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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第百話

 翌日、ゴジは元帥室にいた。

 ゴジを待っていた元帥センゴクと“英雄”ガープが久しぶりにみるゴジの纏う覇気に面食らう。


「男子三日会わざれば刮目してみよとはよくいったものだ。」


『男子三日会わざれば刮目してみよ』とは三日も経つと男は成長しているものだから、三日も会わなければ注意してしっかり見なさいという意味で、かつて三国志時代の呉の孫権に仕えていた呂蒙(りょもう)という武に秀でた猛将が兵法を学び、文武両道の勇将に成長したことに驚いた魯粛に向けて贈った言葉である。

 センゴクは僅か半年で大きく成長したゴジに感嘆した。


「こりゃすごいわい。ぶわっはっはっは!!」


 面食らったままのセンゴクとは対照的にガープは僅か半年で一回りも二回りも成長したゴジが嬉しくて笑いが堪えきれない。


「この服、ギオンさん達が昇進祝いにくれたんだよ。けっこう気に入ってるんだけど似合ってないかな?」


 対してゴジは服装を笑われているのかと二人を訝しむが、二人はそれを揃って否定する。


「いや、そのワノ国の服も下に着ている服もよく似合っている。既に被服課が“黒麒麟”ゴジの正式な制服と認定し、同じモノを数着発注しているからすぐ貴様の家に予備が届くだろう。」


 海軍の顔と言ってもいいゴジの黒スーツ姿もよく似合ってはいたが、今、マリンフォードでは黒い衣装の上に薄灰色の着流しを大胆に着崩したゴジの艷姿に話題が持ち切りである。

 ちなみに被服課とは海軍本部における全海兵の支給品の制服や海軍コート等を管理する部署のことである。


「服の予備くれるのか?これは大切な貰い物だから汚したくないから助かるよ。」


 ゴジはせっかくギオン達にもらった服を戦いで汚したり、破けたりするのが申し訳ないと思っていたのでセンゴクの申し出に喜んだ。


「ゴジ、わしらはただお前が強くなりすぎた事に気づいて笑ったんじゃ。」

「そうだな。王下七武海との戦いで成長出来た自信はあるけど、やっぱ大きな変化はこれだよね?」


 ゴジは両掌を眺めた後に背中に背負った『秋水』の柄を右手の親指で指差した後、アラバスタから今日までの出来事を手短に話して行く。

 小一時間掛けて報告した後、センゴクは満足そうに頷く。


「うむ。ゼファーから徒手空拳にもますます磨きがかかっていると連絡もあった。五老星からの勅命。お前ならやり遂げられると信じている。」

「しかし、ボニーの父親、“暴君”バーソロミュー・くまを除けば七武海もあと三人じゃな?」


 世界政府の言いなりになる“暴君”くまだけは天上金の免除、そして革命軍の本拠地の安全という二つの弱みを握っているので裏切る心配はないことから、ゴジの視察の対象から外されている。


「“海賊女帝”ボア・ハンコック、“天夜叉”ドンキホーテ・ドフラミンゴ、“海侠”のジンベエ。次は誰にする予定だ?」


 この三人の中で誰に会いたいかと聞かれたゴジの回答は一つしかない。


「やはり個人的には“海賊女帝”が気になりまくるんだけど、夜にでも婆さんと相談してみるよ。」

「あの女は強いぞ。むしろゴジにとっては一番の難敵かもしれん。」

「あの女は自分に見惚れた男を石に変えるからのぉ。女好きのゴジにとっては天敵じゃな!!ぶわっはっはっは!」

「むぅ.......噂の世界一の美女“海賊女帝”に一目会ってみたいが、石にはされたくないな。」


 世界一の美女とも噂の“海賊女帝”ボア・ハンコックは海に生きる全ての男の憧れであるが、実力も確かであり、たった一度の航海で8000万ベリーの賞金首となった女傑であるため、つるに判断を仰ぐつもりである。


「もうこんな時間か。センゴクさんにガープさん、俺はこれからデートの予定だからまたな!」

「あぁ。しっかりな。」

「またのぉ!」


 センゴクとガープに手を振りながらゴジは足早に元帥室を後にすると、ゴジのいなくなった部屋でセンゴクとガープはゴジのデートの話を始める。


「デートじゃと?ゴジはようやく誰か一人に決めたのかの?早めに誰か選んでくれんとジェガートの女共はわしの部下達に見向きもせん。」


 美女揃いのジェガートの女海兵達は当然ながら、海兵隊員の憧れであるが、ゴジが独り身である限り、ジェガートに所属する女海兵達がゴジから他の海兵に目移りすることはない。


「ガープ。残念だが、ゴジはこれからアラバスタ王国第一王女ネフェルタリ・ビビ殿下のマリンフォード観光の護衛任務だ。」

「王女の護衛が彼奴にとってデートか?わしの部下共の春はまだ先のようじゃな!ぶわっはっはっは!!」

「さらなる問題にならぬ内にさっさと身を固めてほしいものだ。」


 ガープとセンゴクはいい歳をした男である自分達ですら、ゴジが元帥室に入った時にその出で立ちと覇気に一瞬見惚れてしまったのだから、若い女ならゴジをこれからますます放っておかぬだろうと苦笑した。


 ◇


 ゴジは元帥室を出て、マリンフォード一番の高級ホテルに向かった。

 このホテルは全室スィートルームというVIP専用ホテルであり、今は海軍本部、サイファーポールらによって世界一厳重な警備が敷かれている。

 何故なら世界会議(レヴェリー)に際して、余裕を持って前乗りしてきた各国の王族が滞在する場所であり、外出時は護衛の為に海軍将校やサイファーポールが同行するほどである。


「ゴジ中将!お疲れ様です!」

「「「お疲れ様です!」」」

「あぁ。皆お疲れ様。」


 ゴジは警備を担当する海兵達の挨拶に笑顔で手を挙げて応じてホテルに入っていくと、エントランスでカリファ、ロビンの二人と共にいる目的の人物を見つける。


「やぁ、ビビちゃん。おまたせ!」

「ゴジ、ほんとに来てくれたのね?」

「マリンフォードの街を案内する約束だろう?カリファ、ロビン変わりはないな?」

「はい。異常ありませんが、中将、ネクタイが少々歪んでおります。」


 ゴジは自分のマリンフォードでの認知度はビビの護衛の妨げになると判断して、話題となっている和服姿からスーツに着替えていたが、曲がっているネクタイに気付いたカリファがゴジのネクタイを手早く直す。


「カリファいつもありがとう。君と離れてから君の存在の大切さを再認識する毎日だよ。」

「えっ.......中将.......。それはどういう.......」


 カリファはゴジのプロポーズとも取れる言い回しと真剣な顔にドキッとするが、ゴジの言っているのはマリンフォードに降り立つ時に替えの服が無くて騒動になり、今日も上手くネクタイが締められずに苦労した事を言っていたりする。


「ちょっとゴジは私と街を回るんでしょ?カリファとイチャイチャしないでこっちを見なさいよ!」


 ビビはカリファと見つめ合っているゴジの袖を引っ張ると、ゴジは白いワンピース姿のビビを見て微笑んだ。


「ネクタイを直してもらっただけだよ。ビビちゃんは今日も可愛いね。」

「ゴジはスーツ姿なのね。噂の艶姿も見てみたかったわ。」

「ほら、あれは目立つだろう?ビビちゃんも騒ぎにならずにゆっくり街を見て回りたいと思ってね。サングラスも掛けてかるく変装する予定だよ。」

「確かにそれもそうね。では.......」


 ビビはゴジに向けて右手を差し出すと、それを見たゴジは左肘を軽く曲げて近寄るとビビは満足そうにゴジの肘に手を回す。


「あら?びっくりさせようと思ったのに、ゴジは宮廷作法にも精通しているのね?」

「ふふっ。レディをエスコートするのは男の務めだからな。」


 ゴジは内緒にしているが、元ジェルマ王国第五王子であり、宮廷作法の一から十まで叩き込まれている。


「ゴジ君少し待って、ロビンはゴジ君たちに付いて行きなさい。私は引き続きコブラ王の護衛につくわ。」

「了解よ。」


 カリファがビビをエスコートしながらホテルから出ようとするゴジを引き止めると、ロビンに手早く指示を出す。


「えっ……!?ロビンも来るの?」


 ビビがこの世の終わりみたいな顔でロビンを見ると、ロビンは少し苦笑する。


「あら?王女様は私は嫌いかしら?」

「違うわ……。ロビンは優しいから好きだけど……そうじゃなくて.......。」


 ロビンはビビに気を使ってゴジに聞こえないようにビビの耳元で理由を説明する。


「いじわるしてごめんなさいね。ゴジとのデートの邪魔されたくない気持ちは分かるけど、花摘みなんかはゴジは付いてこれないでしょう?」

「た……確かに……分かったわ。」


 ゴジは二人の会話を聞かないように心掛けるも、同姓であるロビンがビビの護衛に付く意味は正確に理解しているから口は挟まない。


「ビビちゃん、これでも護衛は凄く少ないんだよ。三人でゆっくり街を見て回ろう。」


 通常は一国の王女が街を散策する際は海軍将校を隊長とする一個分隊十人とサイファーポール一人が護衛にあたるが、ゴジの実力を考慮してビビの護衛はたった二人である。


「うん。そうね♪二人とま早く行きましょう。」


 こうしてゴジ達三人はマリンフォードの街に繰り出した。


「ゴジ、何処に連れて行ってくれるの?」

「私も楽しみだわ。」


 アラバスタ王国の王女であるビビと同じく、幼い頃より指名手配を受けていたロビンも海軍本部のあるマリンフォードには来たことはない。

 ゴジはビビとロビンを連れて最初の目的地である海軍本部基地に到着した。


「ここが俺が働いている海軍本部だよ。」

「これが世界中の正義の最高峰。港からでも見えてたけど近くで見ると凄く大きな建物ね。」

「まさか私がここで働く日が来るなんて思いもしなかったわ。」


 ゴジはビビをまずは世界平和の最終防衛ラインである海軍本部基地を案内するとワノ国のお城のような建物と白い石垣に書かれた大きなの海軍の二文字を見て各々感想を持つ。

 マリンフォードは住人の約7割が海軍兵士やその家族関係者からなる街である。


「次は海軍の港のあるオリス広場に行こう。有名な鐘があるんだ。」

「それは知ってるわ。オックス・ベル。1年の終わりに、去る年に感謝する意味で8回鳴らし、年の始まりには新しい年の多幸を祈り8回鳴らすのが海兵の習わしなのよね。」

「ビビちゃん、正解だよ!」

「楽しみだわ!」


 ビビが嬉しそうに右手を高くあげながら答える。

 オックス・ベルとは、大昔に活躍したとされる軍艦オックス・ロイズ号に取り付けられていた神聖な鐘で、マリンフォードの広場の西端にある。

 この年末行事は映像電伝虫により世界配信される為、世界中がオックス・ベルを知っており、マリンフォードといえば海軍本部基地とオックス・ベルの二つが観光名所である。


 《Side ゴジ》


 しばらく歩いてオリス広場に到着して、三人でオックス・ベルの前まで来ている。


「あれがオックス・ベル。凄く大きな鐘ね。」

「ロビン?」

「っ……!!」


 俺たちがオリス広場に鎮座する10mを超える巨大な鐘、オックス・ベルを見ている中、ロビンは俺の声も聞こえておらずオックス・ベルではなく、かつて史上最悪の海賊と言われたロックス・D・ジーベックの処刑が行われた処刑台を見ている。

 ロビンはどうせ自分があそこで処刑されていたかもなんて考えてるんだろうな。


「あぁ。でも不思議な事に何故8回ずつ鳴らすのか。オックス・ロイズ号がいつの時代に活躍した軍艦なのか全て謎なんだ。まるで歴史が消されたみたいにな。」


 俺はロビンの食いつかせる為、わざとゆっくり大きな声で話したところ、歴史好きなロビンがハッとした顔になってこちらを向く。


「まさか……空白の100年に関係が……」


 そしてロビンは慌てた様子でこちらに歩み寄って何やらまた考え事を始めたが、さっきは打って歴史を読み解こうとするロビンは楽しそうだ。


「さぁ、でもワクワクするよな?」

「えぇ。とっても。」


 ロビンと話し込んでいると、突然ビビちゃんに右手を握られて引っ張られる。


「ゴジ、もっと近くで見るわよ!」


 俺は不機嫌な顔をするビビちゃんに手を引かれたままオックス・ベルに近付いていくと、ロビンも苦笑しながら後を追ってきた。

 こうして暗くなるまで、ビビちゃんとロビンの三人でマリンフォードの街中を巡った後でビビちゃんをホテルに送る。


「ビビちゃん、楽しかったかい?」

「えぇ。とっても楽しかったわ。案内してくれてありがとうゴジ。ロビンもありがとう。」

「うふふっ。ビビ王女、私も楽しかったわ。」


 ロビンとビビちゃんも一日を通して大分仲良くなったようでよかった。


「じゃあビビちゃん、明後日にマリージョアに行く前に迎えに来るよ!ロビン、カリファあとは任せたよ。」


 明後日の昼からいよいよ聖地・マリージョアで世界会議(レヴェリー)が開かれるので、ビビちゃん達をマリージョアへ続く玄関口まで見送るつもりだ。


「「はっ!!」」


 他国の王族も宿泊するホテルのエントランスである為か、カリファとロビンは一糸乱れぬ敬礼で応じる。

 彼女達は世界会議(レヴェリー)終了までの間、交替でホテルで過ごすネフェルタリ家の護衛の任についている。


「絶対だからね!」

「あぁ。約束だ。それまではロビンとカリファの言う事を聞くんだよ。」

「分かってるわよ!ゴジは私を子供扱いしすぎだと思うの!」


 俺にとって14歳になるビビちゃんはペローナ同様に妹のような存在だから、どうしても甘やかしてしまう。


「わっはっはっは!そうだな。ビビちゃんはもう立派なレディだもんな。」

「だから、こういう所よ!全く失礼しちゃうわ!」


 俺は最後にビビちゃんの頭をぽんぽんと撫でてからホテルを後にするとビビちゃんが可愛く頬を膨らましていた。

 さて、ワノ国の和服から目立たないスーツに着替えてサングラスをして変装したのに街の人達にバレバレだったな。護衛を兼ねて近寄ろうとする人達には申し訳ないが、覇王色の覇気でこちらに近寄らないように威圧してたけど今後の捜査はやりにくくなるな。


「まぁ、対策はおいおい考えるとして久しぶり風呂に入るか。まだもう一つ約束の残ってるからな。」


 俺はとりあえず一旦考えるのを止めて風呂に入るべく、海軍本部に向かった。 
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