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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第九十七話

 ゴジがモリア、ミホークと激戦を繰り広げていたその頃、ネフェルタリ家の護衛任務中の第二部隊の軍艦の甲板では海兵達が集まって話に花を咲かせていた。

 天候は快晴、敵影もなく順調に航海を続ける船上は女子会といった雰囲気である。


「ステューシーさん、ボニーとロビンにはあの掟を伝えてるの?」

「「掟?」」


 ミキータがゴジがいると出来ない話をステューシーに切り出すと名前を呼ばれた2人は首を傾げて、頭に“?”マークを浮かべる。


「あーそうね。丁度いい機会ね。ゴジ君には内緒の掟というか注意事項みたいなものよ。」

「「注意事項?」」

「それはね──」


 ステューシーは新兵の2人にジェガートにおける掟を伝える。


 1.風呂場では水着を着るかタオルを体に巻く。

 2.ゴジに対するあからさまな誘惑禁止。

 3.ゴジから求められた場合は本人の意思次第。


 という3か条であるが、内容からお察しの通りゴジには知らされていない。


「てめぇら一番目はもっと早く教えろよな。」

「どういうこと?」


 ボニーは思い当たる節があるのか…顔を真っ赤にして拳を握り締めてプルプルと震えているが、ロビンはよく分からずに首を傾ける。


「はぁ〜それは海軍本部にある女風呂にゴジ中将がたまに入ってくるからですよ。」

「クソォォーッ! あのエロ魔人め!」
 

 ボニーは訓練生時代に、素っ裸のまま風呂場で偶然ゴジと出くわした事を思い出して、顔を赤らめて拳で床を強く殴り付けた。


「えっ…?」


 ロビンは目を丸くして驚いている。

 カリファはゴジが10歳の頃から女風呂に入っている事を伝え、12歳で正式に海兵となった為、女風呂へ入ることは禁止されたのにどれ程厳重に警備してもまるで“透明人間”のように気づけばゴジは風呂場に潜入している。

 大なり小なり女海兵達に気に入られているゴジが女風呂に侵入してきても誰も追い出すことも無く、なんだかんだ見逃されている事を伝えた。


「まぁ、回数は昔に比べれば大分減りましたけど、それでも月に何回かは堂々と女風呂に入っている中将を見かけます。見られても気にしない娘もいますが、いずれあのアホ(中将)は鼻血で失血死してしまうかもしれないので2人ともよろしくお願いします。あと、中将を女風呂で見かけたら、すぐにおつるさんに連絡してください。」
 

 カリファは疲れたようにため息を吐きながら、ロビンとボニーに説明した。


「うふふっ…ゴジは本当に自由な人ね。おつるさんって“大参謀”つる中将?」

「えぇ。おつるさんは超人(パラミシア)系悪魔の実、ウォシュウォシュの実の能力者で、ゴジ君の理性が壊れる前に性的欲望を洗い流してくれるのです。」

「ほんと、あのアホは一片死んだ方がいいんじゃないか?」


 ボニーはわざわざ海軍の重鎮たるつるの悪魔の実の力を使ってゴジの欲望を鎮めると聞いて、呆れ果てて天を仰いでいる。


「うふふっ...分かったわ。なら、2と3は隊の風紀は守りなさいって事かしら?」

「流石はロビンですね。やはり優秀な秘書になりそうです。」


 ロビンの推理をカリファが肯定する。そして、それは暗に誰も3には到達出来ていない事を意味する。

 こういうロビンの洞察力が鋭い所をカリファは買っており、脳筋の揃う第二部隊においては貴重な存在として既に自分の補佐をさせているほどだ。


「ええ。貴女達も彼の事は少なからず良くは思っているでしょうが…ロビンの言う通り隊の風紀が乱れるので、2人とも守って下さい。」


 ちなみにジェガートのゴジに対する印象は大きく二種類に分けられる。子供の頃から知っているアインやギオン等のように弟や子供といった家族同然に思う者達と、ゴジに憧れてジェガートに入隊して彼を異性として意識する者達である。

 海兵となった以上は第一に考えるべきは“絶対的正義”の実現であり、ゴジを意識しすぎて仕事に差し支えて風紀を乱さぬように女海兵だけの掟が設けられた。
 

「ええ。分かったわ。」

「いや…あたしは別にあのバカのことなんでこれっぽっちも想ってねぇけどな……。」


 微笑みを浮かべて首を縦に振るロビンとは対照的にボニーは両手を激しく横に振って否定するが、その顔は朱に染っている。

 
 ──あら、ボニーは…初々しいわねぇ…。


 ロビンは明らかにゴジを意識しまくっているボニーを見て薄く微笑む。


「なるほどね…貴女達の多くがゴジを意識しながらも、彼と普通に接している理由が分かったわ。」


 ロビンの意味深な発言を受けて、ミキータを始めとするほとんどの海兵達が顔を赤らめる中で、表情の変わらない美女達に気付く。

 それはステューシー、ヒナ、カリファ、コアラの四人でゴジが絶大な信頼を寄せている第二部隊でも頭一つ抜きん出た実力を持つ海兵達である。


 ───やはり最も警戒すべきはこの四人よね?


 ロビンは自分を守ってくれると言ったゴジには最後までしっかりと責任を取ってもらいたいと考えているので、最大のライバルとなり得るこの四人を警戒している。


「ステューシーは世界政府の命令でゴジの誘惑をしてるって噂を聞いたけど、本当なの?」


 ステューシーはロビンのストレートな質問を受けて軽くヒナを睨んだ後、ため息を吐きながら質問に答える。

 ロビンは幼い頃から賞金首となって命を狙われ続けた彼女は人の機微に聡いので、言葉を交わせばある程度の心の内は探れる自信があるので、ライバルの正確な数を把握しようとまずはステューシーに声を掛けた。


「どうせそれはヒナに聞いたんでしょ? まぁ、ゴジ君を誤った道に進ませないようにそう命じられて接触したのは事実だから否定はしないけど、別にゴジ君を害するつもりはないのよ。」

「どうだか。いつもコソコソしてるサイファーポールなんて信用出来ないわよ。」

「なんですって!!」


 ヒナがステューシーの言葉に食って掛かると、顔を突き合わせて互いに睨み合いを始めるが、この光景はいつもの事なので皆気にしていない。


 ──ステューシーは仕事とはいえゴジを狙っているのは間違いないのね。


 ロビンはステューシーはやはり自分のライバルだと再認識して、彼女と睨み合っているヒナに声を掛ける。


「ヒナはゴジのことどう想ってるの?」


 ヒナは自分に話が振られた事に驚きながらも、ステューシーから目線を外して整った細い顎に手を当てて少し考える。

 
「私…? ん〜私はそうね。ゴジ君が子供の頃から知ってるから今更、男としては見な…あれ……ちょっと待ってよ。」


 ヒナは海兵としての仕事に誇りを持っているので、海軍の新たな英雄たるゴジをサイファーポール(ステューシー)に取られない為、今も第二部隊に在籍し続けているが、ゴジ本人の事を意識して考えたことはなかった。


「ゴジ君って史上最年少で海軍中将となった男で将来間違いなく大将になるし、もしかしたら元帥にもなるわよね。それに性格はアレだけど基本優しいし、顔も整っているわよね。それにゴジ君って私のファンだったはず.......。」

「ヒナ、あまり深く考えなくても.......。」

「そ.......そうよ!!ヒナ落ち着いて!!」


 ロビンとステューシーは急にゴジを男として意識し始めたヒナの様子にヤバいと感じて止めに入るが、手遅れであった。

 ヒナ自身、自分よりも弱い男に靡くつもりは全くないので冷静に考えた時、自分よりも圧倒的な実力者であるゴジが結婚相手として最優良物件ではないかと思い始めたのだ。
 

「あれ......私ってゴジ君に貰ってもらうしかないんじゃない!?」


 何よりもヒナの年齢は30歳。結婚適齢期を過ぎてしまったことを考えると答えは一つしかなかった。


「ロビン、あんた余計なことしてくれたわね?」

「ごめんなさいステューシー、私も失言だったと後悔してるとこよ.......。」


 同じくステューシーとロビンは一番の強敵の誕生に肩を落とすが、ステューシーがヒナに噛み付く。
 
 
「ヒナ、鉄面皮の貴女にはゴジ君を落とせないから諦めなさい!」

「うっさいのよ。女狐!あんたはどうせ世界政府に扱き使われて一生独り身でしょうね!私はあんたみたいに一生独身は嫌よ!!」

「はぁ?誰が一生独身ですって!?」


 ロビンは再び顔を突き合わして言い合いを始めた2人を見ながら、ヒナに話を振ったことを後悔する。ステューシーは恐らくゴジも警戒しているが、ヒナは歴とした海兵であり自他ともに認める美貌の持ち主である。


 ──失敗したわ。ライバル増やしちゃったわね。
 

 喧嘩している2人を横目に、ロビンが密かに一番のライバルになり得ると思っている存在に声を掛けた。

 
「カリファはどうなの? 貴女が一番ゴジと近い気がするわ。」

「私ですか?そうですね。上司としては問題行動は目立つも、私の知っている口と態度だけは一丁前のクズに比べたら100万倍マシですね。男性としては素敵な方だとは思いますよ。」


 カリファは自分に話題を振られて驚きながらも、一呼吸おいてスラスラと答える。

 彼女の言うクズとはCP-9(シーピーナイン)長官スパンダムの事であり、常に安全な所に隠れて横柄な態度で文句ばかり言う男と、常に部下の誰よりも最前線で海賊達と対峙する男では比べるべくもない。

 彼女はCP-9(シーピーナイン)としての任務を最優先とする教育を受けており、ゴジを異性と見る事はないので一般的な当たり障りない解釈を述べた。
 

 ──カリファは仕事一筋って感じだけど、ゴジが求めたらきっと応じるわね。
 

 ロビンはゴジの事を考えても表情一つ変えない真顔の彼女を見て、カリファはライバルにはなり得ないと結論付けて、コアラを見る。


「コアラはゴジの事をどう想ってるの?」

「私?ん〜ゴジ君は尊敬もしてるし、信頼もしてるんだけど、手のかかる弟のような感じかな?」
 

 コアラは革命軍のスパイとして潜入しており、フィッシャー・タイガーを罠に嵌めた海軍を恨んでいるが、ゴジの生き方や正義には惹かれる面もある。

 しかし、考え無しに突っ走っていく性格は革命軍のNO.2となった友を彷彿とさせて放っておけないのだ。


 ──コアラも大丈夫そうね。


 コアラが語るゴジの印象で伝わってくるのは彼女の言葉どおり家族愛に近いものである。


「ステューシー、ヒナが要注意ってわけね。これに第一部隊の海兵達が加わったらどうなるのかしら……はぁ……。」

「今日という今日は我慢出来ない。女狐、ゴジ君の前に出れない顔にしてやるわ!」

「言ったわね。鉄面皮!そのセリフ、そっくりそのままお返しするわ!」


 ロビンはとうとう取っ組み合いの喧嘩を始めたステューシーとヒナを筆頭としたゴジを巡る波乱づくめの恋模様を想像して深くため息を吐いた。 
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