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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第百四話

 ゴジ達は今、マリンフォードを出てすぐ側にあるシャボンディ諸島の35番区画を散策している。


「さぁ、採れたての魚だ。安いよ!安いよ!」

「クリミナルブランドの今年の新作入荷してるよ!」

「名物のやる気まんまんじゅうはいらんか〜?お土産にどうだい?」


 シャボンディ諸島とは正確には“島”ではなく、実際はヤルキマン・マングローブと呼ばれる巨大な樹木の集合体で、そのため偉大なる航路(グランドライン)の島特有の磁場が発生しない。

 各々の樹木に番号が付けられており、それが島の区画として使われている。明確に決められているわけではないが、1~29番は無法地帯、30~39番は繁華街、40~49番は観光関係、50~59番は造船所、60~69番は海軍駐屯地、70~79番はホテル街が多い傾向にあり、ゴジがいる35番区画は屋台や商業施設の多い場所で活気に溢れている。
 

「ボニー、その肉を俺にも食わせてくれよ!」


 そんな人通りの多い商店街のメインストリートを練り歩くボニーは新兵服ではなくノースリーブなシャツにデニムのショートパンツにブーツという私服姿であるが1人ではない。

 彼女の肩には黒髪短髪にブカブカの大人サイズの紫色のススキ柄の薄灰色の着流しを着た5歳くらいの男の子を乗せて、肩車しながら両手に肉串を持って繁華街を歩いていた。


「おいっ!?てめぇ勝手にあたしの肉を食うなよ!」


 ボニーに肩車される男の子はボニーの隙を見て彼女が持つ肉串の一つにかぶりついていた。


「もぐもぐ.......ボニー。次あれを買おうぜ!」

「おぉ♪あれも美味そうだな!」
 

 男の子が指さした肉の塊の中心に骨が付きさっている通称マンガ肉が売っている屋台を見たボニーは手に持った肉串を一気に食べきってから、その屋台にダッシュした。
 

「ちょっと.......ボニー、待ちなさい!!」


 いつもは頭に乗せているサングラスを掛けて、帽子を目深に被って変装したコアラがボニーを制止するが、声は届かずに両手に肉を抱えたボニーが満面の笑みで戻ってきた。


「いてっ!?」


 ボニーに肩車されている男の子がまたボニーの手から肉をかっさらおうとしてボニーに気付かれて手をはたかれた。


「へへっ.......同じ手を食らうかよ!これはあたしのだから絶対にやらねぇぞ!!」


 男の子は諦めずに手を伸ばすが、ボニーの肉を奪えずに悔しそうにする。


「くそぉ!!この姿じゃ手が短くてとどかねぇ。」

「全く小さくなっても相変わらずね。」


 サングラスと目立つ赤髪を帽子の中に入れて隠して変装するイスカが悔しがる男の子に見て呆れている。


「仕方ねぇな.......」


 そう。この男の子はボニーのトシトシの実の能力で5歳になったゴジであり、人通りの多いシャボンディ諸島の繁華街に来ても誰も小さな男の子がゴジだと気づく者は皆無であった。

 ボニーはゴジをからかいながらも、五歳児となったゴジの物欲しそうにするその姿に仕方なく手に持った肉を渡そうとした時、割り込むようにナミがゴジの前に肉を差し出す。


「ゴジく〜ん、あたしのとこに来ればこのお肉をあげるわよ♪」


 ナミは肉をチラつかせてゴジを誘う。


「ナミちゃんは天使か!?」

「はい。どうぞ♪」


 ゴジはボニーの肩を蹴って、そのままナミの肩に着地すると肉をもらってかぶりついていた。


「あっ.......ちょっと待てよ!!ちっ.......がつがつ.....!?」


 ボニーは悔しそうにゴジに渡そうと思っていた肉を睨み付けてそのままかぶりついた。


「もぐもぐ.......もぐもぐ.......。」

「あ〜普段のゴジ君もいいけど、子供のゴジ君可愛いすぎるわぁ♪」


 ナミはゴジに肉を食べさせながら、肩にいるゴジを抱っこに持ち替えると、ゴジは後頭部に感じる彼女の胸の感触に御満悦である。


「おっ!?これは.......肩車よりも抱っこの方がいいな♪」


 五歳児となったゴジは精神年齢もその歳に戻るので胸の感触に興奮すれど、ギオンの幸せパンチで倒れた時ほどの普段ほどの性的な興奮はなく、ただ感触を楽しんでいた。


「おい!ゴジ、てめぇ早くこっちに戻って来やがれ!!なんかあったら困るのはおめぇだぞ!」


 ボニーが能力を発動又は解除するには対象に触れる必要があるので、有事に備えてすぐにゴジを元に戻せるように子供になったゴジを肩車していたのだが、ナミに盗られたゴジに戻ってくるように急かす。
 

「ボニーも肩車じゃなくて抱っこしてくれるのか?」

「なんであたしがゴジを抱っこしなけりゃいけねぇんだよ。手が塞がるから肉が食べづらいだろうが!?くっ.......その顔は卑怯だぞ!?」


 ゴジは期待に満ちた目でボニーを見ていると、ボニーは顔を真っ赤に変えて尻すぼみになっていくのを見てナミが得意気になる。


「なら、あたしがゴジ君を抱えてボニーの傍に居れば解決するわよね。」

「ん?確かにそうだな.....。」


 ナミの言葉にゴジが同意した事でハッとなったボニーはゴジを抱えたまま自分の傍に寄ってきたナミからゴジをひったくる。


「わかったよ!抱っこすりゃいいんだろう!!」

「ちょっと!?ボニー、ゴジ君を返してよ!!」

「ふん!」


 ゴジを巡って睨み合うナミとボニーを見たイスカとコアラは呆れる。


「子供になってもゴジ君がモテるのは相変わらずなのね?」

「でも、イスカさん、正直な話、子供のゴジ君は一度抱っこしてみたいわね。」

「た.......確かに.......。」


 しかし、イスカとコアラも女性。母性本能刺激する子供の愛くるしさには敵わず、自分達もゴジを抱っこしようと三人に声掛けながら近付いていく。


「ちょっとボニー、少し私にも抱っこさせなさい。」

「私も.......」


 コアラとイスカが両手を拡げて寄ってきたのを見てボニーはゴジを取られまいとキツく抱き締める。


「イスカにコアラまでなんだよ!なんかあった時に備えてゴジはあたしといなきゃいけねぇんだ!」

「少しくらい.......」


 シャボンディ諸島はマリンフォードから目と鼻の先にある島であるので、この街での散策は言わば必要物資の購入を兼ねたボニーの能力を使った実証実験は成功で終わろうとしていた。

 ゴジ達が散策を続けるシャボンディ諸島の商店が並ぶ35番区画のメインストリートに一人の若者が息を切らせて走ってくる。


「天竜人が来たぞぉ!」

「「「何ぃ!?」」」


 その一言でシャボンディ諸島の街が騒然となって、市民達は皆メインストリートを開けてその道路脇に並んでメインストリートの方を向いて跪いていく。

 天竜人とは天翔ける竜の家紋に由来する世界貴族の別名のことであり、800年前に世界政府を創設した20人の王の内、聖地マリージョアに移り住んだ19人の王たちの末裔の一族を示す。

 彼等は世界政府創立以来、世界の頂点に立ち続けており、彼等が下界に降りて来た時は道を開けて跪かなければならないのだ。

 ちなみに聖地マリージョアへの移住を拒否した王の末裔はアラバスタ王国のネフェルタリ家であり、この一族は天竜人、世界貴族とは見なされない。


「面倒だから俺達は避難するぞ。俺は世界貴族(クズ共)に頭を下げる気はない。」


 ゴジは元々暴虐の限りを尽くし、平穏を乱す世界貴族が嫌いであったが、3年前にある世界貴族と出会ってから、良識のある五老星以外の世界貴族は全て敵とみなしている。

 しかし、海兵であるゴジは世界貴族に手を挙げることは許されないので見つからないように隠れてやり過ごすつもりであった。


「「「はい!」」」

「ナミちゃんは私と行くわよ。」

「えっ.......!?海兵なのに逃げるの?」


 ボニーはゴジを抱えたまま屋根の上に飛び上がると、コアラと困惑するナミを抱えたイスカも建物の屋根の上に避難する。


「最近は世界貴族がマリージョアから出てくる事は無くなって平和になったのに何処の馬鹿が降りてきたんだ?」


 世界貴族はとある理由により、ゴジが世界貴族と出会った3年前から下界に降りてくる事はなくなったのだ。


「えっ.......あ.......あの男は.......」


 ゴジはそんな中で下界に降りてきた世界貴族を訝しんでいると35番区画の入口に現れた世界貴族の姿を見たコアラが自分の身体をキツく抱き締めて震え始めた。
 

「チッ…!よりにもよって一番のクズが来やがった。コアラ大丈夫か?」


 現れた世界貴族はシャボンのマスクと白い宇宙服のような特殊スーツを着ていているが、シャボンのマスクでも隠せない10人が10人生理的に受け付けないであろう醜い容姿をした若い男である。

 彼等世界貴族は下界の空気を穢れた空気と呼び、これを吸わないようにシャボンのマスクと宇宙服のような服で完全に防備しているのだ。

 さらにその世界貴族は4人程の見目麗しい踊り子のような服を着ている若い女性を後方に従えており、彼女らの首に付けられた首輪の紐を手に持っていた。

 彼女達一人一人がゴジの目が飛び出るような美女揃いである。


「うん。でもやっぱり少し怖いかな.......あははっ」


 ボニー達は見つからないように屋根の上に屈んでおり、ボニーの膝の上にいたゴジはコアラの膝の上に移動して震える彼女の手を握る。


「コアラ、あの時と同じで俺がいる。何処へもお前を連れて行かせはしない。」

「ゴジ君、ありがとう。」


 コアラはゴジの手を握りながら膝の上にいるゴジを後ろからギュッと抱き締めると、子供特有の暖かな体温は血の気が引いて震えるコアラの体を暖めて震えを止めるのに役に立つ。


「コアラさん!?」

「コアラ、大丈夫なの?」

「ゴジとコアラはあの肉団子みたいな奴を知ってんのか?」


 世界貴族に怯えるコアラの様子を心配するナミとイスカ。ボニーは実力も確かなコアラをここまで怯えさせる世界貴族の正体が気になっていた。


「あぁ。俺とコアラは3年前に会ったことがあるんだ。あいつはロズワード・チャルロス聖。俺が知る世界貴族(グズ)の中でもトップクラスのクズだよ。どんな奴かは説明するより実際に見た方が早い。」


 ゴジは殺意を押し殺して件の世界貴族チャルロス聖を睨みつけた。 
 

 
後書き
次回更新は明日12時です。

次話はクズに対するゴジ君の対応のお話です。 
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