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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結

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9-⑽

 僕は、建築のことで、打ち合わせする為に、美鈴と会うことになっていた。電話では、今ある倉庫をそのまま利用した方が、建築費もやすく抑えられると聞いていたのだ。それに、今夜は一緒に泊ろうと言うので、大阪で待ち合わせをした。

「お仕事 お疲れ様」

「なんの 疲れてもいないよ 美鈴から聞いて、いろいろ間取り考えて来たヨ」

「うん 私も、図面書いてきた 蒼から聞かせてね」

「そうだな 何、食べる? 海鮮居酒屋でいいかい?」

「そうね 普段 お肉が多いからね」

 僕達は、適当に見つけてお店に入って行った。

「蒼のん 聞かせて」

「うん 倉庫のほうだけどね 1階は、大きなリビングフロァ、片隅は事務所スペースと風呂、トイレ、それとお父さんの部屋に従業員の更衣室 2階にダイニングキッチンと僕達の部屋、トイレ、それと幾つかの部屋 1階と今のお店を繋げて、その間には、客席を・・長くなるけど個室風に区切りをつけるんだ。そして、その裏側には、お弁当を準備する部屋を新設する感じかな そうすると、厨房ももう少し大きくできる」

「うーん 2階がキッチンだと、お父さんも2階まで来なきゃあなんないのか― 今は、いいけど、そのうち辛くなるからね それに、もしも、なんかあった時、私達近い方が良いと思うの だから、私達 1階 ごめんね」

「そうかー 僕は、いいけど・・ 夜の声、聞こえちゃうよ」

「夜? やだー 蒼 私は そんなー・・ じぁさー 私達の仕事場とかクローゼットなんかで囲もうよ そしたら、声ももれないわ やだ わたし、なに言ってるのかしら」

「いいじゃないか 当たり前のことだよ 夫婦間のプライベートだよ」

「そーだね それとね、お風呂 夏なんかのことも、考えて、従業員も使えるように、少し大きめにね、ゆったりと 私はね お店と倉庫繋げる建物 待合室にどうかなって、裏側は厨房にして、場合によっては、待合室から見えるようにしても良いかな お肉焼くところも見えるようにして そうすると、厨房のあるところに客席が増やせるわ 玄関とレヂを新しい建物との間に持ってきて、待っていただく人は左に客席は右にご案内できるからね」

「うーん そーすると、1階は少し、手狭になって、2階はスペース広すぎる感じかな」

「余分なスペースあったら、風通し良くして、物干し場にしたいわ 夏の夕涼みのスペースにしても良いじゃない 従業員の更衣室2階でもいいわよ 休憩室も作って」

「わかった 基本的に、美鈴の言う通りにしよう 2階は何室にする?」

「将来の子供の部屋でしょ それと、私が蒼と喧嘩したときに籠る部屋でしょ あと予備の3部屋かな」

「美鈴 今 さらっと言ったけど 籠る部屋ってなんだよー」

「うふっ 聞こえた 子供、2人になるかも知れないでしょ 気にしないで」

「バカ 喧嘩なんかしないで、ずーと仲良くやるんだよ」

「だよね ずーと ね」

 店を出て、僕は、どっちと美鈴に聞いたら

「うーん あっちの方かな 歩いて行こー」と、歩き出した。

「美鈴 もしかして 予約してないんかー?」

「うん なんとでもなるって思っていたから・・」

「そーかよ 泊ろうて言うから、予約してるんかと・・」

「いいじゃん ラブホ 行ってみたいし‥ あっちのほうにあるかなー 満室だったら、野宿だね

「あのさー あきれたよ」

 そこから、天満のほうに、しばらく歩いて、電飾の輝いている建物を見つけて入って行った。

「良かったね 空いていて ベッド大きいんだね ライトもきれい テレビも大きい わぁー お風呂の中ここから見えるんだよー」

「美鈴 はしゃぎすぎ お風呂 入ろうよ」と、僕は、思い切って言ったつもりだった。

「えー 一緒に・・ やだ 蒼 先に入って・・」と、途端に、下を向いていた。

 だけど、僕が身体を洗っていると、美鈴がタオルで隠しながら、入ってきた。一言も話さないまま、美鈴は、身体を流して、そのまま湯舟に浸かっていた。僕も、洗い流して、湯舟に入って、横から美鈴を抱いて、口を寄せていった。

 僕が、美鈴の胸に手を添わしていくと、喘ぐように

「あーぁ ここじゃぁ のぼせちゃうよ まって 私 髪の毛も洗うから、先にあがってて」と、

 僕が、バスローブで缶コーヒーを飲んでいると、美鈴は長いことかかって上がってきた。

「ごめんね 髪の毛乾かすから・・ 大きいお風呂ね あんなのいいなぁー 蒼に抱かれても、ゆったりだもんね」と、他人事のように・・

 ドライヤーの音が止んで、少しして、「ごめんね」と美鈴が言って、バスローブを脱いだかと思うと、色柄のキャミスリップ姿で、いきなり抱きついてきた。美鈴の髪の毛の香りに僕もたまらなかったのだ。

 美鈴は、「ようやく蒼のものになった気がする」と言って居たのだ。「すごく幸せ感じる」とも。僕も、満たされていたのかも。

 翌日は、美鈴も店に出ると言うので、朝早く別れて、僕も会社に向かった。まだ、美鈴の匂いがする気がしていた。



 

 

 
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