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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第九十一話

 玉座に寝転がったモリアと部下であるドクトル・ホグバックと先程誕生した新しいゾンビを眺めている。


「凄いぞ!この身体、力が漲るようだ。」

「刀まで持ってる。侍ってやつか?」

「聞いた事あるぞ!屈強で知られるワノ国の侍。元の体とは比べ物にならない筋力だ!」


 モリアの能力で新たな体を与えられた海賊の影達は元の肉体よりも数段強い肉体を与えられた事に感激していた。

 ソンビ達は腰に帯びた刀を抜いたり、走り回ったりしている。


「キシシシシ!ホグバック、このソンビ共はワノ国の侍達か?」

「フォスフォス!そうだ。船長、これはワノ国でリューマを盗んだ時についでに盗んできた侍達のゾンビだ。さすがは屈強で知られるワノ国の侍達、俺はほとんど手を加えてねぇってのにこれは壮観だな。」


 ワノ国の“常世の墓”にはリューマの他にもこれまでワノ国、鈴後の国では活躍してきた名だたる侍が眠っているので、モリアはリューマの他にも持って帰れるだけ盗んでいた。
 
 今回の海賊達の影は光栄にもその屈強な侍達の体を与えられたのだ。


「キシシシシ!仲間なんざ生きてるから失うんだ!!全員が始めから死んでいるゾンビならば何も失う物はねェ!!ゾンビなら不死身で、浄化しても代えのきく無限の兵士!!!」


 しかし、突然モリアとホグバックが新たなゾンビ兵の誕生に騒いでいる最中、城を圧倒的な殺意が包み込む。


「なんだ?これは殺気?いや殺意か?」


 モリアは突如、城を包み込んだ殺意に冷や汗を流す中、まずシンドリーが糸の切れた人形のように仰向けに突然倒れた。


「あー皿が憎い……うっ!?」


 ホクバックがシンドリーを心配して駆け寄ろうとする。


「シンドリーちゃん!?どうし……うっ……ぶくぶく……。」


 しかし、ホクバックはシンドリーの元へ辿り着けぬまま、そのまま気を失って前のめりに倒れた。


「シンドリー、ホグバック!?しっかりしろ!!?」

「うっ……!?」

「「「ぶくぶく……」」」


 ホクバックだけではなく、先程影を与えられて起き上がった侍ゾンビもバタバタと泡を吹いて倒れていく。


「不死身なはずのゾンビ共まで倒れていく……なんだ!?何が起こってやがんだ!」


 モリアの叫び声が玉座の間に響き渡り、彼以外全ての部下が泡を吹いて倒れ伏した。


 ◇


 ゴジ達は城門前に着くと門番として二体のゾンビが立っていた。


「おい!止まれ!」

「ここは立ち入り禁止だ!」


 ゾンビ達はそれぞれ長槍を持ち、ゴジ達の行く手を阻むように互いの槍でバツ印を作って立ち塞がる。


「そこを退け!」


 ゴジはその門番達を睨みつけて命ずると、門番二人は覇王色の覇気に当てられて突然泡を吹いて倒れてしまう。


「「うっ……ぶくぶく……!!」」


 ゴジの雄々しい黒い覇王色の覇気は留まること無く巨大な城の全て覆っていく。


「これが噂の王の資質ってやつね♪」

「数百万人に一人、王の資質を持つ者だけが持つと言われる覇王色の覇気。」


 ゴジはモリアの巨体が悠々と通り抜けられる程巨大な城門に両手を掛けるとそのまま軽々と上に持ち上げて二人を振り返る。


「さぁ、中に入るよ。」

「「っ……!!」」


 城門はテコの原理で城の内側からしか開けることが出来ない仕組みである。ゴジの覇気で城にいるゾンビがほぼ気を失っている状態なので、ゴジは自分で開けてみせたが、分厚く巨大な城門の重さは1トンを優に超える。

 ポルチェとたしぎはそんな城門を軽々と持ち上げたゴジに空いた口が塞がらないが、ゴジの指示で慌てて城門に入ってずんずんと城内に入っていくゴジの後に続く。


「ゾンビが全て泡吹いて気絶している。」

「それだけじゃないわ。あたし達が城に入ったのに誰も来ないってことは、この城にいるほぼ全てのゾンビが既に意識がない証拠よ。」

「ポルチェ少尉、これって私達の出番あるんですか?」

「さぁ……せっかくゴジ君にいい所魅せる予定だったのにぃ〜はぁ……」


 城に入っても至る所で気絶しているゾンビを尻目にずんずんと城の中を突き進むゴジに続きながら、たしぎとポルチェが小声で話していた。

 二人はモリアと対峙するゴジの露払いをする気満々でいたのにする事がなくて拍子抜けしているのだ。


「二人とももうすぐモリアがいる玉座の間に着くから気を引き締めてね。俺の覇気に耐えるゾンビが何体かいる。二人の力を存分に見せてくれるかい?」

「「は……はい!!」」


 たしぎとポルチェは自分達の会話がゴジに聞こえていた事に気付き、顔を赤らめながらも気を引き締めてゴジに続くとしばらくして玉座の間の扉の前に辿り着いた。


 ◇


 扉が開くギィーという音が静寂を支配する玉座の間に響き渡ると、入口にこの状況を作った元凶がモリアの前にゆっくりと姿を現した。


「失礼する。出迎えもないゆえ、少々威嚇させてもらった。」


 モリアは黒髪短髪に海軍コートを纏う若い海兵の姿を見て、全てを悟って怒りを顕にする。


「“黒麒麟”!!てめぇの仕業だな?これはまさか覇王色の覇気か!?」

「なるほど……全盛期から衰えたとはいえ覇王色の覇気を耐えるか?さすがは“元”王下七武海だな。“影の支配者”ゲッコー・モリア!」


 モリアはゴジの本気の覇王色の覇気を浴びても気絶するどころか平然と睨み付けていた。


「うちの部下達を威嚇して、のしちまうのは協定違反だろ。なんのつもりだ?それに“元”だと?俺は王下七武海を辞めた覚えはないぞ!」

「モリア様!大変です。ゾンビ達が急に倒れて、それにペローナ様も城門付近で目を回して倒れています!」


 ペローナは海賊を城の森の中まで連行しようとして、ゴジの覇王色の覇気を浴びると霊体であるはずの彼女は誰よりも先に気絶した。


「モリア様!大変よ。結婚して!!」


 王座の間に求婚を迫るイノシシのような顔をして花嫁衣裳を着た女形ゾンビと巨大な蜘蛛に人の顔が付いた妖怪のようなゾンビが駆け込んできた。


「たしぎ!ポルチェ!」

「「はっ!」」


 ゴジの命令で彼に付き従って後方で待機していた2人が反転し、入口付近にいる2体のゾンビに向けて攻撃を開始する。


「キューティーバトン“お花手裏剣”!」

「“涼風……」


 ポルチェはバトンを回しながら花形の手裏剣を無数に出現させて蜘蛛型のゾンビに向けて放ち、たしぎは真っ直ぐに花嫁ゾンビに向けて居合切りを構えとって距離を詰める。


「「えっ……!?」」

咲け(フレア)!」

「……・閃”!」


 ポルチェの声を合図に蜘蛛型ゾンビの体に無数に突き刺さった花形の手裏剣が一斉に爆発し、たしぎ花嫁ゾンビの脇を通り抜けてから抜き放った刀を鞘に納めるカチンという音を合図に花嫁ゾンビの体が真っ二つに割れる。


「「ぎゃあああああああああ!」」


 爆発で体が弾き飛ばされ、残った肉片も燃え始めている蜘蛛型ゾンビの肉体から黒い影が抜けて影の持ち主の元へ帰るべく天に昇っていくが、体を真っ二つにされた花嫁ゾンビはゴジの姿を見て目をハートに変えてその場で倒れたままもがいていた。


「あら?いい男、私とけっこ……「キューティーバトン“お花手裏剣”!」……もごもご……。」


 ゾンビは燃やされれば影が抜けるが、斬られたりしただけでは影は抜けないのだ。

 ポルチェがいきなりゴジに求婚し始めた花嫁ゾンビの口を狙って花形手裏剣を放ち、口を地面と縫いつけた。


「誰に断ってゴジ君に求婚してんのよ。殺すわよ!“咲け(フレア)”!」

「ぎゃあああああああああ!!」


 ポルチェの合図で花形手裏剣が爆発すると花嫁ゾンビは顔が爆発して体が燃えて行くと影が抜けて天へ昇る。

 それを見たモリアは激昂して立ち上がって大声を張り上げた。


「てめぇ!!ほんとうになんの真似だぁ!!!これは完全なる協定違反だぞ!!!」


 モリアは王下七武海として部下と認められている不可侵の協定のあるゾンビを壊された事に激怒するが、ゴジは涼しい顔でモリアを睨み返す。


「海賊ゲッコー・モリア、世界各国における墓荒らしの容疑で海軍本部中将“黒麒麟”ゴジの名において王下七武海の地位を剥奪する。大人しく縛につけ。」

「なっ……そんなことで……!?」


 元々モリアの仕業とみられる墓荒らし事件は世界各国で多発していたが、生者の命や財産に危害を加えていないことと王下七武海という地位によりもみ消されてきた。

 ゴジはあえてこれまで揉み消してきた墓荒らし事件により、モリアの地位を剥奪した。


「モリア、抵抗するなら実力行使で捕らえるが、どうする?」

「てめぇ……そんな暴挙を世界政府が許すと思うのか?」


 暴挙といえばそうかもしれないが、相手は所詮、元海賊である。

 ゴジが恩赦を与えてもいいと思う王下七武海は今のところ、海賊になった背景を知る“暴君”バーソロミュー・くましかいない。


「ゾンビを改造して肉体は強くしようとも、所詮偉大なる航路(グランドライン)前半の海の脱落者共だ。俺の覇王色に耐えられるのが船長であるお前を除いてあの二体だけとはな。人形遊びで満足するお前はどのみち王下七武海として力不足だ。」

「なんだと……」


 くまのような王下七武海がいるかもしれないとモリアを見極めに来たが、スリラーバークに来て落胆の連続だった。

 見張りの部下すらおらず、海軍が来たにも関わらず何も対処しようともしない。

 ゴジはスリラーバークに到着してすぐにゲッコー・モリアは王下七武海の資格無しと判断し、何よりも姉や母のように想っているギオンを泣かせたことを許すつもりはなかった。


「ならばゲッコー・モリア、最後のチャンスだ。己が武を示せ!!俺を倒せたら影でも命でも名声でも好きに持っていくといい。もちろん王下七武海としての地位も保証する。」

「なんだと!?お前の影だと……今言ったことを後悔するなよ!キシシシシ!」


 モリアは先程とは打って変わって、ゴジの影を手に入れた事を想像して喜色が浮かべて、重たい体を玉座から上げて立ち上がるとゴジの前に進み出てきた。


「ポルチェ、たしぎ、女の子が見てる前で俺が負けると思うか?」


 ゴジは王下七武海との戦いに不安な空気を漂わせている2人を安心させるためにおどけながら笑いかけると、王下七武海を前にしても何も動じないいつもの調子のゴジを見てに安心感を持つ。


「ゴジ君が負けるはずないわねん♪」

「ご武運を!」

「二人とも少し下がってくれ!」


 ゴジはたしぎとポルチェが下がったことを確認すると腕を回して、既にゴジの影を手に入れた気になっているモリアと対峙した。


「キシシシシ!“黒麒麟”の影かどんなゾンビに入れてやろうかな……キシシシシ!!」


 クロコダイルと並ぶ王下七武海最古参の“影の支配者”ゲッコー・モリアと海軍本部の若きエース“黒麒麟”ゴジとの戦いが今はじまる。 
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