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ハッピークローバー

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第二話 身の用心その六

「本当にね」
「それはそうね」
「けれどね」
「けれど?」
「工業科の校長先生はね」
「怖いだけの人じゃないのね」
「実際悪く言う人いないでしょ」
 かな恵は留奈に話した。
「別に」
「そう言えば聞かないわね」
 富美子が応えた。
「怖いとは聞いても」
「そうでしょ」
「学校の先生って酷いのは本当に酷いし」
「もう人間失格っていう位の人がね」
「いるからね、うちの学校は精々授業下手な位だけれど」
 その程度だがというのだ。
「けれどね」
「ヤクザ屋さんみたいな先生もね」
「実際にいるからね」
「もうそんな先生だとね」
 理虹も言ってきた。
「普通に嫌われるわね」
「ヤクザ屋さん好きとかかなり変わってるわよ」 
 かな恵は今度はあっけらかんとして述べた、表情もそうなっているが言っている言葉には芯があった。
「映画とか漫画を鵜呑みにする様な」
「ヤクザ屋さんを美化した」
「そう、ヤクザ屋さんは犯罪者だから」
「犯罪で生きているからね」
「そんな人達を好きなんてね」
 それこそというのだ。
「もうね」
「相当な変わり者ね」
「そう思うわ」
 実際にというのだ。
「それでね」
「そうした人は」
「普通に嫌われるから」
 ヤクザ者の様な教師はというのだ。
「悪く言われるだけよ」
「そうなるものね」
「うん、だから工業科の校長先生はね」
 彼はというと。
「確かに扇風機殴って壊すけれど」
「そんな怖い人だけれど」
「生徒には暴力を振るわなくてね」
「公平で面倒見もよくて」
「生徒のことをいつも親身に考えている」
 そうしたというのだ。
「そんなね」
「いい先生よね」
 一華も言った。
「それだと。ただね」
「その校長先生に影響を受けていたら」
「そうした子だったらね」
 どうしてもというのだ。
「問題ね」
「そうよね」
「まあね」 
 どうするかとだ、一華は言った。
「そうした子が来たら」
「スルー?」
「そうしたらいいの」
「暴力を振るう子はね」
 それこそというのだ。
「問題外でしょ」
「ものを殴るだけでなく」
「人を殴るなら」
「もっともものを殴るだけでも問題だけれどね」
「ものは大事にしないとね」
 かな恵はそれはと応えた。 
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