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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第百二十九話

 ヴィオラは再び記憶共有(シェアメモリー)を使って自分の現在のドレスローザ王国の様子を見せながら今度は解説を交えて説明していく。

 まず映し出されたのは人のように動くオモチャと人間が一緒に生活して活気溢れる街の様子である。


「現在、ドレスローザは愛と情熱とオモチャの国と呼ばれています。」

「人のように会話し、動くオモチャだと!?」


 ゴジはヴィオラの説明と彼女の瞳から共有された表情豊かに人と楽しそうに会話し、動くオモチャに違和感を感じざる得なかった。


「ゴジ君、どうしたの?」

「どうかなされましたか?ゴジ中将?」


 全員が驚愕に目を開いているゴジに対して心配そうに声を掛けると、ゴジはその違和感の正体を口にする。


「俺とベガパンクの作った平和主義者(パシフィスタ)でもこんな人間みたいな動きは出来ない。そしてこれだけは断言出来る。世界中探してもベガパンクよりも頭の良い奴なんているはずねぇんだよ。これは確実に悪魔の実の能力だ。」

「「「なっ……!?」」」


 ゴジの言葉に一同は驚きを隠せないが、ヴィオラはたった一度街の様子を見ただけで違和感に気付いたゴジの洞察力に驚いていた。


「流石は博識と名高いゴジ中将。そう……彼らはドンキホーテファミリー、トレーボル軍特別幹部シュガーの持つ超人(パラミシア)系悪魔の実、ホビホビの実の能力でオモチャにされた国民達。」

「ホビホビの実?」

「はい。こちらの記憶をご覧下さい。」


 ヴィオラの瞳が映し出す映像が切り替わり、赤い頭巾を被った緑髪の10歳くらいの少女がロープで捕らえられた男に触った瞬間に馬のぬいぐるみのうようなオモチャに変わった。


『人間に危害を加えないこと。ファミリーの命令には従うこと。』

『夜はオモチャの部屋に帰ること。』


 その少女がオモチャに対してこう告げた後、街に帰るように諭すとそのままオモチャは部屋を出ていった。


『あっ!?馬のぬいぐるみだ!うちに遊びに来たの?』

『違う!?俺はお前の父親だ!!』


 そのオモチャが自分の家に帰るとそこには彼の妻と娘がおり、娘に対して自分が父親だと訴えようとするが、娘はオモチャらしからぬ人間のような言動をする馬のぬいぐるみに怯えて母親に抱きつく。


『お母さん助けて!!お馬さんが変なの!!私にはお父さんなんていないのに!』

『貴方、人間病ね!私には夫なんていないの!!早くこの家から出て行って!!これ以上、娘に近付くなら警察に通報するわよ!!』


 しかし、最愛の妻と娘はその男が夫であり父であるという記憶だけでなく、彼がこの世に存在したという記憶が抜け落ちていたのだ。


「どういうことなの?あのオモチャはあの子の父親じゃないの?」

「それに人間病って……?」

「これがホビホビの実の真の力だな?」


 皆の疑問を代弁するステューシーの言葉にゴジはホビホビの実の驚異に気付き始めていた。


「ええ。シュガーの能力は触れた者を強制的にオモチャに変える能力。そしてオモチャにされた者はオモチャにされる前の記憶が全世界から消滅して、能力者の命令には絶対に逆らえないの。自分を人間だと訴えるオモチャ達は人間病と呼ばれてスクラップ工場に連行されて二度と出てくる事はないわ。」


 自分を人間だと訴えるオモチャは警察に連行されて街のスクラップ工場に送られて、一生をスクラップ置き場のゴミとして過ごさざる得ない。


「ボニーやバカラの能力並に強力ね……。ヒナ驚愕!!」

「私達の能力の方がまだマシよ。」

「あぁ。あたしらの能力は記憶までなくさねぇからな。」


 シュガーはバカラ、ボニーと同じで相手に触れた瞬間に勝利が確定する能力であるが、姿を変えられるだけでなく、存在すらも消されるホビホビの実の凶悪さに全員が息を飲む。


「ヴィオラ王女、彼等を救うにはどうしたらいい?」

「ホビホビの実の能力者の意識を奪えばこの呪いは解けるわ。こちらを……」


 ヴィオラはかつて一度シュガーが突然目の前に蛇に驚いて気絶しかけた時に彼女の護衛である最高幹部トレーボルが大慌てしている記憶を見せた。


『きゃあああ……ほっ……もう全く、あんたと同じでほんとに気持ち悪かったわ。死んで!』

『デヘヘへ…死んでたまるか?もう殺したから大丈夫だ。んねーんねー……気絶してシュガーの能力が解けるとこだったねぇ〜。せっかく意識を保ったまま寝れるように訓練をしたのに意味無くなるところだったねぇ〜…。』


 ヴィオラはさらに詳しく解説する。


「ご覧の通り。トレーボルが言うにはシュガーが気を失うとホビホビの実の能力が解けて、今までシュガーの能力でオモチャに変えられた全てが人間に戻るそうなのよ。世界中が失った人々の記憶と共に呪いが解かれるの。」

「なるほど、シュガーがドフラミンゴのキーガールだな。一の一番に捕らえる必要がある。彼女は何処にいるんだ?」

「今は城で寝てるはずだけど、普段は地下の“SMILE”工場にいるはずよ。私なら何処にいてもシュガーを見つけられるわ!!」


 この島においてヴィオラの千里眼から逃れる術は皆無であり、そんなヴィオラの姿にゴジは頼もしく思う。


「それは頼もしい。そして“SMILE”とは人造悪魔の実のことで間違いないね?やはり“JOKER”の正体は……」


 ヴィオラは次にコロシアムの地下にある“SMILE”工場の映像を見せる。


「ええ。街の地下にあるここが人造悪魔の実“SMILE”を作っている工場。闇のブローカー“JOKER”の正体こそドンキホーテ・ドフラミンゴよ。」


 そこでは尖った高い鼻に、丸く膨らんだ尻尾を持つ人の掌よりも小さな小人がドフラミンゴの部下達に鞭打たれながらも林檎のような果物を栽培、収穫しているところだった。


「あれが“SMILE”!?」

「ホントにリンゴみたい。」


 “SMILE”工場の制圧はドフラミンゴを王下七武海から確実に陥落させる証拠になる。


「皆、必ずここは抑えるぞ!!」

「「「うん。」」」


 映像を見ていたミキータがヴィオラに疑問を投げ掛ける。


「キャハハハハ!可愛い小人がいるわ!!ねぇ、その“SMILE”を作らされてる小人達もオモチャなの?」

「彼らはドレスローザ王国のある本島の向かいグリーンビットという小島に暮らすトンタッタ族よ。見た目にそぐわぬ怪力を持ち、さらに彼ら一族はあらゆる植物を育てる能力を持ってるの。“SMILE”は特殊過ぎて普通の人間がどんなに丹精込めて育てても全く育たないから、トンタッタ族の植物を育てる能力に目を付けたドフラミンゴは彼らの姫を誘拐して奴隷として“SMILE”を作らせ続けているのよ。」

「可哀想……。」


 ヴィオラはトンタッタ族達に鞭打つ海賊達の姿と幹部でくつろぐトレーボル軍の幹部たちの映像を見せた。


「なるほど、ここを取り仕切るのかトレーボル軍の三人というわけか?知ってる限りの彼等の能力、それに他のドンキホーテファミリーの部隊とその能力全てを教えてほしい。」


 ヴィオラはそれそれ闘技場や城の映像と共に幹部たちの顔を見せていく。


「えぇ。私は全てを知っているわ。トレーボル軍の最後の一人はジョーラ。あとは闘技場を取り仕切る戦闘部隊ディアマンテ軍と城の防衛をする特攻部隊ピーカ軍。そしてSMILEの元となるSADという薬品を作っているのは━━━。」


 ヴィオラはさらにドンキホーテファミリーの幹部たちの能力等、6年間入手した様々な映像をゴジ達に見せると、全ての映像を見終わる頃には夜が空けるほどてあった。


「ヴィオラ王女、ありがとう。ロビン、姉さんの電伝虫を大至急持ってきてくれ。SADを作っているパンクハザードにいる科学者シーザー・クラウンとモネは捕らえる必要がある。」


 ゴジがわざわざ東の海(イーストブルー)にいる海兵でもない“戦女神”と呼ばれるレイジュの名を上げた事に疑問に思ったヒナが疑問をぶつける。


「ゴジ君、コアラやカリファもいるのになぜお姉さんに頼むの?ヒナ疑問」


 ゴジはシーザー・クラウンの拿捕をレイジュに任せようとしているが、パンクハザードは新世界の入口付近にある世界政府の所有する島であるので、普通ならばコアラ達に任せる方が正しい。

 数年前まではこの島にも世界政府の研究所があったが、ある理由で今は立ち入り禁止となっている。


「パンクハザードはかつてシーザー・クラウンの作った猛毒ガスが充満して今は死の島になっている。そんな死の島に入れるのは俺を除けば姉さんだけだ。」

「なるほど。」


 毒が効かず、さらに毒を生み出すポイズンピンクの能力を持つゴジとレイジュしかパンクハザードに入る事は出来ないと、全員が納得したのを見てゴジが矢継ぎ早に指示を出していく。


「作戦を説明する。俺、バカラ、ヒナ、ヴィオラ王女の4人でシュガーを抑え、残るトレーボル軍も撃破して地下の“SMILE”工場を制圧し、奴隷として働かされるオモチャとトンタッタ族を解放する。同時進行でステューシー、たしぎはリク王の保護。ロビン、ミキータ、ボニーはレベッカ王女を保護してくれ。」

「「「はっ!」」」

「ステューシー班、ロビン班は各要人をこの船まで護衛し、2班が合流後、リク王、レベッカ王女及び船の護衛はステューシー班。ロビン班はコロシアム近くのオモチャの家に移動してここを制圧して俺を待て。“SMILE”工場制圧後、地下はバカラ、ヒナに任せ、俺はヴィオラ王女と共に地上に上がりロビン班と合流して王宮に向かってドフラミンゴを拿捕する。俺が姉さんとの通話を終え次第作戦に移る。いいな?」

「「「はっ!!」」」


 ゴジの指示を敬礼とともに受諾して各々その場から別れて、ゴジはその場に残り電伝虫で姉と連絡を取り始める。


「ヴィオラ王女、ゴジ君がお姉さんと話している間にリク王様とレベッカ王女が隠れ潜む場所を教えて下さい。」


 ステューシーがリク王とレベッカの隠れ家を知っているヴィオラに声をかけるが、ヴィオラはあまりにも突然決まった作戦に対して不満を露わにする。


「貴女達、疑問とかないの?どうやってシュガーを倒すとか?SMILE工場をどうやって制圧するとか?どうやって城に攻め込むとか……彼、詳しいことは何も言ってないわよ。それに今すぐ行動に移るってもっとじっくり作戦を……」

「ヴィオラ王女、それは貴女の為です。」

「えっ!?」


 驚くヴィオラを見ながら、優しい笑みを浮かべたステューシーは話を続ける。


「ゴジ君がこの国に来ている事はヴェルゴからの連絡でドフラミンゴはすでに知ってるでしょ?そんな中、夜中の内に貴女が突然王宮から姿を消したらドフラミンゴはどう思うかしら?」

「あっ……私が裏切ったと…!?」

「貴女が裏切ったと知ったらまず狙われるのはリク王様です。」


 ヴィオラはステューシーの言葉でゴジが直ちに動くと判断した理由が分かり、ハッとなって甲板に座って電伝虫で会話しているゴジを見上げる。


「助けを求められたら全力で助けるのがゴジ君よ。ヒナ断言。」

「そしてゴジ君に狙われた海賊の末路は誰もが知るところよ。」

「この刀に誓ってリク王様は必ず保護します。」

「魚人島では出番なかったからな。腕が鳴るぜ!!」


 ジェガートはゴジ以外全員が女性であるが、全員が覇気と六式の一部を使える海軍の精鋭部隊であり、ここにいる海兵達はその中でも海軍コートを着ることを許された精鋭中の精鋭。


「っ!?分かりました。父とレベッカがいるのはこことここよ!」


 ヴィオラは彼女達の迫力に圧されてながらも頼もしく思い、リク王とレベッカの住む場所を地図に記していく。


「ゴジ、コートよ。」

「ロビン、ありがとう。皆いくぞ。この国をドフラミンゴから解放する!!」


 ロビンがレイジュとの通話を終えて立ち上がったゴジの肩に海軍コートを掛けたのを合図に全員が一斉に海軍コートを羽織って立ち上がる。


「「「はっ!絶対的正義の名のもとに!!」」」


 ヴィオラの目にゴジを筆頭にした居並ぶ正義の二文字が飛び込んでくるとまた目頭が熱くなるのを感じる。


 ◇


 こうしてゴジ達が動き出した頃、ドレスローザの王座に座るドフラミンゴは幹部全員を集めていた。


「マリンフォードからドレスローザまでは戦艦を飛ばせば約3日。“黒麒麟”は昨日の夜から今日の朝に掛けて到着する予定だったが、朝になったらヴァオレットの姿が消えていた……。これをどう思う?」

「ヴァイオレットが裏切ったのか!?」


 ドフラミンゴは家族には甘い男であり、“黒麒麟”の来訪により既に家族と見なしているヴァイオレットが裏切らない可能性に賭けてしまった。

 裏切りを前提として事前に拘束されなかったことも、ヴァイオレットがドンキホーテファミリーとして過ごした6年間で得た信頼の成果である。


「朝になって海軍に潜入させているはずのヴェルゴとの連絡が取れなくなった事を考えると十中八九間違いない。フフフ……この島に“黒麒麟”が来たぞ……最悪“鳥かご”を使わざるを得ない……。」

「そんな……ヴェルゴが……!?」


 ドフラミンゴは額に血管の筋がくっきりと浮き出る事にイライラしていたが、全ては自分の采配ミスと周りに当り散らすような事はせずに不気味なほど冷静に淡々と話していく。

 “鳥かご”とはドレスローザの島全体を覇気を纏った糸で覆い、島からの脱出を不可能とするドフラミンゴの切り札である。


「お前たち、地下の“SMILE”工場とシュガーだけは必ず守りきれ!!そして必ず“黒麒麟”とヴァイオレット、そしてリク王を殺せ!!」


 ドフラミンゴは家族への情愛が強い故に裏切られた事に対する憎しみもさらに強い。


「「「はっ!!」」」


 こうして互いの思惑が交錯する中、ドレスローザ王国を舞台にした戦いの火蓋が切って落とされた。 
 

 
後書き
次の更新は31日。

 
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