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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第百二十三話

 
前書き
注:人魚柔術(マーマンコンバット)についてオリジナル技、独自設定があります。 

 
 ここは竜宮城にある訓練場。

 今ここにゴジとジンベエが対峙していた。


「さて、ジンベエよろしく頼む。」

「ゴジ、手加減なしでやらしてもらうぞ!“魚人空手奥義 武頼貫”!!」


 ジンベエが地面を蹴って水球を纏う右拳を真っ直ぐに突き出して距離を詰めて来る。


「早速かよ…“人魚柔術(マーマンコンバット)奥義 サブマリンストライク”!!」


 ゴジは右掌に水球を持って突き出すと互いの右手に持つ水球がぶつかり合い互いの水球がズバァン!という破裂音と共に爆発して相殺した。

 そのあまりの威力にジンベエとゴジの二人ともが訓練所を覆うシャボンの端まで弾き飛ばされる。

 訓練所は陸戦と水戦どちらも出来るようにシャボンの外は水で覆われており、ジンベエは背中にあるシャボンに両手を突っ込んで水心をしっかりと掴む。


「ならばこれならどうじゃ“魚人柔術 水心…海流一本背負い”!!」


 ジンベエは掴んだ水心から巨大な水流を生み出してゴジに投げ付けると、ゴジはこえだめに構えて後ろのシャボンに両手を突っ込んで水の力を集めてそのまま両手を前に突き出す。


人魚柔術(マーマンコンバット) ウルトラマリン!!」


 ゴジの両手から孫〇空の放つかめ〇め波のような渦巻く水流が放出されてジンベエの背負い投げた水流とぶつかり合うとゴジの水流がジンベエの水流を飲み込んでジンベエに迫る。


「くっ!?やはり水との親和性においては人魚柔術(マーマンコンバット)の方が上手じゃな…“魚人空手 梅花皮”!!」


 ジンベエは向かってくる渦巻く巨大な水流に対して両手を前にクロスして防御の構えを取ると、その両腕を武装色の覇気で黒く硬化させてゴジの攻撃を受け止めた。

 ゴジは堅牢な城壁であっても容易く貫いたであろうウルトラマリンを一歩も動くことなく受け止めたジンベエに感嘆の声をもらす。


「あれを耐えたか?流石“海侠”のジンベエだ。」


 水と調和して力を借りる人魚柔術(マーマンコンバット)の方が水を制圧して従わせる魚人柔術より、水を使った技の威力が高い。


人魚柔術(マーマンコンバット)相手には距離が遠いと分が悪い!“魚人空手 鮫肌正拳”!!」

「そう来なくっちゃジンベエに模擬戦を頼んだ意味がねぇ!“人魚柔術(マーマンコンバット) 流水の構え”!!」


 ジンベエはその場を蹴ってゴジのとの距離を詰めながら右拳で正拳を放つと、ゴジはその場から動かずに流れるような手の動きと上半身のバネだけでジンベエの拳をいなす。


「ぬぅ…受け流されたか!?まだまだぁ“魚人空手 五千枚瓦回し蹴り”!!“五千枚瓦正拳”!!」


 その後のジンベエによる一撃必殺の怒涛の攻撃もゴジは流れる水のように緩やかに全ていなしていく。


「ここだ!!“人魚柔術(マーマンコンバット) 白鯨(はっけい)”!!」


 ゴジはジンベエの背中に回り込みながら、彼の体勢が崩れたのを見計らって右掌を上からジンベエの頭に叩き付ける。


「ぐっ!?まるで流れる水を攻撃しとるようで実態が掴めんかったわい。」

「ジンベエ、楽しかったぜ♪」


 ジンベエは何とか受身を取り、顔面を地面へ打ち付けるのは防いだものの地面を這い蹲る様な体勢のまま技を放ったゴジを見上げてキツく睨むが、自分の首に添えられたゴジの手刀に気づいて負けを悟ってその場に倒れ込んだ。


「楽しいか?はぁ…ワシの完敗じゃ!!」

「ジンベエ、突然、模擬戦を申し込んですまなかったな。この技の本当の力を試したくてな。」


 さて、何故ゴジがリュウグウ王家のみに伝わってきた人魚柔術(マーマンコンバット)を覚えて、ジンベエと戦うことになったのかと言うと経緯は前日に遡る。


 ◇


 ゴジがホーディを倒した翌日ネプチューン、フカボシがリュウグウ王国に帰国し、すぐにゴジ達を竜宮城に招いて登城した彼に深々と頭を下げた。


「報告は受けてるんじゃもん。“黒麒麟”ゴジ中将、娘だけでなく、この国を助けてくれて本当にありがとう。」

「私からもお礼申し上げます。ありがとうございました。」


 ネプチューン達からすればしらほし姫を救ってくれただけでも感謝しきれないほどであるが、魚人島乗っ取りを企てたホーディを一切の犠牲を出さずにゴジが捕らえたと報告を受けて世界会議(レヴェリー)の真っ最中ではあるが、国を揺るがすような危機に慌てて戻ってきたのだ。

 ネプチューン達にとってはリュウグウ王国の地上移設以外の議題に興味がない上、国家の存亡の危機と聞いてはいても立ってもいられなかった。


「ネプチューン王、フカボシ王子。頭をあげて欲しい。世界政府加盟国を海賊の脅威から救うのは海兵として当然の事だよ。」


 世界政府加盟国は海軍によって海賊やその他の脅威から守られて平和が維持されているが、海底にあるリュウグウ王国はその恩恵が受けられない唯一の世界政府加盟国であった。


「しかし…この国は…」

「皆まで言わくとも、国の財政事情は把握している。何があっても国の民を養うのは“王の条理”。それを咎める気はサラサラない。」


 それを逆手にとったリュウグウ王国は新世界に渡る海賊達をもてなし、彼らが落とす金で成り立っている国であり、この後ろめたい事情もあって何かあっても海軍には頼りづらかった。

 ゴジは正確にそれを把握し、ネプチューンの疑念を払拭した。


「そうか…ゴジ中将はジェルマ王国の…はっ!?いや何でもない。」


 フカボシはゴジがジェルマ王国の王子である事を思い出してハッとするが、それを見たゴジが薄く笑う。


「フカボシ王子、その反応は母さんにでも俺の事を聞いたな?そう。ジェルマ王国もかつては“戦争屋”と揶揄される程に裏で各国に戦争を促して戦力を貸し出す事で生計を立てていた。」

「も…申し訳ない。」


 フカボシは秘密と言われたゴジとジェルマとの関係を口に出してしまった事を恥じるが、ゴジは特に気にしていない。


「構わないよ。どうしても礼をくれるっていうなら一つ頼みがあるんだ。」

「私達に出来ることならば何でも仰ってもらいたい。」

「リュウグウ王家のみに受け継がれてきた人魚柔術(マーマンコンバット)を俺に教えてもらいたい。」

「「「はぁ…。」」」

「「「なっ…!?」」」


 ゴジの申し出に彼の仲間達は予想していたのかため息をもって答え、ネプチューン達は空いた口が塞がらない程、驚いていた。

 絶対的正義の体現者として海の平和を守る為にゴジは休日を訓練に当てるほどに貪欲に力を身に付けている。

 ジンベエから王家秘伝の武術があると聞いたゴジが朝からネプチューン達との面会を楽しみにしてうずうずしていたのをコアラ達は知っていたのだ。


人魚柔術(マーマンコンバット)ウルトラマリン!!」


 翌日、ゴジは海中で腰を落としてこえだめに構えた両手に海の力を集めて、それを真っ直ぐに前に突き出すことでネプチューンとフカボシを巻き込む程の特大の渦潮を発生させた。


「ぐおぉぉ!?腰が…痛い…。いででで…」

「ぐはっ!?はぁ…はぁ…参りました!まさか僅か一日で人魚柔術(マーマンコンバット)をマスターし、我々を超えてしまうとは流石“黒麒麟”ゴジ殿です。」


 ゴジはネプチューンとフカボシから人魚柔術(マーマンコンバット)を伝授してもらったのだが、例のごとく翌日には人魚柔術(マーマンコンバット)をマスターし、師である二人を超えてしまった。

 周囲一体の「水」の制圧を心得とする魚人空手と違って人魚柔術(マーマンコンバット)は周囲一体の「水」との調和を心得とし、水を使役するのではなく水の力を借りるのだが、何故か二人に勝ったゴジの方が腑に落ちない顔をしていた。


「う〜ん…。人魚柔術(マーマンコンバット)の真の力はこんなもんじゃねぇと思うんだ。ジンベエ、少し手合わせしてくれないか?」


 ネプチューン達は人魚柔術(マーマンコンバット)とは別に人魚具術と呼ばれる武器を使った戦い方がメインで、人魚柔術(マーマンコンバット)は範囲攻撃と遠距離攻撃を併せ持つ“ウルトラマリン”くらいしか使わない。

 しかし、ゴジは技を身に付けてる最中、長い年月の期間に失伝した人魚柔術(マーマンコンバット)の真意に気づき、ゴジ達を眺めていたリュウグウ王国一番の魚人空手の使い手であるジンベエと手合わせを申し込む。


「ん?まぁ、よいがの。」


 ジンベエもこれを快諾して冒頭に戻るのだ。


 ◇


 ゴジはジンベエの首に添えた手刀を返してジンベエの顔の前に差し出すとジンベエはその手を掴み、ゴジはジンベエを引っ張りあげて立たせた。


「元々水との親和性において魚人空手や魚人柔術を遥かに凌ぐのは知っておったが、その真髄は流水の如き動きで攻撃を捌き、一度攻撃に転じれば岩をも砕く荒波のような鋭い技。これが本来の人魚柔術(マーマンコンバット)じゃったのか?」

「そうだ。人魚柔術(マーマンコンバット)は魚人に力で劣る人魚が魚人に対抗する為に編み出された技だが、歴代の王たちは魚人族を総て、下界からの敵に備えるためにネプチューン王やフカボシ王子達のように魚人にも劣らない筋力を身に付けて武器を主体とする戦い方を身に付けた結果、人魚具術を編み出した代わりに『柔よく剛を制す』という本来の人魚柔術(マーマンコンバット)の理が失伝したんだろう。」


 ゴジの話を聞いて彼に王家直伝の人魚柔術(マーマンコンバット)を教えたはずのネプチューンとフカボシが目が飛び出るほどに一番驚いていた。


「うむ。わし、長年使っとるが全然知らなかったんじゃもん…。」

「凄い。あのジンベエに何もさせずに膝を付けた!?これが本来の人魚柔術(マーマンコンバット)なのか…!?」


 こうして新たな力人魚柔術(マーマンコンバット)を身に付けたゴジは魚人島でのやるべき事がなくなった。


「ネプチューン王、俺達はそろそろマリンフォードに帰るとするよ。あまり俺達が長居するとこの国の財政を圧迫しちまう。」

「えぇ。私たちがいると海賊はこの島に来ても軍艦を見たら慌てて引き返しちゃうものね。」


 リュウグウ王国は新世界へ向かう海賊の落とした金で潤っているが、ゴジがこの国にいるこの数日間、海賊達は海の楽園と呼ばれる魚人島によることなく、素通りして新世界へ向かっているのだ。


「むぅ…海兵を前に申し訳ない限りじゃもん。」

「「「っ…。」」」


 ネプチューンと三人の王子達もゴジには感謝してもしきれないが、国を預かるものとして財政問題は危惧せざるを得ない。

 しかし、魚人島の海賊をもてなすという国策は恩人であるゴジ達の仕事を増やしてしまうのだ。


「えぇ!?せっかくお友達になれましたのにゴジ様はもう帰ってしまわれるのですか!?うええぇぇぇん…。」


 硬殻塔での暮らしを余儀なくされて生粋の箱入り娘であるしらほしはゴジが帰るという言葉にただ悲しくて泣き出そうとする。


「「「しらほし…。」」」


 ネプチューン達がしらほしにどう声を掛けていいか悩む中、ゴジは彼女に笑いかけて右手の小指を突き出す。


「しらほし姫、次は君が俺に会いに来てくれるんだろう?地上で楽しみに待ってる♪涙はその時までとっといてくれないかな?」


 リュウグウ王国の気持ちが1つとなり、世界会議(レヴェリー)でも決定された以上、オトヒメ王妃の夢であるリュウグウ王国地上移設は目前。

 その言葉にしらほしは目に溜めていた涙を拭って元気よく答えて、右手の小指をゴジの小指に当てる。


「はい。ぐず…約束でず。会いにいぎます。」


 しらほし達兄妹は母と約束する時はいつもこうやって小指を突き合わして約束を交わしていた。

 しらほしにとって約束は何よりも守らなくていけない大切なものであり、ゴジとの再会まで泣かないという約束を果たす為に必死で涙を拭っている。


「本当…このアホは女の敵だよな。」

「はぁ…ベルメールさんが恋は惚れた方が負けって言ってたのよく分かるわ。ゴジ君を惚れさせて世界最強の男を手玉に取るつもりだったのに…はぁ…」


 ボニーとナミは頭を抱えているが、ネプチューン達は泣き虫なしらほしの涙を止めたゴジに驚いていた。


「あのしらほしの涙を一瞬で止めるとは…。」

「本当、毎回毎回たった一言で女の子の涙を止めちゃう所は流石だと思うわ。」

「あぁ…コアラは見慣れすぎで動じないのね。」


 コアラはアラバスタ王国でのゴジとビビとの別れを思い出して感心していた。

 この後、ゴジ達は魚人島中の人達からの見送りを受けて、マリンフォードへ向けて出港して魚人島を後にした。 
 

 
後書き
次の更新は19日です。

残る王下七武海はとうとう二人です。 
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