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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第百三十二話

 戦艦前の岸壁においてレベッカの護衛を任されたロビンの元へもドンキホーテファミリーの幹部の一人が現れていた。


「キャッハハハハ!!レベッカじゃなぁ〜い♪お久しぶりねぇ♪」

「あら?レベッカの知り合い?」

「えっ……私、貴女のこと知らない……」


 ショートカットに揃えられた金髪の側頭部から闘魚のような天に向けて曲がった角が生えた13歳くらいの下半身は短パンに生足ハイヒールという服装をした少女が楽しそうに手を振りながら姿を現すが、レベッカはその少女を知り合いではないと首を横に振る。


「えぇぇ!?ショックぅぅ!レベッカ、もっと近くでよく見てよぉ!!」

「でやぁ!!」


 少女がレベッカに近付こうとした時、ロビンとレベッカの前にオモチャの兵隊が割って入るや否やオモチャのマスケット銃を剣のように両手で持って振り上げながらそのまま振り下ろした。

 デリンジャーはオモチャの兵隊の攻撃に気付き、後ろに飛んで苦もなく躱してみせた。


「ニコ・ロビン!レベッカ!見た目に惑わされるな!!そいつの名はデリンジャー。少女のような格好をしているが、目にも止まらぬ素早い動きと蹴り技を得意とするドンキホーテファミリーの幹部の一人でれっきとした男だ!!」


 オモチャの兵隊はデリンジャーの正体を明かしてロビンに注意を促すと、彼の接近を警戒して腕をクロスして能力を発動する準備をしていたロビンもデリンジャーが男と分かって少し驚いていた。


「そう……敵だとは分かっていたけど、男の子だったのね?」


 一見して少女にしか見えないがデリンジャーは僅か6歳でドンキホーテファミリーに入るや1200万ベリーの懸賞金を付けられた実力者で、闘魚の魚人と人間とのハーフという魚人の血を受け継いだ半魚人である。

 デリンジャーはトレーボル軍のジョーラに育てられた経緯もあってか女の子のような服装にしゃべり方はギャル系のオネェな口調である。


「せっかく油断させてレベッカを蹴り殺してやろう思ったのに!!クソオモチャがバラしてんじゃねぇよ!!あんたから蹴り壊してやるわ!!」


 怒りによって闘魚譲りの残忍な凶暴性を現したデリンジャーは興奮し、目が赤く光り、背中から背びれが飛び出していた。


「ぬっ!?受けて立つ!!」


 デリンジャーは“剃”並の目にもとまらぬ速さでオモチャの兵隊に向けて迫っていくと、オモチャの兵隊は負けじとオモチャのマスケット銃を剣のように構える。


「断頭ハイヒール!!」

「ぐあああぁぁぁ!?」

「兵隊さぁぁぁん!!?」


 しかし、半魚人であるデリンジャーは魚人の特性である生来の人間の10倍の力を持って生まれた上、興奮した彼の力は手が付けられない程であり、オモチャの兵隊は蹴り飛ばされた。


「私は大丈夫だ!だが、なんという力だ……!」


 オモチャの兵隊は蹴り飛ばされはしたが、デリンジャーの蹴りに反応して蹴りを受け止めたことで真っ二つに折れたマスケット銃を見て唖然としていた。


「闘魚の血筋舐めんじゃねぇよ!!今度こそ…」

「うふふっ!貴方の相手は私でしょう?それとも私と戦うのが怖いのかしら?」


 ロビンはあえてデリンジャーを煽る事でオモチャの兵隊に向けられたヘイトを自分へ向ける。


「あ”?なら、お望み通りにあんたから蹴り殺してやるよ!!」


 闘魚の血筋譲りの闘争本能が剥き出しのデリンジャーはロビンの挑発に簡単に乗り、目にもとまらぬ速さでロビンに迫る。


十二輪咲き(ドーセフルール)!!」

「なっ!?身体から腕が……ぐっ……動けな……い!?」


 デリンジャーは“剃”並の速度でロビンに近付いて蹴りを入れようとしたその時、彼の身体から12本の腕が咲き乱れ、全身の関節を極めることで動きを封じ、彼を拘束した。


「無駄よ。私の前ではスピードは無力。レベッカ王女を守るのが私の仕事なの……だから、例え貴方がまだ子供でも彼女を害そうとするなら容赦しないわ!“クラッチ”!!」

「うべっ……!?」


 両腕を自分の体の前でクロスした構えを取るロビンの“クラッチ”という合図にデリンジャーの体を拘束する12本の腕を使って彼の背骨を後ろ側に鯖折りにした。

 そのまま気を失ったデリンジャーを見たレベッカとオモチャの兵隊は驚きを隠せない。


「「凄い……!?」」

「兵隊さん、あなたも勝手に前に出ないでちょうだい。守り辛いわ!!」

「す……すまない……」


 ドンキホーテファミリー相手に完封する頼もしいロビンの姿にレベッカとオモチャの兵隊の緊張の糸が少し緩み、笑顔を見せた。


 ◇


 その頃、リク王を無事に保護したステューシーとたしぎも新たな敵と対峙していた。


「部下達から報告は来ているぞ。“歓楽街の女王”、リク王を置いてけ!」

「海兵が七武海である若の部下である私達に手を出すのは間違(まちGA)ってるの~G!!」


 赤を基調としたヒラヒラの服を着た身長5mはある細身の中年男である最高幹部ディアマンテと青を基調としたプレロスラー衣装の小柄な老人であるラオGの二人である。


「この国の本当の王を置いていく訳ないでしょう?」

「この国の王はドフィ。二人も王はいらねぇんだよ“蛇の剣(ウィーペラグレイブ)”!!」


 ディアマンテは腰の剣を抜くと超人(パラミシア)系悪魔の実、ヒラヒラの実の能力でヒラヒラとなった刀身が蛇のようにうねりながらリク王に向けて伸びていく。


「“涼凪(すずかぜ)・閃”!」

「たしぎ?」


 ステューシーはディアマンテの剣を見切り、リク王の前に出て武装色の覇気で硬化した腕で受け止めようとしたところにさらに割って入ったたしぎが居合切りで剣を弾いた。


「ちっ……“刀狩り”か!?」

「貴方の剣は大業物21工が一つ刺突剣フルンティングとお見受けします。ディアマンテ、その名剣回収します。」


 たしぎは自他ともに認める刀剣オタクとしてディアマンテの使う剣の名を言い当てた。彼女は名だたる名剣が悪しき事に使われる事を許せず、悪人の手にある名剣を集める事を信条としている。


「いいわ。ディアマンテは貴女に任せるわよ。」


 その信条を知っているステューシーはたしぎにディアマンテを譲り、ラオGの元へ歩いていった。


「ステューシーさん、ありがとうございます。」

「ベビー5と同じ歳くらいのガキが俺の剣を弾き返すだけじゃなく、この俺から剣を奪う気とはな!身の程を知れ!!“陸軍旗(アーミーバンテラ)”!!」


 ディアマンテは剣を持っていない左手で地面に触れると地面が風にはためく旗のように波打ち始めた。


「きゃっ!?地面が……」

「俺はヒラヒラの実を食べ、触れる物全てをはためく物質に変える旗人間!地面とて例外じゃねぇ!!」


 たしぎは刀を振り上げたまま波打つ地面を蹴り、ディアマンテに斬りかかった。


「こんなもの……嵐の海に揺れる船に比べれば訳ありません!“斬時雨”!!」


 ディアマンテははためくマントでたしぎの刀を受け止めると、刀がマントにぶつかった瞬間カキンっという音と共に刀が弾かれた。


「えっ……!?」


 ディマンテはヒラヒラの実の能力で分厚い鉄の板をヒラヒラのマントに変えている。


「残念……ヒラヒラとはためいているが、このマントは“鋼鉄”だ!“闘牛(コリーダ)グレイブ”!!」


 ディアマンテは剣を能力でヒラヒラにして腕に巻き付けると、牛のような形状に“ロック”してそのままたしぎに殴り掛かった。


「くっ……“袖の雫”!!」


 たしぎは返す刀でディアマンテの攻撃に応じたが、力で押し切られたたしぎは体勢を崩してしまう。


「ほぉ、いい反応だ……だが、解放(ヒラリリース)!」


 その隙を見逃すはずのないディアマンテは牛の形にロックしていた刀を元の鋼鉄の直剣に戻して斬りかかった。


「なっ……!」

「中々にいい反応じゃねぇか……しかし、れろっ!」


 たしぎはディアマンテの攻撃に気付いて“剃”でその場離れたが、間に合わず左肩を深く斬られてしまい、ディアマンテは刀身についたたしぎの血をひと舐めしながら下卑た笑みを浮かべる。


「まだまだいくぞ!!」


 ディアマンテは左手で腰に差している銃を取り出すとたしぎに向けて引き金を引く。


「くっ……!?」


 たしぎは正眼に構えた刀のシノギに向かってくる弾丸を添わせて軌道を変えて銃弾を避けているが、圧倒的に格上の実力者であるディアマンテのペースに乗らされている。


「ねぇ……ディアマンテ、貴方は剣技の天才であると聞いてたけど、違うのかしら?」

「ステューシーさん?」

「ディアマンテ、耳を貸すな!!確実に勝てばいいのだ!!」


 たしぎの戦いを見守っていたステューシーはディアマンテを挑発すると、ディアマンテはラオGの警告に耳を貸さず、ステューシーの言葉に反応してたしぎに向けていた銃を降ろし、腰に戻す。


「よせ……俺はそんな大層な腕前では……」

「そんな事ないわ……貴方はこの海でも指折りの剣士よ。」

「俺なんてまだまだ……」

「そう……では、私の思い違いだったのかしら……」


 ステューシーが謙遜するディアマンテに肩を落とし掛けた時、急にディアマンテは胸を張って自信を取り戻し、高らかに宣言する。


「そこまで言うなら認めよう俺こそがこの海で最強の剣士だと!!ヒラヒラの実の能力等、この俺の剣技の前には飾りに過ぎない。俺の剣は大地をも穿つ。“歓楽街女王”、お前の部下が俺の最強の剣技で葬られる様をな……“半月……」


 ディアマンテは自他ともに認めるドンキホーテファミリーでにおいて一番の剣士であり、剣を下から上へ向けて半月を描くようにゆっくりと回して上段に構えていく。

 剣技でたしぎを倒すという宣言通りに先程までヒラヒラと旗めいていた地面も元の平坦な地面に戻っている。


「ふふっ……プライドの高い男ほど手玉にとりやすいわ♪」


 ステューシーはそんなディマンテの様子にほくそ笑む。

 “歓楽街の女王”として数々の男達を手玉に取ってきたステューシーにとって、ディアマンテを煽てる事など赤子の手をひねるようなものである。


「ステューシーさん、感謝します……。」


 ヒラヒラの実の能力に翻弄されていたたしぎはステューシーに礼を言うと、ステューシーの激を受けて気合いを入れ直す。


「たしぎ、全力で行きなさい!!」

「はい!!」


 たしぎは己の持てる限りの覇気を刀に集め、上段に構えながら“剃”でディアマンテとの間合いを詰めていく。


「……グレイブ”!!」

霞染月(かすみそめつき)ぃぃぃぃ!!」


 互いに上段に構えた必殺の剣がほぼ同時に振り下ろされて互いの技がぶつかり合った。

 一瞬の交錯……ディアマンテの剣がたしぎの肩に触れるか触れないかという刹那にたしぎの刀が彼の体を袈裟に深く斬り裂いた。


「ぐわあああぁぁぁ!?」

「はぁ……はぁ……届いた!?」


 たった一太刀に全身全霊を注いだたしぎは呼吸を整えながら刀に付いたディアマンテの血糊を振り払った後、刀をゆっくりと鞘に戻した。


「何故じゃ!?何故ディアマンテが……あんな小娘に……」


 最高幹部であるディマンテの敗北に動揺するラオGの言うとおり、剣技一つとってもたしぎではディマンテに到底及ばないが、二人の戦いは互いに死力を尽くした戦いとは言い難い。


「当然よ。たしぎの実力を侮っていたディアマンテに対して、たしぎはゴジ君やギオンさんが認める天才剣士。その彼女が己の正義と使命を全うする為に全身全霊を一太刀に注いだのよ。負けるはずがないわ。」


 ステューシーは大地を穿つ程の剛剣を得意とするディマンテに対し、神速の柔剣を得意とするたしぎとの戦いにおいて純粋な剣速による勝負ならばたしぎが勝つと確信していた。


「まさかっ…そこまで読んだ上でディマンテを誘導したのか!?男を手玉に取る女狐は健在…。この勝負は貴様の口車(くちGUるま)に乗った時点で決まっていたの〜G!!」


 ラオGはディマンテの敗北はたしぎの力ではなく、“歓楽街の女王”として数多の男を手管に取り、闇の世界のトップに君臨したステューシーの力であると断言するが、ステューシーは首を横に振る。


「ディマンテと戦ったのがたしぎなら、勝ったのもたしぎの力よ。」


 ディマンテがこの海で名高い剣士である事実には変わりなく、確かにステューシーは純粋な剣技による戦いにディマンテを誘導したが、剣技でディマンテを上回ったのは間違いなくたしぎの力であるとステューシーは断言した。


「刺突剣フルンティング。確かに回収しました。」

「そうか…ならば殺すなら今じゃな……。」


 ラオGは名剣を回収して誇らしげなたしぎの無防備な背中に襲い掛かった。 
 

 
後書き
次の更新は4日。

育ってきた環境故かたしぎがめちゃくちゃ強化されてます。 
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