| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章 青年期
  第百三十三話

 ディアマンテを倒して無防備な背中をみせるたしぎを殺すべくラオGが襲いかかる。


菊栗腰(ぎっくりごし)!!」

鷹爪(ようそう)!!」


 たしぎの腰を狙ったラオGの飛び蹴りは割って入ったステューシーの嵐脚を放つ速度で振るわれた蹴りで防がれた。


「えっ!?」


 自分の真後ろで蹴り合っている二人を見て、大業物の剣に見惚れていたたしぎは目を丸くして驚く。


「あらあら…おじいちゃん。若い子のお尻を追っかけるなんて妬いちゃうじゃない?」

「確かに40年以上前からその美幌を保つお主は見た目ほど若くはないのぉ?」

「嫌だわ…女性の年齢を詮索するなんてマナー違反よ?」


 60歳を超えるラオGはドンキホーテファミリーに入る以前の若い時から闇の世界において暗殺者として活躍していたが、彼が20代の時に一度だけ既に闇の世界で名を轟かせていた今と変わらぬ美貌を持つ“歓楽街の女王”と呼ばれるステューシーの姿を見たことがあった。

 驚くべきは未だに20代前半の肌ツヤを維持し、当時と全く変わらない若々しく絵画から抜け出たような美貌をステューシーが維持していることである。


「ふふっ……秘密が女性を美しくするのよ。おじいちゃん?」

「ファファファ!どちらの方がより年寄りか…分かったもんではないのぉ……うっ!?」


 ステューシーとラオGが互いに蹴り合ったまま舌戦を繰り広げていると、その体勢に無理があったのかラオGの腰がボキッという音を立てて、ラオGが崩れ落ちてぴくぴくとしていた。


「あら?おじいちゃん、悪い事を言わないから降参しなさい。」

「ハーダダダダタァ〜!」


 流石のステューシーも不憫になり、追撃する事もなくラオGに降参を勧めるが、ラオGは腰を痛めて深く落とし、前傾姿勢になって両手を前に突き出した。


「何をする気なの?」

「腰痛の構え……“目の突枯(つかれ)“!」


 ラオGはその体勢のまま足を高速にちょこちょこと動かして一気にステューシーとの間合いを詰めて両手の貫手に変えて連続で目潰し攻撃を繰り出した。


「なっ……そんな格好でなんて鋭い!?“指銃・斑”!」


 ステューシーはラオGによる目潰し攻撃を連続で放つ指銃で応じたが、ラオGの猛攻に押され始める。


「ほぉ……よく反応したのぉ?“型氷(かたこり)”!!」

「なんで……腰を痛める前よりも攻撃が重い!?“獣厳(じゅごん)”!!」


 ラオGは両肩を狙って両拳による連続突きを繰り出しすと、ステューシーは指銃の速度で放たれた拳で応じたが、耐えきれずに後退を余儀なくされる。


「これならどうじゃ“冷重衝(ひえしょう)”!」

「鷹爪!!」


 ラオGの腹部を狙った掌底に対してステューシーは嵐脚放つ速度で足を蹴りあげて応じ、掌底と蹴りぶつかり合う。

 足は腕の三倍の力を持つと言われており、二人の攻撃の威力は拮抗し、互いに弾かれて地面に轍を残して後退するが、ラオGの猛攻はまだ終わらない。


不死武士の痛巳(ふしぶしのいたみ)!!」

「鉄塊!!」


 ラオGは地面を蹴ってステューシーの全身の節々に向けて連続で攻撃を繰り出すと、ステューシーは全身に武装色の覇気を纏い、筋肉を鉄のように硬化させて彼の攻撃を無傷で受け切った。


「「その歳にしては大した実力(じゃな)ね。」」


 ステューシー、ラオGは互いに高齢にも関わらず素早い動きと的確な急所を狙った攻撃を繰り出す互いの実力を褒め称えた。


「それが噂の六式か……。ヴェルゴの奴も使うが中々に興味深い。」

「そういえば…貴方達の仲間のヴェルゴ中将も六式の使い手だったわね。それに引替え貴方の拳法は始めてみるわ。」


 ステューシーは始めて見るラオGの拳法に興味を示す。

「老うほどに痛みを知り、切れ味を増す“地翁拳(GIろうけん)”の〜G!!」


 ラオGは両手でGの形を作り、ステューシーに見えるように前に突き出す。


「コォォォオオオ!!地翁拳究極の秘技“戦闘保拳”!!病や怪我また老いてしまった時の為に若い頃より筋力を積み立て保管しておく気功術!!お前もここで殺して地翁拳こそ六式を超える最強の拳法だと分からせてしんぜよう。」


 ラオGは得意とする気を体から放出すると上半身の筋肉が膨れ上がり、腕も大木の幹のように太く膨れ上がり、ムキムキになると身長も倍くらいになる。


「凄い……さっきまでヨボヨボのおじいちゃんだったのに、それに曲がっていた腰も治ってシャキッとしてるわ。」

「技は熟練!力は全盛期!!一体誰がこのわしに勝てようか!くらえぇぇぇ“Gの刻印”!!」


 ラオGは身体中のオーラを漲らせて両腕でGの形を作るとそのまま真っ直ぐにステューシーに向かって突進するとステューシーは両手を上下に重ねてかめはめ波のような形を作りながらラオGに向けて突進した。


「なるほど……スピードも段違い。要するに私が得意の“生命帰還”みたいな技よね。あまり六式を舐めないでちょうだい?“月光十指銃”!!」


 六式使いにも“生命帰還”と呼ばれる技でラオGのように筋力を肥大化させたり、ゴジのように血統因子を作り替える荒技を使う者もいる上、ステューシーの若さの秘訣もまさに“生命帰還”により若い時から定期的に身体の全細胞の細胞分裂を促進させているから細胞が全く歳を取らず、シワひとつない美貌を保っていられるのだ。

 互いの技が激突すると周囲の家の壁が吹き飛び崩落する程の衝撃が起こり、技を放った二人ともを弾き飛ばすほどである。


「その細腕でワシの技を相殺するとは……」

「うふふっ……貴方の方は見かけ倒しのようね。」


 距離は離れたものの互いに無傷な二人はゆっくりと徒手空拳の構えをとる。

 六式使いとは超人の証であり、女性らしいしなやかな身体でありながらステューシーの筋力は長年蓄積して肥大化したラオGの筋力に勝るとも劣らない。


「ならば……地翁拳の究極奥義をくらうGAいいの〜Gィ〜!!」

「受けて立つわ…来なさい!!」


 ラオGは長年蓄積した筋力を一度に解放し尽くす踏みった地面をひび割れさせる程の渾身の突進に対してステューシーは動くことなくその場に深く腰を落として両拳を上下に重ねて構える。


満鬼解焼(まんきかいやく)!!」


 ラオGはステューシーに向けて全ての力を右手に乗せて渾身の掌底を放つ。

 蓄積した全ての筋力と気を一度に解放したこの技を放った後、ラオGは元のヨボヨボの老人の姿に戻ってしまうが、それだけにこの技は城壁ごと城を消し飛ばすことの出来るかのプロビデンス王国の“戦う王”プロビデンス国王のキングパンチにすら匹敵するはずである。


「弾け飛べ!!“歓楽街の女王”ぉぉ!!?」

「ぐっ…ぐうぅぅぅ…!!?“六式奥義 六王銃”!」


 ステューシーはラオGの掌底が両拳に当った直後に、苦悶の表情を浮かべながらも弾き飛ばされぬように堪えながら、両拳から武装色の覇気をラオGの体内に送り込んだ。


「GUおおぉぉぉっ……の…G…」


 右掌から全身に武装色の覇気を体内に送り込まれて全身の内部に衝撃を伝えられたラオGは意識を喪失してその場にうつ伏せに倒れ伏した。

 ステューシーは技を受けて意識を飛ばしたラオGの身体が元のヨボヨボの体に戻っていくのを見て戦いが終わった事を確認する。


「はぁ…はぁ…全く元気なおじいちゃんね。たしぎがあんなに頑張ったのに上官である私が負ける訳にはいかないでしょう。」

「ステューシーさん、お疲れ様です。」

「たしぎもお疲れ様。いい剣だったわ!流石よ!!」


 ステューシーは照れるたしぎを優しく見つめていると、離れた場所から二人の戦いを見守っていたリク王達は唖然としていた。


「幹部達が手も足も出ない。これが“黒麒麟”率いるジェガートの将校達の実力。」

「コロシアムの英雄ディアマンテでさえ、あんなに若い海兵に敗れた。」


 特に最高幹部ディアマンテはコロシアムで無敗を誇る英雄と呼ばれているが、リク王は何処か引っかかっているのか不満を顕にする。


「コロシアムの英雄か……何故だか分からないが、私はその名に相応しい者を知っている気がするのだ。」


 リク王は名前も顔も存在すら覚えいないが、コロシアムの英雄と呼ばれるにはもっと相応しい男がいた気がしてならず、空を見上げた。


 ◇


 ディアマンテ達の敗北の報告はドレスローザ王宮の王座に腰掛けるドフラミンゴの元へ届けられた。


『プルル……ガチャ!俺だ。』

『若様!ディアマンテ様、マッハ・バイス様、デリンジャー様、ラオG様、セニョールピンク様全員がジェガートの海兵より拿捕され、ディアマンテ軍壊滅しました!!』

『なんだと……ディアマンテ達がやられたのか!?その中に“黒麒麟”はいたのか?』

『いえ…こちらで確認した海兵は“歓楽街の女王”、“刀狩り”、“船殺し”、“大食らい”、“悪魔の子”の5人です!』


 ドフラミンゴはディアマンテ軍壊滅の報告を聞き、海軍の狙いを考える。


「やはり“黒麒麟”の目的は地下の“SMILE”工場とマンシェリーか…」


 マンシェリーとはかつて幼いヴィオラがイタズラをした際にリク王に閉じ込められた事がある王宮の地下にある一室通称お仕置部屋に幽閉されているトンタッタ族の姫である。

 ドフラミンゴはマンシェリーが幽閉され、王宮からSMILE工場へ通じる地下通路の様子を聞くためにピーカの電伝虫の鳴らす。

 彼はマンシェリーを奪還されぬ為にピーカ率いるベビー5、バッファロー、グラディウスの4人の幹部達からなるピーカ軍を地下に配置していた。


『プルルル…』

「何故だ…ピーカ。何故応答しない!?」

『プルルル…』


 しかし、ピーカは通話に出ずに電伝虫のコール音のみが響いており、ドフラミンゴは地下に配置した他の部下の持つ電伝虫を鳴らすもコール音のみの状態であった。


「おい!お前、電伝虫を通話状態のまま地下へ行ってこい!」


 ドフラミンゴは地下で何かが起きたと確信して、何かあれば状況が分かるように部下に電伝虫を通話状態のままで地下へ行くように命じるとドフラミンゴに手渡された電伝虫を持って部屋から出て行った。


「イライラしてるな?」

「なっ…お前は…!?」


 部下が王座の間から出て行き、その扉が閉まると、同時に扉の前に白い海軍コートを着こなす黒髪短髪の若い男が不敵な笑みを浮かべながら現れた。


「教えてやろうか?ソプラノ男(ピーカ)なら地下でぐっすりだよ。」


 ドフラミンゴは思った以上に早く登場した声の主を睨み付けながら、眉間に皺を寄せて苛立ちを顕にしながらも努めて冷静を装う。


「もう来たのか…“黒麒麟”。フフフ…言ってくれれば迎えのひとつも寄越したものを…せっかちな奴だ。」

「お初にお目にかかる“天夜叉”ドンキホーテ・ドフラミンゴ。そろそろ地下の制圧が終わる頃だな。外を見てみるといい。」


 ドフラミンゴが窓の外を見ると、街中が光輝きオモチャ達が人間の姿に戻っていく彼にとっては悪夢のような光景が広がっていた。


「これは!?まさか…シュガーがやられたのか…!?」

「さらにリク王、ヴィオラ王女、レベッカ王女、マンシェリー姫は無事に保護した。“SMILE”工場もまもなく制圧出来るだろう。無駄に頭の回るヤツほど、思考は読みやすい。6年前とは違って自分が操り人形として俺の掌の上で踊らされた気分はどうだ?」


 ゴジはドフラミンゴの動きを読み切った上で完全に上回ったので、己の完全な采配ミスに対して怒りのあまりにドフラミンゴの眉間に皺が寄る。


「フッフッフ…6年前の意趣返しのつもりか?」

「そう捉えてもらって差し支えない。海賊“天夜叉”ドンキホーテ・ドフラミンゴ!本日をもって王下七武海を解任し、お前を拿捕する。」

「若造が…粋がるなよ…!!」


 一触即発のゴジとドフラミンゴがぶつかり合う前にドレスローザの地下で何が起きたのか振り返ってみよう。

 それを知るにはゴジ達が動き出した直後まで遡る必要がある。 
 

 
後書き
次の更新は8日。

いい所ですが、次はマンシェリー姫救出の様子をご覧ください。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧