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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第百二十四話

 何事もなくマリンフォードに帰港したゴジはそのまま元帥室に行き、魚人島での報告をあげていた。


「センゴクさん、婆さんただいま。ジンベエの俺への面会要望はアーロン拿捕の謝辞を述べるものだった。対話を通じて彼は信用に足ると判断し、タイヨウの海賊団にはこれまで通りの恩赦を与えて欲しい。」


 元帥室にはセンゴクの他に第07部隊の部隊長であるつるがおり、彼等はゴジの報告に笑顔で頷いていた。


「ジンベエは元々悪い子じゃないからねぇ。ゴジなら気に入るとは思っていたよ。それよりも大活躍だったみたいだね。」


 今回に限ってはゴジは一切の問題も起こしていないどころか。リュウグウ王国そのものを救って帰ってきたのだ。

 普段は険しい顔ばかり浮かべるセンゴクも今日ばかりは笑顔であったが、懸念事項が一つあり、その顔を曇らせる。


「うむ。だが、リュウグウ王国乗っ取りを企てた罪で海底大監獄(インペルダウン)へ移送予定の新魚人海賊団船長ホーディ・ジョーンズとその一味をリュウグウ王国に置いてきたのは何故だ?」


 ゴジは海賊を名乗ってリュウグウ王国乗っ取りを企てたホーディ・ジョーンズと幹部5人を拿捕した事をセンゴクに報告し、彼等に同調する勢力への牽制を兼ねて海底大監獄(インペルダウン)への移送を進言し、センゴクもこれを快諾して準備を進めていた。

 しかし、ゴジが魚人島出発直前にホーディ一味を海底大監獄(インペルダウン)に護送せずにリュウグウ王国に審判を委ねると報告したのだ。


「これを見てもらった方が早い。右が逮捕時のホーディ。左が翌日のホーディだ。」


 ゴジは映像電伝虫で撮影した写真を見たつるとセンゴクは驚きのあまり思わず目を見開いた。


「これは…」

「なっ…なんだこれは!?」


 ゴジの提出した2つの写真、右に映るのはE.S(エネルギー・ステロイド)により、たるんだ腹も引き締まって筋骨隆々、白髪頭に血走った目を持つホーディ・ジョーンズ。

 しかし、左に映るのは髪はほとんど抜け落ちて、身体はやせ細りシワだらけになったかろうじてホーディの面影を残す老齢の魚人だった。


「まさか…あんたの報告にあった強化薬E.S(エネルギー・ステロイド)の副作用かい?」

「そうだと思う。元々E.S(エネルギー・ステロイド)はリュウグウ王家には『千人力の力を得る薬』そして『ただ歳をとる薬』と呼ばれて玉手箱に封印されていた物らしいんだ。」

「なるほど…玉手箱と言えば決して開けてはならぬと言われる魚人島の秘宝。バンドラの箱を開けてしまった者の末路とはなんと惨い。」

「これを見た後では不憫でね。ネプチューン王と話し合って移送は諦めたんだ。残りの余生がどれくらいあるか分かんねぇけど生まれ故郷で静かに暮らさせてやるそうだ。」


 仮にセンゴクだとしてもゴジと同じ判断をしたと納得して深く頷いた後、笑顔でゴジを褒め称える。


「うむ。分かった。それよりもご苦労だったな。リュウグウ王家から直々に謝辞が届いている。」

「海兵として当然のことだよ。」


 アラバスタ王国に続き、国家転覆を目論む海賊を二人も拿捕して国を救った海兵等前代未聞である。


「しかし、これで五老星により与えられた王下七武海の視察任務も残すは二人だけ。そこでだが…ゴジ。お前にはまず“天夜叉”ドンキホーテ・ドフラミンゴのいるドレスローザへ行ってもらいたい。」


 ゴジは神妙な面持ちで自分を見つめるセンゴクの顔を見た後でつるを見ると頷いているので、既につるも了承済みである事を察する。


「へぇ…なるほど…婆さんも了承済みか。もちろん俺が面会を熱望する“海賊女帝”よりも“天夜叉”を優先する理由を話してくれるんだよな?」


 いつもセンゴクは独断で動くゴジを責めはすれども、直々に任務を与えることははじめてだった。

 そして、ゴジは世界一の美女と呼ばれる“海賊女帝”ボア・ハンコックと会えるのを楽しみに帰ってきたので少し不機嫌にもなる。


「最近、我々が追っている闇のブローカー“JOKER”のことは知っているな?」

「あぁ。人造悪魔の実“SMILE”を四皇“百獣”のカイドウに横流ししている奴だよね。このSMILE自体の製造方法も謎でリンゴのような見た目のこの果実を食べる事で動物(ゾオン)系に近い能力を得る事が出来る可能性はあるが、その発現率は僅か1割、残り9割の者は能力が発現せずに喜怒哀楽の内、喜以外の感情を失うまさに悪魔の果実。しかも発現する能力も身体の一部だけ動物になるなど不安定極まりないモノだ。」


 世界政府は偶然入手した“SMILE”の鑑定をDr.ベガパンクに任せており、ゴジはベガパンクを通じて“SMILE”を知り、暇な時は共に解析研究を進めてきた。

 センゴクは“SMILE”について自分以上の知識を持つゴジを見て改めて人選は間違いないと確信した。


「さすがに詳しいな。そう…そのJOKERの正体がドンキホーテ・ドフラミンゴである可能性が高いが…証拠がない。ゴジ、お前の目で見定めて欲しいのだ。」

「確かに人造悪魔の実“SMILE”はヤバすぎる。あんなモノの製造なんて即刻止めさせねぇと不幸な人が増えるだけだ。すぐにドレスローザへ行くよ。」


 ゴジは世界一の美女と呼ばれる“海賊女帝”ボア・ハンコックと面会するのを心待ちにしていたのだが、彼にとっての優先順位はやはり海の平和を守る事に他ならず、センゴクの頼みを聞き入れた。


「ゴジ、貴様の稀有な能力とその頭脳で必ず奴がJOKERであるという証拠を掴んで欲しい。」


 センゴクはゴジの世界一と称されるDr.ベガパンクと並ぶ天才的な頭脳から論理的に導かれる推理力、洞察力とステルスブラックの透明化能力による潜入捜査技術ならば難航しているJOKERの正体にも必ず辿り着けると信じている。


「今のあいつは一国の王様だぜ。中々骨が折れる仕事になりそうだよ。視察任務を伏せた上での潜入捜査に向けた少数精鋭部隊でドレスローザへ乗り込むよ。ドンキホーテファミリーは覇気使いも多いと聞く。婆さん、人選は俺に任せてもらう。」


 ドンキホーテ・ドフラミンゴは数年前に国民から熱望されてリク王に変わってドレスローザ王国国王となっており、表立った捜査が出来ない。

 秘密裏にドレスローザへ乗り込んで捜査を進めようとしても、まるで常に監視されているように次々と捜査員が消され、捜査が難航していた。


「あぁ。ジェガートは第一部隊、第二部隊とも揃っている。誰でも連れて行くといい。ギオンも既に了承済みだよ。」

「ゴジ、気をつけろよ。ドレスローザへの乗り込ませたサイファーポールは全て数日の内に消息を絶っているそうだ。」

「なるほど…了解。すぐに準備に取り掛かるよ。」


 センゴクとつるは元帥室から退出していくゴジの背を見送りながらしみじみと思う。


「センゴク、いくら何でもゴジに頼りすぎだと思うけどね。」

「ふぅ…それは承知しているが、五老星も奴だけは拿捕を望んでいるはず…。五老星をも動かしてしまう奴に立ち向かえるのはゴジしかいない。」


 そしてドンキホーテ・ドフラミンゴは頭がキレる上に戦闘力は王下七武海でも指折り。大将クラスでないと拿捕は困難の呼ばれる実力者であり、頭脳と戦闘力の両方で渡り合えるのはゴジしかいない。

 何よりもドフラミンゴの言葉に何故か五老星は強く逆らう事が出来ないのだ。


「あたしらがもう少し若ければね…元はと言えばドフラミンゴを王下七武海に任じたあたしらの責任だろうに…」

「天上金を人質にされては奴の要求を飲まざる得なかったが、奴を潰せる機会がようやく訪れたのだ。」


 ドフラミンゴが王下七武海となった経緯は世界貴族の天上金を輸送中の船を襲って世界政府に対して自分を王下七武海に入れるよう脅したからであり、その天をも恐れぬ所業に世界政府は常に頭を悩ませていた。


 ◇


 翌日、ゴジはこうして考えうる潜入捜査に向けた最適な人選を整えてドレスローザへ向けて出航した。


「ゴジ君、魚人島から帰ってきて早々私達を集めた時はビックリしたわよ。」

「潜入捜査といえばCP-0(シーピーゼロ)出身のステューシーの右に出る奴はいねぇから頼りにしてるよ。魚人島に一緒に行った皆は休ませたかったけど、ボニーは連続任務で申し訳ないな。」

「ほんと…ゴジはあたしがいねぇとなんも出来ねぇから困ったもんだな♪もぐもぐ…全く帰ったら、たらふく飯を食わせてもらわねぇと割に合わねぇよ…もぐもぐ…♪」


 ゴジと目を合わさずに不貞腐れた感じで船首に座って好物のピザを食べているボニーだが、顔を背けている理由は緩みきった顔をゴジに見せない為で内心は頼ってもらったことが浮かれている。


「帰ったらたらふく食わせてやるよ。ボニーありがとう。」


 ゴジの言葉を聞きながらボニーは魚人島に行った仲間達を思い出しながら、ほくそ笑む。


 ───イスカ、コアラ、ナミ。コイツら三人は留守番なのにあたしだけ特別♪


 シャボンディ諸島での実験により、有名人の多いゴジを筆頭としたジェガートの潜入捜査にはボニーのトシトシの実の力は欠かせないのだ。


「私なんてゴジ君が教えてくれたのオリオリの実を覚醒させたってのにいつもいつも置いてけぼりだから腕がなるわ。ヒナ覚醒!!」

「ウフフッ。ゴジ、留守番のカリファが不貞腐れてたわよ。」

「キャハハハ!!カリファさん般若みたいな顔してたわよ!!」


 その他、ゴジが声を掛けて集めたのは魚人島へ同行していたコアラとイスカを除いたジェガートでも有数の実力者達である第二部隊からステューシー、ヒナ、ロビン、ミキータ、ボニー。

 カリファはステューシー、ヒナという将官二人を招集した結果、第二部隊の指揮官として残さざる得なかった。


「ゴジ君、私に声を掛けて頂いて感謝するわ!」

「頑張ります!」


 そして、第一部隊からバカラ、たしぎの合計7人である。


 ◇


 数日後、ゴジ達は永久指針(エターナルポース)の指針に従ってドレスローザ王国近海までやって来た。

 もちろん彼等の乗る軍艦は軍艦と分からぬように商船に偽装されており、ボニーを含めたこの場にいる全員が海軍将校であるも普段から汚れるという理由で海軍コートを着用しないボニー以外も海軍コートは着用していない。


「さて、ボニー、そろそろ変装を頼む……ん?」

「ゴジどうした?」


 ゴジは予定通りボニーの能力で変装しようと指示を出そうとして誰かの視線に気付いてドレスローザ王国の方角をキツく睨む。


「すまない。もう俺達の動きはバレてしまったようだ。」

「どういうこと?ヒナ困惑。」

「どうやら覗き…いや遠見が得意な能力者がいるようだ。」


 ヒナの問いに答えたゴジだが、ドレスローザ王国はまだ視界にも入ってはいない。

 ゴジは誰に見られているかは分からないが、見聞色の覇気により、確かにドレスローザ王国の方角から視線を感じたのだ。


「ドレスローザへ入国したサイファーポールが消息を絶ったのも頷けるわ。こんな所から視界に捉えられていたら手の打ちようがないもの。」

「海戦も有り得る。全員気を引き締めて行こう。」

「「「はっ!」」」


 ゴジが視線を感じたというならば、敵にそういう能力者がいるのは間違いない。


「あら、それならボニーはもう用済みね。マリンフォードに帰す?」

「なっ…!?ロビン、てめぇ喧嘩売ってんのか!?」


 既に発見されてしまっているのならばボニーの能力を使った変身は意味をなさないが、この状況に対して歯に着せぬ物言いをするロビンにボニーがぶちキレた。


「別に魚人島に連れて行ってくれなかった事を妬いてるわけじゃないわ。」


 カリファのいないこの船ではゴジを補佐する役目はロビンであり、彼女はこの状況を冷静に分析しただけである。

 しかし、魚人島に引き続きドレスローザでの仕事に想い人であるゴジから指名を受けたボニーに対して思うことがないわけではない。


「おい!離せよゴジ!!」

「ロビンちゃんは中々辛辣だな。ほらほら…ボニーも抑えて!」


 ゴジがロビンに向かっていくボニーを肩に乗せて止めるが、ボニーはゴジに担がれたまま足をバタバタとさせて暴れるので、悪い笑みを浮かべたステューシーがある提案をする。


「そうね。1番活躍した子にゴジ君からご褒美ってのはどうかしら?」

「「「っ…!?」」」


 ロビンとボニーだけでなく、全員の目が妖しく輝いたのを見て、ゴジはすぐにこの争いを止めてくれるはずの女傑を見つめる。


「ゴジ君、ご褒美楽しみにしてるわね。ヒナ期待!!」


 ゴジは自分が好かれている自覚はあるため、ストッパー役として長期任務においては自分を恋愛対象と見なさない人を部隊に編成するようにしている。


「あれ?ヒナ??」


 今回の任務ではその役目は男を寄せ付けない勝気な性格を持つ海軍本部一の美女“黒檻”のヒナのはずだったが、彼女を自分を見る視線が熱を帯びている事に気付く。

 彼女は数週間前にゴジが第一部隊とモリアと戦っている時に、ロビンに自分が結婚適齢期を過ぎた生き遅れである事に気付かされて、ゴジを意識し始めた事をゴジは知らなかったのだ。(注:第97話参照)


「ゴジ君、いかがかしら?」

「はぁ…ステューシーのお陰で、皆の不安は一掃された。ありがとう。まぁ…バレてるならバレてるでやりようはある。全員警戒だけは怠るなよ!!」


 ドレスローザ上陸作戦は暗礁に乗り上げたかに見えたが、ステューシーの機転でゴジからの褒美に浮かれる彼女等に絶望はない。


「「「はい!!」」」


 ゴジは新たな作戦を練り直しながら船はドレスローザに向けて歩を進めていた。 
 

 
後書き
ということで次はミンゴです。遠見の能力者といえば彼女ですね。

次回更新は21日です。

 
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