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星河の覇皇

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第七十九部第三章 不測の事態その四十五

「敵であれば」
「確かにこれ程厄介な敵はないですね」
「はい、それがジャバル副主席です」
「よくギルフォード総統が言われますが」
「彼も然りです」
 ギルフォードもそうした敵だとだ、八条は述べた。
「連合にとって実に剣呑な敵です」
「その通りですね」
「しかしです、敵は一人とは限りません」
「時に応じて敵になる者もいて」
「そしてです」
 その者はというのだ。
「ジャバル副主席です」
「敵は二人ですか」
「言うなら、マウリアは同盟国ですが」
「敵でもある」
「そもそも国家間において完全な友人は存在するか」
 同盟国といってもというのだ。
「この言葉の通りですマウリアは」
「これまでも色々エウロパを助けていますね」
「そうです、千年の間」
 これも国益の為だ、マウリアの国益の為にエウロパを助け連合とのバランスを取ってきたのだ。バランサーとしてそうしてきたのだ。
「そうしてきました」
「だからです」
「あの国は今回もですか」
「エウロパを助け」
「連合の敵になっています」
「まさかジャバル副主席はそうした人物とは」
 連合では最も人気のあるマウリアの政治家だ、アウトカースト層から国家の指導者の一人となり彼等の権利獲得の為に活動している有能かつ志のある人物という評価を受けているのだ。実際に正しい評価ではある。
「野心家で怨念を持っていて」
「それの為に動いています」
「しかも独裁者ではないですか」
「違います」
 ジャバルは独裁者ではない、このことも事実だというのだ。
「間違いなく」
「民主政治家ではあるのですね」
「独裁者の匂いは感じません」
「民主的な手続きで、ですか」
「ことを進めていきます、アウトカースト層政府でもそうでした」
 その中で活動していた時はというのだ。
「そしてです」
「民主政治の下で」
「そうしてですか」
「ことを進めていきます」
 そうした人物だというのだ。
「着々と」
「民主政治家ではありますか」
「権力を手に入れようとしても」
「その権力は、ですか」
「目的ではありません」
「手段ですね」
「そちらです」
 手段、それに過ぎないというのだ。
「目的を達成する為の」
「そこから先が、ですか」
「目的です、その権力を使い」
「アウトカースト層の権利を獲得、拡大し」
「自分達が中心にあるマウリアを考えておられるでしょう」
 こう言うのだった。
「そこまでのことを」
「そうですか」
「ただ、マウリアの中だけでエウロパは助けても」
 それでもというのだ。 
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