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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第5話

 
前書き
オリ主、ボコボコにしてごめんよ… 

 
3時間の猶予は与えられたが、3時間経過しても悟空はやってこず、指定した3時間の経過を示すようにベジータのスカウターが反応した。

「時間だ…どうやら待っても無駄だったようだな…臆病者のカカロットは来なかった…」

「お、お父さんは臆病者なんかじゃないっ…!」

「く…くそ~、何で来ないんだよ…!」

ベジータの言葉に悟飯は反論し、クリリンはまだ悟空が来ないことに焦る。

「さ~て、じっくりと痛め付けてやるか…カカロットに見せてやれないのは残念だったがな…」

破損した戦闘服を脱いだナッパが戦闘体勢に入った。

「これ…ヤバいよね?」

「ヤバいどころじゃないって…いよいよ俺も死んじゃうかもな…畜生…特攻隊の気分だぜ…」

悟林の言葉にクリリンがそう返すと、ピッコロが口を開いた。

「俺達が奴に勝てる可能性がたった1つだけある…勿論、上手く行けばの話だがな…良いか、まず…クリリンだったな…お前が奴の注意を目一杯引くように仕掛ける…そして俺が隙を見つけてサイヤ人の弱点である尻尾を掴む…」

「…そ…そうか…!」

「尻尾…(そうか、だからピッコロさん。私の尻尾を切ったんだ!)」

相手はサイヤ人なので当然尻尾の弱点を知っている。

こちらにとって不利になる要素をピッコロは予め消していたのだ。

「力が抜けて動けなくなったところを…悟林、悟飯。お前達は全ての力を振り絞って奴にあの技を叩き込め!いいな…」

「は、はい…!こ、今度は怖がったりしないから、だ…大丈夫!」

「当たり前だ…!地球の運命は貴様ら姉弟にかかっていると思え…」

「(す…凄え…流石ピッコロだ…光が少しだけ見えてきたぞ…勝てるかもしれない…!)」

「悟飯、自信を持て…お前がその気になればこの中の誰よりもパワーは上だ…」

姉と言う比較対象がいるせいかどうも自分を下に見がちな悟飯をピッコロが鼓舞し、4人は最後の賭けに出た。

「よしっ!行くぜっ!うおおおおーーー!!」

ナッパ目掛けて突っ込むクリリン。

「いきなり突っ込んで来やがったぜ!」

「何か作戦を立てやがったな」

「悟飯!」

「う、うん!!」

悟林は魔貫光殺砲を、悟飯は魔閃光の発射体勢に入る。

2人はギリギリまで気を溜め始めた。

「(注意を引き付けろ…!)」

「わああああ…!!」

クリリンは下に気功波を放ち、その勢いで上に上がっていく。

「!?」

「今だっ!!」

その隙をピッコロは逃がさずにナッパの後ろに回ると尻尾を掴んだ。

「悟飯!悟林!撃てーーーっ!!」

「やったあ!!」

ピッコロが叫んだのを合図に2人は溜めた気を解放しようとした。

唯一の懸念はピッコロにも直撃してしまうことだが、ピッコロならギリギリで避けるはずだと師匠であるピッコロへの信頼があった。

「魔閃…!」

「光殺…!」

「馬鹿め!」

2人の合体技が炸裂する前にナッパの肘打ちがピッコロの脳天に叩き込まれた。

「「!!」」

「うっ!!」

動揺によって溜めていた気が霧散してしまい、クリリンは目を見開いた。

「馬…鹿…な…」

頭にダメージを受けたことで崩れ落ちるピッコロをナッパは楽しげに見遣り、残りの3人は愕然となる。

「そ、そんな…サイヤ人は尻尾が弱点じゃないの!?」

「はっはっは…!まさか俺達が弱虫ラディッツと同じだと思っていたのか?怠け者のあいつのように俺達がそんな弱点を克服していないと思ったか!?」

悟林達の疑問にベジータは笑いながら答えた。

「(し、しまった…悟空もガキの頃に尻尾を鍛えていたじゃないか…どうして忘れてたんだ…!!)」

クリリンは少年時代の悟空も尻尾の弱点を克服していたことを思い出し、それを忘れていた自分を罵る。

「へっへっへ…残念だったな…この星の一番の使い手も一撃でこの様だ…さて…と、こいつにおねんねしてもらってる間、チビ共を遊んでやるかな…へっへっへ…」

「お、お姉ちゃん…」

強張っていた体が怯えている悟飯の声によって体の強張りが抜けた。

「悟飯、下がって…」

悟飯を後ろに下がらせると、悟林はナッパと真正面から闘いを挑もうとして構えた。

「ほう!流石ガキとは言えサイヤ人の血を引いてるだけはあるな、殺されると分かっていても闘って死にてえってのか?」

「はあああ…!」

気を解放してフルパワーとなる悟林にベジータはスカウターを拾って悟林の戦闘力を計測する。

「ほう、戦闘力2000!やはりサイヤ人と地球人の混血は純血のサイヤ人の子供と比べて異常に高いな」

惑星ベジータが健在なら確実にエリートに認められる戦闘力だ。

下級戦士の子供でこれならば、やはり地球人を絶滅させるべきだとベジータは考えを固めた。

「だあああっ!!」

「うぐっ!」

足に力を込めて一気にナッパとの間合いを詰めると横っ面に拳を叩き込んで尻餅を着かせ、そこに片手での気功波を上に放ってその推進力を利用してナッパの腹に肘打ちし、そして足を掴んで回転する。

「どりゃああああっ!!!」

「うおおおおっ!?」

遠心力を利用した投げにより、ナッパの巨体は岩山に叩き付けられ、そこにフルパワーの魔閃光を叩き込んだ。

魔閃光を受けた岩山が爆発に呑まれたが、悟林は息を切らしながら爆煙を見つめる。

「はあ…はあ…はあ…っ」

「や、やったか…?」

激しい連続攻撃にクリリンはもしかしたらと思ったが…。

「チビの癖にやってくれるじゃねえか…!特に腹への攻撃が効いたぜ…痣になっちまった…!」

「っ!」

煙を振り払いながら現れたのは腹に痣ができ、体に少々の火傷が出来ただけの五体満足のナッパである。

「おい、チビ。これで終わりじゃねえだろ?もっと俺を楽しませてみろ」

悟林との距離を詰めて腹を蹴り上げるナッパ。

反応速度を超えていたために蹴りを受け流すことも出来ずに吹き飛ばされる。

「ごふっ!こ、こんのーーーっ!!」

血を吐きながらもナッパに突っ込む悟林にナッパは楽しげに笑いながら悟林の必死の拳や蹴りも容易く受け止めていく。

「おいどうした!?サイヤ人と地球人の混血は強いんだろ!?もっと力を入れてみろ!!」

「魔…閃光…っ!!」

横薙ぎの手刀をまともに喰らった悟林は岩山に叩き付けられるものの、魔閃光を放った。

「ふん!」

裏拳で弾かれるが、その隙に悟林は最後の力を振り絞ってナッパに突撃した。

「うわあああーーーっ!!!」

渾身の頭突きがナッパの腹に炸裂する。

「ぐおっ!?…へ…へっへっへ…」

「っ!ぎゃっ!!」

一瞬揺らいだが、ナッパは悟林の体を掴んで顎を蹴り上げると上に打ち上げられた悟林の真上に移動し、回転の勢いを利用した蹴りを悟林に叩き込んで地面に叩き落とした。

「あ…ああ…」

「や…止めろ…!」

地面に叩き付けられてピクリとも動かない悟林に悟飯は震え、クリリンが何とか制止の言葉にしてもナッパは止まらない。

「おいおい、どうした?まさかこれで死んじまったなんてないよな?」

頭を鷲掴んで持ち上げるナッパ。

その時、悟林の手がピクリと動いた。

「ナッパ!そいつを離せ!」

「!?」

ベジータの言葉に気を取られたナッパの顔面に最後の力を振り絞った気功波が炸裂し、ナッパは仰向けに倒れた。

「勝手に…殺さ…ないでよね…!」

地面に転がり、ボロボロになりながらも何とか生きている悟林。

「ぐっ…畜生…このガキ…!」

火傷を負った顔を手で押さえながらナッパは起き上がった。

「………っ!!」

「踏み潰してやる!!」

「お、お姉ちゃーん!!」

「や、止めろーーーっ!!」

身動きすら出来ない悟林を踏み潰そうと足を振り上げたナッパ。

急いで止めようとする悟飯とクリリンだが間に合わない。

そこにピッコロが起き上がり、ナッパの背中に気弾を直撃させた。

「ぐおおお…!」

背中を襲う痛みに悶えるナッパ。

今のうちにクリリンが悟林を抱き上げて離れた。

「う…うう…!」

「悟林ちゃんしっかりしろ!くそ…仙豆があれば…!」

1粒食べればどんな怪我でも全快する不思議な豆。

以前カリン塔を登って修行を完遂した時に仙猫・カリンから餞別で貰った仙豆を当時は真の効果も知らなかったとは言え空腹を満たすために使ってしまった自分に憤る。

「や…野郎~!も…もう目が覚めやがったか…!」

「はーっはっはっはっは!手こずってるようだなナッパよ!」 

「地球を…舐めるなよ…!」

何とか立ち上がるピッコロにナッパは憤りながら睨んだ。

「て…てめ~!頭に来たぞ…!貴様だけはドラゴンボールのせいで殺せねえから手加減してやったらいい気になりやがって~!!」

「っ…!ク、クリリン…さ…お父さ…」

「無理しちゃ駄目だ!ああ、分かってる。あいつの気だ!」

悟林は懐かしい気を感じてクリリンに伝えようとするが、クリリンも分かっているのか顔に希望が戻っている。

「ほ…本当だ…す…凄いけど懐かしい気…!」

悟飯も同様に気の正体を理解して希望を取り戻す。

「けっ!わけの分からないこと言いやがって…!」

「奴しかいない…孫悟空だ!孫悟空がやってくるぞーっ!必ずやって来ると思っていたぞ!待たせやがって!!」

「お、お父さんが来てくれる…!早く!早く!!」

「カカロットが…!?どこだ…!」

「こいつらには気配で分かる不思議な力がある…カカロットか、どれ…」

スカウターで調べると、ベジータの目が驚愕で見開かれた。

「ベジータ!こいつらの言っているのは本当か!?へっへっへ!カカロットの奴がこっちに向かってるのか!?」

「カカロットかどうか知らんが…後4分ほどでここにやって来るだろう…戦闘力5000ほどの奴が…!」

それを聞いたナッパが驚愕する。

「ご…5000だと…!?ば…馬鹿な…!そ…そいつは何かの間違いだ…」

「(確かに以前のカカロットからは考えられん数値だ…しかもここの奴らは数値を変化させられる…最低でも5000と言うことだ…)」

「くっくっく…奴が珍しく狼狽えてやがるぜ…!」

悟空がようやく来る事実はピッコロにも希望を持たせて余裕を取り戻させた。

「ナッパ!4人を殺せっ!5匹揃って手を組まれると厄介なことになりそうだ!そしてカカロットへの見せしめのためにもだ!」

「「何!?」」

「「!!」」

ベジータの命令にピッコロ達が動揺する。

「ド、ドラゴンボールのことは…!?」

「構わん!俺に考えがある!そのナメック星人の故郷、ナメック星に行けばもっと強力なドラゴンボールがきっとある!下らない噂だと思っていたが、カカロットがもし本当に生き返ったとなればあの伝説は真実だったわけだ!」

「く、くそ…!」

地球のドラゴンボールがあるからピッコロには手加減をしてくれていたらしいが、ベジータによってそれが無くなってしまった。

クリリンは悟林を安全な場所に運びたいが、ナッパの攻撃の破壊力を考えると結局自分が抱えている方が遥かに安全であるために闘いに参加出来ない。

「ち…カカロットが5000なんて絶対機械の故障だぜ…ま、良いけどな。どうせこいつらを皆殺しにすることに変わりはねえ…」

「…ピッコロさん逃げてーっ!お父さんが来るまで何とか僕が食い止めるよ!だってピッコロさんが死んじゃったら神様も死んじゃってドラゴンボールが…!」

「…へっ…下らねえこと言いやがって…てめえだけで食い止められるわけないだろ…」

「食い止めるだと?この俺を…?笑わせやがってこのガキがーっ!!」

悟飯の言葉に怒ったナッパは悟飯に迫る。

「いかんっ!!」

ピッコロも駆け出すが間に合わない。

「はーっはっはっは!!」

「うわあああーーーっ!!!」

拳を振り上げるナッパだが、悟飯の顔つきが変わり、強烈な蹴りがナッパの横っ面に叩き込んで岩山に激突させた。

沈黙が流れるが、ナッパは瓦礫を吹き飛ばして脱出すると頭から血を流しながら悟飯を睨んだ。

「…ガキィ~!!これまでだあ…!!」

「あ…あああ…!」

「ま、まずい…!」

「ご、悟飯…!」

「死ねええーーーっ!!」

ナッパの左腕の強力な気にクリリンと悟林は戦慄し、立ち竦んだ悟飯は、ナッパの気弾をそのまま受ける形になった。

「……!!」

そしてクリリンは目を見開いた。

死を目の前にした悟飯の代わりに気弾を受けたのはピッコロであったからだ。

爆風によって吹き飛ばされそうになるが、クリリンは悟林を庇いながら何とか堪えて爆風が止んだところで悟飯達の方を見遣ると、悟飯の盾となったピッコロが今にも倒れそうな状態だった。

「ピ…ピッコロ…さん…」

「そ…んな…!」

師匠の死にそうな姿に双子の目が見開かれた。

「逃…げ…ろ…ご…悟飯…」

「…あ…あ……」

「「…!」」

そしてそのまま力なく崩れ落ちるピッコロに悟飯が駆け寄る。

「ピ…ピッコロさん…ど…どうして僕を…た…助けて…」

「に…逃げろと…言っただろ…は…早く…しろ…悟林と…一緒に…少しでも…遠くへ…」

「し、死なないで!す、すぐにお父さんが来てくれるよ!お…お願い…!死なないでーーーっ!!」

「ちっ!馬鹿め、殺す順番が変わっちまったか…まあいい…どっちにしても同じことだ…」

「な…情けない話だぜ…ピ…ピッコロ大魔王ともあろう…者が、ガ…ガキを庇っちまうなんて…最低だ…へ…へへ…き…貴様ら親子のせいだぞ…あ…甘さが…移っちまった……だ…だが…お…俺と…まともに喋ってくれたのは…お前達…姉弟だけだった…悟飯…悟林…き…貴様らといた数ヶ月…わ…悪く…なかったぜ…死ぬ…な…よ…」

悟飯とクリリンに抱かれている悟林に言葉を残し、静かに息を引き取った。

最後まで双子を心配し続け、厳しくも不器用な優しさを持っていた2人の師匠はもう、動かない。

「………ピ…ピッコロさん…!」

「ピッコロ…!」

悟林は血や傷でボロボロの顔で泣き、クリリンも最初はとんでもない悪党だったのに悟空の息子のために命を懸けたピッコロの最期に悲しみを抱いた。

「うわあああ~~~っ!!」

ピッコロの死により、感情が爆発したことで悟飯の気が膨れ上がり、小さな体のどこにこんな気があるのかと、驚くばかりの力が溢れていた。

悟飯の気は悟林のフルパワーを大きく超えていた。

「魔閃光ーーーっ!!」

「ご、悟飯…!?」

「す…凄い気だ…!」

「戦闘力2800…!やはりこいつら戦闘力が激しく変化しやがるぞ!」

「2800か…!!」

誰もが悟飯の力に反応し、悟飯はピッコロの仇を討つために渾身の魔閃光を放った。

怯えていた時に放った魔閃光の比ではない気が込められた一撃がナッパに迫る。

「うおおおおっ!!」

しかしそれをナッパは左の拳で殴り飛ばした。

「チ…チビの癖に凄えことやってくれるじゃねえか…へっへっへ…腕がちょいと痺れちまったぜ…」

殴り飛ばしたナッパもただでは済まなかったようだが、腕の痺れ程度ではすぐに回復してしまうだろう。

「戦闘力がガクンと減った…どうやら今ので力を使い果たしてしまったらしいな…」

「つ…強すぎる…あ…あまりにも強すぎる…」

ベジータがスカウターで悟飯の戦闘力を計測する。

怒りに身を任せた攻撃は悟飯の体力をごっそりと持っていったようだ。

あまりにも理不尽な強さにクリリンはナッパを睨むことしか出来ない。

「ピ…ピッコロさん、ごめんなさい…か…仇討てなかった…も…もう、逃げる力も無くなっちゃった…」

膝を着いた悟飯に悟林とクリリンが焦る。

「悟飯…っ!」

「く、くそ…何とか…何とかしないと…!」

このままでは悟飯が殺されてしまう。

しかし、クリリンの攻撃ではナッパを倒すことが出来ない。

倒せそうな技はあるのだが、当たる保証がないし、悟飯を盾にする可能性だってある。

それを考えると迂闊にサイヤ人との闘いのために開発した新技は使えなかった。

「はーっはっは!!グシャグシャに潰された息子を見た時のカカロットの顔が楽しみだぜ!!」

ナッパが足を振り上げて一気に押し潰そうと足を降ろした。

クリリンは目を閉じ、悟林の目を手で覆ったが…。

「!?」

「ぬ!!」

ナッパとベジータの反応に2人は悟飯の気を追って視線を向けると、そこには見覚えのある雲に乗せられた悟飯の姿があった。

「…き…筋斗雲…!?」

「な…何だ…!?ありゃ…」

ベジータが上空を睨み、空中にいた男は地上に降りて着地した。

「悟空…!」

クリリンが男の名前を呟いた。

「遂に現れたな…!」

「悟空…待ってたぞ…!」

「「お…お父さん…!」」

クリリンと双子も待ち望んでいた人物の登場に笑みを浮かべた。

「わざわざ何しに来やがったカカロット…まさかこの俺達を倒すためなどと言う下らんジョークを言いに来たんじゃないだろうな?」

「ぬ!!」

悟空はベジータを無視して倒れているピッコロに歩み寄り、脈を確認する。

「ピッコロ…」

「ピッコロさんは僕を庇って死んだんだよ…」

ピッコロの死因を語る悟飯に、悟空は周囲を見渡す。

「天津飯…ヤ…ヤムチャ…」

どちらも少年時代から切磋琢磨し合ってきたライバル。

その2人の死に悟空は更に怒りを高めていく。

「へっへっへ…!馬鹿な仲間共が死んじまってショックか?そういやあもう1匹バラバラになったチビもいたっけな。悲しむ必要はないぜ、すぐに貴様も仲間入りだ。せっかく生き返ったのにのこのこやって来やがってよ」

「そうか…餃子まで…」

「へっへっへ…!」

餃子まで死んだことを理解した悟空にナッパは下卑た笑みを浮かべる。

「そして神様も…」

ピッコロが死んだと言うことはピッコロと一心同体である神も死んだと言うこと。

仲間をほとんど殺された悟空は更に怒る。

「(戦闘力がどんどん上がってやがる…!)」

スカウターで悟空の戦闘力を計測するが、どんどん数値が上がっていく。

悟空は前進し始めた。

「お!な、何だ!もう死ぬつもりか!え!こいつは挨拶代わりだっ!!」

ナッパの拳が悟空に向けて繰り出されたが空振りであった。

「悟飯、こっちへ」

ナッパの挨拶と称した拳での一撃をすり抜けた悟空は悟飯を連れてクリリンと悟林の所に移動する。

「……え…!?」

「(…速い…!)」

ナッパは悟空のスピードに反応出来ず、ベジータは悟空のスピードに反応出来たが、下級戦士とは思えないスピードに警戒心を高めた。

「遅れてすまなかったな3人共…よく堪えてくれたな…悟飯…クリリン…最後の1粒…悟林に食わせていいか?」

酷い怪我をしている悟林に最後の仙豆を与えてもいいかと尋ねるが、クリリンも悟飯も同じ気持ちだ。

「あ、ああ…俺は構わない。俺は何も出来なかったからな…」

「クリリンさんは、お姉ちゃんを守ってくれてたんだよお父さん。僕よりもお姉ちゃんに」

「悟飯には俺の気を分けてやるから大丈夫だ。」

「そうか、サンキュー、クリリン…悟飯。悟林…仙豆だ…食え」

「う…うん…」

仙豆を口に含んで噛み砕いて飲み込むと体の痛みが引いて力がみなぎってきた。

「凄い…怪我が治った!力がみなぎってくるよ…!仙豆って凄いね…!!」

仙豆で回復した悟林は気の総量が大幅に上がった。

ナッパとの闘いで見せたフルパワーの倍以上で、今の悟林ならナッパに渡り合えるだけの気力がある。

「(え?仙豆ってパワーアップさせる効果なんてあったっけ?)」

クリリンは悟林の気の上昇に目を見開く。

悟空も娘の急激なパワーアップに驚きを隠せないようだが、すぐに疑問の答えを出す。

「(さっきまで悟林は酷え怪我をしていた。仙豆を食べて回復したらパワーが段違いに上がったってことは…悟林は酷い怪我から回復するとパワーアップするのかもしれねえ…もしかしたらオラにもそういうのがあるのかも…)」

推測の域は出ないが戦闘に関して天才的な悟空の考えが当たっていたことを身を以て知るのはもうしばらく後だ。

「(あのガキ…あのボロボロの状態からどうやって回復したのか分からんが、戦闘力が増してやがる…戦闘力4500…ナッパだけでは厳しいか…)」

ベジータもスカウターで復活した悟林の戦闘力を計測し、ナッパでは厳しいと考え始めた。

「クリリン…物凄く腕を上げたな。気で分かるぞ…」

「そ…そのつもりだったけどな。駄目だ…あいつらにはてんで通用しない。強すぎるんだ…みんなをみすみす死なせちまった…」

「悟林と悟飯も見違えたぞ…!良く修行したな!」

1年前とは比べ物にならないくらいに逞しくなった2人に悟空は父親として誇らしく思う。

「ピッコロさんが修行をつけてくれたんだ」

「で…でも僕…何にも出来なかった…」

悟飯はただ皆の足を引っ張ることしか出来なかったことしか出来なかった自分が情けなかった。

「ピッコロ…死んじゃったろ…もうドラゴンボールも二度と使えない…誰も生き返らないんだ…ち…畜生…」

「………」

「4人で仇を討ってやろう!悟空が加わってくれたし、悟林ちゃんも何でか強くなったんだ!1人ぐらいは何とかやっつけられかも!界王って凄え人の所で修行したんだろ!?」

「ああ、だけど奴らとはオラ1人で闘う。おめえ達は離れててくれ、巻き添えを喰らわねえように」

それを聞いた3人が驚く。

「!?ひ、1人でだって…!?い、いくら悟空だってそりゃ無茶だ!あ、あいつらの強さはそ…想像を遥かに超えている…!」

「ほ、本当だよお父さん…!」

「みんなで闘おうよ!」

今までサイヤ人の強さを見ていた3人は考え直すように言うが、悟空の怒りを見たクリリンと悟林は言葉を失った。

「い…言う通りにしよう…悟空に任せるんだ…」

「ほら、悟飯…行こう…」

「だ…だって…!」

「良いから、は、早く!」

「私達がいてもお父さんの邪魔になるから…!」

「お、お父さん…!」

クリリンと悟林が悟飯を連れて離れた場所に向かう。

「クリリンさん…私、お父さんのあんな怖い顔…初めて見た…」

「俺もだよ…俺達の立ち入る隙がない…」

かつてない悟空の怒りにクリリンと悟林はただ勝利を願うしかないのであった。 
 

 
後書き
戦闘力4500でナッパ超えしたけど、魔貫光殺砲が当たらないと結局は負ける可能性が高い。 
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