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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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予想外

 
前書き
実は数日前からほぼ出来上がってたのに時間が取れずに最後の部分で詰まってて今日になりました|ョω・`)サムイカラネ 

 
ウェンディside

「いいのか?俺たちはこんなところにいて」

上階から響き渡る戦闘の音。それを聞きながらユウキさんがそんなことを言います。

「大丈夫だよ!!うちのレオンもシリルも強いんだから!!」

その問いに対して得意気な表情で答えるシェリア。彼女の言う通りシリルとレオンは確かに強い。でも、私の中でやっぱり違和感が拭えない。

(いつものシェリアならすぐに手助けにいくはずなのに・・・)

身体が大きく成長したことによりレオンの力が相当増しているのか、それともシリルがいるから足手まといにならないようになのか、とにかくいつものシェリアらしくない。

「でもここでただ待ってるだけなんて・・・」
「なんか納得できねぇ・・・」

ジェリーさんとユウキさんは上からの戦闘の音を聞きながらそんなことを言う。私もそれに同意しようとした時、シェリアが冷たい目で彼女たちの方を見る。

「じゃあ聞くけど、あなたたちで王様に対抗できるの?」
「「「!!」」」

シェリアの言いたいことはわかる。魔法も持っていない彼らでは未知数の力を持っているバリーザウィッチさんに対抗する術がない。だからこそ私たちが呼ばれたわけだし・・・でも・・・

「シェリア、私はいくよ」
「え?」

私から突然そんなことを言われたからか彼女は驚いたような顔を浮かべていた。

「私はシリルたちと一緒に戦いにいく」
「待ってよ。レオンがいるんだから負けるわけない。あたしたちは待ってるだけで・・・」
「そうかもしれない。でも私は一緒に戦うって決めたの。シャルル!!」
「わかったわ!!」

シャルルの(エーラ)で一気に王様の部屋へと向かう私たち。セシリーもそれに反応して慌てて付いてきた。

「ウェンディ!!もう!!」

それを見たシェリアもラウルに持ってもらい追いかけるようにこちらへと来ます。私はそれを待つことなく飛んでいくと、ようやく二人が戦っている階まできました。

「・・・え?」

そこで繰り広げられている戦いを見た瞬間、私は目を大きく見開きました。なぜなら仲間であるはずのシリルとレオンがそれぞれの拳を受けており、三人とも同様にボロボロになっていたんですから。
















シリルside

振り抜いた拳がレオンの頬を捉える。それと同時に彼の拳も俺に突き刺さったため、俺たちは弾き飛ばされたように後方に押し出された。

「全く・・・聞いていた通り無茶苦茶な住民たちだ」

そんな俺たちを見て口元から流れる血を拭いながらバリーザウィッチは呆れたように口を開いた。それを聞いて俺とレオンの意識がそっちに向かう。

「誰のせいで・・・」
「こうなってると思ってるんだ!!」

俺の蹴りが彼の頭部へ、レオンの拳が腹部へとそれぞれ突き刺さる。先程までの先読み能力がウソかのように反応が遅れている彼は全く防御が間に合っていない。

「くっ・・・これでは・・・」

倒れそうになったところをバランスを立て直して後方へと引くバリーザウィッチ。それを俺は追撃しようと追いかけるが、それを狙っていたかのように横から銃声が鳴り響く。

「その手は喰わない!!」

それを一瞬だけ屈んで回避すると速度を落とさずに真っ直ぐ突っ切る。相手も逃げてばかりでは分が悪いと察したのか、迎え撃つ準備をしていた。

封印の氷地獄(コキュートス)!!」

双方がぶつかり合おうとしたところで後方からの声が聞こえてその場から離脱する。予想通り俺がこれまでいたところが凍らされており、受けていればやられていたことがわかる。

「ちょっとシリル!!レオン!!」
「あんたたち何やってるの!?」
「なんでお互いの邪魔してるの~!?」

レオンに向かって攻撃を放とうとしたタイミングで彼のさらに後ろから聞き慣れた声が聞こえてきて攻撃を止める。そちらを見るとウェンディとシャルル、セシリーが窓から中へと入ってきており、遅れてシェリアとラウルも上がってきた。

「あ、その辺は罠あるかもだから気を付けろよ」
「「「「「え!?」」」」」

さらっと忠告してあげる辺りその辺はしっかりしてるんだな。それだけによりさっきまでの戦い方が気になってしまう。

「ウェンディ、気にしないでいいよ。すぐに終わらせるから」
「気にするよ!!なんで二人が攻撃し合ってたの!?」

事の発展を見ていなかった彼女たちからすれば確かに意味不明な状況だろう。だが、説明している余裕はない。

「後で説明する。二人はここから出ておいてくれ」
「だって、ウェンディ」

レオンから暗に邪魔者扱いされているにも関わらずシェリアは平然とウェンディの手を掴んでこの場を後にしようとしている。それに対しウェンディは怖い顔つきで彼女を睨んだ。

「どうしちゃったのシェリア!!ずっと変だよ!!なんでレオンを助けてあげようとしないの!?」
「えぇ、だって必要ないじゃない?」
「必要ない?」

何やら揉め始めてしまった二人。俺とレオンはどうするべきなのかとお互いに目を合わせたと同時に、死角からの気配に気が付きそこから飛び退いた。俺たちがいた場所に鈍い音を立てて突き刺さる何か。

「なんだ、私のことは忘れているのかと思ったよ」

突き刺さっていたのは弾丸。どうやら俺たちはちょうど彼が仕掛けていた罠の射撃位置に入っていたらしく、俺たちの意識がウェンディたちが向いているタイミングで発動されたらしい。

「忘れてるわけねぇだろ」
「俺はお前に殴られたのも忘れてねぇぞ」

さっきレオンもろともバリーザウィッチを攻撃したことをずいぶんと根に持っているようで彼がこちらを睨みながらそんなことを言っていた。でもお前も俺のこと殴ってるし実質三つ巴状態なんだからあんまり気にならない。

「潰し合ってくれるならそれでもいいかと思ってたけど、シリルを潰されてしまったらお話にならないからな・・・」

そう言った彼は髪をかきあげたかと思うと、その髪が白く変色し腰元まで長く伸びていく。

「な・・・なんだ?」
「これは・・・」

明らかに雰囲気が変わっていく敵に揉めていた少女たちも異様な雰囲気を感じ取り押し黙っている。彼はそのまま変化を続けていくと、背中から翼が生えてきて、完全に天使という言葉が相応しい風貌になっていた。

「それがお前の本当の姿か」
「そうだな。我々は地上に降りる時本来の姿を晒すことはない。ゆえに真実の名を告げることもないのだ」

言われてみれば以前戦った天使たちも名前を知らないままだ。お母さんがお父さんに名前を名乗った時も親友であるクロノスに注意されたって言ってたし。

「これ以上時間をかけては間違いが起こりかねない。シリル、君を連れて私の使命を完了させてもらおう」
「シリルを・・・連れていく?」

先程この場にやってきたばかりのウェンディはバリーザウィッチ・・・いや、敵の狙いを聞いたウェンディの表情が大きく変わった。その目は怒りの感情が大きく現れている。

「そんなことさせません!!シリルは私の大切な人なんです!!」
「そんなことは関係ないんだよ。これは君たちを守るためでもあるんだから」

少しずつ魔力が上がっていくウェンディ。しかし、真の姿を露にした敵から発せられる魔力はそれを遥かに上回っている。

「仕方ない、君には眠っておいてもらおうかな」

その瞬間敵の姿が消えた。いや、消えたんじゃない。速度を究極に上げた彼は一瞬でウェンディの前へと移動していたのだ。

「え・・・」

そのまま彼は困惑の表情を浮かべる少女目掛けて振り下ろされる手刀。それに彼女は反応することができなかったが、その攻撃は彼女を捉えることはなかった。

ガンッ

「ぐっ・・・」

彼が視界から消えた瞬間、無意識に俺も動いていたんだ。彼の視線の先にいたのはウェンディだけ。だから彼女を守ろうと自然と前に立ち、その攻撃を首元に受けた。

「シリル!!」

ただの手刀なのに今まで感じたことのない痛みが肩に走る。ウェンディが心配して声をかけてくれるが、それに答えることすらできない。

「予想できていなかったが、君を連れ帰るには嬉しい誤算だな」

彼の予知にはなかった出来事だったようだが一切動揺は見られない。それどころか俺が戦闘不能になったことで逆に目的を果たしやすくなったと考えているようだ。

「ただ、それを君たちは許してくれなそうだが」

そう言って踵を返した彼の目に映るのは笑みを浮かべている金髪の青年。

「シリルが動けないなら楽に戦えるわ。一対一(サシ)でやれるからな」
「よく言うね。一人では手も足も出なかったことを覚えていないのかな?」

乱戦になったことで両者共にボロボロ。しかしまるでそれがなかったかのような余裕さを浮かばせている表情。その二人を見て不安そうな顔を浮かべるウェンディと彼ら同様に笑みを浮かべるシェリア。誰の予想が当たるのか全くわからない状況を、負傷した俺はただ見ていることしかできなかった。

 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
もう少し乱戦してからシリルの負傷退場にしようかと思ってたのに即効で負傷させてしまった|ョω・`)マジカ… 
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