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ハッピークローバー

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第四話 テスト勉強その九

「逃げたらいいのよね」
「そうそう、どうしようもないなら」
 富美子は理虹にも応えた。
「登校拒否なりね」
「転校なりしてね」
「逃げたらいいのよ」
「どうしようもないなら」
「私だったらよ」
 富美子は強い声で語った。
「友達がいじめれていて」
「どうしようもなかったら」
「警察に通報する様に言うわよ」
「それでもどうしようもなかったら」
「逃げろって言うわよ」
 そう思った時はというのだ。
「自殺するよりずっとましでしょ」
「逃げた方がね」
「いじめでも何でもよ」
 いじめに限らずというのだ。
「自殺する位ならね」
「逃げることね」
「そうよ、遥かにましでしょ」
「アニメであったわね」
 かな恵も言ってきた。
「逃げちゃ駄目逃げちゃ駄目って」
「使徒と戦う時ね」
 富美子はかな恵の言葉に目を鋭くさせて応えた、その目には何か強いものを見て確かな考えを宿している光があった。
「あの時よね」
「弟がアニメ好きでね」
「あの子あのアニメも観てるの」
「そう、それでね」
「かな恵も観たのね」
「あの子ゲームもしてて」 
 それでというのだ。
「そのゲームでも出てたから」
「スパロボね」
 富美子はそれはと応えた。
「あのシリーズで出てたわね」
「そう、確かそのシリーズでね」
「声優さんの声付きだったわね」
「それで私も観たけれど」
「私も知ってるわ」
 富美子はかな恵にその目のまま答えた。
「そのシーン」
「有名だしね」
「ええ、ただあれは逃げたらね」
 主人公がそうしたらというのだ。
「誰が使徒と戦うのは」
「あの無表情の女の子だけになるから」
「あの娘が大怪我したの見たでしょ」
「それで戦おうと決意したし」
「そうだったからよ」
 そうした状況だったからだというのだ。
「逃げたら駄目だったけれど」
「いじめとかだと」
「逃げてもいいのよ」
 こうした場合はというのだ。
「何時でも逃げたら駄目じゃないのよ」
「家庭内暴力でもそうよね」
 留奈はこちらの話をした。
「奥さんや子供に暴力振るう屑男から逃げても」
「それも同じよ」 
 富美子は右手を拳にして語った、振ってもいる。
「そんな奴と一緒にいてもね」
「碌なことないわよね」
「殺されたらどうするのよ」
 若しそうなればというのだ。
「自分じゃなくても子供さんがそうなったら」
「元も子もないわね」
「自分も暴力してるなら地獄に落ちろだけれど」
 両親共に自分の子供を虐待している場合もある、こうした親はそれこそ虎やライオンからは逃げるに決まっているがだ。 
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