身を膨らませる。


「ちっ……狙撃か!?“全身破裂(ファッションパンク)”!!」

「グラディウス、何を!?」


 グラディウスの全身破裂(ファッションパンク)は少しの刺激を受けると発動し、部屋を吹き飛ばしてしまうのでベビー5は慌てる。


「ベビー5!この部屋に毒の銃を使う姿の見えない賊がいる。お前も全身を爆弾に変えろ!!」

「分かったわ!“武器変貌(ブキモルフォーゼ)”、“ボム(ガール)”!!」


 グラディウスの意図が分かったベビー5も超人(パラミシア)系悪魔の実、ブキブキの実の能力で全身を爆弾に変えて攻撃に備えると、透明人間となったままピーカ、バッファローを仕留めたゴジは素直に驚嘆する。

 パムパムの実の能力で膨れ上がったグラディウス、ブキブキの実の能力で身体を爆弾に変えたベビー5のいずれかを刺激して爆発させたら互いに誘爆しつつ攻撃したゴジを道連れに自爆するつもりなのだ。


「流石はドンキホーテファミリーの幹部達、四人纏めてここで仕留めるつもりだったが、そんなに甘くはないか……“電撃銃(スタンガン)”!!」

「あばばばば……!!」


 ゴジは指先から電気を放出しながらグラディウスを刺激しないようにそっと首筋に触れると、電気を流されたことでグラディウスの筋肉は強制的に収縮したため能力が発動せず、さらに頭に近い首筋に電気を流されたことで一瞬で気を失い、前のめりに倒れた。


「これで三人目だが……これは参ったな……。」

「グラディウスまで!?あっ……そこに誰かいるのね!姿を現しなさい!」


 直径150cmという円形の巨大な爆弾に目と口があるボム(ガール)となったベビー5は身体が膨れ掛けたまま気を失ったグラディウスに近くに血が滴り落ちる指が浮いている事に気付く。


「バレたか…仕方ない。指に付いた血は消せないからな。はじめましてベビー5ちゃん。俺が“黒麒麟”だ。」


 人差し指の持ち主であるゴジは透明化能力を解除して姿を現した。

 ゴジは透明人間となったままでも能力は使い放題なので、ピーカ達に近づいて毒の能力を宿らせた指銃の“紫銃”で眠らせたが、ゴジの透明化能力は自分のみに効果があるため、ピーカ達の血は透明にならず付着した血で人差し指が浮き出てしまった。


「“黒麒麟”!?あんた、海兵よりも暗殺者のが向いてるじゃないのかい?」


 ベビー5は姿を消しながら音もなくピーカ達を制圧したゴジに対して皮肉を言うと、ゴジは言い得て妙だと思って苦笑する。


「全くだな。俺は君のような可愛い子には怪我をさせたくない。出来れば降ってくれると有難いが……」


 にこやかに笑いながらベビー5へやんわりと降伏を促すゴジだが、実は降伏したいのはゴジだった。彼は今海兵となって以来最大の脅威と相対している。


 巨大な爆弾となったベビー5が爆発してしまえば民間人が使用人として働いている城は崩壊し、ヒナ達が制圧に向かった多くのオモチャとなったドレスローザ市民やトンタッタ族が働く地下の“SMILE”工場や地下交易港にも被害が及び、どれだけの死傷者が出るか想像も付かない。

 ゴジがわざわざ透明化能力を解除して姿を現したのも、問答無用で爆発というベビー5の選択肢を封じるためだった。


 ──どうしたらいい?一番の脅威は城と同化する能力を持ったピーカだと思って真っ先に倒したのによりもよって最大の脅威はミニスカメイドちゃんとは……

 ──とりあえず今は時間を稼ぐしかない。


 お分かりだろうか?

 この場において最も優位に立つのは王下七武海を諸共しない圧倒的な実力を持つゴジではなく、一瞬で多くの民間人を巻き添えに自爆出来るベビー5である。

 今のベビー5はグラディウスと同じように外側から刺激を与えれば爆発し、グラディウスの意識を奪った電気による攻撃は中身の火薬に引火して即時爆発の恐れがあり、さらに鋼鉄の外殻に中身は火薬となった今のベビー5には頼みの綱としてきた毒すらも効くとも思えず、有効打のないゴジは会話で時間を稼ぎながら必死で考えを巡らせている最中だった。


「えっ……!?私が可愛い……⸝⸝⸝?そう……私に降って欲しいのね……分かった。あなたがそれを望むなら私は降伏するわ!!」


 ゴジの言葉に衝撃を受けたベビー5は能力を解除し、人間に戻ると両手を元に戻して頬を赤らめながら狼狽しつつ、降伏をあっさりと受け入れた。


「はっ?」


 交渉の立場において圧倒的優位に立っていたベビー5の突然の全面降伏に対してゴジは目を丸くして驚いていた。


「確か……この棚に海楼石の手錠が……あったわ……えへへっ♪はぁ……はぁ……力が……すこしだけ…まっ……て……はぁ……はぁ……」


 ベビー5は笑顔で近くの棚を漁って海楼石の手錠を取り出すと、海楼石により力が抜けて膝から崩れ落ちながらも、海楼石の力で動かない身体を必死で動かしながら、自分の手首を拘束しようとする。

 最悪の事態に備えて常に見聞色の覇気でベビー5の動きを警戒していたゴジは彼女の心の声を聞いてさらに驚いた。


 ──私、必要とされてる!この人に降伏することで役に立てる!


 ベビー5にはゴジに必要とされたという幸福感しかないのだ。

 こうしてゴジが正式な海兵となってから、はじめて苦戦を強いられると思っていたベビー5との戦いは始まる前には相手の全面降伏という幕切れに終わったのだった。 
 

 
後書き
次の更新は10日です。

透明化能力えげつないですよね……最強の暗殺者にもなれそうなゴジ君です。

もちろん、ベビー5との話も次回に続きますが、その話の中で使うベビー5の本名についてアンケートに御協力お願いします。

次回更新で使いますので、9日の夜までの約2日間です。
 
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