| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

炎の中から

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

 マネリが研修でワシントン州レイシーの消防署に来た時に丁度マーティンウェイのトレーラーハウスで火事が起こった、それでだった。
 そこの署員達と共に現場に急行して火事を収めていると。
 アフリカ系で彼と同じ位の体格と年齢の署員ティム=ハリスが五匹のハムスター達を両手に抱えて現場から出て来た。
「その子達は」
「ああ、中にいたって聞いて」
 ハリスはマネリにハムスター達を見つつ答えた。
「それですぐに中に入ってなんだ」
「救助したんだ」
「消防士の仕事は命を助ける」
「その通りだね」
 マネリはミアとチャーリーのことを思い出しつつ答えた。
「僕も同じ考えだよ」
「二匹は親でオレオとマドンナというそうだよ」
「キイ」
「キイキイ」
 その二匹は元気だった。
「それで三匹は子供達でロミオ、ハムレット、ティターニャだそうだよ」
「チイ」
「チイッ」
「チイチイ」
 三匹も鳴いた、ハリスは彼等も見つつマネリで笑顔で話した。
「後で治療を受けさせるけれど多分ね」
「無事だね」
「うん、よかったよ」
 ハリスは笑顔で話した、そしてだった。
 マネリはフロリダに帰ってからハリスにメールでハムスター達は皆無事に飼い主のところに戻ったと連絡を受けた、マネリはそのメールを見て自然と笑顔になった。
 そしてテレビを観ていてだ、父のハンク彼と同じ髪をした大柄で太った黒い目の彼にこんなことを言われた。
「いい話だな」
「そうだね」 
 マネリはテレビを観つつ応えた、二人で一緒にそのニュースを観て話していた。
「ロシアのトムスクでもだね」
「立派な消防士の人達がいるな」
「そうだね」
「養豚場で火事が起こってもな」
 チェルニャヤ=ルヒカ村という場所でのことだった。
「そこにいた二百匹の子豚達をな」
「二十六人の消防士の人達が救助したんだな」
「七台の消防車も使って」
「火事だけれど子豚達は皆助かった」
「よかったな、やぱりな」
 父は息子の顔を笑顔で観て言った。
「消防士は命を救う」
「そうした仕事だよ」
 消防士の彼もこう言い切った。
「人もそうで」
「生きものもだな」
「身体を張ってな」 
 そのうえでというのだ。
「助ける仕事だよ」
「そうだな、じゃあこれからもな」
「ああ、命を救っていくよ」
「そうしろよ」
「絶対に」
 マネリは父に笑顔で誓った、そうしてチャーリーとミアの頭を撫でた。自分が救ったその命を。


炎の中から   完


                2021・11・24 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧