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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第百一話

 
前書き
申し訳ないですが、明日は更新無しとなります。

作品情報に載せている通り二日に一回更新します。

次回更新は11月9日12時です。 

 
 海軍本部の女風呂で湯船に浸かるつるは体を休めながら自分の後ろにいるであろう男の存在に気付き、声をかけた。


「ゴジ、あんたそこにいるね?」

「あははっ!バレたか?約束通り背中を流しに来てやったぜ。婆さん。」


 ゴジはつるのすぐ背後の何も無い湯気の中に突如現れた。彼のもう一つの約束とはアラバスタ王国でのロビンへの恩赦を頼んだ時につるの背中を流すという約束である。


「「「ゴジ君!?」」」

「皆久しぶりだね!皆変わらず綺麗でここはやっぱり天国だな!」

「「「っ.......…/////」」」


 ゴジに気付いた女海兵達は驚いて体を慌てて隠す者、湯船に浸かり始める者の他にも逆に自慢の体をゴジに見せびらかす者もちらほらいたりするが、ゴジが女風呂に姿を現すのは半年ぶりで驚きこそすれ、悲鳴をあげたりすること無くただ顔を赤らめている。

 ゴジは魅力的な彼女達の裸体に鼻の下を伸ばしそうになるのを我慢しているとつるに話しかけられた。


「ゴジ、あんた…ジェルマのステルスブラックの透明化能力をまさか…女風呂に侵入する為に使うとはね。」


 ゴジはステルスブラックの力を戦いで使うことは邪道だと思っているので使わないが、敵のアジトに潜入したり、逃げたりするにはこの上なく便利な能力なので頻繁に使う。

 鼻の下を伸ばしそうになったゴジだが、老体のつるを見ると不思議とやましい気持ちが無くなるので瞬時に真顔に戻る。


「わっはっはっは!婆さん、皆には内緒にしてくれよ。一応潜入捜査でも活躍してるんだ。ちゃんと背中流してやるから早くこっちに座ってくれ!」


 つるは助平顔から一転したゴジに不満を漏らしながら湯船から上がると、ゴジの待つ洗い場の椅子に腰掛けた。


「あんたきっと凄く失礼なこと考えてるね?あたしだって20年前は中々のもんだったんだよ。」


 つるは全てのジェルマ66(ダブルシックス)の能力を使う事が出来るパーフェクトゴールドの能力を考えて、ゴジがステルスブラックの透明化能力を扱える事に早い段階で気付いていた。

 
「はいはい。そうだな婆さんの40年前に会いたかったよっと.......それにしても今回も色々と苦労を掛けたな。」


 ゴジはつるの背中を洗いながら、さらりとつるの言う20年を40年に言い換えるあたりがゴジたる所以である。


「口だけは殊勝なことだね。まぁ、いいよ。これからも好きにおやり。」


 ゴジはさらにスポンジを泡立てながらつるの小さな背中を丁寧に洗っていく。


「変わりなかったか?」

「“黄金帝”ギルド・テゾーロが空いた王下七武海の地位を狙って圧力をかけてるくらいかね。」
 

 “黄金帝”ギルド・テゾーロとは超人(パラミシア)系 悪魔の実 ゴルゴルの実の能力者で、能力によって生み出される黄金で莫大な財を持ち、街一つ載せた世界最大のギルド船グランテゾーロを所有し、政府も裏で操るという男だ。

 
「“黄金帝”ほど上手く立ち回る男が王下七武海が廃止される事くらい予測出来ると思うんだが.......」

「だろうね。ただあんたがクロコダイルとモリアを拿捕したのにミホークは拿捕しなかったから、一部の王下七武海にはもしかしたら何らかの特権が与えられると踏んでその地位を金で買おうとしているのさ。今は返答を先延ばしにして時間を稼いでる所だよ。」
 

 海軍は莫大な財を使って政府を裏で操るとされる“黄金帝”を危険視するが、そんな事は世界政府も百の承知だった。

 それ以上に狡猾なギルド・テゾーロは世界貴族に納める来年度の天上金の倍額を世界政府に提案して王下七武海の地位を買おうとしている。
 

「欲深い奴だな。婆さん、どれくらい“黄金帝”への返答を引き伸ばせる?」
 
「幸い今年分の天上金の納付は終わってるから一年はどうにか伸ばせるだろうね。」

「期限は一年か.......分かった。王下七武海はあと三人それまでに終わらせるとしよう。まずは誰から会うべきだと思う?」


 ゴジは残る王下七武海との視察の期限を一年と定めて誰と最初に会うべきか、つるに意見を求めた。


「その事で“海侠”のジンベエからすぐにでもゴジとイスカの二人と会って話をしたいと面会の申し込みが来ているよ。」

「イスカさんと俺。なるほど.......アーロンの件か?」


 ゴジはかつて東の海(イーストブルー)のコノミ諸島を支配していた魚人海賊団率いるアーロンを拿捕すべく姉レイジュに依頼したが、アーロンと戦って拿捕したのはレイジュではなくたまたま東の海(イーストブルー)にいたイスカだと書かれていた報告を聞いた時は驚いたものだ。

 かつて海底大監獄(インペルダウン)に囚われていたアーロンの解放はジンベエが王下七武海に入る条件として提示したものであり、そのアーロン拿捕について意見があるだろう事は容易に予想がついた。


「アーロンの情報を得たあんたとアーロンを討ったイスカをご指名だからね。世界会議(レヴェリー)期間中だから王下七武海とてマリンフォードに近付けれない。ジンベエは今魚人島にいるから会ってくるかい?」


 マリンフォードから数時間で到着出来るシャボンディ諸島の海底にある魚人島はマリンフォードからであれば一日あれば到着する程近い。


「そういえばイスカさんはこっちに帰ってるのか?確か“火拳”のエースを追って別行動のはずだろう?」


 ゴジはスリラーバークでイスカの所属する第一部隊と共にいたので、イスカが居ないことを知っていた。

 ジンベエは自分だけでなく、イスカとの面会も要望しているので二人揃ってからの方が手間が省けると思ったのだ。

 
「イスカなら見習い一人を連れてあんたが帰る少し前に帰ってきたよ。」


 つるはゴジに背中を洗われながら、先日帰ってきたイスカの報告を思い出していた。


 ◇


 意気消沈したイスカは一人の見習い海兵を連れて帰還してつるの部屋に訪れていた。


「おつるさん、第一部隊所属イスカただいま帰還しました。わがままを言って部隊を飛び出したのに“火拳”のエースは取り逃すどころか彼に救われました。この娘はナミ、ジェガートへの入隊希望者で見習いとして私の任務に同行してもらいましたが、航海士としての才能は群を抜いています。」

「この人が海軍の頭脳、“大参謀”つる中将!あたしはナミです。よろしくお願いします。」


 淡々と任務の失敗を報告するイスカに対し、ナミは伝説とも呼べる“大参謀”つるを前にガチガチに緊張していた。


「ナミはよく来たね。あたしのことはおつるさんでもばあちゃんでも好きにお呼び。」


 つるの優しげなオーラにナミの緊張が徐々に解けていく。

 ウォシュウォシュの実の能力で目に見えない霧状の水でナミの緊張を洗い流して落ち着かせているのだ。


「は.......はい。じゃぁ、おつるさん!よろしくね♪」

「さて、イスカ、海軍に戻ってきてくれたのは嬉しいが、無理してないかい?あんたの気持ちを聞かせておくれ。」


 イスカの故郷を焼き、彼女の両親を殺してイスカの手と心に生涯消えぬ傷を残したのは海賊ではなく、自分の命の恩人であり、海兵を志すきっかけともなったドロウ中将だった。

 ドロウ中将は“赤犬”サカズキ大将の掲げる“徹底した正義”に心酔する男で、海賊を捕らえる為ならば多少の犠牲はやむを得ないと考えており、炎上網により海賊を逃がさぬ為に街に火を放ち、その結果イスカの両親を始めとした大勢の人が亡くなった。

 “火拳”のエースはその事実を知り、落ち込むイスカを見て激怒してドロウ中将をボコボコにして、再起不能なほど負傷した彼はそのまま海軍を除隊することになった。


「私が海兵となったのは私のような子供を一人でも減らしたいと思ったからです。憧れた人はいなくなってもここには志を同じくする仲間がいますからここが私の帰る場所です。」


 つるは霧状にしたウォシュウォシュの水でナミの緊張だけでなく、イスカの本心を聞くために緊張や怒りも洗い流していた。

 信じていたドロウに裏切られた彼女の本心が海軍から去ることを望むならそれを勧めるつもりだったが、イスカの本心を聞いたつるは満足そうに頷いた後、任務を告げる。


「強い娘だね。イスカ、まもなくゴジが帰ってくる。二人で魚人島に行ってくれるかい?ジンベエがあんた達二人にどうしても会いたいそうなんだ。」

「分かりました。“海侠”のジンベエには聞かねばならない事があります。」


 イスカは隣に並ぶナミをチラリと見た後、ナミの義母ベルメールを殺す原因を作ったアーロンを東の海(イーストブルー)に解き放ったジンベエに真意を確認したかったので任務を受諾すると、それを聞いていたナミが慌てて手をあげる。


「私も付いてっていい?」

「ナミちゃん大丈夫なの?ジンベエはアーロンの兄貴分と言われる男で、アーロンを東の海(イーストブルー)に放った張本人なのよ?」

「うん。だから私は直接アーロンの事を聞きたいの......!」


 ナミは“火拳”のエースに触れて海賊にも人の為に怒り、海兵であるイスカを想って彼女を救う為に海兵と戦った優しい海賊がいる事を知った。

 だから、世界政府公認の海賊であり、海賊の頂点の一角である王下七武海が何を意図してアーロンという怪物を東の海(イーストブルー)に送り込んだのか知らなくてはならないと考えていた。


「元々、ジンベエの元へ向かう人員はゴジに一任する予定だ。ナミもゴジがいいと言えば付いてってもいいよ。」


 つるは元気に返事をするナミを見て、アーロンの支配を受けながらも魚人という種族自体に差別意識を持つのではなく、しっかり自分の目で見極めようとするナミに好感を抱く。


「そうだ。“黒麒麟”ゴジ中将が帰ってくるのよね…。どんな人なんだろう。」


 ナミはゴジの名前を聞いてようやく会えるのかと笑顔を浮かべる。

 海兵となって世界を回り改めてゴジへの期待の大きさと海賊がどれほどゴジを恐れているのか改めて分かった。そしてこの半年でアーロン等手も足も出ない王下七武海を三人も倒しているという事実に驚かされた。


「なんだい?あんたも女だねぇ。やっぱりゴジが気になるかい?まぁ会ってみれば分かるさね。」

「はい!」

「ゴジに会って魚人島に連れてってもらえるように頼むなら取っておきの方法を教えてあげようかね。そこで頼めばゴジなんてイチコロだよ!」

「ほんとに!?」

「おつるさん!?その方法ってまさか!?」


 イスカはつるの取っておきの方法に心当たりがあるのか、慌て始めた。


「イスカ、気付いたようだね。そう、そのまさかだよ。ナミ、よくお聞き.......その方法はね───。」

「えぇぇぇー!?」

「はぁ.......やっぱり.......。」


 つるの話を聞いて顔を真っ赤にして驚愕の声をあげるナミとは対象的にイスカは頭を押さえてため息を吐いた。

 この二日後、ゴジ達がマリンフォードに凱旋帰港を果たして今日に至るのだ。 
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