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おっちょこちょいのかよちゃん

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181 書の使い手、蔡京

 
前書き
《前回》
 李の茂る森に到着したかよ子達はまる子と友蔵に連れられて李狩りを楽しむ事になる。李狩りを終え、夕食に戻るがまる子と友蔵が戻って来ず、フローレンスの協力で二人がいる方角を教えて貰い、迎えに行くが、蔡京(さいけい)という男の襲撃を受ける。何とか現場に到着したかよ子達は蔡京との交戦を開始する!! 

 
 かよ子は羽根で蔡京に接近した。筆に杖を向ける。
(確か筆とかにも使えたはず・・・!!)
 かよ子は杖の使い方の一節を思い出す。

【筆記物に向けると自在に絵及び字を描き、それを実物化する能力を得られる】

 かよ子は羽根から降り、蔡京の筆に杖を向けた。
「させるかよ!」
 杖の複製攻撃が効かなかった。
「奴も機械を持っている!その武装の能力(ちから)で弾かれたのだ!」
 石松が解説した。
「そんな!」
「鳥橋!人形を使え!」
「うん!」
 のり子はキャロラインと同化する。
「皆の者!我らも参戦だ!」
 次郎長が斬り込みに入る。地面が爆砕され、さらに周囲の木々が切り倒された。
「俺も行くぜ!」
 大野が草の石を取り出す。そして茨が現れ、地面に突き刺した。
(これで何とかなってくれ!)
「貴様らここで死にな!」
 蔡京は紙に「死」という字を書いた。
「山田かよ子!蔡京は全員皆殺しにする気だ!」
「ええ!?」
「私が皆を羽根の上に戻すよ!」
 のり子が人形の能力(ちから)を利用して全員を羽根の上に戻した。蔡京の死の攻撃が来る。しかし、羽根の結界で防ぎ、皆無事生存できた。
(この結界で何とか守れた・・・!!)
 その時、蔡京の元に茨が現れ、機械を貫通して破壊した。
「な!?」
「その機械は壊させて貰ったぜ!」
 大野の草の石の能力(ちから)によるものだった。
「ちい!こうなったら!!」
 蔡京は錯乱し、「殺」と書いた。
「杖の持ち主、これで死ね!」
 だが、防御特化の武装の持ち主のかよ子には通用しなかった。それどころかかよ子に自身の筆に杖を向けられ、杖を筆に変化させられた。
「これでやっつけるよ!」
 かよ子は空中で鳥を描く。鳥が蔡京をつついて狙う。
「そんな手が通じるか!」
 蔡京が紙にまた書こうとする。だが、その時、紙が燃えた。
「なぬ!?」
「させないよ!」
 まる子が炎の石の能力(ちから)を利用して燃やしたのだった。
「おお、カッコいいぞ、まる子!」
 友蔵が褒めた。
「これで書ける紙はなくなったな!」
「何を!これなら!」
 蔡京は地面に書こうとした。書いた言葉は「爆」。地面が爆発する。そして「炎」とも書く。爆発と共に森の一帯が炎上した。
「ここは我々が!」
 椎名が水の玉を使って水を撒く。
「オイラもやるブー!」
 ブー太郎も水の石で消火した。
「もう許さないよ!」
 のり子が怒りで溢れる。
「まだやってやるぞ!」
 蔡京はまた地面に何か書こうとする。だが、先程かよ子が実物化した鳥に筆を奪われた。
「ま、待て!」
「隙あり!」
 いつの間にか石松と吉良(きら)仁吉(じんきち)が回り込んでおり、蔡京を斬りつけた。
「うおおお!!」
 蔡京は二人に斬られて光と化した。
「やったな、仁吉!」
「おうよ!」
 しかし、まだ森には燃えている地帯もある。
「まだ燃えてるブー!」
「キリがねえな!」
「拙者らに任せい!」
 次郎長は刀を時計回りに振り回した。子分達も刀を次郎長に向けた。
「復興せよ、李の森!」
 次郎長が叫ぶ。その時、炎が消えて行く。そして森は切り倒された木々が元に戻り、焼けた李の木が元に戻った。
「す、凄い、戻った・・・」
 かよ子は時間が巻き戻るような復興に驚いた。
「山田かよ子、お主もよくやってくれた」
 石松が褒めた。
「いや、そんな事してないよ」
「いや、あの鳥を出して蔡京の筆を奪っていなければ某も仁吉も斬る事はできなかったであろう。感謝致す」
「う、うん・・・」
「よし、皆、本部に連絡だ」
 次郎長が促した。
「ああ」
 関根が本部へと通信機を繋げる。
「こちら藤木救出班、関根金雄。李の森にいた蔡京とかいう敵を倒した!そして燃えかけていた森も次郎長たちによって無事に元に戻った」
 フローレンスが応答する。
『お疲れ様です。夜分によく頑張ってくれました。それから・・・』
(何だろ・・・?)
『さくらももこちゃん、そのお爺様、その李狩りはいけませんとは言っていませんので李を取りますのは自由ですが、勝手な行動して皆様の迷惑が掛かっていますのです。無鉄砲な行動は慎んでください。それからお爺様、下手をすれば貴方は命を落としていましたかもしれません!』
「す、すまん!」
 友蔵は謝った。
『はっきりと言いますが、貴方にできます事は本当に何もありません。次軽はずみな行動をしましたら本部へ強引に連れ帰し、謹慎させますからね』
 声だけとはいえ、フローレンスの口調に怒りがこもっているのをかよ子は感じ取った。
「そ、そんな・・・」
『嫌なら、従ってください』
「はい・・・」
「ごめんなさい・・・」
 まる子と友蔵はしょげた。
『では、皆様おやすみなさいませ』
 通信が切れた。
「ももこちゃん」
「のりちゃん?」
「お願い、もう勝手な行動しないで!」
「う、うん・・・」
(こいつ、案外、さくらを友達想いになってるんだな、ブー)
 ブー太郎はのり子に対してある思いがあった。
(他の皆にも愛想がよければいいのに、オイラにも・・・)
 ブー太郎はのり子が気に食わないと思いながらも複雑なある思いを感じていた。
「そうだ、お腹空いたよお〜」
「そうじゃ、ご飯の時間じゃ!」
「ご飯ならここだよ」
 まる子と友蔵は羽根の上にある二人分の食事をかよ子に紹介されて食べた。
「おお、シチューか、まあまあかな」
「おお、美味い、美味い!」
 まる子と友蔵はようやくの晩餐にがっついた。
「それじゃ、俺達は寝るぜ」
「私も、おやすみ」
 かよ子達はまる子達が食べ終わる前に寝た。

 フローレンスは食事の場へと戻った。
「はあ・・・」
「フローレンス、かよ子達は無事だったの?」
 まき子は心配になって聞いた。
「はい、無事に撃退できました。それにしてもさくらももこちゃんとそのお爺様には本当に振り回されます。我儘など聞きますべきではありませんでしたね」
「まあ、そうね・・・」
 まき子も友蔵に関しては孫がいない寂しさでついて来ただけなので内心、心配と迷惑の気持ちがあった。
「それでは皆、休むといいよ」
「ありがとう、イマヌエル」
 先代の杖、護符、杯の所有者達は就寝に入った。

 笹山はピアノの稽古からの帰りに藤木の家を通り過ぎた。
(あ・・・)
 あの男子が戻って来たら、と思ったが、藤木の家は暗いままだった。彼の両親は共働き故に帰るのが遅く、藤木は出前を取る事が多いと聞く。しかし、灯りがついていないという事はまだ両親も帰ってきていないという意味だと笹山は感づいた。
(やっぱりあれを使うべきかしら・・・)
 笹山は思い出す。フローレンスという女性から貰ったボールペンのような道具を。だが、まだ決断ができていなかった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「運ばれたスケート靴」
 妲己は紂王の屋敷にスケート靴を運んで戻って来た。その屋敷にいる一人の少年と遊女達はスケートに行く日を楽しみにする。そして別の場所ではすみ子達組織「義元」が中世のフランスのような街に到着し・・・!! 
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