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友人の結婚相手は父

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第一章

               友人の結婚相手は父
 東山愛生はこの時夫の大二郎、一七〇程の背で小さい黒目がちの目で頬の痩せた少し色黒の顔で黒髪をセットしている痩せた彼に言った。
「お父さん再婚するらしいの」
「そうなんだ」
「ええ、何か職場の同僚の人とね」
 こう夫に話した、黒髪を短くセットしていて大きなややアーモンド形の目で頬の辺りがすっきりしている面長の顔で背は一六九程ですらりとしていて脚が長い。
「そう言ってるわ」
「お義母さん亡くなって三年経って」
「三回忌も終わってすぐで申し訳ないかもとか言ってたけれど」
「別にいいんじゃなかい?不倫でもないと」
「ええ、去年知り合った人とらしいから」
「じゃあ不倫じゃないね」 
 夫は妻のその言葉を聞いて言った。
「それじゃあいいんじゃない?」
「そうね、それで今度その人を私達に紹介してくれるらしいから」
「その人とお会いするね」
「そうなるわ」
 愛生は夫とそうした話をした、そして。
 大学からの友人の御池倫、色白でやや面長ではっきりした日本人離れした整った顔立ちで長い黒髪を奇麗にセットしていて一六〇程の背でグラビアイドルを彷彿とさせるスタイルの彼女に笑顔で言われた。
「私今度結婚するの」
「そうなの」
「会社の同僚の人とね」
「よかったじゃない、入社二年目でなんてね」
「それ言ったら愛生は去年一年目からじゃない」
「そうだけれどね」
 愛生は倫のその言葉に笑って応えた。
「そう言われたら、けれど」
「それでもなのね」
「おめでとう、幸せになってね」
「結婚式には呼ぶからね」
「うちの人と二人で行かせてもらうわ」
 倫に笑顔で返した、彼女にとって父のことも友人のことも嬉しい報告であった。それで二人共幸せになればと思いつつ。
 父にその再婚相手を紹介してもらう為に父が住んでいる実家に夫と共に行った、実家は二人が今暮らしているアパートと同じ大阪府内で行き来は楽だった。
 だがその相手を紹介されてだった。
 愛生は顎が外れるかというまでに驚いた、そしてそれは。
 その再婚相手もだった、二人共驚き過ぎて実際に顎が外れそうな顔になっていた。愛生はその中で相手に問うた。
「何であんたがここに!?」
「それは私の台詞よ」
 倫は愕然としつつ愛生に返した。
「健次郎さんから娘さんおられて今は結婚してお家出てるって聞いたけれど」
「職場の同僚って言ってたけれど」
「同僚は同僚だけれど」
 倫は言った。
「同じ会社ってことで私は入社二年目で」
「お父さん部長だし」
「部署は違うけれどお話することもあって会社全体のプロジェクトの時に一緒にお仕事してね」
「仲良くなったの」
「それで私から結婚しようってね」
「待ってよ、うちのお父さん五十四よ」
 愛生は父の年齢の話もした。
「あんた私と同じ歳だから」
「二十四でね」
「三十歳も離れてるのよ」
「それでも好きになったからよ」
「あんたからプロポーズしたの」
「そうだったのよ」
「ああ、愛生のお友達だったんだ」
 父は倫の横で少し驚いて困惑した顔で言ってきた、一七二位の背の痩せた皺の多い穏やかな顔の初老の男だ。白いものが多い髪の毛を短くしている。職場でも家庭でも温和でこつこつと何でもすることで知られている。
「それはまた奇遇だね」
「奇遇なんてものじゃないわよ」
 愛生は父にも言った。
「これは流石に予想していなかったわ」
「事実は小説よりもだね」
 愛生と一緒にいる大二郎も言った、愛生の実家の今で向かい合いつつ。 
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