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おっちょこちょいのかよちゃん

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175 金を狙う侵略者

 
前書き
《前回》
 本部守備を担当していた羽井玲衣子という少女を救出したさり達は彼女の仲間を探しに向かう。そしてかよ子達の元には東アジア反日武装戦線の組織「さそり」が襲来する。玄奘によって強化されたかよ子の羽根の結界が彼らの毒の攻撃で消されてしまい、かよ子はその焦燥で羽根から落下してしまう!! 

 
 羽根から落下したかよ子の元に東アジア反日武装戦線の宇賀神が飛行して接近して来る。
「さあ、選べ、杖を渡すか、ここで溺れ死ぬか」
「う・・・!」
 その時、急に水が干上がった。
「な、何だ!?」
 かよ子がその場から姿を消した。
「かよちゃん、大丈夫!?」
 まる子が心配した。
「う、うん・・・。何があったの?」
「私がこの玉で水を干上がらせたのだよ」
 椎名が説明した。
「かよちゃんの方は私のキャロラインが瞬間移動させたのよ」
「のり子ちゃん、キャロライン、ありがとう・・・!」
「おい、呑気にしてる場合じゃねえ!こっちにも攻撃が来るぞ!」
「うん!」
 かよ子達は抗戦を開始した。

 清水市内のとある小学校。笹山はこの日はあまり授業に集中できない状態だった。
(昨日の事、夢じゃない・・・)
 笹山はとある道具の事を思い出した。ボールペンのような道具で異世界から来たというフローレンスから貰った道具だった。しかし、異世界に行くという事はとても危険であるという事でもある。山田かよ子達に藤木の事を任せたままでいいのか。それとも命の危険を承知してまででも自分も行くか、迷っていた。
「笹山さん、ボーっとしてるね。どうしたの?」
 とし子が心配になって聞いてきた。今、給食の時間であり、笹山は食事が進んでいないのだった。
「え?あ・・・、ごめん、今日は疲れてて・・・」
 笹山は慌てて給食のおかずに手を付ける。その時、食い意地を張った男子・小杉が配膳台の前で嬉しそうに叫ぶ。
「ぐへへへ。今日は欠席してるやつが多いからプリンも余り放題だぜ!!こんなに食えるかな??」
「おい、ずるいぞ小杉、俺達も欲しいぞ!」
 男子達はプリンの取り合いの言い争いをする。
「男子達は呑気だね。でももしまるちゃんがここにいたらプリンの取り合いに参加してるかも・・・」
「そうね・・・」
(プリンか・・・)
 笹山はあの紫色の唇で卑怯な男子の事が頭から離れない。
(そういえば藤木君ももしかしたらプリン欲しさに参加してたかも・・・?)
 
 三人の小学生、男子2人と女子1人は逃げおおせたものの、一人の友達とはぐれてしまった。
「羽井が助かったならいいが、こっちに来れるか!?」
「分からないわ」
 その時、地面が砕けた。
「間に合わなかったか!」
「貴様ら、逃げても無駄だ。ここで死んでもらおうか」
 襲撃して来た敵の軍勢に追いつかれた。
「皆の衆、この愚かなガキどもを殺せ!」
「させるか!」
 一人の男が庇った。この小学生達と同行していた者である。
「また貴様か。いい加減降参したらどうだ!?」
 侵略者が威圧しようとする。しかし、持っていた機械が作動しなくなった。
「お・・・?」
 そして男の軍勢がへばりついた。
「これは・・・?どういう事だ?」
 その時、飛行機が一台飛来してきた。飛行機から人々が降りて来る。
「貴様だな?侵略者というのは?」
「お前は?」
「我が名は清正。貴様の機械はこの時の槍で作動せぬままだ。そして貴様らがへばりついているのはこの空間の槍がそうさせている」
 そして別の女の子が一人、降りて来た。
「皆、大丈夫たい?」
「羽井!無事やったんか!」
「うん」
 そして別の女性が降りて来た。護符の持ち主・羽柴さりだった。
「侵略者ね」
 さりは護符を出し、鉾を出した。
「でーい!」
 さりは鉾を振り回し、侵略者の軍勢を薙ぎ払った。
「貴様、それは護符だな。金よりも価値ある物を持って来てくれたもんだ」
「うるさい。あんたは結局誰なのよ?」
「俺が誰かって?アメリカ大陸を発見した英雄、エルデナンド様に決まってるだろうが」
「その英雄が戦争を正義としてるわけ?」
「私にお任せを!」
 小学生3名と同行していたこの世界の人間が落雷を起こす。その地が爆発する。
「うおおお!」
 幾人もの兵が消された。
「今だ、時の槍で機械の動きは封じておる!とどめを刺すなら今だ!」
「了解!」
 さりは護符で出した鉾で攻撃する。
「これでやられると思うな!」
 エルデナンドが持っていた剣で鉾に迎撃する。
「貴様、金にされるか、奴隷にされるか、それともここで死ぬか選べ!」
「はあ?」
 その時、さりの鉾が砕かれた。
「これで貴様も終わりだ!」
 エルデナンドは清正の日本の槍も剣を振っただけで折ってしまった。
「なぬ!?」
「立てる、立てるぞ!それにいいものを見た!護符を寄こせ!」
 その時、ボールが飛んできて、エルデナンドの顔に命中した。
「うごっ!?」
 尾藤のボールだった。
「テメエは・・・!!」
「あ?」
「今度は逃げんばい!」
 玲衣子がある物を取り出した。1本のペンのようなものだった。玲衣子はペンを一振りする。黒い三日月形の光が現れエルデナンドの軍を襲う。
「ふん、同じ手を・・・!!」
 エルデナンドは機械を使って武装の能力(ちから)を発動させて防ごうとする。しかし、作動しなかった。
「え?」
 エルデナンドは慌てて剣で三日月の光を薙ぎ払った。
「なぜ作動しない!?」
「貴方の機械とやらは私の先ほどの落雷で使えなくした」
道真(みちざね)さん、ありがとう!」
 そしてさりが護符の能力(ちから)を発動させる。共に降りて来たさきこの宝石も光る。そしてもと子の玉が黒に光った。
「まとめて金にしてくれる!」
 エルデナンドは自身の術でさり達を金塊にしようとした。だが、長山の神通力の眼鏡とさきこの持っているエメラルドの宝石がその攻撃を防いだ。さりの護符からは鏡が現れる。
「終わりにしてくれるわよ!」
 さりは鏡でエルデナンドの術を反射させた。
(くう・・・!!)
 エルデナンドは窮地に立った。自身が金塊となる。そして気付かぬうちにもと子の玉の攻撃が来る。そして尾藤ももう一度ボールを蹴る。金塊となったエルデナンドは砕け散った。
「やったの?」
「でも、光になっとらんたい。どこか怪しい」
 皆は周囲を見回した。エルデナンドどころか彼についていた兵達も姿を消している。
「エルデナンド!?どこたい?」
 その時、声が聞こえた。
《くくく、今回はしくじったが、今度はそうはいくまい。楽しみに待っていろ・・・》
「逃がした!?」
 さりは倒しきれなかった事を悔しがった。
「仕方あるまい。奴等が戻ってくるまでこちらも体勢を立て直しましょう」
 道真が告げる。
「そうね」
「あ、あの・・・」
 玲衣子がさり達に話しかける。
「助けてくれて、ありがとう・・・」
「いいわよ。また奴らが来たら助けに行くわね」
「うん!」
 さり達は玲衣子達と別れた。 
 

 
後書き
次回は・・・
「夢の中に現れた謎の声」
 東アジア反日武装戦線の組織「さそり」と交戦するかよ子達藤木救出班は反撃に出る。皆が総力戦とする中、彼らを追い払う事はできるのか。しかしその後、かよ子達の元に謎の声が聞こえてくる。その声が放った言葉とは・・・!? 
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