星河の覇皇
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第七十九部第三章 不測の事態その五
「ここはね」
「我々は、ですか」
「思う存分動いて。軍もね」
「彼等もですね」
「再び要請を出すから」
先程の隕石の時にした様にというのだ。
「いいわね」
「わかりました、それでは」
「ここはね」
是非にと言ってだ、そしてだった。
ワムトはすぐに指示を出してそうしてだった、軍に要請を出して彼女の出来る限りの対策を出してだった。
今は戦場に向かおうとしているシャイターンにも知らせた、すぐに彼の部屋にある立体モニター電話で連絡を入れた。
するとだ、シャイターンはすぐにこう言った。
「すぐに戻ろう」
「閣下がですか」
「そうだ、サマルカンド星系に戻ってだ」
そのうえでというのだ。
「復興の陣頭指揮を執ろう」
「ですが」
ワムトはティムールの今の状況からシャイターンに怪訝な顔で述べた。
「閣下は今から」
「戦争のか」
「指揮を執られますが」
「国家元首がこうした時行かずして誰が行く」
シャイターンはワムトに微動だにしない言葉を返した。
「違うか」
「それは」
「被害が大きい」
惑星規模のそれに至っているからだというのだ。
「だからだ」
「これよりですか」
「私はサマルカンドに電送機で戻りだ」
人を瞬時に他の場所に送る装置だ、それを使ってというのだ。
「そうしてだ」
「救助や復興のですか」
「指揮にあたる」
陣頭でのそれにというのだ。
「ではいいな」
「あの、閣下がおられない間は」
「采配はか」
「どうされますか」
「弟達に任せる」
彼等にというのだ。
「そうするからな」
「だからですか」
「問題ない、ではだ」
「今すぐにですね」
「戻る」
サマルカンドにというのだ。
「極秘であってもな」
「即座にですね」
「戻る、そして戻ってもだ」
そのサマルカンドにというのだ。
「出迎えは無用だ」
「そうですか」
「そうした手間暇があるならだ」
「それよりもですね」
「救助と復興を急ぐことだ」
その両方をというのだ。
「むしろ私が戻ったとだ」
「知られるとですね」
「今戦争中だ」
そしてシャイターン自らが采配を執って戦っているからだというのだ。
「だからだ」
「閣下が戦場に不在であることはですね」
「知られてはならない」
このことも考えてのことだった。
「だからだ」
「ここは、ですね」
「私がサマルカンドに戻ったことはな」
「機密ですね」
「それも最重要な、な」
そこまでのものたというのだ。
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