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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第百二十一話

 E.S(エネルギー・ステロイド)は一つ食べる事に力が二倍となるため、一つ食べれば2倍、二つ食べれば4倍、三つ食べれば8倍、四つ食べれば16倍になるのだ。

 彼等はそれを一人10個以上は食べており、その力は元の数百倍となる為、その身体に変化が現れ始める。


「「「う…うがあああぁぁぁぁ!!?」」」


 苦しみに喘ぎながら、白目が真っ赤になるほど目が血走り、髪色は揃って夜叉のように真っ白になり、身体の筋肉がはち切れんばかりほど膨れ上がって一回りから二回り大きくなる。

 たるんでいたホーディの腹も筋肉で覆われ、ゴジに斬られ出血していた右肩も筋肉が膨れ上がることで、筋肉に圧迫されて出血も止まるほどである。


「準備は出来たか?」

「「「はぁ…はぁ…。」」」


 苦しみに喘いでいた新魚人海賊団の息が整ってきたところでゴジが彼らに声を掛けると、先陣を切ったのは新魚人海賊団一の神速を誇るダルマだった。


「はぁ…はぁ…生意気な人間め…今度こそ噛み砕いてやる!キャッキャッ!!」


 鮫は何度でも歯が生え変わる生物であり、生え変わるほど硬く頑丈になって先程砕かれた牙も新たな牙に生え変わっている。


「バカだな?薬で強くなっても、牙の強度はさほど変わらんだろう?“指銃・斑”!!」


 しかし、はち切れんばかりに強化された筋肉とは違って生え変わって多少頑丈になった程度の牙等、何の脅威にもならないゴジは口を開けて飛び込んでくるダルマに向けて無数の指銃を撃ち込む。


「ギャ、ギャ、ギャ、ギャアアアアア!!?」

「ダルマ!?チッ!!」


 ゴジはダルマ自慢の牙を指銃で粉々に砕きながら、さらに全身を指銃で穴だらけにして自慢の牙を全て失ったダルマの口中に右手の人差し指を差し込み、上顎に引っ掛けた。


「ダルマを離せッヒ!!“スルメイカの槍”!!」

「離してやるから、ちゃんと受け取れよイカ野郎…“魚人柔術・指投げ”!!」


 ゴジは先端にスルメイカの付いた槍によるイカロスの刺突に対して、指を引っ掛けていたダルマを投げ付けた。


「なっ!?」

「ギャッア…アァァ…」


 ゴジを穿つはずのスルメイカの槍は、投げ付けられたダルマの背中に突き刺さると、身体の水分をスルメイカに奪われたダルマがみるみる干からびていく。


「イカン!スルメイカの槍は何時でもイカに還るチャンスを狙っていて一度刺さったら標的の水分を吸い尽くしてしまうッヒ!!」


 イカロスは慌てるがもう遅くダルマの身体の水分を全て吸い取ったスルメイカは、スルメのように干からびたダルマを残して元気なイカとなって元気に穂先から大海原に向けて飛び立った。


「あらら…仲間を槍で受け止めるとは可哀想に…」


 ダルマが干からびている間にドスンがゴジの背中に回り込み、丸太のように太く膨れ上がった右腕を振り上げていた。


「叩き潰してやるズガァン!!」

「おい、トンカチザメ!!不意打ちのつもりなら、黙って攻撃するもんだぞ。“爆裂指銃(スパーキングフィンガー)”!!」


 ゴジは後ろを振り返ることなく、爆発の力を宿した指銃をドスンの肩口にあるエラに差し込むと同時に爆発させた。


「うぐっ…どがああああぁぁん!?」


 魚の急所はそのまま魚人族の急所になり、急所であるエラに指銃を撃ち込まれ、爆発させられたドスンは気を失う。


「まぁ、どっちにしろ俺は意味ねぇがな。」


 見聞色の覇気を極めて未来を視ているゴジに不意打ち等通じず、ダルマからドスンの攻撃まで全て視えていた。


「ヒック…ウィー…色男、これならどうだい“千鳥足スティング”!!」


 ヒョウゾウは酒に酔って千鳥足による不規則かつ俊敏な動きでゴジに迫ると、ゴジの口を目掛けて刀を差し込んできた。


「へぇ…ガギィィィ!!」


 ゴジは口に差し込まれた刀を上顎と下顎の歯で噛むこと受け止めたが、ヒョウゾウの狙い通り刀を伝って毒がゴジの口に流し込まれた。


「ウィー…かかったねぇ…。どうだい毒の味は?」


 ヒョウゾウはゴジの硬い身体に刀が通らないなら、ヒョウモンダコの持つ毒を込ませた刀をゴジの口から注入しようと考えたのだ。


「この味はテトロドトキシンか?仄かな甘みがあってぶどうジュースみたいな味で中々美味いよ。これはお返しだ“紫銃(しがん)”!」


 ゴジはしっかりと毒の味の感想を述べたあと、ヒョウゾウの腹部にある毒を込めた指銃を撃ち込んだ。

 テトロドトキシンは口唇部および舌端に軽い痺れが現れ、指先に痺れが起こり、歩行はおぼつかなくなり、いずれ全身の運動機能に麻痺が起こり死に至る猛毒であるが、ポイズンピンクの力を持ち、毒の効かないゴジにとっては美味しいぶどうジュースと変わりない。


「ウィィー!?ヒック…本当に味の感想を言っちゃうたぁ驚いた。って…毒が効かない…ってのか……か…あ…あぁ…」


 ゴジはテトロドトキシンと似た症状を起こす即効性の麻痺毒をヒョウゾウに打ち込んだ為、ヒョウゾウは全身の力が抜け、体をピクピクさせながら白目になって海中にぷかぷかと浮く。


「俺は毒は効かねぇけど、あんた別みたいだな?しばらく全身麻痺が続くが、テトロドトキシンと違って呼吸器までは影響しないから安心して酔いを醒ますといい。」

「うぃ…ぃぃ……」


 ヒョウゾウの毒を食らったのがゴジ以外なら死に至っていただろう毒の量だった。


「タコ剣士、俺の体を斬れないと諦めて口から毒を注入しようとする狙いは良かった…ん?足を掴まれた……!?」

「油断したな“黒麒麟”!!“カムフラージュ・カーペット”!!お前はこれで動けない。俺は死んでもこの腕を離さない!やれぇぇイカロス!!」


 ゴジは力なく倒れていくヒョウゾウを見ながら、突然自分の両足首を何者かにがっしりと掴まれたように動かなくなった事に驚く。


「ゼオ、ナイス援護だ。発光!“臼梵(ウスボン)の槍”!!これで風穴を開けてやるッヒ!!」


 ダルマをスルメイカの槍で刺してしまったイカロス・ムッヒはヘルメットを外して頭のてっぺんにある深海を明るく照らす“臼梵(ウスボン)”と呼ばれる海山をぶち抜ける強力な発光する槍でゴジの腹を刺すべく、海中を一直線に超高速で動けないゴジに迫る。


「光る頭か…なら、俺はさしずめ光る指先ってとこか…“指電一閃”!!」

「なっ…俺の臼…イガガガガァァァ!?」


 ゴジは電気の力を帯びた指銃でイカロスの攻撃に真っ向から応じて、その指で自慢の”臼梵(ウスボン)“を粉々に砕き刺し貫いた指から体内に向け、放電してイカロスを感電させ、黒焦げにした。


「イカロス!!?」

「俺は男に触られる趣味はねぇんだ。いい加減離せよカメレオン野郎!!“魚人空手 五千枚瓦指貫(ゆびぬき)”!!」


 身体の内側から電気を流し込まれたイカロスも沈黙するのを見届けた後、ゴジは右手の人差し指の第一関節と第二関節を曲げて、何も無い足元に向けて真っ直ぐに右腕を振り下ろした。


「ぬおおおぉぉ…がはっ!?ふ……“腹筋突き指クラ……ッシュ”……がくっ……」


 ゴジの右手が振り下ろされた時、彼の足元にある海底がひび割れて、ゴジの右手の下に周りの風景に身体の色を擬態させていたゼオが現れるが、既に気を失っていた。

 ヒョウゾウを倒した直後にゴジが動けなくなったのは擬態したゼオが“カムフラージュ・カーペット”で地面を履いながらながら迫り、強化された筋力で彼の足首を掴んでいた。

 最初こそ驚いたものの…ゼオの声や“神眼”により彼の位置はすぐに分かったので、イカロスを倒した後で腹を指で殴った。

 ゼオが意識を喪失する直前に名付けた“腹筋突き指クラッシュ”であるが、プライドの人一倍高い彼には殴られた事を認めたくなかっただけでもちろんゴジの指は突き指はしていない。


「気絶してまで俺に殴られたのを認めない気か。大した根性だ。さて、これで後はお前だけだな?ホーディ・ジョーンズ?」


 ゴジは宣言通りに新魚人海賊団の幹部五人を右手の人差し指のみで倒して、不敵な笑みでホーディを見る。


「なっ…何故…ダルマ…ドスン…ヒョウゾウ…イカロス…ゼオ…」


 ゼオ達幹部5人は己の死を恐れずにゴジに立ち向かい、時には自分が囮となる事をも厭わなかったが、彼等の信頼する船長ホーディは圧倒的な有利な海中で蹂躙された部下達を見て恐怖で支配されていた。


「なんで……人間が海中でそんなに速く動ける!?それに爆発に毒、電気……お前は能力者じゃねぇのか?悪魔の実の能力者は海中では動けねぇはずだぞ…。」


 人間は海中で動きが鈍るはずだが、天竜人のように首から上のみをシャボンで覆い、呼吸のみを確保しているゴジの動きは明らかにE.S(エネルギー・ステロイド)により何百倍にも強化されたはずのホーディ達よりも速いのだ。


「後半の質問は聞き飽きたからパス。前半の質問だが、お前も魚人空手の使い手なら理由くらい分かるはずだぞ?それに速い動きというが、俺は一歩もたりとも動いちゃいねぇよ。」


 魚人空手の真髄は『水』の制圧、水中であるほど技のキレや強さが増す。

 ゴジは魚人空手の真髄を六・六式(ダブルロクシキ)、剣技の全てに昇華しており、ゴジは幹部5人を倒すのにその場を一歩たりとも動いていなかった。それがさらにホーディの恐怖を煽る。


「巫山戯るな…魚人空手は魚人にのみ許された技だ。下等種族の貴様が使えるはずねぇんだ!!“魚人空手 矢武鮫”!!」


 ホーディは離れた位置から左腕をゴジに向けて振るうと無数の細い針のような水柱が散弾銃のようにゴジに迫る。


「魚人空手・矢武鮫!!」


 ゴジは右手の人差し指をホーディに向けて振るう事でホーディと全く同じ技で迎え撃つ。


「なっ……俺の“矢武鮫”が……ウガガガガガガ……グハッ!?」


 同じ技でも使い手が違えば結果は違うものであり、ゴジの“矢武鮫”はホーディの“矢武鮫”を食い破りながら、ホーディの体を穿っていく。

 水を制圧するのに掌は必要なく、指一本あれば充分なのだ。


「同じ技ならば魚人空手をより極めている者の方が強いのは道理。ただ借り物の力を使って粋がってるヒヨっ子魚人空手に俺が負けるはずねぇだろう?」


 ホーディはそのまま後方にある魚人街と深海を隔てるシャボンを突き抜けてアジトの建物の壁を突き抜け、“矢武鮫”による水の散弾銃の直撃により全身傷だらけで魚人街のメイン広場に転がっている。

 いくらE.S(エネルギー・ステロイド)により身体機能を強化しようとも魚人空手が上手くなるわけではなく、ゴジとホーディでは天地ほどの差がある。


「「「ホーディ船長!?」」」


 魚人街に住む魚人族は新魚人海賊団の幹部達の戦いを陰ながら見守っていたので、全てを自分達の目で見ていた。


「「「ひぃぃぃ…追ってきやがった!?」」」


 だからゆっくりと海底を歩きながら、シャボンを通り抜けて魚人街に入ってホーディを追ってきたゴジの姿を見て恐怖に満ちた目を向ける。


「ぐはっ…はぁ…はぁ…おい!お前達も武器を持ち、戦え!!」


 船長ホーディに命じられて魚人街に住む新魚人海賊団の魚人族はビクビクしながら、激怒するホーディを見た後、仕方なく武器を構え始める。


「化け物のような船長と幹部たちが海中で手も足も出ない奴だぞ。」

「しかもここは魚人街のシャボンの中だから陸地…。」

「でも、行かねぇと今度は船長に殺される。」


 ゴジはあえて覇王色の覇気を使わずに魚人街にいる魚人達に向けて語り掛けると、魚人族は一斉に壁に避ける。


「俺が今のところ把握している新魚人海賊団は6人のみだが、俺に向かってくる奴がいたら、そいつらも海賊とみなす。もし、恐怖でホーディに従っている者がいるならすぐに道を開けて欲しい。俺がホーディの呪縛から解放しよう。」


 全身血だらけの這う這うの体で立ち上がり、息を切らせているホーディとゴジの間に真っ直ぐに道を作った。


「なっ…!?てめぇらなんの真似だ?」


 魚人族達はホーディから目線を逸らして、カタカタと震えている。

 彼等はE.S(エネルギー・ステロイド)により見た目から既に人外の化け物となったホーディを越える真の化け物は誰かという事に気付いたのだ。


「恐怖で部下を従える奴の末路はいつもこんなもんだ。お前の仲間は海でのびている5人だけだったってことだよ。」

「クソがぁぁぁ!!裏切り者は全員死ね!“魚人空手 群さ…」


 ホーディは服に付いた水分を左手に集めて、自分の命令ではなくゴジの指示に従った部下達に投げつけようとするが、見聞色の覇気で未来視しているゴジは右手の人差し指を伸ばして手で銃の形作って、銃身となる人差し指をホーディに向ける。


「それを俺が黙って見てるわけないだろう?“六・六式(ダブルロクシキ)魚人空手奥義武頼銃(ぶらいがん)”!!」


 ゴジは更にその人差し指の先に水弾を作り出してそれを指銃で弾くことで、水弾をホーディに向けて飛ばした。

 ビー玉程の大きさしかない水弾は普通の銃弾を超える速度でホーディの腹にぶつかった瞬間、ホーディの身体に吸い込まれるように体内に浸透すると、そこを起点として彼の全身が波打ち、体内にある血液などの水分を震わせて内側から衝撃を与えた。


「うがあああぁぁぁぁ!!?」


 水球を乗せた拳を相手に叩き込み身体の内側の水分を震わせてダメージを与える“魚人空手奥義 武頼貫”と飛ぶ指銃“指銃・撥”を合わせた“武頼銃”の直撃を受けたホーディは気を失い、仰向けに倒れた。

 こうして新魚人海賊団によるゴジの公開処刑は、圧倒的な実力差を魅せつけたゴジによる新魚人海賊団の蹂躙劇に姿を変えたのだった。 
 

 
後書き
次回更新は15日です。

次回はこの戦闘を目撃した魚人島、魚人街の人々の反応です。 
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