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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第百十七話

 ネプチューン王が世界会議(レヴェリー)においてリュウグウ王国の地上移設について訴えているまさにその時、魚人島においてシャーリーがゴジを占っていたのだ。

 ゴジを占って水晶玉を覗いた直後、泣き出したシャーリーが水晶に映った光景を駆け寄ってきたカフェにいる全員に聞こえるように話す。


「皆、よく聞きな……麒麟のボーヤはこの島の“太陽”だよ。麒麟のボーヤのお陰で私達は“太陽の下”で暮らせるんだよ!オトヒメ王妃の願いは叶うんだよ!」


 シャーリーが水晶で見たのは『太陽を背にしたゴジが魚人達を地上に導く』光景であった。

 そう。この占いはこの後に締結されることになる“陽麟同盟”を差しているのだが、当のゴジ達には知る由もなく、カフェにいる全員が唖然となる。


「ゴジ様が!?皆、島の一大事よ……早く島中にこの事を知らせてぇぇぇ!!」

「おい.......どういうことだ!?俺はバンダー・デッケンを捕まえただけだぞ!?」

「「「(うお)おおおぉぉぉーっ!」」」
 

 マーメイドカフェにいる人魚達が島中にシャーリーの占いを伝えに走り、この場に残されたのはゴジ達4人とシャーリーのみである。

 この状況に全く付いていけていないゴジはシャーリーの背を摩って彼女を宥めていた。


「なんなんだ…。シャーリーちゃん、落ち着いたかい?」

「麒麟のボーヤ、ごめんよ。嬉しくってね。」

「まぁ、亡きオトヒメ王妃の願いだもんな。それが叶う未来が視えて嬉しいってのは分かるけど、俺が魚人族を地上に導くってのは本当なのか?我ながら何をどうしたらそうなるのか検討も付かない。」


 ゴジは言わずと知れたDr.ベガパンクをも認める頭脳の持ち主で驕りではなく、事実として世界有数の頭脳を持つという自覚はある。

 そんなゴジが思考を巡らさて魚人島の為に出来ることは人間である自分がバンダー・デッケンを捕らえることで人間への恐怖心を少しでも払拭し、旗印となる“人魚姫”の元でリュウグウ王国国民が一致団結することだった。

 そして、4年後の世界会議(レヴェリー)にてリュウグウ王国が世界貴族の書面を添えて魚人島の総意を示す過半数を超える署名を提出して、正式に承認を得ることが近道であると思っていた。


「私にもそれは分からないけど、少なくとも私の占いは外れたことはない。でも、私の占いは未来が見えるだけさ…明日かも…1年先かも分からない。」


 ゴジの質問に対し、煮え切らない答えしか出来ないシャーリーが肩を落としていると、息を切らせたジンベエがマーメイドカフェに駆け込んできた。


「ゴジ!大変じゃあ!!」

「ジンベエ?」

「ん?鮫野郎じゃねぇか?どうした?」

「ジンベエさん、そんなに慌ててどうしたの!?」

「まさか!?海の森で何かあったのでは!?」


 イスカ達は慌てたジンベエの様子から、彼が護衛していたしらほし姫の身によからぬ事が起きたのではないかと慌て始める。


「ん?しらほし姫様ならば、オトヒメ王妃の墓参り中じゃ。なんの問題も起きとらん。」

「なら、そんなに慌ててどうした?シャーリーちゃんの占いの話なら俺も検討がつかないぞ。」


 ゴジはしらほしの危機ではないなら、魚人島中にシャーリーの占いを伝え走っている人魚達から占いの話を聞いたのだと当たりを付けるが、ジンベエが焦った表情でゴジの両肩をしっかりと掴む。


「シャーリーの占い?なんの事じゃ。そんなことよりもよく聞け!!今、世界会議(レヴェリー)に出席中のネプチューン王に同行しておるフカボシ王子から連絡があった。」


 海の森は魚人島の外の海底にある場所なので、さすがにそこまで人魚達が駆けずり回る声は聞こえていないので、ジンベエは先ほどのシャーリーの占いを知らない。

 それよりも魚人島の一大ニュースをまずゴジに伝えたかった為、慌てて走ってきたのだ。


「ん?」

「こちらは竜宮城です。度々新たなニュースをお送りします。」


 ゴジがジンベエの焦った様子に戸惑っていると、竜宮城からの国営放送が店内まで聞こえてきた。


「ちょうどいい。全員、この放送をよく聞くんじゃ!!」

世界会議(レヴェリー)におけるリュウグウ王国の地上移設に対してジェルマ王国、アラバスタ王国の同意により可決されました。さらにジェルマ王国から領土の一部をリュウグウ王国に譲渡されるとのことです。オトヒメ王妃の願いが届いたのです!!」

「「「なっ.......!?」」」


 この放送に魚人島の歴史を聞かされたゴジ達はシャーリーの占いを聞いた時以上に驚く。

 そして当事者たるリュウグウ王国の国民中はゴジ達以上に騒然となった。


「「「(うお)おおおぉぉぉぉ!!」」」

「俺達が本物の太陽の下で暮らせるんだぁぁ!!」

「マダムの占いがまた当たったぁ!!」

「そうか!?マダムの占いはこれを暗示していたんだ。」

「きっとしらほし姫様のように“黒麒麟”が助けてくれたに違いない!“黒麒麟”万歳!!」

「「「“黒麒麟”バンザァァイ!!」」」


 マーメイドカフェダンサーズ達からシャーリーの占いを聞いていたリュウグウ王国に住む国民達はジェルマ王国でもアラバスタ王国でもなく、口々にゴジを褒め讃えている。

 それほどにシャーリーの占いは魚人島に住む人々に信頼されている証であるが、占いを知らないジンベエは困惑している。


「なんじゃ?何故街の者はゴジを口々に褒めとるんじゃ?」

「私の占いに麒麟のボーヤが私達を“太陽の下”へ導くと出たんだよ。国営放送が本当なら今ここにいる麒麟のボーヤは何もしていないからね。どういうことだろうね?」


 シャーリーはジンベエの疑問に答えた後、考え込んでいるゴジ達を見る。


「もぐもぐ…ん?アラバスタってコブラのおっさんか?」

「「ソラさん!?」」


 ボニー、イスカ、ナミはそれぞれ放送で流れた自分の知る二国にいる王族の顔を思い浮かべていた。


「なんじゃい?お主らはアラバスタ王国のコブラ王だけでなく、ジェルマ王国のソラ王妃まで知っておるのか?正しくその二人こそ我が国の地上移設を後押ししてくれた恩人なんじゃ!」


 ジンベエはゴジがアラバスタ王国にいた事は知っているので、コブラと面識がある事には疑問に思わないが、ソラとも面識がある事に疑問に思いながらも嬉しそうに話した。


「なんだと!?ジンベエ、詳しく教えてくれ!!世界会議(レヴェリー)で何があった?」

「フカボシ王子の話では━━━。」


 ジンベエはフカボシ王子から持たされた世界会議(レヴェリー)での出来事の一部始終を告げると、突然ゴジが腹を抱えて笑い出した。


「わっはっはっは!!そうか!コブラ王と母さ.......いやソラ王妃がそんなことを言ったのか!わっはっはっは……これは傑作だ!!」


 ゴジは国同士の問題に口を挟むことは出来ないので、リュウグウ王国の悲願を叶えれない代わりにせめてもの救いとなればという想いからしらほし姫を救ったが、あっさりとリュウグウ王国が抱えきた問題をあっさりと解決したコブラと母の偉大さに笑いしか出ない。

 ソラをよく知るナミやイスカ、コブラ王を知るボニーも笑い始めた。


「あははははっ!本当にソラさんには勝てないわ!」

「えぇ。ソラさんは本当に優しい素敵な人よね。」

「コブラのおっさんもやるじゃねぇか!あははははっ!!」


 ボニーはソラを知っているような二人の様子を見て尋ねた。


「ん?そういえばなんでナミとイスカはジェルマ王国のソラ王妃を知ってんだ?」

「えぇ。よく知ってるわ。ソラさんは私と共にアーロン一味と戦ってくれたのよ。」

「マジかよ。ジェルマ王国があるのは北の海(ノースブルー)だぞ?“第四勢力”の一角である王妃が東の海(イーストブルー)で海賊退治って、ゴジ、お前の母ちゃんどうなってんだ!?」


 ボニーは一国の王妃、それも世界一と呼ばれる軍事大国の王妃が海賊退治に参戦したと知り、さすがに食べる手を止めてゴジを見てあきれ果てる。


「いや、それに関しては何も言えねぇ。俺も先日その件についてはキツく母さんに説教したところだ。」

「でも、あの国ならばありえるのかの?かの国にいる三人の王子と王女はワシら七武海を凌ぐ程の実力者と聞く。」


 ジンベエは冷や汗を流しながら、“四代勢力”の一角を担うジェルマ66(ダブルシックス)と呼ばれる四人の王子達の存在を思い返す。


 北の海(ノースブルー)の守護者“爆炎の貴公子”と呼ばれるヴィンスモーク・イチジ、通称スパーキングレッド。

 西の海(ウエストブルー)の守護者“小さな巨人”ヴィンスモーク・ヨンジ、通称ウインチグリーン。

 南の海(サウスブルー)の守護者“雷切”ヴィンスモーク・ニジ、通称デンゲキブルー。

 東の海(イーストブルー)の守護者“戦乙女”ヴィンスモーク・レイジュ、通称ポイズンピンク。


 “悪政王”アバロ・ピサロの拿捕から始まるこの四人の王子と王女の活躍なくしてジェルマ王国が“四大勢力”と呼ばれることはなかっただろう。


「ちょっと待ちなよ!!普通に話を進めてるけどさ…あんたらの話ではまるで麒麟のボーヤの母親がジェルマ王国のソラ王妃だって聞こえるよ!!」

「「あっ.......!?」」


 驚いた表情を浮かべるシャーリーの指摘でボニーとゴジは自分達の失言に気付いて口を塞ぐがそれは明らかに悪手であった。浮かれすぎてうっかり口を滑らせてしまうところもソラとゴジはよく似ているところである。


「そういえばあの国は廃嫡された二人の王子がいると聞いたことがある。その内の一人は幼い頃より神童と呼ばれたと聞く。名前は確か……」


 ジンベエは忽然と姿を消したジェルマ王国の王子の名を思い出していると、ゴジがその話を引き継ぐ。


「そう……その王子の名はヴィンスモーク・ゴジ。その子供は海兵に憧れて夢を叶えたんだ。一応秘密にしてるから二人のとも黙っといてくれるかい♪」

「「なっ……!?」」


 にこやかに自分の正体を告げるゴジを見て、ジンベエとシャーリーは空いた口が塞がらない。


「ちなみにその話に出てくるソラさんの病気を治療した息子っていうのが、当時僅か8歳だったゴジ君なのよ。」

「「へっ……!?」」

「アラバスタ王国でクロコダイルの野郎をぶっ倒したゴジがコブラのおっさんの恩人ってのは言うまでもねぇだろう?」

「「っ.......!?」」


 突然、ゴジの正体を知らされた上、ナミとボニーによりコブラとソラを動かした存在がゴジだと分かってジンベエとシャーリーは唖然として声も出ない。

 そしてゴジはジンベエの話を聞いてシャーリーの占いに納得がいく。


「母さんとコブラ王が関わっていたのか。シャーリーちゃんの占いは俺が関わった人達がこの国を救う事を暗示していたのかもしれない。流石的中率100パーセントの占いだ。」


 ゴジがいなければソラは既に死んでおり、ジャッジが魚人族と手を結ぶ有効性を見出していないかもしれない。

 さらに自国の内乱で手一杯であったコブラ王が各国から避難の的にされたネプチューン王を庇うことはなかったかもしれない。

 因果応報。ゴジのこれまでの行いの結果、魚人族を“太陽の下”へ導いたのだ。


「どういう訳か.......私の占いは良くないことばかり視えるんだ。こんな嬉しい未来を見たのは初めてだよ。麒麟のボーヤ、本当にありがとう。」


 ゴジに向けてにこやかに笑うシャーリーはこれまでいくつもの未来を予言してきた。

 しかし、その多くは不吉な未来を予見してきた占いに嫌気がさしていたのに、幼い日にしらほし姫の誕生を言い当てた日以来の明るい未来が視れた事に嬉しそうに笑った。 
 

 
後書き
次回更新は5日です。

次回は地上移設に反対する魚人族の企みのお話です。 
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