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ドラゴンボールZ~孫悟空の娘~

作者:setuna
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第4話

 
前書き
悟林の戦闘力はナッパの戦闘力の半分の2000です。

怒り悟飯より弱いけども素悟飯よりは強い。 

 
構えを取った4人を前にしてもサイヤ人達は余裕を崩さない。

「ドラゴンボールのことなど教えるもんか…って感じだな…良いだろう。力ずくでも言わせてやる…」

「981…1019……1220……1083……馬鹿め!その程度の戦闘力で俺達に歯向かうつもりか…!?」

「ナッパよ、スカウターを外せ」

「何?」

ナッパと呼ばれたサイヤ人がスカウターと言う機械で4人の戦闘力を計測し、嘲笑を浮かべるが、隣のサイヤ人の言葉に訝しげな表情を浮かべる。

「こいつらは闘いに応じて戦闘力を変化させるんだ。こんな数字はもう当てにはならん」

「そういやそうだったぜ…弱虫ラディッツの馬鹿はスカウターの数字に油断してやられやがったようなもんだったからな」

「よ…弱虫ラディッツだと…」

「お、伯父さんが弱虫…!?」

ピッコロ達にとって今でも記憶に残っているラディッツが、目の前の2人のサイヤ人にとって弱虫と侮蔑されていることに驚く。

「ラ…ラディッツって…悟空とお前の2人がかりでやっと倒したって言うサイヤ人だろ…?」

「…………」

「弱虫…か…はは…」

ラディッツを弱虫呼ばわりし、そしてそのように扱えるサイヤ人達とこれから戦うことにクリリンは苦笑した。

「そうだ、ちょっとこいつらのお手並みを拝見させてもらうか。きっとドラゴンボールのことも喋る気になるだろうぜ…おいナッパ、栽培マンが後6粒ほどあっただろ。出してやれ」

「へっへっへ…お遊びが好きだなベジータも…」

ベジータと呼ばれたサイヤ人の言葉にナッパは笑みを浮かべながらポケットに手を入れた。

「サイバイマン…?」

「な…何それ…?」

クリリンと悟飯が聞いたことのない名前に不思議そうな表情を浮かべるが、ナッパはポケットから小瓶を取り出して中身を確認した。

「ああ、確かに6粒だ。この土なら良い栽培マンが育つぜ………よし…」

ナッパは屈んで指で地面に穴を空けて種を植え、その上に薬液をかけると、立ち上がった。

「な…何だってんだよ…!?」

敵のやっていることが分からず、クリリンが思わず呟くものの、すぐに答えが姿を現した。

地面から緑色の小型の怪物が現れたのだ。

「うわあ…気持ち悪い…」

「本当にな…」

栽培マンの気味悪さに悟林は顔を引き攣らせ、クリリンも同意した。

「標的はあの4人だ。痛め付けてやれ栽培マン!」

ベジータが栽培マンに命令すると、4人も気を更に引き締めた。

「こ、こいつら結構出来るぜ…!」

「そのようだな…」

「叔父さんに近い気だ…」

修行によって大きくパワーアップした今ならば勝てない相手ではないが、数はこちらが不利だ。

「ん!?」

「誰!?」

クリリンと悟林が何者かの気を感知して振り返ると、3つ目の男、天津飯と少年のような体格の男の餃子が現れた。

「天津飯!餃子もっ!…おっ!?」

続いてクリリンと悟林と同じ山吹色の道着を着た悟空の最も古い知り合いのヤムチャも現れた。

「よう!遅くなったな」

「ヤムチャさん!」

現れた頼もしい救援にクリリンが笑顔を浮かべる。

「おやおや、そっちもたくさんお出ましだな」

「雑魚共が…」

しかし天津飯達を見てもベジータ達は焦るどころか余裕そうな表情を浮かべたままだ。

「2人じゃなかったのか?サイヤ人てのは」

「ま、色々あってね。増えたみたい…」

情報と全く違う状況に天津飯が尋ねるものの、クリリンは上手く説明出来なかったようだ。

「7匹か…1匹余るが…どうだ!貴様ら、こっちの兵と1匹ずつ闘ってみんか!ゲームだ!そちらは7匹のうちに6匹出せ。何なら栽培マン1匹に2匹がかりでも構わんぞ!」

ベジータの言葉にピッコロが憤った。

「ゲームだと!?下らん奴共だ…!そんな回りくどいことなんぞ止めて一気にカタをつけやがれ!」

「まあまあ、良いじゃない!こっちにとっては好都合だよ。悟空の奴もまだ来てないことだしさ!」

「そうだよピッコロさん」

しかし、ベジータの提案がこちらにとって好都合なのも事実。

クリリンと悟林はピッコロを宥め、そして天津飯が前に出た。

「良いだろう、この俺からやってやる。さあ、かかって来な」

「だははは…!あいつ栽培マンがどんなに強いか知ったらぶったまげやがるぜ!」

笑っているナッパの横でベジータの視線は悟林に向けられていた。

「(あの顔…ガキの頃に見たラディッツの母親にそっくりだな。ということはあいつがカカロットの娘か…地球人とサイヤ人の混血の力…興味があるな)……こっちの奴から行け、思い切りやるんだ。いいな」

「て、天さん!頑張って!」

天津飯と1匹の栽培マンが相対する。

「キエーッ!」

「つあっ!!」

天津飯に飛び掛かった栽培マンを天津飯はそれを弾き飛ばして一気に距離を詰める。

「ギッ!!」

弾き飛ばされた栽培マンは体勢を立て直し、天津飯に向けて頭から液体を放った。

「うわっ!?」

天津飯はそれをかわし、後ろにいた悟林達も避けるものの、液体はどうやら強力な溶解液だったようで地面が溶けてしまった。

「げげっ!」

溶けてしまった地面に悟林達は驚いてしまう。

「はああーーっ!!」

天津飯の強烈な肘打ちが栽培マンに叩き込まれ、吹き飛ばされて地面に倒れ伏した。

「…!な、何だと…!?」

「ふうっ」

「やったー!」

「流石、天津飯だぜっ!」

栽培マンがやられたことにナッパは驚き、餃子とクリリンは天津飯の勝利を喜ぶ。

「くっくっく…俺の思った通り、少しは楽しませてくれそうだ…」

栽培マンが1匹倒されてもベジータは楽しそうな笑みを浮かべるだけだ。

「ギ…ギギ…!」

「ば、馬鹿な…!栽培マンの戦闘力は1200だぞ…!パワーだけならラディッツに匹敵する…!」

「奴の戦闘力はそれを超えるんだろ。単純な計算だ」

「しかし…!そんなデータは無かったぜ!」

ベジータの言葉通りなのだが、地球は下級戦士の悟空が送られるような星なので当然住人のレベルは低い。

今まで栽培マン以上の戦闘力を持つ者のデータなどなかったのだ。

「ギ…!」

そして天津飯に吹っ飛ばされた栽培マンは何とか起き上がって天津飯を睨んだ。

「天さん、あいつ起き上がったよ!」

餃子の言葉に天津飯が振り返った直後、ベジータは片手の指を突き出し、指先から放った衝撃波で栽培マンを粉砕した。

その行為にこの場にいた誰もが驚愕する。

「「な…な…!?」」

「ベ…ベジータ…どうして…!?」

天津飯とクリリンが破壊された栽培マンを見つめながら唖然となり、ナッパもまた味方を処刑した理由を問う。

「これ以上やっても時間の無駄だ、奴には勝てんだろう。おまけにあの栽培マンは始めに奴を舐めてかかった…俺は言ったはずだ。思い切りやれとな…」

「な…何て奴だ…」

味方を躊躇せずに殺すベジータにクリリンは思わずそう呟き、ピッコロは先程の攻撃の威力に戦慄する。

「(あ…あのサイヤ人…一瞬で化け物を粉々に…何と言う破壊力だ…!)」

「さあ、お次はどいつだ?」

「貴様ら、今度ははなっから飛ばしていくんだぞ!」

「よ、よ~し」

ベジータに促され、今度はクリリンが前に出ようとするが、ヤムチャが申し出た。

「俺にやらせてくれ、ここらでお遊びはいい加減にしろってとこを見せてやりたい」

「ヤムチャさん、そんなら俺だって…」

「クリリンは一度ドラゴンボールで生き返っている。もし万が一のことが起こってしまえば二度と生き返れない。さあ!来やがれ」

ヤムチャが構えを取ると、栽培マンの1匹が前に出た。

「へっ、調子に乗りやがって」

「見せてやれ!栽培マンの本当の恐ろしさを!」

「ギ!」

向かい合うヤムチャと栽培マン、先に動いたのはヤムチャだった。

高速で移動し、栽培マンもそれに続いて高速で移動した。

「き、消えた!」

「馬鹿め!高速で動いているのだ!気の動きを良く感じてみろ!お前以外は皆見えているぞ!」

「少しずつ慣れていこうね悟飯」

気の感知が未熟な悟飯は消えたと思ったが、ピッコロに指摘されたことでヤムチャと栽培マンの闘いが見えた。

激しい攻防を繰り広げるが、次第にヤムチャが押していき、堪らず岩場にジャンプする。

ヤムチャがそれを追うと栽培マンがヤムチャに飛び掛かった。

「ギャウ!!」

それをヤムチャは不敵な笑みを浮かべて回避し、かめはめ波を直撃させ、地面に叩き付けて気絶させた。

「…またかよ……」

栽培マンが気絶したことを確認したヤムチャはベジータ達に振り返る。

「お前達が思っている程、この化け物達は強くなかったようだな。残りの4匹もこの俺一人で片付けてやるぜ…」

ヤムチャの言葉にベジータは笑みを浮かべる。

「くっくっく…今度は甘く見たのはお前達のようだな…」

「何!?」

気絶していた栽培マンが背後から襲い掛かり、振り返ったヤムチャにしがみつき、ニヤリと笑った直後に自爆した。

「そう…それで良いんだ」

栽培マンの自爆に満足そうに笑うベジータ。

爆煙が晴れると、倒れているヤムチャの姿があった。

「何て奴だ…自爆しやがった…」

「ヤ、ヤムチャさーん!」

ピッコロが呟くと、クリリンは慌ててヤムチャの元に向かい、生死を確かめたが、心臓は動いていない。

「………死んでる…き…きっとヤムチャさんは嫌な予感がしてたんだ…そ…それで俺の代わりに…ち…畜生…プーアルやブルマさん達に何て言や良いんだよ…」

「情けねえ栽培マンだぜ、相討ちとはよ!あんな屑共を相手に何やってやがんだ!」

「おい!汚いから片付けておけよ、そのボロ屑を!」

ベジータの侮辱にとうとうクリリンはキレた。

「……!く…くそったれ!みんな、離れてろーーっ!!修行の成果を見せてやる!!」

両手に気を溜め、凄まじいエネルギーの気功波をベジータ達に向けて放った。

「離れろ餃子!巻き添えを喰らうぞーーっ!!」

「凄まじいエネルギーだが、スピードがない!避けろと言っているようなもんだ…!」

天津飯達が距離を取り、ピッコロはベジータ達に当たらないと判断したが、クリリンとて達人。

簡単にかわされるような技を出すはずがない。

「ばっ!!」

気功波を上に曲げると拡散させ、拡散した気功波はベジータ達に降り注ぐ。

ベジータ達には命中したが、栽培マン1匹にかわされてしまう。

「やったぞ!」

「へへっ…1匹外しちまった…」

「す…凄いや…!」

天津飯と悟飯はクリリンの技の成果にそれぞれの反応をするが、残った1匹が悟飯に迫る。

「しまった、外した奴だ!」

天津飯が叫ぶのと同時に悟林が間に入って栽培マンの両腕を掴んだ。

「ギ…!」

「私の弟に…何すんの!?」

そのまま腹に蹴りを入れて悶絶させると上空に殴り飛ばし、魔閃光を放とうとするが、ピッコロが口から放った気功波によって栽培マンが消し飛ばされた。

「ピッコロさん」

「こんな奴に飛ばしすぎるな。」

「さ…流石ピッコロだ…いずれまた敵になるかと思うとゾッとするぜ…」

「そ、それに流石、悟空の子供だ…末恐ろしいぜ…」

「あ…ありがとうピッコロさん…お姉ちゃん…」

天津飯とクリリンがそれぞれの反応を示し、悟飯が二人に礼を言う。

「うん!」

「勘違いするんじゃない。貴様なんぞ助けるか…これから始まる素晴らしい闘いのためのウォーミングアップだ…」

「くっくっく…素晴らしい闘いになればいいがな…」

煙の方を見遣ると、多少の汚れがついただけのベジータとナッパが無傷の状態で出てきた。

「では、そろそろお前達の望み通り、お遊びは終わるとするか…」

「ぎひひひひ…いよいよ本番てわけだ」

「ば…馬鹿な…まるで堪えてない…ま…まともに喰らったはずだ…」

いくら拡散して威力が下がっていようが、栽培マンを一撃で倒す程の威力はあったのにダメージがないことに天津飯は驚く。

「お…俺はフルパワーでやった…!あ…あれがサイヤ人か…!」

クリリンのフルパワーの一撃を受けてもダメージを受けないこの二人の実力は栽培マンを遥かに超えている証拠だ。

「俺にやらせてくれ、一瞬で6人纏めて片付けてみせるぜ」

「好きにするがいい」

ベジータの許可を得たナッパは笑みを浮かべながら構えを取った。

「へっへっへ…精々楽しませてくれよ…はあああ……」

ナッパがフルパワーを徐々に発揮していくのと共に大地が震えていく。

「う…うう…!だ…大地が震えている…!」

「て、天さん!ぼ、僕の超能力が効かないっ!!」

「そ…そんな…!」

「も…物凄いパワーだ…!」

「こ…これほどまでとは…!」

フルパワーを解放していくナッパに全員が戦慄し、ナッパが解放を終えた。

「ピ、ピッコロさん…」

「く…来るぞ…!」

地球戦士達とサイヤ人、ナッパとの戦闘が始まった。

だが、闘いが始まるとほとんど一方的であった。

フルパワーとなったナッパは手始めに天津飯に襲い掛かり、気を纏った腕で天津飯の腕を切り落とし、追撃を舞空術でかわした天津飯をナッパは即座に距離を詰めて蹴り落とし、地面に叩き付けた。

クリリンが救出に向かおうとしても横薙ぎした右手の指先からのエネルギー波でクリリンを吹き飛ばし、地面に大穴を開けた。

穴の底が見えないくらいの破壊力に誰もが戦慄する。

「ナッパ!後ろを見てみろ!!」

突然にベジータが楽しげな声を出す。

気付けば、衝撃波で吹き飛ばされていたと思っていた餃子が、ナッパの背中にべったりとくっついていた。

天津飯の顔が変わったその時には、餃子は光り輝いて自爆を果たし、餃子が命を懸けたにも関わらずダメージがないナッパ。

次々と起こる仲間の死に戦意が低下しそうになるが、ピッコロが反撃の策を練っていた。

「聞け…奴は攻撃に移る僅かな一瞬に隙がある…その時を狙うぞ…」

「いい作戦だ。健闘を祈るぞ」

「随分余裕だね」

聞いていたらしいベジータを悟林が睨みながら言ってやると、ベジータはニヤリと笑った。

「……そうやって笑ってられるのも、今のうちなんだからね」

ピッコロが悟林の言葉の後を引き継ぐ。

「孫悟空が来れば貴様らの間抜け面を凍り付かせてくれるだろうぜ」

「ほう、何者だそいつは…取って置きなのか?」

尋ねてくるベジータを無視してタイミングを狙う3人とは反対に悟飯は恐怖で震えている。

「悟飯…」

「はあああーーっ!!」

「今だ!」

悟飯の様子に気付いた悟林が声をかける前に天津飯にとどめを刺そうと突撃するナッパに、ピッコロが声を上げた。

「よし!!」

「う、うん!!」

3人が高速で移動し、ピッコロがまずナッパの横っ面を殴り飛ばして悟林が真上に蹴り飛ばし、クリリンが組んだ拳を振るい落として脳天に叩き込んだ。

勢いをつけて地面に落ちていくナッパに、悟飯の攻撃が入るはず……だった。

「悟飯、今だ!撃てーーーっ!!」

ピッコロが悟飯に叫ぶが、怯えていた悟飯を見た悟林も叫んだ。

「悟飯!!」

「あ……あわわわ…!」

「悟飯早くーーーっ!!お母さんやお祖父ちゃんが死んでもいいのーーーっ!!?」

「ま、魔閃光ーーっ!!」

「つあっ!!」

悟林の叱咤によってようやく魔閃光を撃ったものの、ナッパは悟飯の魔閃光をかわした。

「くっ!!」

「外された!タイミングが遅かった…!」

悟飯の魔閃光が当たらなかったことにピッコロとクリリンは悔しそうにし、ナッパは口許の血を拭うと、悟林達を睨んだ。

「やってくれたじゃねえか…てめえら更に寿命を縮めたな…!殺してやる順番を変えることにしたぜ…覚悟しな…!」

怒りに震えたナッパが標的を変えた直後に下から、天津飯が片手の気功砲を放つ。

どんな技なのかは、悟林は知っていたわけではない。

けれどその後、直ぐに息絶えた天津飯の姿を見て、その技は体に異様な負担をかける物だったと知る。

「ふう…脅かしやがって…!」

それを喰らってもナッパはピンピンしていた。

正真正銘の化け物だ。

「う、嘘…凄い技だったのに…ば…化け物だ…!」

「ま…まさか…や…奴は不死身か…!?」

「あ…あ…そ…そんな…天津飯まで…ひ…酷え…悪夢だよ…つ…次々にみんな…死んじゃうなんて……悟空ーーー!!早く来てくれーーーっ!!頼むーーーっ!!」

悟空の名を呼び、早く来てくれと叫ぶクリリンの気持ちは、多分ここにいる誰もが思っている事だろう。

「ゴクウ…?さっきから一体…待てよ…」

クリリン達の言う名前が妙に引っ掛かるベジータ。

「ぐひひひ…また1人片付いた…今度は貴様らの番だ…そっちのピッコロとか言うナメック星人だけは虫の息程度に生かしておいてやる…ドラゴンボールのことをもっと聞き出さんとな…そして最後に裏切り者のカカロットのガキ共だ」

「ラッキーだな…ピッコロ…ドラゴンボールのことあんたしか知らないと思ってやがる…」

「同じことだ…どっちにしても全員殺すつもりだ…」

「私と悟飯なんか最後だよ…」

「それにしてもこうなるとさあ…あんたが今だけとは言え味方だってのは頼もしいよ…まさかこんなことになるとはね…す…少しは勝つ自信あるんだろ?」

「ない…!」

ピッコロの言葉にクリリンと悟林は目を見開いた。

「嘘だよね…?ピッコロさん…?」

「こんな嘘など言うか…これほどまでの怪物だとは思わなかった…この前に来たサイヤ人を遥かに上回ってやがる…お前達姉弟を鍛えればどうにかなると思っていた俺の考えは相当に甘かったらしいな…」

「ねえ、クリリンさん…私達死んじゃいそうだね…」

「それ言わないでくれよ悟林ちゃん…くそぉ…俺も死ぬ前に結婚したかった…!」

「無駄話は止めろ…!地上に降りて闘うぞ!空中戦では奴の方が遥かに慣れている!」

「くっくっく…どっちにしても同じことだ…足掻け足掻け!」

3人は地上に降りると、上空を見上げる。

「はーーーっ!!」

「ピッコロさん!クリリンさん!来るよっ!!」

「「っ!!」」

「お父さーん!!」

襲い掛かるナッパに悟飯が思わず叫んだ時であった。

「ナッパ待ていっ!!」

意気揚々と攻撃を仕掛けようとしたナッパに、ベジータの声が飛ぶ。

その声にナッパは急停止し、誰もがベジータに視線を向けた。

「な、何だよベジータ…!何でやらせない…」

「まあ、そう慌てるな。そいつらにちょっと聞きたいことがある」

「何!?」

「お前達が言うソンゴクウと言うのはカカロットのことだな?そうだろ…」

ナッパは楽しみを中断させられて、少し驚いたようだが、ベジータはそんな事は全く気にせず、4人に質問をぶつけてきた。

「そうだ…!だから何だ…!」

「なるほど、やはり無線で聞いた通りドラゴンボールで生き返ったらしいな。それにしても、はっはっはっ…お前達の頼みの綱があのカカロットだとはな!」

笑うベジータに悟林は目を吊り上げて声を上げた。

「何がおかしいの!?」

「ラディッツにさえ歯が立たなかったあいつが来た所で、何の役に立つというのだ」

「お父さんは叔父さんなんかと闘った時より、全然ずぅっと!比べ物にならないくらい強くなってる!!」

きっぱりと言い放ち、ベジータはしげしげと悟林の顔を見つめた。

「ふっふっふ…大した信頼だな……よし、3時間だけ待ってやる」

「な、ベジータ!!」

咎めるナッパに対してベジータは鋭い視線を投げかけてナッパの行動を止める。

ベジータの方がナッパよりも比べ物にならないくらいに強いという事だろうが、こんな時に知りたくはない。

「3時間だ。それが過ぎたら待つつもりはない。少しは寿命が延びたんだ、感謝しろ」

そう言って何とか3時間の猶予を与えられた4人。

悟林はくたっとなって座り込んでしまった。

「お、お姉ちゃん!?」

「ごめん…ホッとしたら…」

「無理ないさ、悟林ちゃんは良く頑張ったよ」

気が抜けて座り込んでしまった悟林の頭をクリリンが撫でてやると、ピッコロが悟飯を叱責した。

「悟飯、何故もっと早く撃たなかった。お前が魔閃光を当てていれば奴にもっとダメージを与えられたんだぞ」

「ご…ごめんなさい…ぼ、僕怖くて…」

「しょ、しょうがないってピッコロ!あの時撃てただけでも大したもんだよ。初めての実戦だし相手があれじゃあ…ピッコロに鍛えられるまで武道もしたことないんだろ?悟林ちゃんみたいに闘いに向いてる性格でもなさそうだし…それに悟飯も悟林ちゃんも5歳だぞ?2人共、良くやってるよ」

「…ねえ、ピッコロさん。私と悟飯の合体技ならあのでかいのなら倒せるんじゃないかな?」

「合体技?」

「うん、ピッコロさんに教えてもらった技を合わせてみたんだけど結構強力だったんだ。当たれば倒せると思う」

「あんな隙だらけの攻撃が通用すると思うか?奴の動きさえ止められれば……」

「「「…?」」」

急に黙り込んだピッコロに誰もが不思議そうに見つめるが、恐らく勝つための作戦を練っているのだろう。

邪魔してはならないと思い、ピッコロから少し離れた。

「クリリンさん、お父さん…生き返ったのかな?」

「生き返ったと思う…ブルマさん達がドラゴンボールを盗まれてさえなきゃね…」

「お姉ちゃん…」

「大丈夫だよ、悟飯。お父さんが来るまで頑張ろ?」

不安そうにしている悟飯に言うと悟林は空を見上げた。 
 

 
後書き
ベジータがラディッツと一緒に遠征に行く時、ギネが見送りに来てその時チラリと見ていたから覚えていた設定です。

バーダックのことも知ってたし、ギネのことも知ってても良いかなと 
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