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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第12話

悟林は悟空とギニューの気の高まりを感じながらジースと闘っていた。

悟林が蹴りを繰り出すとジースはそれを受け止めて蹴り返す。

悟林はそれを腕でガードすると立て続けに拳と蹴りを連続で繰り出す。

「お前のようなチビ猿に俺達が負けるはずがないんだ!」

距離を取って気弾を連射するジース。

「猿猿言わないでよ!」

気弾をかわしながら距離を詰めて強烈な拳の一撃を横っ面に叩き込む。

「ぐがあっ!?」

「魔閃光ーーーっ!!」

追撃の魔閃光を放つものの途中で体勢を立て直したジースが何とか上昇してかわす。

「しつこいなぁ…っ!こうなったらフルパワーで…!ん…?お父さん…?」

悟空の気が可笑しくなった。

何故か悟空の気がとても弱々しい。

「まさか…!?」

父がやられてしまったのかと思った悟林はジースを放置して悟空の元に急いだ。

ジースも悟林を追い掛けるが、100倍の重力にも耐えたことでスピードは悟空にも劣らない悟林には追い付けなかった。

戦場に向かうと、そこには無傷の悟空と胸に傷が出来てふらついているギニューの姿があった。

「お父さん!良かったー無事だったんだ」

安心して悟空の元に向かうと悟空はスカウターを装着して邪悪な笑みを浮かべた。

「悟林!そいつはオラじゃねえ!」

ギニューから聞こえた声は聞き覚えのある父親の声で、一瞬悟林は気を取られて悟空からの一撃を横っ面に喰らってしまった。

吹き飛ばされた悟林をギニューが受け止める。

「え?お父さん…?どうなってるの?」

「す、すまねえ…あいつに体を奪われちまったんだ…」

「か、体を!?」

つまりこのギニューは父である悟空なのだろう。

到着したジースは一瞬不思議そうにしたものの、すぐに状況を察したようだ。

「ギニュー特戦隊の赤いマグマ!ジース!!」

「そしてこの俺は…ギニュー特戦隊隊長!ギニュー様だ!!」

両者は並んで立つと、地球の歌舞伎のようなポーズを披露し……悟林とギニュー悟空となった悟空に妙に冷たい風が通り過ぎていった。

「……えっと、つまりあれがギニューって奴で良いんだよね?」

「あ、ああ…そうだ。」

あの妙なポーズはスルーして悟空に尋ねると、悟空は頷いた。

「…お母さん泣いちゃうかも」

「怒るかもなぁ…」

2人の脳裏に泣きながら怒るチチの姿が過ぎった。

「と、とにかく!お父さんの体を返して!」

「はーっはっはっは!返せと言われて返す馬鹿がどこにいる!安心しろ、お前の父親の体は強い…この俺が有効に使ってやろう!」

悟空ギニューとなったギニューが高らかに笑いながら言うと、悟林の目付きが険しくなる。

「お父さん、痛い目に遭わせちゃうけどごめんね」

「ああ、構わねえ…思いっ切りやれ!」

父を元に戻すにはギニューを叩きのめして交換させるしかない。

「ふははは…!今の俺に挑むつもりか?戦闘力200000の体だぞ?お前の戦闘力は高く見積もっても70000か80000程度…3倍くらい強くならなければ俺の相手にはなれ…」

「3倍界王拳!!」

フルパワーとなって界王拳のオーラを纏い、一気に戦闘力を限界の3倍にまで上昇させる。

「なっ!?」

「せ、戦闘力…240000!?」

基本戦闘力80000から一気に240000にまで跳ね上がった戦闘力にギニューとジースが驚愕する。

一気に距離を詰めてジースの首に蹴りを叩き込むと骨が砕ける音がし、勢い良く地面に叩き付けられ、バータの隣で息絶えた。

「ジース!?ぬおっ!?」

一瞬の出来事に唖然となっている隣のギニューの胸倉を掴む。

「お父さんの体を返せーーーっ!!」

そのままギニューの頬に数十発もの往復ビンタをして腹を殴り、更に追撃の蹴りで吹き飛ばすと真上に移動して組んだ拳をギニューに叩き込んで地面に叩き付けた。

「ご…悟林…」

娘にボコボコにされている自分の体を見て複雑になる悟空であった。

「お、己…ま、まさか娘の方が強いとは…完全に誤算だった…」

正確には界王拳込みでも悟空の方が強いのだが、精密な気のコントロール技術を持たず、体と心が一致していないギニューでは悟空の肉体を使いこなすことは出来ない。

240000のパワーをまともに喰らったギニューは悟空の肉体の力を発揮出来ないまま、戦闘不能となる。

「お父さんに体を返さないならもっと痛くするよ!」

かめはめ波の体勢に入った悟林にギニューはニヤリと笑った。

「っ!ま、まさか…!」

ギニューのやろうとしていることを察した悟空。

「かめはめ…」

「チェーーーンジ!!」

ギニューの体から光が放たれた。

気を溜めていた悟林は不意を突かれたこともあって動けなかったが…。

「しめた!元のオラに戻れるぞ!間に合ってくれーっ!!」

悟空が間に入ることでギニューが悟林の肉体を奪うのを妨害し、悟空は元に戻れた。

「え!?」

ギニューと悟空の雰囲気が再び変わり、悟林は激しい変化に混乱しそうになる。

「ご、悟林!さっきの技は体を交換する技なんだ!さっきはオラが庇ったけど…も、もうオラは動けねえ…!」

「ぐっ…あ、あの野郎…良くも邪魔を…!だが、浅はかだったな…今度はもう邪魔出来まい!頂くぞ、240000の戦闘力の体を!!チェーーー」

「させるかあっ!!」

再びボディチェンジをしようとするギニューに悟林は超スピードで射線上から離脱した。

「何いっ!?」

姿が掻き消え、驚愕したギニューがボディチェンジを中断し、背後に悟林が現れると即座に攻撃するがかわされてしまい、倍の戦闘力差があり、更に傷ついた体では対応出来ずに悟林のラッシュをまともに受け、顎を殴り飛ばして上空に打ち上げる。

「か…め…は…め…」

3倍界王拳を維持しながら繰り出すのは悟空から教わった亀仙流の奥義。

「ぐおおおおっ!」

「波ーーーーっ!!!」

3倍界王拳かめはめ波がギニューに炸裂し、ギニューを跡形もなく消し飛ばしてしまった。

「…ふぅ……あ、お父さん!大丈夫!?」

「あ、ああ…す、すまねえな悟林…オラがへましちまったせいで…」

娘に父親を殴らせるようなことをさせてしまったのは流石に悟空も思うところがあったようだ。

「私だってお父さんを思いっ切り殴っちゃったもん…クリリンさん達の所に行こう!手当てしないと!」

悟林は悟空を背負ってクリリン達がいるはずのフリーザの宇宙船に向かう。

「っ…う…くっ…」

「お父さん、大丈夫?ゆっくり行こうか?」

「だ、大丈夫だ…急いでクリリン達の所に行こう…」

「う、うん……あの、ごめんねお父さん…?」

「何がだ?」

「だって…ジースって奴も、ギニューって奴も……殺し…ちゃった…」

悟空は無駄な殺生は好まないことを知っている悟林はジースとギニューを殺したことに何か言われるのではないかと思ってるようだ。

「仕方ねえさ…オラが慣れねえ体で闘えねえせいで2対1だったからおめえも余裕がなかったんだろ…?おめえは良く頑張ったぞ、流石オラの子だ」

「お父さん…」

「昔、オラが闘った奴らにもいた…本当にどうしようもねえ奴もいる…多分あいつらもそれだ…オラがあいつらに情けをかけたせいでおめえにも迷惑かけちまったな」

脳裏に浮かぶのは卑怯な手を使いながらも勝利に執着した過去のどうしようもない悪の強敵達。

質の悪さは身を以て知っていたのだが、どうやら強くなりすぎたせいで自信過剰になってしまっていたようだ。

「ううん、そんなことないよ」

悟林は悟空を背負って出来るだけ早くフリーザの宇宙船へと向かうのであった。

しばらく飛んでいると、クリリン達のいるフリーザの宇宙船に辿り着いた。

「クリリンさん!悟飯!」

「悟林ちゃん!」

「お姉ちゃん!」

ドラゴンボールの前で悩んでいた2人に声をかけるとボロボロの悟空の姿に驚く。

「ご、悟空!?大丈夫か?」

「あ、あいつにやられたの?」

2人は悟空がギニューにやられたと思い込んでおり、悟林は言いにくそうに、悟空は苦笑するだけだ。

「なあ、仙豆はもう1粒もないのか?」

「あ…ああ…参ったな…」

「くっくっく…今なら鬱陶しい貴様らを消し去るくらいわけはない」

宇宙船の脚の陰に隠れていたベジータが姿を現した。

「べ、ベジータ!?そ、そんな…気を感じなかったぞ!?」

「ふん、貴様らに出来ることがこのベジータ様に出来んわけがないだろう…宇宙船の中に来い。カカロットを治療してやる。フリーザと闘うには貴様らの…特にカカロットと娘の力が必要だからな…早くしろ!いつフリーザが戻ってくるか分からんぞ!」

「分かったよ」

悟林は背に腹は代えられないと宇宙船の中に入り、クリリン達も慌てて中に入った。

「(貴様らはフリーザを倒した後でゆっくり料理してやるさ!その時には間違いなくこの俺は超サイヤ人になっているはずだ!)」

メディカルルームに入ると注射器を見た悟空が暴れるというハプニングがあったが、何とか悟空をメディカルマシーンに放り込むことが出来た。

「なあ、悟林ちゃん。悟空って何で注射が嫌いなんだ?」

「えーっと、前にお父さんが予防接種のために村の病院に行ったんだけどね。そこのお医者さんが滅茶苦茶下手くそで…何度も針刺すの失敗したり針をグリグリしたり…」

「ひいっ!止めてくれ悟林ちゃん!聞くだけで痛い!」

想像してゾッとなったのかクリリンは両腕を擦りながら言う。

ということもあり、すっかり悟空は注射がトラウマになってしまったらしい。

「それでこの機械で本当に治るの?」

「ああ、こっちのメディカルマシーンは旧型だが、カカロットなら大した時間もかからずに全快出来るだろう。新型の方は俺が壊しちまったからな」

薬液に浸された悟空は痛みが和らいだのか幾分楽そうに見える。

口に酸素を送るコードもあることだし酸欠になる心配もないだろう。

「さて、貴様らには戦闘服をくれてやるか。防御に関しては少しはマシになるだろうぜ」

指で扉の外を示してベジータは先に廊下に出ると悟林達もそれに従って外に出た。

廊下を歩いて、部屋をいくつか通り過ぎる。

「ここだ」

ベジータが案内した所は、ロッカーが壁伝いにくっついている場所だった。

「おいガキ」

「悟林」

「?」

「私には孫悟林って名前があるの、それに私も悟飯も“ガキ”じゃ分かりにくいでしょ」

「チッ…女用のジャケットはここにはない。男用のジャケットで我慢しろ」

舌打ちすると悟林にアンダースーツを押し付け、悟飯とクリリンに投げ渡す。

「服を脱いでそのアンダースーツを着ろ、さっさとしろ!フリーザが来るぞ。」

服を脱いでアンダースーツを着ると次は戦闘ジャケットを渡してきた。

悟林のはベジータと同型の物だ。

「お前にサイズが合うのはリット星人間用の旧型だ。我慢しろ」

「そうかな、肩動かしやすそうだけど」

しかし、ジャケットを着ようにもサイズがどうも合わないように見える。

「…?これってどうやって着たら良いんだ?」

「頭が入っても手が通らない……」

クリリンと悟飯も同じことを思ったのかジャケットを見つめている。

「強引に着てみろ、そいつは柔らかくて引っ張ればどんどん伸びる。地球でこの俺が大猿になった時にも破れはしなかっただろ。だが、衝撃には相当強いぞ」

それは納得出来る。

地球でベジータやナッパがどれだけ攻撃を受けようとジャケットは完全に壊れはしなかったからだ。

ベジータが大猿になった時もジャケットは健在だった。

「あっ!凄い!本当だ!」

「手袋や靴なんかもこういう素材なのか?」

「まあな」

「他じゃあこれが当たり前なの?」

「一般的だ。地球は文明が低すぎる」

戦闘服を着込むと悟林はあまりの身軽さに驚く。

「凄く軽い…」

しかし、戦闘服はベジータとサイズ以外は全て同じなのでお揃いみたいで少し複雑だ。

「ベジータ…さん…お父さんは後どれくらいで治るかな?」

呼び捨てしようと思ったが、思惑はどうあれ自分がボコボコにしてしまった父を治療してくれたのは事実なのでさん付けで呼ぶことにする。

「そうだな、奴のことだから40~50分で完治出来るはずだ」

「そっか…」

「なら俺は最長老様の所に行ってくる!もしかしてフリーザがいるかもしれないけど神龍を呼び出す合言葉を聞かないとどうしようもないからな」

「ぼ、僕も…!」

「いや、悟飯は悟林ちゃんと一緒にいるんだ」

久しぶりに会えたのだから積もる話もあるだろう。

クリリンは最長老の元へと向かっていく。

ベジータは睡眠不足のせいでふらついており、軽い仮眠を取り始めた。

「お姉ちゃん…クリリンさん大丈夫かな?ここから最長老さんの所へ行って帰ってくるまで2時間はかかるから…その間にフリーザが来たらどうしよう…」

「その時はその時で私達が闘ってお父さんが治るまで時間稼ぎするしかないね」

多分、散々邪魔をしてきた自分達をフリーザは許さないだろうから、今のうちに覚悟を固めておいた方がいい。

拳を連続で突き出してやる気満々の姉の姿に悟飯は頼もしさを感じるのと同時に嫌な予感を感じた時である。

こちらに2つの気を感知して2人はそちらに向かうとクリリンとナメック星人の子供。

「クリリンさんの隣にいるの誰?」

「デンデ君だ!やった!」

「小さいピッコロさんだ」

チビサイズのピッコロみたいなデンデを凝視する。

「物凄い速さでしたね!どうやったんです!?」

「なーに、デンデの奴が最長老さんに頼まれてこっちに来てたのさ!」

「えーっと、デンデ君…だっけ?」

「あ、はい…あなたは?」

「私は孫悟林。悟飯のお姉ちゃんだよ。よろしく」

「ドラゴンボールの願いの叶え方を教えに!?」

「はい!」

つまりドラゴンボールさえあればすぐにでも願いを叶えられる状態だ。

「ところでベジータは?あいつに分からないように途中から気を消して来たんだが…」

「気付かれてないと思いますが…」

「睡眠不足みたいで寝ちゃってるよ」

「よーし!ついてきたぞ!良いか、ベジータに悟られないようそっとドラゴンボールをこの辺りまで運ぶんだ…!神龍が出た時に気付かれても少しは時間が稼げるからな…」

4人はベジータに気付かれないようにドラゴンボールを運んで7つ並べた。

「ひゃっほー、やったぜ!」

「はあ、緊張した…」

「あ、悟林さん怪我してますね…」

デンデが悟林の少し腫れた頬を見ながら言うと、悟林はそっとまだ熱を持った頬に触れた。

「え?ああ、ギニュー達にやられたんだ。でもこれくらいなら」

「僕が治してあげますよ」

デンデが触れると傷だけではなく体力まで全快した。

「す、凄い!仙豆を食べたみたいだ!」

「デンデにはこんな能力があるのか!くそー、それなら悟空も連れてくれば良かったぜ」

デンデに治してもらえば悟空もここで一緒にいただろう。

「仕方ないよ、それより…」

「な…何かがこっちに近付いている…す…凄い速さで…」

「え!?これって…」

「うん、多分フリーザって奴だね…凄い気だ」

「ご、悟林ちゃん、勝てそうかな?」

「……無理」

クリリンが尋ねるが即答される。

感じられるフリーザの気は3倍界王拳を使った自分の倍以上だ。

限界を超えて4倍にしたところでようやく半分を超えるかもしれないところか。

「そ、そうか…なら急げデンデ!早く願いを叶えさせてくれっ!」

「はっ、はいっ!」

そしてデンデはナメック語の合言葉を言うと、ドラゴンボールが光った。

「ひ…光った…」

次の瞬間、空が暗くなり、それに気付いた全員が空を見上げた。

「空が暗くなった!あの時と同じだ!」

以前サイヤ人との闘いの前に起きたのと同じ現象だ。

するとドラゴンボールが一層輝きを増して巨大な龍が姿を現した。

「うわあ、でっかい!あれが神龍なんだ!」

初めて神龍を見た悟林は驚きと感動が混じった表情を浮かべる。

「でも、地球のより全然でかい…!形も違うし…」

「あ…あれが神龍…」

「ここではポルンガと言います…“夢の神”と言う意味です…ぼ、僕も見たのは初めてですけど…」

「ドラゴンボールを7個揃えし者達よ。さあ、願いを言うがいい。どんな願いも可能な限り3つだけ叶えてやろう。」

「じゃあ、サイヤ人に殺された地球のみんなを生き返らせてくれない?」

驚いているクリリンと悟飯の横でこの星に来た理由である地球の師匠達の復活をデンデに言うように頼む。

「分かりました」

デンデがナメック語で伝えると、ポルンガから返ってきた返答は良いものではなかった。

「それは叶わぬ願いだ。生き返らせることの出来る人数は1人ずつだけだ」

「えっ!?」

「そっ、そんな…」

ポルンガの返答にショックを受けるクリリンと悟飯。

「さあ、どうした。願いを言うがいい、可能な限り3つの願いを叶えてやろう」

「1人だけ…あ、そうか…ナメック星人の人って数少ないから大勢生き返らせるようにする必要がないんだ」

ピッコロがあれだけ強かったのだからナメック星で暮らしていたナメック星人も相当強いはず、穏やかな性格らしいので争い事もないため大勢を生き返らせるようにする必要はなかったのだろう。

「じゃ、じゃあどうする!?1つの願いでたった1人ってことは…」

「3人だけですか!?い、一体誰を…!」

『悟飯っ!悟林っ!聞こえるか、ピッコロだ!早くしろっ!』

「ピッコロさん!もしかして界王様に?」

宇宙船で経験した悟林は界王を通じてこちらに通信を寄越してきたのだろう。

『そうだ、界王を通してお前達の心に直接話しかけている!』

「こ、心に…」

クリリンが呟くと、ピッコロが言葉を続ける。

『叶えられる願いは3つ!1つの願いで生き返らせることの出来るのはたったの1人だと言うことは分かった!良く聞くんだ!1つ目の願いでこの俺を生き返らせるんだ!俺が生き返れば神も生き返る!そうなれば地球のドラゴンボールも復活して他の連中も蘇ることが出来るはずだ!』

「そっか…!」

サイヤ人との闘いで死んだのはピッコロの方だ。

神はそれに引っ張られただけなので、死んだ方のピッコロを生き返らせれば神も生き返る。

「そ、そうか!その手があったんだ!」

「わ、分かりましたピッコロさん!」

「…?」

デンデにはピッコロの声が聞こえていないので3人の話している内容が理解出来ない。

『そして2つ目の願いを言う!生き返った俺をそのナメック星に飛ばしてくれ!俺は闘いたいんだ!生まれ故郷で、お、俺と同じ仲間だと言う連中を殺したフリーザって奴とな…!俺はここで遥かに力を増した!必ずそいつを倒してみせる!その星に俺を呼ぶんだ!』

「分かった!1つ目の願いでピッコロさんを生き返らせて、2つ目はピッコロさんをナメック星に呼べば良いんだね!?」

「わ、分かりましたピッコロさん!」

『頼んだぞ!3つ目の願いは好きにしろ!』

願いを確認した悟林は即座にデンデに1つ目の願いを伝える。

「デンデ、地球のナメック星人さんのピッコロさんを生き返らせて!」

「あ…!は、はい!ピッコロさん…ですね!」

デンデはナメック語でポルンガに1つ目の願いを叶えてもらう。

「分かった、1つ目の願いを叶えてやろう」

そしてポルンガの目が光り、次の願いを叶えてもらう。

「2つ目の願いは生き返らせたピッコロさんをこのナメック星に飛ばして欲しいんだけど…出来る?」

「た、多分…」

あの世からナメック星に飛ばすことが出来るのか分からないために悟林は不安そうに尋ねる。

デンデもポルンガに願いを頼むのは今回が初めてなので確信出来ないようだ。

「デンデ、早くっ!ベ、ベジータが気付いた!」

「え?もう起きちゃったの!?」

デンデが急いでナメック語で2つ目の願いを言う。

「それは容易い。2つ目の願い、叶えてやろう……2つ目の願いも叶えた。さあ、最後の願いを言うがいい」

目が赤く光り、最後の願いを促すポルンガ。

「ねえ、ピッコロさん…いないんだけど?」

「ほ、本当だ!いない!」

「ど、どこ!?ピッコロさん!」

「こ、“この星に呼んで下さい”って言っただけですからど、どこかの場所に…こ、ここへ来て欲しかったんですか!?」

デンデの言葉に悟林は唖然となるが、ベジータが降り立った。

随分と苛立っており、仮眠を取ったことで瀕死から立ち直った時のパワーアップした全てのパワーを発揮出来るようになったからか、界王拳込みの悟林を上回る気を感じる。

「ベジータさん…」

「やはりそういうことだったか…!貴様らよくもこのベジータ様を出し抜きやがったな…許さんぞ!愚か者め…!貴様らはフリーザを倒すたった1つの手段を不意にしたんだぞ!勝てる方法はこの俺を不死身にするしかなかったんだ!く…くそったれ共め~!」

「あ、あのさベジータさん。願いはまだ1つ残ってるからそれ使えば?」

「悟林ちゃん!?何でバラすんだよ!?」

「お姉ちゃん!?」

「いや、だって…お父さんはまだ治らないし…」

不死身となってサイヤ人の特性が働くのかは分からないが、悟空が復活するまでフリーザに対抗するには不死身になるしかないだろう。

「そいつを聞いて安心したぜ…さあ!この俺を不老不死にしろ!早くするんだ!フリーザはもうそこまで来ているぞっ!」

「3つ目…最後の願いはまだか。さあ、言うがいい」

ポルンガが最後の願いを促す。

ベジータがデンデに掴みかかり、願いを言わせようとする。

「何をぐずぐずしている。早く言わんかっ!さっさとこの俺を不老不死にするんだっ!フリーザに殺されたいのかっ!」

「……く……」

「ク、クリリンさん、フ…フリーザはも、もうすぐそこまで…!」

「こっ、こうなったら破れかぶれだ!デンデ、そいつの願いを叶えてやれ!ベ、ベジータもとんでもない悪だが、フリーザよりはマシだ!く、悔しいがそれしか今のピンチを凌ぐ方法はない…!」

悔しそうにデンデにベジータを不老不死にさせるように言うクリリン。

「わ…分かりました…」

「よーし!それで良いんだ!(い、良いぞ!これでフリーザに俺を殺すことは出来ん!どこまでも食らい付いてやれば今は無理でもそのうち倒せる…!くっくっく…全宇宙を支配するのはこの俺だ!!)」

「で…では…」

デンデがポルンガに振り返り、最後の願いを言おうとした直後にポルンガが消えて空が明るくなり、ドラゴンボールが石となった。

「………ど…どうしたんだ…な…何故、龍が消え…空が、ま、また明るくなった…んだ。な…何故ドラゴンボールが、あ…あんな石に…」

突然のことに理解が追い付かないのかベジータは拳を震わせながら石となったドラゴンボールを見つめた。

「さ…最長老様が亡くなられたのです…ドラゴンボールを作られた最長老様にと…とうとう寿命が…」

「なっ、何だとーーーっ!?ガキ…!お、俺の不老不死はどうするんだ…!」

「そ…それは…」

ドラゴンボールがない以上、ベジータを不老不死にすることは出来ない。

つまりこのままでフリーザと闘わなければならないことになる。

「き…貴様らがこの俺を出し抜きさえしなかったら…ゆ…許さんぞ…」

「あ、あの…フリーザを倒すための作戦があるんだ。聞いてくれないかな?不老不死だったら…みんなを生き返らせた後に地球のドラゴンボールで…」

「作戦だと!?俺を不死身にする以外に何の……」

悟林に食って掛かろうとするベジータだが、言葉が途切れた。

不思議に思った全員がベジータの見ている方角を見遣るとそこには…。

「……あ……あ……」

「あいつが…フリーザ…なの…?」

岩の上でフリーザが悟林達を見下ろしていた。 
 

 
後書き
ギニュー隊長御臨終。

でも蛙の姿で生き延びるよりかはマシではないかな?

地獄で新たなスペシャルファイティングポーズを考えてて欲しい。 
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