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オズのラゲドー氏

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第六幕その十一

「また機会があれば」
「バッグを使わせてもらって」
「そうしてだよ」
「漫画もよね」
「読もうね」
「そうさせてもらうのね」
「あの漫画は一巻から読んでいるけれど」
 それでもというのです。
「まさかそれを道具にするなんてね」
「オズマのことね」
「ヒントを得てね」
「それでオズの皆に使ってもらっているのよ」
「皆を助けているんだね」
「ええ、オズマはね」
「そのことも凄いよ」
 前ノーム王の言葉は感心しているものでした。
「わしは魔法は使えても」
「それでもなの」
「今も面白いと思うだけで」
 漫画を読んでというのです。
「思わないしノーム王だった時も」
「その時もなのね」
「とてもね」
 それこそというのです。
「思うなんてね」
「なかったのね」
「あの時のわしは自分のことだけを考えていたよ」
 反省しての言葉でした。
「他の人のことなんてね」
「考えなかったの」
「全く。自分以外の全ての生きものが大嫌いで」
 そうしてというのです。
「誰かを好きになることもなくて」
「それじゃあ誰からも好きになってもらえないわね」
「嫌っているとね」
 そうしていればというのです。
「嫌われるね」
「当然としてね」
「あまりにも自分のことしか考えなかったから」
 それ故にというのです。
「自分以外はだよ」
「皆大嫌いだったのね」
「自分がしたいことをすればいい、そしてちょっとしたことでね」
 それでというのです。
「不平不満ばかり感じて言っていたよ」
「それで貴方は幸せだったの?」
 クッキーはその頃のことについて前ノーム王自身に尋ねました。
「それで」
「いや、そう感じたことなんてね」
「なかったのね」
「全くね」 
 そうだったというのです。
「何一つとしてだよ」
「感じなかったのね」
「誰もが嫌いで嫌われていて」
「不平不満ばかりで」
「そうなると自然と悪いことばかり考えるからね」
「自分のことばかりで」
「そんなのだとね」
 それこそというのです。
「幸せに感じることなんてね」
「ないわね」
「全くだよ」
 それこそというのです。
「本当にわしは幸せでなかったよ」
「それでオズマ姫みたいなこともなの」
「欠片程も考えたことはなかったよ」
 こうクッキーに答えました。 
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