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激太りか

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第一章

                激太りか
 荻野安奈はこの夏通っている大学から実家に帰った、大学には寮から通っているが夏休みは寮が閉じられるので実家に帰省した。アルバイトをしているが夏の間はそうした理由で休ませてもらうことになった。
 それで実家に帰るとだ、母の安子が言ってきた。
「安代柔道のランク変えたのよ」
「そうなの?」
 淡い茶色の長いストレートの髪で大きな目の彼女は母に応えた、やや丸顔で背は一六〇程で発育のいい感じのスタイルだ。
「あの娘そうしたの」
「何かそっちでやりたくなったとかで」
「勝負したい相手出来たのかしら」
 三歳下で今は高校二年の妹について思った、妹は柔道部に所属していて二段の腕前で部では女子のエースである。
「それでかしら」
「そう言ってたわ」
「そうなの。それで安代は何処?」
「今部活に行ってるわ」
「そうなの。じゃあ帰ったら挨拶するわね」
「お父さんにもそうしてね」
「わかったわ」
 実家に帰ってすぐにそうしたやり取りをしてだった。
 安奈は懐かしい自分の部屋に入った、大学に入学した去年から長い休みの時はずっと休んでいる部屋である。その部屋に入り。
 暫くゲームをしてくつろいでいたが。
 妹のただいまという声を聞いて迎えに行ったがここで。
 かつてのすらりとしたそして筋肉質な彼女は。
 姉と同じ淡い茶色の髪で癖がありそれを伸ばしていてはっきりとしたやや切れ長の整った目で顎の先が尖った面長の顔でピンクの大きめの唇はそのままだったが。
 一六三程の背は変わっていないが体型が違った、前に会った時より二倍は太っていた。別人の様に丸々としていた。
 その妹を見てだ、安奈は唖然とした顔になって彼女に問うた。
「あんた、体重換えたっていうけれど」
「うん、二十キロ上のランクにね」
 妹は姉に笑顔で答えた。
「そうしたの」
「二十キロって」
「勝負したい人がいて」
 このことは母が言う通りだった。
「それに顧問の先生もそのランクなら今よりも優勝しやすいって言ってくれて」
「それでなの」
「これまでの倍以上食べてね」
 そうしてというのだ。
「太ったけれど」
「太り過ぎでしょ」
 自分が言うところ二十キロ増えた妹に言った。
「それはまた」
「ううん、やっぱりそう思う?」
「それだけ太って動き鈍らない?」
「実はね。急に太れ太れでうんと食べてね」
 そうしてというのだ。 
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