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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

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7-⑺

 キャンプの当日、ナカミチで僕と美鈴は待っていた。昇二が明璃ちゃんを乗せて車で来る段取りになっている。用意したバーベキューの材料を乗せてゆくつもりだった。

 昨日、昇二から連絡が来て、京都駅まで明璃ちゃんが迎えに来て、そのまま河原町で二人で泊るつもりだと言っていたのだ。明璃ちゃんは、光瑠にも頼んで、親にも口合わせするようにしたらしかった。キャンプは2泊することになっていたらしい。

「おう 蒼 久し振り 元気だったか 美鈴も」と、車の窓から乗り出して、挨拶をしてきたんだが、隣には、明璃ちゃんがチャッカリ乗っていた。枠が赤い炎になっているふざけたサングラスをかけて・・。ピッタリした短パンで脚が細いんだが、筋肉質で、この娘はいつ鍛えているんだろうか。

「名神通って行くぜ」と、走り出したが、明璃ちゃんが、何か取り出して

「お姉ちゃんからの差し入れ レモンケーキ おいしいんだって」と、言ってみんなに配っていたけど、昇二の口元にも小さくちぎって持っていっていて、完全に恋人気取りのようだった。

 目的地に着いたけど、まだ、前の客との入れ替えまで、時間があったので、泳ごうとなって、更衣室に向かった。美鈴と明璃ちゃんは、申し合わせたかのように、水着の上からのワンピース姿で出てきた。美鈴の脚は比較的見慣れているはずなんだが、やっぱりドキドキする。二人並ぶと、美鈴は脚が白くて細い方だと思うが、明璃ちゃんは背も高い分、脚も長くて、もっと細くて陽に焼けて、まるでバンビみたいに飛び跳ねそうだった。僕は、少し、眼を見張ったが、昇二は見慣れているのか、気にもかけていないようだった。

「おにぎり 悪くなるから、先に食べようか」と、美鈴がバッグの横の紙袋を取り出した。新聞紙に包んで保冷剤も一緒にしてあった。

「美鈴はいつも気がきくよな ありがたい」と、昇二が言うと

「昇二 私 気がきかなくてごめんね 見習うからね 頑張る」と、明璃ちやんが言っていた。

「明璃ちやん 昇二の前では健気だね 明璃ちゃんらしくないよ そのままの方が魅力的だよ」と、僕は、ちょと的の外れたフォローをしてしまって失敗したと思った。

「蒼 食べたら 浮き輪に空気入れてね 明璃ちゃん 後で 一緒に泳ぎに行こうよ」と、美鈴が余計なことは言うなという調子で言ってきた。

 二人は上に着ているワンピースを脱ぎ捨てて、浮き輪を抱えて、泳ぎに行った。二人とも、ビキニタイプのタンキニで色違いで、やっぱり揃えたみたいだった。後ろ姿の明璃ちゃんなんかは、幼く見えて中学生といっても通用するようだった。

「昇二 きのうの夜はどうだったんだ 一緒に泊ったんだろう」

「うん でもな、キスぐらいはしたけど、それ以上はな あいつ すごく緊張しててな ベッドに入った時も、ちぢこんでしまって・・それに、まだ、子供みたいだろう そのまま抱いて寝たよ」

「そうか 見た目と違って、純真だからな」

「そうなんだよ でも、天真爛漫なとこ好きになってしまったよ 大事にしようと思う」

「そうかー もう、伝えたのか 気持ち」

「うん 東京に行く前の日だったかな でも、転勤もあるだろうってこともな 卒業したら、何処へでも付いて行くって言ってくれた 嬉しかったよ」

「そうか 良かったやん あの娘 一生懸命だから、うまく行くよ」

 その間にテントの準備ができたからと連絡があった。

「俺達も泳ぎに行くか」と、修二が言ったけど

「荷物どうすんだよ」と、僕が心配すると

「べつに、大丈夫だろう たいしたもん無いし、見張りながら泳げばいいじゃん」と、昇二は気楽なもんだった。

 僕達がバーベキューの準備をしている間、女の娘達はシャワーを浴びて着替えに行ったのだが、戻ってきた明璃ちゃんは、カラフルなねじりハチマキを巻いていて、それも応援団のように端っこが長いやつで耳の横は花模様になっているのだった。

「明璃 止めてくれよな 何なんだい お祭りかー それはー」と、昇二が叫ぶと

「うん 気合入れてんだ 思いっきり食べるぞー」と、気にしてない振りだった。

「いいじゃない 楽しいよ その方が」と、美鈴はそれはそれで楽しんでいるようだった。

「それじゃあ 昇二との再会を祝って 乾杯しょうぜ 明璃ちゃん堂々と飲めるようになったし」

「堂々って もう去年二十歳になってますよーだ」

「まだまだ 子供だけどな 昨日なんかも、京都駅で、{昇二お帰り}と書いた紙掲げて待っていたんだぜ 恥ずかしかったよ」と、昇二が言うと

「うぅっ 昇二が大人にしてくれれば良いじゃぁない」と、明璃ちゃんは意味深だった。

 僕は、直ぐにわかったけど、美鈴のほうを見ると、美鈴も僕を見ていて、ウィンクしてきた。どういう意味なんだ。

「肉だ 肉だ 神様、私にこの聖なるお肉を与えてくれて感謝いたします」と、明璃ちゃんは食らいついた。

「バカ これは美鈴が用意してくれたんだよ」と、昇二は冷たく、ポツンと言って居た。

 食べ終わると、明璃ちゃんが「昇二 散歩に行こうよ」と、誘ってたら

「行くけど、そのハチマキだけは外してくれ それと虫よけスプレーしろよ」と、言いながら、手をつないで出て行った。明璃ちゃんは飛び跳ねるように喜んでいたのだ。

「僕達も、行こうか」と、誘うと、美鈴は

「ウン その前に、ちょっと」と、言って僕をテントに誘い込んだかと思うと、抱き着いてきて、「キッス」と言って顔を寄せてきた。

 砂浜を歩いている時、「ごめんね 私 蒼に大人にしてもらえなくて・・」

「バカ いいよ 美鈴がその気になるまで 気にするな」

「でもね 今の気持は、蒼と一つになりたい 私って身勝手だよね」と、腕をしっかりと組んできた。浜近くのあちこちで花火をやっているのが見えた。

 その夜、女の娘二人を真ん中にして寝たんだが

「わぁー 修学旅行みたいだね」と、言いながら、相変わらず明璃ちゃんははしゃいでいた。

「ねぇ 抱き着いて寝て良い?」珍しく、美鈴も言ってきた。

「良いけど 暑くなったら ごめん」と、僕も返しながら、抱き寄せていた。明璃ちゃんは、もう、昇二に抱き着いていた。

「なんか 変な気分だなぁ こういうシチュエーション」と、昇二がつぶやいた。

「そうだな 昔 こんな風になるなんて想像もしなかったな」と、僕もつぶやくように・・。

 しばらくすると、明璃ちゃんが「暑いね 汗ばんできた ごめんね」と、言ってTシャツを脱いで、又、昇二に抱き着いて行った。確かに、暑くて、僕も、涼もうと外に出た。後から、美鈴も付いてきて、結局、夜明け近くまで外で、なんだか、寄り添っていたのだ。







 
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