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星河の覇皇

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第七十九部第三章 不測の事態その十

「そして今にもです」
「開戦がはじまろうとしているな」
「三度目の会戦が」
「それでだ」
 キロモトは八条にどうかという顔で述べた。
「まさかな」
「戦場での指揮を離れて」
「それでサマルカンド星系に逃れるか」
「それはです」
 まさにとだ、八条も答えた。
「普通は考えられません、ですが」
「それでもか」
「シャイターン主席は優れた戦術家であり戦略家ですが」
 軍人であるというのだ。
「しかし」
「それでもか」
「はい、あの御仁はそれ以上に政治家です」
「政治家ならばか」
「それも善政を行うまでの」
 オムダーマンもそうだがティムールも善政が行われていることで知られている、それぞれの君と国民の状況を正確に踏まえて正常に発展出来る政治をだ。
「それならばです」
「こうした時はか」
「はい」
 まさにというのだ。
「戻ります、いえ」
「戻らずにか」
「いられません」
「政治家の本能か」
「善政を行うのは責任ある人物です」
「責任がなければ」
「どうでもいい様な政治を行うか」
 若しくはというのだ。
「悪政を行うか」
「そうなるな」
「はい、ですから」
「シャイターン主席はか」
「国家元首としての責務を自覚していて」
「即座にか」
「首都に戻り」
 そうしてというのだ。
「現地で秘かにでもです」
「陣頭指揮を行っているか」
「あの方が入られますと」
 災害が起こった直後のサマルカンド星系第一惑星にだ。
「それだけで、です」
「救助や復興が違うか」
「そしてそれが落ち着くまではです」
「首都からは離れないか」
「むしろ絶対にです」
 政治家、何よりも国家元首としてだ。
「離れずにです」
「治めていくか」
「そうされるでしょう、ただ」
 ここでこうも言った八条だった。
「今ティムールでアッディーン大統領に対することが出来るのは」
「シャイターン主席だけだな」
「戦場において。ですから」
「このことはか」
「ティムールにとって非常にです」
 まさにというのだ。
「危ういことです」
「そのシャイターン主席が戦場にいないならか」
「はい、アッディーン主席は勝ち」
 この度の会戦にというのだ。 
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