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天才というもの

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第一章

                天才というもの
 高津碧流は東京芸術大学に美術それも絵画で合格した、普通の試験も合格したがその絵が特に評価されてのことだ。
「よかったわね」
「志望校それも第一だったからね」
 壁流は自分の家の自室に来て一緒にお祝いしてくれている幼馴染みの林章江に応えた、壁流は茶色の髪を伸ばし後ろで束ね明るい顔立ちで黒い大きな目である。唇は小さく一五〇程の背で胸は結構あり脚も奇麗だ。章江は背は一六〇位で黒髪をロングにしていて切れ長の目で色白だ。胸は碧流よりあり手足も長い。章江は剣道三段で複数の大会で優勝していて部活でも活躍し推薦で教育大学に入学が決まっている。
「正直嬉しいわ」
「そうよね、あんたいつも言われてたしね」
 章江は碧流に言った。
「天才だって」
「絵ではよね」
「そう、だから芸大にもね」
 この大学にもというのだ。
「合格したのよ」
「あそこは東大以上だからね」 
 入るのは難しいとだ、碧流も言った。二人共部屋着でラフな格好でジュースやカルピスで乾杯しお菓子を食べてお祝いをしている。
「冗談抜きで」
「そこに合格したから」
 それでというのだ。
「もうね」
「天才だっていうのね、けれどね」
「けれど?」
「それ言ったらあんたもでしょ」
 碧流はチョコレート菓子を食べつつ章江に言った。
「剣道でよ」
「天才って言われてて?」
「聞いてるわよ、沢山の大会で優勝した」
 それを果たしたというのだ。
「天才剣士だってね」
「そこに美少女が入ったらよかったわね」
「まあそうはいかないから」
 碧流は章江の今のジョークにはこう返した。
「そうそうはね」
「それでなの」
「そう、私だってね」
「天才と言われても」
「美少女はないから」
「天才画家ね」
「そう言われてる位で。それであんたはね」
 カルピスを飲む章江に話した。
「天才剣士って言われてるじゃない」
「私は天才じゃないわよ」
 はっきりとだ、章江は碧流に返した。
「何度も負けてるし優勝してない大会も多いわよ」
「そうなの?」
「大会優勝は二回よ」
「沢山の大会で出て」
「県大会は何度でも全国になるとね」
「二度なの。二度でも凄いけれど」
「私より強い人なんて沢山いるし才能ある人も」 
 そう感じた者もというのだ。
「やっぱりね」
「沢山いるのね」
「その中でも桁外れの娘がいて」
 それでというのだ。
「その娘にはね」
「勝ったことないの」
「もう滅茶苦茶強くて」
「章江ちゃんもなの」
「全くね」
「そんな娘いるの」
「その娘が出た大会ではね」
 それこそというのだ。 
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