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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第九十四話

 ゴジ達が拿捕したモリア、ホグバックと保護したペローナの三人を連れて軍艦に戻ると、ギオンが今にも刀を抜かんとする険しい表情を浮かべてある男と対峙していた。


「ほら、あんたがお待ちかねのゴジちゃんが帰ってきたよ。」


 その男は黒テンガロンハットに白色のファーを付け、赤色の柄シャツに薄紫色のズボンに袖なしのコートを着た2m近い身長の中年の男で、何よりも背中に背負った己の身長ほどもある長い幅広の片刃の黒刀と鷹のように鋭い眼光が特徴である。


「なっ……!?お前はまさか……!!」

「島を破壊する程とは想像以上だ。待ちかねたぞ。強き者よ。」


 ゴジは獰猛な笑顔で自分を出迎える男を見て、目を見開いて驚きを露わにするが、この男がここへ来たのは数刻ほど前に遡る。


 ◇


 ゴジがモリアと戦っている最中のこと、船の留守を預かるアインが襲撃してきたアブサロムを拘束していた。


「手に固定された大砲は取り外してから、透明になれないようにちゃんと海楼石の手錠で固定してね。それとバカラはこの男の運気を全て吸い取って。」

「「「はい!」」」

「ありゃ、船を襲撃されたんだね?アインちゃんを残して正解だったね。」


 アイン指示で的確に気絶したままのアブサロムを拘束していくと、彼女達に一足に戻ったギオンが声を掛けた。

 能力者は海楼石の手錠をしている時点で体が動かなくなるので十分ではあるが、バカラが運を吸い取ることで万が一逃げる心配もなくなる。


「えぇ……そうなんですよ。はははっ……」


 アブサロムは船を襲撃というよりもアインに求婚してきたのだが、アインはその事実は忘れる事に決めたようだ。


「ギオンさん、まだゴジ君はモリアと戦ってますよ?」

「見聞色の覇気が得意だとそんなことまで分かるんだね?ならアインちゃん。この島じゃなくて、この島に向かってくる気配を探ってごらん?」


 アインは城の内部でゴジとモリアが戦っている気配を感じ取っていたが、ギオンはこの島に向かってくる男の気配を感じ取ってギオンと目を合わせる。


「凄い強い存在感を持った男が船で近付いてます!」


 アインの報告を受けてギオンは首を縦に振ったあと指示を出していく。

 ギオンはリューマを倒してからすぐにゴジを追いかけようとしたが、島に向かってくる強大な気配を感じ取り舟に戻ってきたのだ。


「あたしよりも優秀な見聞色の覇気を持つアインちゃんよりもあたしの方が先に接近を察知できたってことは剣士の可能性高いね。皆、警戒は怠らないようにね。」

「「「はっ!」」」


 ギオンは舟に乗る男は恐ろしく強い剣士に違いないと、剣士としての本能が訴えていた。

 そして島に到着すると同時に“棺桶”と呼ばれる一人乗り用の小舟から降りてこちらに歩いて向かってくる男の姿を見て驚愕することになる。


「なんであんたがこの島に?」

「ヒマつぶし。“黒麒麟”はモリアのところか?」


 船から降りてきたゴジと同じ位の体格を持つ剣士は暇つぶしでゴジに会いに来たと言っているのだ。


「そうだよ。暇ならあたしが相手になってやろうか?」

「“桃ウサギ”か……それもいいが、間もなく終わるだろうから少し待たせてもらう。」


 ギオンは世界最強に挑める機会など、早々にあるものでは無いと滾るが、ミホークにいなされた。


「女の誘いを断るなんて男として失格だよ。下手な真似したら斬るからね。」

「ふん。勝手にしろ。」


 こうして二人が対峙して冒頭に戻る。


 ◇


 ゴジは目の前の剣士を知っている。

 というか世界的に見ても数多の剣士の頂点に立つ世界最強の剣士と呼ばれるこの男を知らぬ者等ほとんどいまい。


「“鷹の目”、俺に何の用だ?」


 そう。この男は王下七武海ジュラキュール・ミホーク、通称“鷹の目”のミホークその人ある。


「俺は同じ王下七武海の一人としてクロコダイルに続き、モリアの拿捕に動いた今話題の海兵を見に来ただけだ。なるほど噂以上に面白い男だ。」

「そりゃどうも。」

「お前程の男なら巨大化したモリアに真っ向からぶつからなくとも搦手で難なく倒すことも出来るだろうに海賊相手に真っ向勝負で応じた上で叩きのめすとはな。」


 ゴジはミホークのモリアとの戦いを冷静に分析した慧眼に恐れ入るが、それよりもミホークが何故ここに来たのかが知りたい。


「へぇ…よく見てるな“鷹の目”。一つ聞きたいんだが、なぜ俺がモリアの拿捕に動くと気付いた?俺を待つなら普通はマリンフォード近郊が望ましいはずだ。」


 アラバスタ来訪とは違い、ゴジがモリアの視察に行くことは報道されておらず、ゴジに会いたいならマリンフォードで待つべきなのだ。

 しかし、ミホークはゴジに会うためにマリンフォードで待ち構えるのではなく、ゴジがマリンフォードへ帰る前にモリアを拿捕する為に“魔の三角地帯(フロリアントライアングル)に来ると睨んでここへ来た事にゴジは不審がっているのだ。


「麒麟は天の公正な裁判官。元々モリアによる各国の墓荒らし被害に悩まされる国は多かった。クロコダイルのアラバスタ王国乗っ取りをいち早く看破して拿捕した“黒麒麟”ならモリアの所業も許してはおかぬだろうと思っただけだ。」


 ミホークはただの剣を振るうだけの馬鹿な剣士とは違う。豊富な知識を持ち、新聞にも目を通して情報を得て世界情勢を見極める能力にも長けている。

 王下七武海の中で彼だけは純粋な海賊ではなく、彼は若かりし日から世界最強の剣士となるべく世界を放浪して偉大なる航路(グランドライン)を始めとした世界各国に不法侵入国を繰り返して賞金首となった。

 そんな彼を拿捕しようとする海軍や名のある海賊を壊滅させて腕を磨いて世界最強の剣士に至り、王下七武海に選ばれた彼が世界政府に求めたのは自由。自由に世界の海を航行して武者修行出来る権利である。


「なるほど……それで俺達海軍が世界会議(レヴェリー)に参加するコブラ王達の護衛を引き受けて出発するタイミングを狙ったわけか?」


 ネフェルタリ家がマリージョアへ向かう日は報道されているので、ミホークはこのタイミングでゴジがアラバスタ王国を経つと踏んで魔の三角地帯(フロリアントライアングル)に来たのだ。


「だが、“桃ウサギ”が一緒とはさすがに驚いたぞ。」

「俺はあんたが会いに来てくれたおかげでジメジメした元シッケアール王国に行く手間が省けて助かったよ。」


 ゴジは心地よい覇気を放つミホークを見てほくそ笑む。

 ミホークは内戦の末滅びたクライガナ島にあるシッケアール王国跡地に拠点を構えているが、基本的に島に篭って修行や農業に勤しみあまり表に出てこない。


「礼なら一つ俺と手合わせといこう。強き者よ。」


 ミホークは獰猛な笑みを浮かべて背中に背負った最上大業物12工の一つである黒刀『夜』を抜き放ち、切っ先をゴジに突き付ける。

 彼は世界最強の頂に立った今も慢心せず、“強き者”を求めて未だに挑戦者であった。

 ゴジという強者に挑戦する為に相応しい舞台としてミホークはこの地を選んだのだ。


「なるほど、“鷹の目”そういう魂胆か?」

「続けろ。」

「暗闇の支配するここなら政府の目はねぇから海兵である俺とも全力で戦えると踏んだんだろ?なるほどな……お前に懸賞金が付いた理由がよく分かる。でも、世界最強の頂を知れるのはありがたい。」


 ゴジはミホークが強者にと知れば誰にでも正々堂々と真っ向から挑戦して、賞金首となり世界最強の剣士となったのだと気づき肩を竦める。


「そこまで分かってるなら種明かしは終わりだ。言葉はいらん。剣と拳で存分に語り合おう。“桃ウサギ”立会いを頼む。」

「あたしと戦わなかった理由が元からゴジちゃんが狙いだったからだね。」


 ギオンは立会人をするのはやぶさかではないが、あとはゴジが勝負を受けるかどうかだが、彼の返答は決まっている。


「全く……血の気の多いおっさんだな。でも、分かるぜ!あんたはモリアとは格が違う。ワクワクが止まらねぇ!ギオンさん頼んだよ!!」


 対するゴジは戦いを心待ちにするミホークに呆れながらも、ミホークから発せられるビリビリとした殺気をその身に受けてその顔はミホークと相違なく獰猛な笑みを浮かべている。


「あんたら二人は人を除け者にして……ったく、分かったよ。」


 ギオンはやる気満々の二人の顔を見て自分も混ざりたいと思いながらも、自分はゴジのサポートをすると心に決めていたので二人の立会いを引き受けた。 
 

 
後書き
ということでモリア戦に続きミホーク戦です。

以前のアンケートの結果が明らかとなります。 
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